少年と少女達の輝き目指す物語   作:キャプテンタディー

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今回からサンシャイン第2話をお送りします!

けど内心早くみんなを集めて9人にして、主人公をメインにやっていきたい自分がいる。あんなことやこんなことをさせたい自分も( )

おっと、内なる自分が出てきてしまったようだ。
気持ちを切り替えて、やっていきたいと思います。

それでは、本編をどうぞ!






#5 はやくも前途多難!?

 

 

 

 

 

 曜から電話で聞いたときは、正直呆れた。

 

 

「それで…今日から転校してきた子に対して、千歌がアグレッシブに勧誘してると?」

『勧誘っていうか、スクールアイドルをするから、曲を作曲してくれって、千歌ちゃんずっとその子にアプローチしてるの……』

「はぁ…本当にいい迷惑だなそれは…」

 

 

 時はちょうど昼休み。

 俺の元に、曜から1本の電話がかかってきた。

 

 ちょうどその頃には1人で屋上で昼飯を食っていたから、出ないわけにもいかないだろうと思って電話に出たら、話は千歌のことで持ちきりだ。

 

 

『千歌ちゃん、ずっと転校生の子に話しかけてて、『あの子なら作曲してくれる!』って、私の話も聞いてくれないんだ……』

「そりゃ…もう大変だな……」

 

 

 転校生にとっては、いきなり学校の生徒からアグレッシブに勧誘されたらたまったもんじゃない。いい迷惑にも程がある。

 電話での話で、スクールアイドルをするために曲を作らなきゃいけないってのは分かった。

 でもその作曲を、わざわざ転校してきた子にいきなりやらせるのはどうかと思うんだがな……。

 

 千歌の野郎、ちゃんと相手のことも考えてやってんだろうか?いや、あいつの事だから何も考えてないで転校生を勧誘しているだろう。

 

 

「それで、転校生の子は大丈夫なのか?千歌の勧誘に対して、絶対嫌がってるんじゃないか?」

『うん…まぁね……』

 

 

 あぁ。曜の反応で全てを察したよ。

 これはもうやばいな。下手したら嫌われるぞ。

 

 

『まぁとりあえず、千歌ちゃんはずっと転校生に作曲のお願いばかりしてるから、どうにかしてみるよ。転校生にも悪いしね』

「その方がいい。最悪な事態になる前にも、曜からきっちり言ってやった方がいいよ」

『うん、分かった!』

 

 

 曜も千歌の行動には、少しやり過ぎなんじゃないかなと感じてはいるみたいだからな。

 だが、どうして千歌はその子にこだわるのかが分からない。どうしてその転校生に作曲をお願いするのかは、俺にはどう考えても分からなかった。

 

 だから俺は、曜に一つ尋ねた。

 

 

「曜、お前今1人なのか?」

『えっ?う…うん。千歌ちゃんにはトイレに行ってるって言って誤魔化してきたから』

「それは好都合だ。曜に一つ聞きたいことがある」

『聞きたいこと?』

 

 

 曜は電話越しに首を傾げ、俺の質問に耳を貸す。

 俺は曜に対して、どんな質問をするのかといえば、転校生がやってきた時、千歌はその子に対してどんな反応をしていたのかという話だ。

 

 

「千歌はさ、その転校生の顔を見た時、どんな顔をしていた?そこだけが知りたいんだ」

『千歌ちゃんの…転校生に対しての反応?』

「そうだ。普通初対面なら、どんな子なんだろうって思う人が多いはずなんだ」

 

 

 普通みんなそう思うはずだ。東京という、遠くからやってきたその子に対してみんなはどんな子なんだろうって、普通思うはずなんだ。

 曜はしばらくの間を置いてから、その当時の千歌の様子について話してくれた。

 

 そしたら意外な言葉が飛び出してきた。

 

 

『確か千歌ちゃん、嬉しそうな顔をしてた』

「嬉しそうな顔?」

『うん。転校生の顔を見たときに、とても嬉しそうな…なんか知り合いの人と久しぶりに再会したような顔だったんだ』

「……なるほど、分かった」

 

