少年と少女達の輝き目指す物語   作:キャプテンタディー

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どうも、キャプテンタディーです。

サブタイの“週末”を見たとき、だれが
出るのかもうお分かりですよね???

※2話構成です。またまたです。
それでは、本編をどうぞ!





#46 充実の週末 前編

 

 

 

 

 

『今日、私たちに付き合いなさい!』

『ずらっ!』

『ピギィ!』

 

 

 1年生。特に善子の一言で、今日の予定がすでに決まってしまったようなものだった。

 待ち合わせ場所は沼津駅前。時間は10時。

 

 今日は真夏日の30度。澄み切った空から太陽が燦々照りつけ、特に女子なんかは確実に日焼け止めクリームとかを塗りまくる頃だ。

 そんな日に、俺は何に付き合わされるのかは未だに彼女たちから言われてはいない。でもだからこそ、俺は少し疑問に思うところがある。

 どうして、俺を誘ったのかだ。

 

 

「……遅い」

 

 

 とても素朴な疑問かもしれない。けどさ、善子、ルビィちゃん、花丸ちゃんの3人の外出で、理由もなしに俺を誘うわけがないんだ。

 

 とりあえず、俺はもう沼津駅にいる。

 時間は9時50分。集合時間の10分前に来て待っているのだから、誰も文句は言うまい。

 

 その時……

 

 

「ちゃんと来たわね!私のリトルデーモン!」

「やっと1人目のご登場か」

 

 

 俺から見て左から善子がスタスタとやって来て、相変わらずの堕天使ポーズで『ギラン♪』と、自分から口にして笑っていた。

 彼女の着ている格好に感じても、“堕天使”という雰囲気はとても感じられる。

 

 ピンクのハートがプリントされた白のTシャツの上に、黒のレザージャケット。首と腹にはチョーカーという“首輪”を身に付け、ワインレッドと黒のスカートに黒のショートブーツ。今日の善子はハードというか、格好良い系で決めてきたようだ。

 

 

「今日も黒一色だな。さすがは堕天使」

「クックック、当然……」

 

 

 俺の思っていた服装とは、ちょっと違った。

 この間着ていた、なんか少しゴスロリっぽい感じの黒の服装だと俺は思っていたのだが、ちょっと俺からしてみれば意外だった。

 

 まだルビィちゃんと花丸ちゃんの姿は見えない。

 本当は3人が揃ってから聞いた方がいいのかもしれないけど、今のうちに善子から聞いておこう。

 

 

「なぁ善子……」

「だからヨハネ!」

「……ヨハネさん。今日はどうして3人のお出かけに俺も呼んだのか。それを教えて欲しい」

 

 

 正直、いちいちヨハネ呼びしなきゃいけないのが少し気にくわない。だが彼女はそう呼べば満足するらしいから、それくらいは我慢する。

 それで俺は善子に理由を聞くと、彼女は両手を腰に当て、『えへん』と言わんばかりに説明する。

 

 凄く、単刀直入に……。

 

 

「遼さん。今日はあなたと親睦を深めたいの!」

「…………はい?」

「だからっ!私とズラ丸とルビィの4人で、楽しくお出かけして親睦を深めようってこと!」

「…………なるほどね〜」

 

 

 “親睦を深めたい”、とな……。

 俺も全く考えていなかったわけじゃない。それとは別として、全然違う理由だと思っていた。

 

 でも確かに、俺と1年生との関わりはそこまでは多くない。話す頻度に関しても、千歌たち2年生組よりは圧倒的に少ない。

 だからこの機会にと思い、善子を筆頭に、今日を以って3人は決行したんだと思う。

 

 それなら俺も彼女たちと同様にその気になって、彼女たちと親睦を深めよう。善子たちが俺と仲良くなりたいと言っているのだから、俺もそうしないと彼女たちに失礼だ。

 

 

「まっ、あまり1年生と出かけたり、遊んだりしたことないからこの機会だ。俺たち4人で、みんなで目一杯に遊ぶか!」

「クックックッ、承知っ!」

 

 

 自分自身にも言い聞かせるようにして、俺は善子にそんな風に話をする。

 するとそこへ、花丸ちゃんとルビィちゃんの2人が走ってこちらにやってくる。腕時計を見たら、針がちょうど10時を指していたから時間ぴったしだ。

 

 

「おはようございま〜す!」

「お、おまたせしたずら〜!」

「時間ぴったし。待ってたよ2人とも」

 

 

 2人は走ってきたことで息は荒い。たから、しばらく2人が落ち着くまで善子と待って、2人の呼吸が整ったところで話を切り出す。

 

