少年と少女達の輝き目指す物語   作:キャプテンタディー

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どうも、キャプテンタディーです。

小説の話を1話書いていく度、完成間近になると
だんだん執筆意欲が減っていく自分をどうにか
したいと思っている。それが本当になかったら、
もっと早く更新とかできるのにって……。

という事で、引き続き今回も第8話に沿って
お話を書かせていただきました。
是非最後まで、読んでいってください。

それでは、本編をどうぞ!





#43 私たちの現在地

 

 

 

 

 

「ごめんなさいね。急に呼び戻しちゃって……」

「いえ、大丈夫です」

 

 

 私たちがイベントの会場の前までやって来ると、そこには何か青い封筒を手に持ち、私たちを待っていた係員のお姉さんの姿があった。

 私たちを呼び戻しちゃったことを申し訳なさそうにしているお姉さんは、私たちに謝りながら右手を上げてジェスチャーをする。

 

 それに対して千歌ちゃんは、お姉さんとそんなやり取りを交わすと、お姉さんから左手に持っていた青い封筒を私たちに差し渡される。

 

 

「これ、渡し忘れてたって思って……」

「は、はぁ……」

 

 

 それを千歌ちゃんは受け取り、封筒は開けずに前と後ろを確認する。封筒には間違いなく、正式名称でスクールアイドルワールド運営委員会としっかり文字で記されていた。

 それでまた、善子ちゃんが言う。

 

 

「中身は何だろう?」

「まさか……ギャラ!?」

「善子ちゃんしつこいずら……」

 

 

 けれども花丸ちゃんにジト目でそう言われてしまって、がっくり肩を落とす善子ちゃん。

 そのやり取りを見て『ふふっ』と笑みを浮かべた係員のお姉さんは、封筒の中身が何なのかを私たちに教えてくれた。

 

 

「今回、お客さんの投票で入賞グループとか決めたでしょ?その集計結果が封筒の中に入ってるわ」

「わざわざすいません……」

「いいよいいよ。こっちが忘れてたから……」

 

 

 中身の事を話してくれたお姉さんに梨子ちゃんが謝れば、お姉さんは『謝らなくていい』と、両手を胸のあたりで軽く振ってそうジェスチャーする。

 投票結果となると、今回のイベントで出た私たちの順位も分かるということで、何人が私たちに投票してくれたのかも分かるということ。

 

 あはは……なんか変に緊張するなぁ……。

 

 投票結果でちょっとドキドキし始める私。

 だけど係員のお姉さんが次に言い放った言葉が、私にとってはとても疑問に残る言葉だった。

 

 

「でも正直、あなたたちには渡すのかどうしようかちょっと()()()んだけど、出場して貰ったグループにはちゃんと渡すことにしてるから……」

「……えっ?」

 

 

 渡すのかどうか『迷った』と言うお姉さん。

 その言葉が発せられた意味として私は、まず先にさっきまでのドキドキ感は一瞬でなくなった。

 係員のお姉さんが言い放ったその()()が、絶対に悪い方での意味で『迷った』と言ったことが私には理解できたからだった。

 

 そしてお姉さんは私たちに対してそれ以上は何も言わず、別れの言葉を告げたあと、私たちに背中を向けてこの場を後にした。

 

 

「じゃあお疲れ様ね!ラブライブの出場目指して、これからも頑張ってね!」

「は、はい!ありがとうございます!」

 

 

 お姉さんの別れの言葉に千歌ちゃんもお礼をそう言って、ひとまず呼び出されたことの用事はこれで終わったわけだけど……。

 

 

「見てみる?」

「うん。集計結果っていっても、結果が上位だけのものなのか?全部なのか分からないし……」

「ひとまず開けて見てみましょうよ!」

「そうだね。じゃあ開けてみるよ」

 

 

 ……見るのかな、やっぱり。

 私には、とても不安でしかならない。お姉さんの言ったことにはいまだ疑問には思ってるし、絶対にさっきのは悪い意味でだと思う。

 そんな不安をよそに、千歌ちゃんはお姉さんから貰った青い封筒の封を開く。それで封筒の中に手を入れた千歌ちゃんは、封筒の中からA4サイズの2枚の紙を取り出す。

 