 

 知り合いの人に久しぶりに会ったような表情

 

 その一つの長々のキーワードに、1つの思い当たるかもしれない選択肢が思い浮かぶ。

 でもそれは仮説ではなく、確信に近い考えだ。きっとそれに違いないと思えるくらいだ。

 

 

「千歌がどうしてその転校生に作曲をお願いしようとしているのか。なんとなく分かった気がするよ」

『本当!?それで…どうしてなの?』

 

 

 曜は俺の発言に食いつくように聞いてくる。

 急かすのはあまり良くないから、曜に自分で考えさせるようにして、俺は話をしていく。

 

 

「よく考えてみろ?今、曜が言ったことに矛盾があるじゃないか。初対面なのに、久しぶりに再会したようなってところが…」

『よくよく考えてみたら、あっ!」

 

 

 良かった。曜は分かったみたい。

 

 

「分かったか?ということは、曜がその転校生に出会う前に千歌が出会ってることになるんだ。多分、その子が作曲できるって知ってるのは、その子から直々に聞いたか、風の噂で聞いたってことになる」

 

 

 その事実というか、本当にそんな事の流れで今になっているかは事実上よく分からないけど、その考え方が1番近いと思う。

 

 

『そう考えたら千歌ちゃんが、ずっとその子に対して作曲をお願いしているってことに合点が行くね。だから千歌ちゃん、転校生にそんなことを……』

「でもまぁ…しつこく作曲をお願いをしていたら、嫌がられて終わりなんだけどな…」

 

 

 だから正直、俺の思うに早めに千歌はその転校生から手を引いてもらうしかない。

 でないと…うん。不登校はありえる。

 

 

「俺からは手を引けばって言っておくよ。あとはもう千歌のその行動が自分で後悔しないことを祈る」

『分かった。千歌ちゃんにも伝えておくね』

 

 

 転校生の子はとても大変だろうな。転校初日に学校の生徒からいきなり『作曲して!』ってお願いされたらたまったもんじゃないだろう。

 どうにかして、千歌のことを誰でもいいから止めて欲しいと思った俺である。

 

 そして俺は、曜にあることを尋ねる。

 

 

「それでどうせ、お前はスクールアイドルの服を作る担当になるんだろうけど…」

『分かっちゃう?千歌ちゃんにもう頼まれちゃったんだ。アイドルっぽい…ヒラヒラしてて、キラキラした服を作って欲しいって……』

「それもまた大変な無理難題だな……」

 

 

 やはりといったところか、千歌は既に曜にもスクールアイドルの服を作って欲しいと頼まれていた。

 曜は確かに裁縫が得意で、服なんて楽に作っちゃう奴だけど、アイドルだもんな…。曜が作る服なんて大体スクールアイドルみたいなヒラヒラしたものから程遠いものばかりだ。

 

 船の船員の服だったり、警察官の服だったり。

 大体が仕事で着るような制服ばかりだ。

 

 

『遼くん?今さっき私のこと馬鹿にしたでしょ?』

「ううん。何も…お前がいつも着てきたりしてくる制服のことで馬鹿になんかしてないよ?」

『ちゃっかり遼くん言っちゃってるよ…』

 

 

 あっ、また言っちまった。つい思ってることをたまに口が滑っちゃうんだよな。俺の方は柔らかい。

 

 

「でもまぁ…可愛いくないとは思ってないけど…」

『ええっ!?///』

「んっ…?俺…何か言ったか?」

 

 

 俺は別に何も言った覚えはないのだが、何故か曜はとんでもない声を上げて驚いていた。

 

 

『……遼くんの馬鹿…///』

「えっ?」

 

 

 ブツッ!プーッ! プーッ!

 

 

 と思ったら、今度は曜は俺に馬鹿と小さく言ったあとで、突然電話をブツッ!と切ってしまった。

 

 

「えっ!?おい曜!曜〜!」

 

 

 何度も曜の名前を呼んだが、曜の声はせず、ずっと電話の切れた音が耳に入ってくるのみだった。

 別に曜に対して、俺は何も言った覚えもないのに、なんで曜は俺に馬鹿と言ったひ、電話をブツッと突然切ったりしたのだろう?