 

「じゃあ全員集まったところだけど、実際3人は、今日どうするのか決めてるのか?」

「はい!もちろんです!」

 

 

 あっ。どうやら聞くまでもなかったみたい。

 ルビィちゃんと花丸ちゃんの輝かしい目つきが全てを物語ってて、今からどこに行こうとしているのか分かった気がする。

 でもまぁ、一応聞いておくんだけどね。

 

 

「それなら、一応話してくれ」

「はい!私たち、遼さんと今から水族館に行きたいと思ってるんです!」

「それってもしかして、“ミトシー”?」

「はい!イルカさんを見るずら!」

 

 

 俺が言う“ミトシー”っていうのは、日本の中でも2番目に歴史の長い水族館とされている伊豆・三津シーパラダイスのことだ。

 場所は千歌の家の近くにある。ただ、バスでしか移動手段はないから大変なんだ。

 

 

「ルビィ、イルカさん大好きなんだ♪」

「そうなんだ。それは楽しみだな!」

「はいっ!」

 

 

 ミトシーで2人が見たいのはイルカ。つまりは、イルカのショーを彼女たちは見たがっている。

 それだけじゃないと思うけど、水族館でメインになるのは、それ以外に他ならない。

 

 

「それじゃあ、早速行くずら〜!」

「「「おぉ〜!!」」」

 

 

 そんでもって俺たちは、目的地の伊豆・三津シーパラダイスへとバスを利用して向かった。

 バスで片道740円もかかるのは、少し我慢しないといけないけどね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アシカさん……可愛い♡」

「本当ずらね〜♪」

 

 

 ミトシーに着いて、ルビィちゃんと花丸ちゃんはアシカを見てはしゃいでいる。特にルビィちゃんがガラスに顔をべったりと付けて、俺から見てルビィちゃんは、少し子供っぽく見えた。

 

 

「2人とも、楽しそうで何よりだ」

「何よ。アシカなんかではしゃいじゃって!」

「そういうお前は楽しくないのかよ?」

「べっ!別にヨハネは、こんな生き物を見ただけではしゃぐ身じゃないの!」

「ふぅ〜ん……」

 

 

 だが逆に善子は、アシカを見てあまりはしゃぎはしないっぽい。ただ俺の隣で、ルビィちゃんと花丸ちゃんがアシカを見てキャッキャしてるのを、腕を組んで眺めているだけだった。

 

 俺はそのとき思う。善子が、どんな魚を見て目を輝かせたり、はしゃぐのかって……。

 こいつ堕天使だし、アシカみたいなあまり可愛いものには興味なさそう。今、善子が着ている格好も含めてだけど、善子は結構、“カッコイイ系”ばかりのものが好きそうだ。

 

 となると、善子が好きそうなのはアレだな。

 よしっ。そうなればすぐに行動だ。

 

 

「なら善子。ちょっとこっちに来い!」

「えぇ!?ちょ、ちょっと何よ!?」

 

 

 俺は善子の手を握り、2人にここを後にすることを話した上で俺は、善子をある場所へ連れて行く。

 ルビィちゃんと花丸ちゃんがいるところは明るいところだけど、俺が善子を連れて行く場所は、そことは打って変わって薄暗い場所。

 

 カッコイイ魚といえば、ヤツしかいないよな?

 

 

「ほら、着いたぞ」

「……っ!?こ、ここって……」

「あぁ。“サメ”がいる水槽だ」

 

 

 俺が善子を連れて着た場所は、海でも恐れられているサメがいる水槽だ。

 俺は実はサメが大好きで、小学生ぐらいの小さい頃から、千歌と曜の3人でよくここに来ていた記憶がある。

 “サメ”って、結構カッコイイよな?

 

 歯が鋭くてカッコイイし、画像とかでしか見た事ないけど、海面から『バシャッ!』って飛び上がりながら、獲物を『ガブッ!』って捕らえる瞬間が、俺的には最高にカッコイイんだ。

 

 さて、善子はどう思う?

 

 

「わぁ〜!カッコイイ……!」

 

 

 聞くまでもなかった。

 

 善子は水槽で身軽に泳ぐイタチザメを見て、あの2人と同じように目をキラキラさせている。

 ルビィちゃんみたいにまでとはいかないけれど、善子もまるで子供みたいになっていた。水槽で泳ぐイタチザメを近くで見ようと、彼女は水槽のガラスに両手をついて見ていた。

 

 善子の後ろ姿を見守るように見ていた俺は、彼女を一瞬だけ、自分の妹のように見ていた。

 俺ってば、一人っ子だからさ。“妹”を持つ“兄”の気持ちってこういうものなのかな?って、俺は終始そんなことを考えていた。

 

 別に妹が欲しいとか思ってねぇからな!?