 それがどうやら、集計結果の紙みたい。

 1枚の紙には、全部で30組が参加したグループの上位半分がそこに載せられていて、ランキングと、そのグループに投票をした人数が書かれていた。

 

 

「上位入賞したグループだけじゃなくて、出場グループ全部の得票数が書いてあるのね」

「そうみたいだね」

「Aqoursは?Aqoursは何位ずら?」

 

 

 1枚目には、残念ながら私たちの名前はない。

 やっぱり実力差が明確だった。

 

 

「あ、Saint Snowだ……」

「あの人たちは9位だったんだ」

「もう少しで入賞だったのね……」

 

 

 その1枚目を上から順に見ていくと、上から9番目の『9位』にSaint Snowがランクインしていた。

 前座であっても、あの圧倒的なパフォーマンスを見せたからこの順位なんだと思う。でなかったら、この順位にはいない。

 

 

「それで私たちは!?Aqoursは!?」

「うん!今見てる!」

 

 

 そうやって善子ちゃんに急かされて、千歌ちゃんは集計結果の2枚目の方に目を移していく。

 でも、未だにAqoursの“A”ですらまだ見つかっていなくて、私の頭の中でずっと漂っていた嫌な予感が、今まさに的中してしまった。

 

 2枚目の1番下、『30』と記されているその隣に書かれていたグループは、私たち“Aqours”だった。

 

 

「……えっ?……30位?」

「30組中……30位……」

「つまりビリってこと!?」

「わざわざ言わなくていいずら」

 

 

 みんな、とてもを超える以上にそのランキングを見てショックを受けていた。

 私ももちろんショックを受けている。でも私たちは、これ以上にショックを受ける事態になる。

 

 その理由として、得票数にある。

 

 

「得票数はどれくらいなの!?」

「えっと………えっ?」

 

 

 千歌ちゃんは梨子ちゃんに促されるまま、自分の指で見えなくていた得票数を見るために自分の指を退ける。

 それで私たちに投票した得票数を見たとき、千歌ちゃんは“信じられない”、“ありえない”という表情を私たちの目の前で見せていた。

 

 

「千歌ちゃん……?」

 

 

 千歌ちゃんのそんな表情を目の当たりにしたら、得票数に何かあったのかと不思議にならないわけにはいかなくて、私は千歌ちゃんの横から顔を覗かせて、Aqoursの得票数を見る。

 その得票数に私も、とても衝撃的を受けた。

 

 

「嘘。得票数、0……?」

「私たちに入れた人、1人もいなかったってこと?」

「……きっとそうだと思う」

 

 

 30. Aqours …… 0

 

 

 私たちに票を入れた人は誰1人としていなくて、例え自分たちが頑張ったと思ってたとしても、それを見てくれたお客さんの心に響かなかった。

 それが結果としてこうして現れていて、みんなはその結果を目の当たりにして、さっきよりも大きなショックを受けていた。

 

 特に、千歌ちゃんは尚更。

 

 

「お疲れ様でした!」

「あっ、Saint Snowさん……」

 

 

 そんな感じにショックを受けている時、私たちの背後からSaint Snowの2人が現れる。

 聖良と自分で言っていたサイドテールの女の子が1歩前に出て、私たちに話を始める。ただそれは、私たちにとっては心地の良いものじゃなかった。

 

 

「とても素敵な歌で、とてもいいパフォーマンスだったと思います。ただ……」

「ただ……?」

「もし、μ'sのようにラブライブを目指しているのだとしたら、諦めた方がいいかもしれません」

 

 

 正直、同じラブライブを目指しているものとしてそんな風に諦めさせるような言葉は、言っちゃいけないと思う。けれども私を含めて、私たちはそれに対して言い返すことが出来なかった。

 個人的な考えで、彼女たちにとって私たちがそういう風に見えたのかもしれない。でも相手を貶して嫌な気持ちにさせるのは、誰であっても決してしてはいけないもの。

 

 その事をこの人に私は言いたかった。

 でも、それは出来なかった。

 

 

「馬鹿にしないで!ラブライブは……

 

 

 ……()()じゃない!」

 

 

 2人が去る間際に、妹の方が涙ながらにそう言い放った言葉には、私たちはひどく胸に突き刺さったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東京の観光を暗い感じで回った私たちは、内浦に帰るために帰りの電車に乗り込み、重苦しい雰囲気の中で電車に揺られていた。