 

 

「俺、何か言ったか?」

 

 

 そう思いしかなかった俺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『可愛くないとは思ってないけど……』

 

 

 そんな遼くんの素っ気なさそうな言葉が、私の頭の中でグルグルと回っていた。

 私は、その言葉が出てきた時は思わず驚いた。

 

 だって遼くんの口から、あんな言葉を口にしてくるなんて私は思っていなかったから、そりゃ…驚くものは驚くよね?

 

 

「お〜い!曜ちゃ〜ん!!」

「あっ、ごめ〜ん!遅くなっちゃった!」

 

 

 そんな時、私がちょうど中庭に出られる廊下を歩いてたら、中庭にあるベンチで腰掛けていた千歌ちゃんから、私の名前を大声で呼ぶ。

 その声に呼ばれるように、私は千歌ちゃんへと手を振りながら走っていった。

 

 とりあえず、あの言葉に関してはまた遼くんの家に押しかけて、真実を知りに行こう!その方が、1番手っ取り早いから…楽しみだな!

 

 

「曜ちゃん、ステップの練習しよう!」

「いいよ!準備オッケー!」

 

 

 千歌ちゃんは、中庭で基本的なダンスをステップの練習をしようと提案する。

 私はその提案にOKサインをして、私もあまりやった事のないダンスのステップを千歌ちゃんと始める。どんなステップの練習かといえば、基本の横に動くステップの練習なんだけどね。

 

 こうやって正面から右に移動するときは、つま先を右にして左足を前に出して体を右に捻るように動いて、逆に左に行くとき、つま先を左に向けて左足を前に出し、体を左に捻って動く練習をするの。

 

 

「「ワンツー!ワンツー!ワンツー!」」

 

 

 左右に10回ずつ、計20回のステップを踏む。

 私のスマホには、ちょうどダンスやステップの練習に使えるメトロノームのアプリがある。そのメトロノームが刻む音に合わせて、私と千歌ちゃんは左右に動くステップの練習をした。

 

 足だけを動かさず、他にも腕を動かしたり、その左右に動くステップに合わせて上半身も動かした。

 それで私は自分が電話をしにいっている間に、千歌ちゃんはまたあの子に対して作曲のお願いをしていたのかを、疑問形にして尋ねる。

 

 

「それで千歌ちゃん、またダメだったの?」

「うん。桜内さんにまた断られちゃった……」

 

 

 ネガティブに千歌ちゃんに質問した理由は、何度も断られているからそう聞いた方が早かったからだ。

 実際にそう聞いて、やっぱりなって思った。

 だけど千歌ちゃんは空を見上げて、今度はポジティブな千歌ちゃんの発言に、私は本当にかなって、千歌ちゃんを見つめながら疑った。

 

 

「でもね曜ちゃん!あと少しであの子に作曲をしてもらえるかもしれないの!あと一歩……あと一押しって感じなの!」

 

 

「だってあの子の断り方が『ごめんなさい!』から、【ごめんなさい…』ってなってたし!」

「それ…絶対に違うと思う」

 

 

 千歌ちゃんの思ってることとは絶対に違う。

 絶対にあの子の断り方、だんだん嫌がってる感じに聞こえたもん。これはヤバイかも。本当に遼くんが言ってることに近づいてきてるかもしれない。

 

 

「もし万が一になっても、何とかなるし!」

「それも…あまり考えない方がいいかも…」

 

 

 万が一千歌ちゃんが作詞と作曲をするにしたって、千歌ちゃんがいい曲を作れるはずもなく、音楽の教科書を見せられたらどんな結末になるのかは、言わなくても分かると思う。

 手を引いた方がいいって遼くんに言われたけど、でも千歌ちゃんが作曲をするなら、私は転校生に作曲してもらった方がいいと思ってる。

 千歌ちゃんがあんなにお願いしてるなら、あの転校生は間違いなく作曲は上手だと確信出来る。

 

 だから遼くんとの電話での会話や、遼くんから貰ったアドバイスはなかったことにする。千歌ちゃんとスクールアイドルするんだ!だから2人で、悔いのないようにやりたい!