 

 

「遼さ〜ん!!」

「やっと見つけたずら〜!」

 

 

 するとそこへ、ルビィちゃんと花丸ちゃんの2人がこっちに走ってやってくる。アシカを見終えて、俺たちを探しに来たんだろう。

 でも、何故か2人は慌てた表情を見せている。

 一体どうしたんだろうと思って、俺は息を整えている2人に対して言葉を投げかける。

 

 

「どうした2人とも、そんなに慌てて……」

「た、たた、大変ずら〜!!」

「どうしたのよズラ丸!言いたいことがあるなら、ちゃんと言いなさい!」

 

 

 善子も2人の表情を見かねて、ガッと2人に顔を近づけて恐喝じみた感じに尋ねると、ルビィちゃんが開口一番に話を始める。

 でもそれは、とても意外なことだった。

 

 

「あ、あのね!イルカさんのショーが、あと3分で始まっちゃうの!だから急いで、善子ちゃんたちを呼びに行かなきゃって思って……!」

「あぁ、なるほどね……」

「なんだ。そういうことだったのね……」

 

 

 ルビィちゃんの言葉で時計をよく見たら、ルビィちゃんが言っていた通り、イルカショーの時間まであと3分を切っていた。

 ルビィちゃんと花丸ちゃんが1番見たがっているイルカのショー。これには俺と善子も、イルカのショーが行われる場所へ向かうしかなかった。

 

 2人に対して『嫌』って言ったら、俺も善子も2人から怒られる未来しかないから。

 

 

「じゃあ、早く行きましょ!」

「うん!急がないとショーが始まっちゃう!」

「遼さんも行くずら!」

「お、おう……!」

 

 

 それで善子が先頭を切って、俺たちはイルカショーが行われる屋外の方へ出ると、もうすでに観客席が埋まるほどのお客さんがいた。

 座れる場所がないか探していると、4人で一緒に座れるわけじゃないけれど、前後で2人ずつ座れる場所がちょうど見つけることが出来た。

 

 

「良かった!間に合った〜!」

「ふぅ。間に合わないかと思ったわ」

「間に合ったのは、善子のおかげだな」

「善子言うな!ヨ・ハ・ネ!」

「はいはい……」

 

 

 ルビィちゃんと花丸ちゃんが前に座り、俺と善子が後ろに座る形。いちいち『ヨハネ!』と突っ込みを入れる彼女だが、その反応が俺は見ていて面白いから何も言わないでおく。

 

 その方が何というか、善子らしいからさ。

 

 

『お待たせ致しました!まもなく、イルカショーの開演です!』

『『『『『パチパチパチパチ!』』』』』

 

 

 司会の言葉と共に、客席から拍手が湧く。

 目的だったメインイベントが始まるから、ルビィちゃんや花丸ちゃんは無意識にワクワクしている。

 隣で座っている善子は、2人と違って腕を組み、いつものように捻くれたような顔をしていた。善子は本当に、可愛い顔を台無しにしちゃってるよ。

 

 

 バシャーン!バッシャーン!!

 

 

「うわぁ〜!すご〜い!」

「すごいね〜ルビィちゃん!!」

「うんっ!イルカさんすごい!」

 

 

 快晴の空の下でイルカショーが始まり、それからは前の2人ははしゃぎっぱなし。

 イルカが水中から華麗に宙を舞い、観客の人たちはそれに大きく魅了されているのが伺える。

 

 ただ、イルカが宙からプールに戻った瞬間に起きる水しぶきのおかけで、前で見ていた人たちはずぶ濡れになっちまうのが恒例だけどな。

 

 

「…………………」

 

 

 善子。そんな顰めっ面すんなよ。

 さっきも言ったけど、お前の可愛い顔が台無しになっちゃってるからさ。その表情やめた方がいいのにな……全くよ。

 

 

「…………………っ」

「…………?」

 

 

 でも今思うと、何故か善子の顔が赤い。

 イルカのショーで顔を赤くする理由が俺には見当たらないため、どうしてそうなっているのかが俺はどうにも分からなかった。

 

 だがだとしてもだ。善子のことだから、イルカが宙に舞う姿がとてもカッコイイとか、少なからずはそう思っているはず。

 だからあまり、気にしない方がいいのかも。

 