 空はスッキリした朱色の夕方なのに、私たちの心はどんより曇っていて、ルビィちゃんと花丸ちゃんは、涙を浮かべていたSaint Snowの妹のことで話をしていた。

 

 

「泣いてたね、あの子……」

「きっと、イベントで入賞することが出来なかったから、悔しかったんだと思うずら……」

 

 

 それは、何となく花丸ちゃんの言葉には同意見。

 あの子が泣いていた本当の気持ちとしては、あのイベントで“入賞”をしたかったということ。

 例え前座だとしても、他より高いパフォーマンスを見せれば、ランキングの上位に入れることを彼女たちはすでに知っていた。

 

 私の思うに、今回の東京でのイベントで、私たち6人のAqoursは、『()()()()()()』という積極的な何かが欠けていたんだと思う。

 

 善子ちゃんの話すことも、十分に分かるけど。

 

 

「で、でもだからって、私たちにラブライブを馬鹿にしないでなんて言わなくても……!」

「でも、そういう風に見えたのかも……。みんなで精一杯頑張ったけど、周りからはそういう風に見られちゃうのは、もう仕方ないことだよ」

「うっ……」

 

 

 でも、『だから』だと思う。

 上に行きたいという強い気持ちがなかったから、今回のイベントのライブは、ただ”こなした”だけとしてなってしまって、他人からああいう風に見られてしまって、あんな風に言われたんだと思う。

 

 すると千歌ちゃんが窓越しに、夕方の空を眺めながら話し出す。

 

 

「私は良かったと思ったけどなぁ……」

「千歌ちゃん……?」

「精一杯やったんだもん。努力して頑張って東京に呼ばれたんだよ?それだけで凄いことだと思う!」

 

 

 精一杯やったから、良かった。そんなことを言いながら話す千歌ちゃんは、私たちを明るくさせようと笑顔で笑ってみせる。

 

 でも、私には分かってる。

 千歌ちゃんが無理して笑ってる事も、千歌ちゃんが1番悔しいって1番感じてる事も……。

 

 

「胸張って良いと思う!!今の私たちの、精一杯が出来たんだから……!」

「……っ!」

 

 

 ダメ。もう私には我慢出来ない。

 

 無理をして笑顔を作って、私たち偽物の笑顔を向けられても千歌ちゃんには良いことなんてない。

 千歌ちゃんは、本当は悔しいんじゃないの?

 

 

「ねぇ、千歌ちゃん……」

「んっ?どうしたの、曜ちゃん?」

「千歌ちゃんは、悔しくないの?」

「「「「「……!?」」」」」

「えっ……?」

 

 

 私が千歌ちゃんに対してそんな風に尋ねたとき、周りのみんなもそうだけど、千歌ちゃんは私の問いに驚きの表情に移り変わる。

 そりゃそうだよね?私の性格からして、こんな事を千歌ちゃんに尋ねるなんて滅多にないもん。

 

 

「千歌ちゃんはアレを見て、悔しくないの?」

「そ、それはちょっとはあるよ」

「……本当?」

「ほ、本当だよ!本心だよ!」

 

 

 私の連続でかけた問いかけに、千歌ちゃんは冷や汗のようなものを垂らしながら必死に答えてる。

 

 この時の私は、千歌ちゃんの本当の気持ちをみんなの前で吐き出させたかった。

 みんなを前向きにさせるために、自分が無理して笑顔を作ってる千歌ちゃんを見てるのが嫌だった。強がってることだってもう知ってる。

 

 それなのに私は、どうして惨めなんだろう?

 

 

「満足なの!みんなであそこの舞台に立てて、私は嬉しかった。もう満足だよ……」

 

 

 顔を次第に俯かせて、微妙な笑みをしながら話す千歌ちゃんを見ていた私は、その言葉に対して心のどこかでそれに納得してしまっている自分がいた。

 

 その気持ちを表している言葉を、私は呟く。

 

 

「…………そっか」

 

 

 この私の一言を最後に、電車の中で話す人は誰一人いなくなってしまった。

 電車が沼津に着くまでの間、私は千歌ちゃんにとって何なんだろうと考えていた。いつ何時、ずっと隣で寄り添っていた千歌ちゃんが私にですら本当の気持ちを打ち明けてくれないなんて……。

 

 みんなには打ち明けられないことなの?