 そう考えた私は、遼くんとの電話での内容を1、2のポカンって感じで消去して、頭の中にあった雑念を綺麗さっぱりに忘れさせた。

 

 それから基本的なステップの練習を休憩しながらやり終えて、疲れた体を中庭のベンチに預けたところで、千歌ちゃんが私に頼んでいた衣装の件について尋ねてくる。

 

 

「それより曜ちゃん、私が伝えたスクールアイドルっぽくて、キラキラした衣装って考えてきた?」

「もちろん!考えてきたよ!」

 

 

 千歌ちゃんに頼まれていたスクールアイドルの衣装は、もう既に自分のスケッチブックに描いてきた。

 まだイメージ段階ではあるけれど、今その考えている衣装が、私の中ではとても可愛いって思ってる。

 

 

「見たい見たい!曜ちゃん見せて!」

「分かった!ちょっと待ってて!」

「うんっ!」

 

 

 千歌ちゃんは、早速私が考えている衣装に興味津々で、私が描いたイメージの衣装を今すぐ見たいと、目を輝かせていた。

 私は千歌ちゃんを中庭のベンチで待たせつつ、私は猛スピードで教室に向かう。自分のカバンから大きなスケッチブックを手に取り、千歌ちゃんの元へとまた猛スピードで走って戻る。

 

 

「お待たせ〜!」

「ねぇ曜ちゃん!早く見せて!」

「じゃあ見せるね!はいっ!」

 

 

 この目で早くスクールアイドルの衣装を見たいと、ウズウズして堪らなくなってる千歌ちゃん。

 私は試しに描いた衣装のページまでめくったあと、何も躊躇うこともなく、私が今考えているスクールアイドルの衣装を彼女に見せた。

 その絵を見せると、千歌ちゃん目を輝かせる。自分がこんな可愛い衣装を着るってことにね。

 

 

「わ〜!凄い!凄くキラキラしてる〜!」

「でしょ!?スクールアイドルっぽくて、とっても可愛い衣装を頑張って描いてみたんだ!」

 

 

 スケッチブックに描かれているモデルは、もちろん千歌ちゃん。スクールアイドルっぽくて、とっても可愛い衣装を着ているのをイメージしたんだ。

 

 

「でも大丈夫?これ本当に作れるの?」

「もちろん!大丈夫であります!」

 

 

 スケッチブックの横から顔を出して、私は千歌ちゃんに向かってビシッと敬礼する。

 初めてこういう衣装とか、頭につける装飾とか初めて作るところも多いし大変だけど、千歌ちゃんのためだもん!私はやる!絶対に!

 

 そう心に決めたところで、千歌ちゃんは私の言葉に嬉しくなって腕を私の首に回して抱きしめてくる。

 

 

「わ〜いっ!曜ちゃんありがとう〜!」

「わっ!ち…千歌ちゃん!く…苦しいよ〜」

 

 

 千歌ちゃんの胸の柔らかい感触が、ちょうど私の顔全体を覆う。千歌ちゃんの胸がとても柔らかくて、私はそれに虜になってしまいそうだった。

 それに息も出来なくて息苦しくて死にそう。でも千歌ちゃんの胸で殺されるなら、死んでいいかも…。

 

 ……って!千歌ちゃんの胸でなに変なこと考えてるの私は〜!?もう〜このバカ曜〜!///

 

 私は頭に浮かんでいた変な妄想を消し飛ばし、私を抱きしめ続ける千歌ちゃんに向かって言う。

 

 

「ち…千歌ちゃん、嬉しくて抱きしめるのはいいけど、私苦しくて死んじゃうよ〜///」

「わぁ!?ご…ごめん曜ちゃん!」

 

 