 そう言い聞かせて俺は、またすぐにイルカショーに視線を注いだ。彼女が顔を赤くしている、本当の意味を知らずにね。

 

 

「……どうしてこいつに、ドキドキしてるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜!楽しかった〜!」

「良かったね、ルビィちゃん!」

「うんっ!」

 

 

 無事にイルカショーを楽しく見て、俺たちはそのあとにミトシーを後にする。

 沼津駅行きのバスに乗り込んで、ルビィちゃんと花丸ちゃんは笑いながら、楽しく談笑していた。

 

 その2人の後ろには俺と善子が席に座り、善子とこの後について話をしていた。

 

 

「んで?この後はどうするんだ?」

「とりあえず、まずお昼を済ませたいわ。なんだかんだで、私もお腹空いちゃったし……」

 

 

 ぐ〜っ!!

 

 

「…………………」

「「「……………………」」」

 

 

 なんつうグッドタイミングなんだろうか?

 

 善子が言ったそばから彼女のお腹から音が鳴り、ルビィちゃんも花丸ちゃんも、その音に驚いて話を止めては、途端にバス内は静寂に包まれる。

 それで、自分のせいで場の空気が気まずくなったことを気にしている善子は、自身の顔を赤くする。とんだ凄いタイミングだったから、彼女自身でさえも驚きを隠せないらしい。

 

 

「本当に、お腹空いてたんだな……」

「うっさ〜い!聞くなぁ〜!」

 

 

 恥ずかしそうに、彼女は俺の肩を叩く。

 全然弱くて、全然痛くないけど……。

 

 

「じゃあ沼津に戻ったら、みんなでどこかでお昼にするずら!善子ちゃんですら、凄くお腹が空いちゃってるらしいし……」

「ず〜ら〜ま〜る〜!」

「あ、あはは……」

 

 

 花丸ちゃんが言っていることは事実。だから善子には、弁解の余地もない。ただ善子の顔を見ながら話す花丸ちゃんのその言い方には、とても無慈悲にも感じるけどな……。

 でもまぁ、みんなお腹空いていることには変わりないだろう。それならばここは1つ、今日お出かけに誘ってくれたお礼をしたいと思った俺は、3人に対して話をする。

 

 

「それじゃあ3人には、俺がご馳走しよう」

「えっ!?遼さん、お料理出来るんですか!?」

 

 

 なんだいルビィちゃん。俺には料理の才能が全くないとでも思っていたのか?

 それはまあ、しょうがないよね〜。

 

 料理をしてるところ、見せたことないからな。

 

 

「失敬だな〜ルビィちゃん。これでも俺はな、簡単な飯くらいは賄えるんだぞ?」

「それならルビィ、オムライスが食べたい!」

「ほほう。オムライスか!」

 

 

 それでルビィちゃんは、自分はオムライスが食べたいと右手を挙手して提案をしてくる。何も心配もいらない。オムライスなら普通に作れる。

 

 

「花丸ちゃんと善子は?食べたいものとか、なにかあるなら言ってよ」

「良いんですか?賄ってもらっても……」

「良いんだよ。誘ってくれたお礼の意味も込めて、花丸ちゃんが食べたいものを作ってあげるよ!」

「っ!ありがとうございます!」

 

 

 花丸ちゃんは少し、俺に対して気を遣っていた。

 でも『お礼がしたい!』と俺は言ったら、彼女は笑顔を浮かべて嬉しそうに笑う。遠慮しなくて良いんだと、俺は俺彼女の思いを感じることが出来た。

 

 

「じゃあマルも、ルビィちゃんと同じでオムライスが食べたいずら!」

「分かった。善子はどうする?」

「私も良いわ。オムライスが食べたいわ」

「オッケー!じゃあ決まりだな!」

 

 

 花丸ちゃんも善子も、ルビィちゃんが食べたいと言っていたオムライスを食べたいと言うから、今日のお昼はオムライスに決定。

 沼津駅に着いたら、早速オムライスを作るための材料を買う必要がありそうだ。

 

 

「楽しみだねぇ〜!」

「うん!マルも楽しみずら〜!」

「…………ふふっ♪」

 

 

 沼津駅までバスに揺られている俺以外の3人は、三者三様、どことなく俺が振る舞う料理を楽しみにしている様子がうかがえる。

 その様子を間近で見ていた俺は、腕によりをかけて作るオムライスで、ここにいる3人を、キラキラの笑顔にしたいと思った。

 

 

 

 

 






後編へ続く!

戯事ですが、ヤンデレ書きたい()
たまには良いと思いません?



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