 それとも私たちには言えない理由があるから?

 

 ううん違う。きっとそうじゃなくて、もっと別な理由があるはずなんだ。

 その理由をちゃんと自分から話してくれると私もスッキリするし、こんなモヤモヤも消える。

 

 

 だから、()()()千歌ちゃんを見せてよ。

 

 

 誰にも包み隠すことなんかしないで、自分の本当の本心を、私たちに見せてよ。

 私がいくら尋ねても答えない千歌ちゃんだから、私が思ってることは、本当にこれくらいしかない。でも、それが私が思ってる本心だよ。

 

 私は朧げに夕陽の空を見つめて、沼津に着くまでの2時間の間はゆっくりと過ごす。

 それでやっと戻ってきた私たちのホーム・沼津を見たとき、1日だけしか街を離れてないのに、どこかしら懐かしさを感じていた。

 

 

「ふぅ〜。戻ってきた……」

「やっと“ずら”って言えるずら〜!」

「それずっと言ってたじゃない!」

 

 

 善子ちゃんと花丸ちゃんは、2人で花丸ちゃんの語尾である『ずら』のことで話を繰り広げていた。

 実は昨日の東京に向かってる時に、花丸ちゃんは梨子ちゃんにあまり『ずら』は言わない方がいいって言われてたんだけど、東京にいてもいつも通りの花丸ちゃんだった。

 

 静岡の方言を東京では言うなって言われたとしても、なかなか無理な話でもあるけどね。

 

 

「お〜い!千歌〜!」

「あっ、みんな!」

 

 

 そんな時、東京から私たちの帰りを待っていた、学校のみんなの姿が駅の広場にあった。みんな手を振って、『待ってたよ』と言わんばかりに……。

 

 

「どうだった?東京は?」

「う、うん。凄かったよ!何かステージもキラキラしてて……とにかく凄かった」

 

 

 千歌ちゃんはみんなの質問に答える。イベントのステージを見て思ったこととか、ライブではミスはあまりしなかったとか、隣の梨子ちゃんのフォローもあって、冷や汗をかきつつも答える。

 

 私からは、みんなには何も言わなかった。

 

 

「ちゃんと歌えたの?」

「緊張して、間違ったりしなかった?」

「うん。それは何とか……ねっ?」

「え、えぇ。ダンスのミスもなかったし……」

 

 

 千歌ちゃんの梨子ちゃんへのフリだったり、梨子ちゃんのその後の対応も少しぎこちない。

 だけどそのぎこちなさの理由に気付く人は誰1人としていなくて、千歌ちゃんはそのまま勢い任せで話を続けた。

 

 

「そうそう!今までで一番のパフォーマンスだったねって、みんなで話したところだったんだ」

「な〜んだ!心配して損したよ〜!」

 

 

 よしみちゃんたちは、千歌ちゃんが話したことについては納得した表情を見せていた。

 そのあとで、自分たちが私たちの心配したことを笑いながら後悔する。

 すると、むつちゃんが話を切り出す。

 その話の内容を聞いた千歌ちゃんは、答えることを躊躇って、表情を歪ませた。

 

 

「じゃあじゃあ、もしかして、本気でラブライブの決勝が狙えちゃうかもってこと!?」

「えっ……?」

「そうだよね!東京のイベントに呼ばれちゃうくらいだもんね!」

「…………………」

 

 

 ラブライブの話で、よしみちゃんたちが笑い合って話していることとは裏腹に、ラブライブの決勝を“本気”で狙えるかどうか考えている千歌ちゃん。

 東京でSaint Snowにあれだけ言われて、結果は『最下位』で投票数も『0』だ。

 そんなグループがラブライブに出て、決勝にまで駒を進められるのかとそう聞かれたら、私は間違いなく、『NO』と答える。

 

 それが私たちの、今の()()()だから。

 

 

「どうなの?千歌ちゃん!」

「えっ?あっ、えぇっと……」

 

 

 千歌ちゃんは何とかしてその質問に答えようと、頭の中で言葉を紡ぎ合わせていた。

 そしたら、次の瞬間だった。

 

 