 抱きしめられていたままだったから、私もそこまで強くは言えなかったけど、千歌ちゃんにそう伝えると、彼女はそれに気づいて慌てて私から離れる。

 抱きしめることに夢中で、私の様子を全く知らなかった千歌ちゃんは、私に近寄って心配そうな表情を浮かべていた。てか千歌ちゃんの顔近い…

 

 

「大丈夫曜ちゃん?苦しかった?」

「ちょっとだけね…。でも、もう大丈夫だよ!」

「本当?良かった〜」

 

 

 私の話を聞いた千歌ちゃんは、ホッと一安心した後で胸をなで下ろす。

 でも私の胸は、心臓が破裂しそうなくらいに動悸がドクンドクンと強く、早くなっていた。

 

 今日は暑いからとかそういうことじゃなくて、ただ単に千歌ちゃんの無自覚の行動に、私は赤面した。

 

 

「よ〜しっ!私も負けてられない!」

 

 

 すると千歌ちゃんは、私の頑張りに対して、自分も頑張らなきゃと闘志を燃やす。千歌ちゃんはベンチから立ち上がると、すぐさま何処かへとズカズカと歩き出した。

 私もその後を追い、千歌ちゃんに尋ねる。

 

 

「千歌ちゃん!どこに行くの!?」

「生徒会長のところ!もう一度行って、絶対にスクールアイドルを部として認めてもらうんだから!」

「えぇ〜!?無茶だよ〜!」

 

 

 また千歌ちゃんは生徒会長のところに行くらしい。

 これでもう3度目になっちゃうけれど、また絶対にダイヤさんに追い返されるに違いない。

『3度目の正直』って言葉があるけれど、私の頭に浮かんだ言葉は、『2度あることは3度ある』という言葉。だから千歌ちゃんがまたダイヤさんのところに行ったとしても、認めてくれるわけがない。

 

 逆に認めてくれるまで、生徒会長のところに向かう千歌ちゃんのその勇気は、とても凄いと思ってる。

 普通ならそこで折れるはずなのに、それでも尚として抗い続ける千歌ちゃんの姿が羨ましかった。

 

 私にも…こんな勇気があれば……。

 

 

「さっ、曜ちゃん行こう!」

「あっ!ち…千歌ちゃん待ってよ〜!」

 

 

 前を先急ぐ千歌ちゃんに急かされ、私は千歌ちゃんと生徒会室へと足を運んだのだった。

 

 

 千歌ちゃんの3度目の正直は、果たしてなるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 残念、2度あることは3度あるでした。

 

 

「ダイヤさん!お願いします!」

「お断りしますわ!」

「えぇ〜!そんなぁ〜!」

「あはは…やっぱり……」

 

 

 生徒会長のところにもう一度来たものの、生徒会長はまた来たのかと呆れた表情を見せ、疾風が如く、千歌ちゃんの要望を却下した。

 ここまでくると認めて欲しいとは私も思っていたけど、名前と同じようにとてもお固い人だった。

 

 

「5人必要だと言ったはずです。それにそれ以前にですが、作曲はどうなったのですか?」

「それは…たぶん…きっと!可能性は無限大!」

 

 

 作曲に関しては全然何もできていない。

 そしてそのことがすぐバレてしまうような言動を、千歌ちゃんはする。千歌ちゃんは何とかなると答えているけど、ダイヤさんから見ればダメだと思うのも仕方ないかもしれない。

 

 

「はぁ……」

「うっ…あの…その……」

 

 

 ダイヤさんの落ち込んだ深いため息を見てしまった千歌ちゃんは、途端におどおどしてしまう。何とかダイヤさんに話題を振らなきゃと、頭に閃いたことをダイヤさんに口走るように言った。

 

 

「で…でも!それでも最初は3人しかいなくて大変だったんですよね…『u's』も……」

 

 

 

 ピクッ

 

 

 

 んっ?今…ダイヤさんの眉毛、動いたような…?