「お〜いお前ら。千歌たちはたった今東京から帰ってきたばっかりなんだから、そんな質問ばっかりしてねぇで、早く解放してやれよ」

「「「「「「えっ?」」」」」」

 

 

 私たちがいる広場の少し離れた場所から、私たちが知っている男の子の声が聞こえる。

 私たちはその声がした方向へと視線を向けると、半袖短パンの姿に、短パンに手を突っ込んで佇んでいた遼くんの姿がそこにあった。

 

 

「りょ、遼くん……」

「みんな、お疲れさん」

「迎えに来てくれたの?」

「そうだな。まぁ、あと1()()いるけど……」

「あと1人……?」

 

 

 遼くんも私たちが東京から戻ってきたのを迎えてくれだんだけど、遼くんが発せられたその言葉に私も含め、6人は首を傾げる。

 ただ遼くんの背後から、遼くんが今さっき言った『あと1人』の人物が姿を現わす。

 その人物は、私たちが東京から帰ってきたことに対して言葉を発して、私たちは彼の背後から現れた人物に驚愕した。

 

 1番驚いたのは、ルビィちゃんだった。

 

 

「お帰りなさい」

「お、お姉ちゃん!?」

「ダイヤさん……!」

 

 

 遼くんの背後から現れた人物というのは、ルビィちゃんのお姉ちゃんであるダイヤさんだった。

 

 

「皆さん、東京でのイベントお疲れ様でした」

「は、はぁ……」

「ルビィも、よく頑張りましたね……」

「お姉ちゃん……」

 

 

 ダイヤさんは、私たちに今まで見せてこなかった明るい笑顔を見せていた。

 ルビィちゃんは、自慢のお姉さんのダイヤさんに褒められた言葉を投げかけられて、ルビィちゃんは我慢できなかったのか、感情が崩壊した。

 

 

「うっ、うぅ……うわああぁぁん!」

「ふふっ。仕方ないですね……」

 

 

 ダイヤさんの胸元に飛び込んで、ルビィちゃんは思いっきり泣いた。ダイヤさんは、ルビィちゃんの行動に驚いたけれど、すぐにまた微笑んで、ルビィちゃんの頭を優しく撫でていた。

 かたやその様子を見ていた遼くんは、1度両手で大きく手を叩いたあと、私たちとよしみちゃんたちに向かって事を告げる。

 

 

 パァン!!

 

 

「「「「「「……!」」」」」」

「んじゃあ、ひとまず千歌たちが無事に帰ってきたことだから、よしみ、千歌たちから東京の話を聞きたいなら、学校であとで聞いてくれ」

「えぇ〜!?なんで〜!?」

「ちょっとな。隣のダイヤが、千歌たちに話したいことがあるらしくてな……」

 

 

 どうやら、ダイヤさんが私たちに対して話したい事があるらしい。でも、どうしてダイヤさんが?

 それに、どうして遼くんといるの?

 

 それが今、私が今一番に思った疑問だった。

 

 

「分かったよ。じゃあみんな、帰ろ!」

『『『『『は〜い!』』』』』

「じゃあ千歌!また明日ね!」

「う、うん。ばいばい……」

 

 

 それでよしみちゃんは遼くんの意見を飲み込み、その後によしみちゃんたちは駅から姿を消す。

 別れ際に、千歌ちゃんがよしみちゃんに向かって手を振ったその手は、私から見て、少し元気がないように思えた。

 

 やっぱり千歌ちゃんは、無理をしてる。

 我慢して、悔しさを堪えてるように私は見えた。

 

 

「それじゃあここで話すのもなんだから、話は少し場所を変えてしようか?」

「そうですわね」

「じゃあみんな、ついて来てくれ」

「うん、分かった……」

 

 

 そして私たち6人は遼くんに促され、ダイヤさんと一緒に駅を後にして別の場所へと移動した。

 ダイヤさんが私たちに話があると、遼くんはそう話していたけれど、一体どんな事を私たちに話してくるのか?

 

 今の私たちは、全く予想すらつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 






さてさて、次回のお話もこの引き続き
ということでやっていきたいと思います。

また個人的、この第8話は僕好きな話なので、
一つ一つ丁寧に書いていきたいと思います。

次回も是非楽しみにしててください!
感想や評価、誤字脱字等、待ってます。


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