 

 確かといえば言い切れない。でも今、千歌ちゃんが話したの話の中で、ダイヤさんの中に何か反応するものがあったに違いない。

 千歌ちゃんはまだそのことに気づいていない。

 気づいていないどころか、千歌ちゃんはダイヤさんにペラペラと話を続けた。

 

 

「知りませんか?第2回のラブライブで優勝した、音ノ木坂学院スクールアイドル『u's』!」

「……それってもしかして、『μ's』の事を言ってるのではありませんですわよね?」

「……………えっ?」

 

 

 千歌ちゃんが『μ's』について話をしていたら、ダイヤさんはその話に厳しめの口調で問いかける。

 千歌ちゃんは突然に話に入ってきたダイヤさんの話に対して、『えっ?』と素っ気ない声を上げ、自分が好きになったスクールアイドルの『μ's』の名前を、間違えていたことに気づく。

 

 それでも尚ダイヤさんは話をする。

 

 それにダイヤさんの表情は怒っていた。千歌ちゃんがスクールアイドルの名前を間違えたから、ダイヤさんが怒っているのは確実に間違いない。

 

 

「もしかして『μ's』のことを言ってるのですか!?それでしたら片腹痛いですわ!名前を間違えてますわよ!?あ"ぁ"!?」

 

 

 ほらね。ダイヤさん女の子なのに、“あ”に濁点ついちゃってる。これは本当に怒ってる証拠だよ。

 ていうか、今のは女の子が出してはいけない声だと思う。ましてや生徒会長であるダイヤさんがね。

 

 それからダイヤさんは千歌ちゃんに向かって『μ's』がいかにどれだけ凄いのかを話す。それに伴って、ダイヤさんは椅子から立ち上がって、千歌ちゃんにグイグイと迫るように話をした。

 

 

「『μ's』は活動しているスクールアイドルたちにとっての伝説!聖域!聖典!宇宙にも等しき生命の源ですわよ!その名前を間違えるなんて、片腹痛いですわ!!」

 

 

 ダイヤさんに鬼気迫られる千歌ちゃんは、彼女に何も言うことも出来ないままダイヤさんに押されるように後ろにだんだん下がっていく。そしてその後ろはいつしか壁があり、千歌ちゃんは後ろが壁に気付いた時には正面にはすぐダイヤさんがいて、千歌ちゃんはどうすることも出来なかった。

 

 ただ千歌ちゃんが口にしたのは、たった一言。

 

 

「ち…近くないですか?」

「…っ!?あっ…ゴホンッ、失礼…」

 

 

 でもその千歌ちゃんの一言に、ダイヤさんはハッとした表情をして一連の行動に謝罪を述べる。

 ダイヤさんと千歌ちゃんとの距離は、一時は唇同士が重なってしまうのではないかというくらいまで近かった。千歌ちゃんかダイヤさんに言うまで気がつかなかったら、うん…ヤバイね……。

 

 でもこれで分かったのは、スクールアイドルが嫌いと言われていたダイヤさんは、実はスクールアイドルが好きだったということだ。

 伝説と言われているスクールアイドル『μ's』のことさえ、千歌ちゃんよりも多く知っている。これってつまり…ガチってやつ?

 

 

「ふんっ!その浅い知識だと、たまたま偶然見つけたから、軽い気持ちで真似をしてみようかと思ったのですね。ふふっ…笑わせてくれますわ…」

「…っ!そんなこと…そんなことないです!」

 

 

 千歌ちゃんはダイヤさんに嘲笑われ、それに怒りを感じた千歌ちゃんもすかさずダイヤさんに反論を見せるが、威勢だけでどうにかなる相手じゃない。

 スクールアイドルに関してのことは千歌ちゃんよりも知識はあり過ぎて、ラスボス感があった。

 

 するとダイヤさんは私たちに背を向けると、顔だけをこちらに向けてきね、千歌ちゃんに突然問題を出してきた。

 でも問題というよりか、クイズに近いかも。

 

 

「ならば、『μ's』が初めて最初に9人で歌った曲、あなたは答えられますか?」

「えっ!?えっ…え〜っと…」

「ブ〜ッ!ですわっ!」

「早いですよ!もっと時間くださいっ!」

 

 

 何故こんなことになってしまったのかは分からないけど、ダイヤさんは千歌ちゃんに問題を出す。どれだけ『μ's』の知識があるのか、きっとダイヤさんは、千歌ちゃんの力量を確かめたかったんだろう。

 でも千歌ちゃんは、ダイヤさんから出された問題に悪戦苦闘する。何も答えることも出来ず、ダイヤさんに答えを言われてしまう。

 

 

「『僕らのLIVE、君とのLIFE』、通称『ぼららら』ですわ。次、第2回ラブライブな予選で、μ'sがA-RISEと一緒にステージに選んだ場所は?」

「ス……ステージ?」

「ブッブ〜!ですわっ!」

「えぇ〜!だから早いですってば〜!」

「秋葉原のUTX屋上。あの伝説と言われるA-RISEとの予選ですわ!」

 

 

 それにしても、ダイヤさんが問題を出すにしても、千歌ちゃんの答える時間が短すぎませんか?これは千歌ちゃんにとって圧倒的不利に見える。

 私も別に外れてもいいから答えてもいいかなって思ってたけど、なんだか間には入れなさそう。それに私もスクールアイドルのことには知識は疎いから、千歌ちゃんの助けにはなれないかも……。

 

 

「次、ラブライブ第2回決勝で、μ'sがアンコールで歌った曲は……?」

「それなら分かります!『僕らは今のなかで!』」

 

 

 とおもったら、千歌ちゃんは3つ目の問題ですぐさま答えられた。これでダイヤさんを見返せるとドヤ顔を見せつけた千歌ちゃんだったが、不敵にほくそ笑んでいるダイヤさんは、『実はその問題には続きがあるのですわ』といった表情を見せて千歌ちゃんに話を続けた。

 

 

「ふふっ…甘いですわ。ですが、曲の冒頭でスキップしている4名は9人のうち誰ですか?」

「ええ〜!?そんなの分からないですよ〜!」

「ブッブッブ〜!!ですわ!」

 

 

 引っ掛け問題にも程がありすぎると思う。

 千歌ちゃんもなんだかんだダイヤさんのクイズに答えるのに夢中だし、本気で悔しがってる。

 私はジト目でダイヤさんを見つめた。いや、まさかここまでダイヤさんがスクールアイドルに対しての知識が豊富だったのかというか、スクールアイドルのことになると、ペラペラと話をしているのを見るのは初めて見た。

 

 私の耳に流れてきた噂は、全くの嘘だったのだ。

 

 

「絢瀬絵里、東條希、星空凛、西木野真姫!こんなの基本中の基本ですわよ!分かりました!?」

「わ…分かりました。でもすごい!ダイヤさんってもしかして、μ'sのファン?」

「あまり前ですわっ!私を誰だと思って……はっ!一般教養ですわ一般教養!」

 

 

 もう私でも確信できる。ダイヤさんも千歌ちゃんと同じで、スクールアイドルが大好きなんだと……。

 千歌ちゃんはいずれ、ダイヤさんを介してスクールアイドルのことをたくさん学ぶ上での先輩として、多分お世話になるじゃないかな〜って思う。

 

 スクールアイドルに詳しい人なんて、ダイヤさん以外でそこまでいないだろうからね。きっといい勉強になるんじゃないかな?

 

 

「とにかく、スクールアイドル部は認めません!」

「えぇ〜結局!?そんなぁ〜!」

 

 

 といっても、やっぱり認めてくれなかった。

 

 

「ダイヤさんお願いします!!スクールアイドルを部として認めてください〜!」

「認めないと言ったら認めませ〜ん!」

 

 

 こんなやり取りを、あと数回も繰り返された。

 

 

「もう〜!前途多難すぎるよぉ〜!!」

 

 

 そしてそれから千歌ちゃんは、自分の中に溜まったストレスを、海に向かって叫ぶのであった。

 

 

 

 

 






最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回はこの続きになります。
普通はオリ主がメインなのに、今は曜ちゃんメインでごめんなさい。次回はきっと出してやる。
やはりダイヤさんの『ブッブ〜!』はいい!
果たしてこの前途多難は乗り越えられるのか?
次回も必見!お楽しみに!

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