どうも、キャプテンタディーです。
今回で7話が終わりますが、そのせいか圧倒的に
文字数が少なくなってしまいました。
まぁ、だって6,000字もいかないんですよ?
(自分の中では)ありえへんやん、普通。
それでは、本編をどうぞ!
朝 今の時間は6時半。
昨日梨子ちゃんと話をした後、あの時全然眠れなかった私は、あれからすぐに眠れるようになった。
ものすごい、一瞬ではあるけれど……。
「ふわぁ……あぁ……」
まだ布団でみんなが眠っている中で、私は目覚めて布団から起き上がる。
外は近くで小鳥がさえずり、私に朝を知らせてくれている。それにカーテンの隙間からは朝日が差し込み、私は外を見られずにはいられなかった。
「わぁ〜、良い天気〜!」
カーテンの隙間から顔を覗けば、空は快晴で雲が一つもない晴れやかな青空。
旅館の近くで鳴いていた小鳥は空を飛び立って、私が初めて東京で迎えた朝はとても清々しかった。
「すぅ……すぅ……」
「んっ……堕天、使……」
「…………………」
私は外を見て、朝の東京の街中をランニングでもしてこようかなって思っているけど、まだみんなは布団で眠っていて、起きているのは私だけ。
みんなを起こして、一緒に東京で街をランニングしようと考えはした。けれどこのときの私は、少しばかり悪になっちゃった。
…………よしっ!
私は1人抜け駆けして、東京の街中をランニングすることを決心する。
寝間着からいつも着ている練習着に着替えた後、みんなを眠りから起こさないようにそ〜っと部屋を出て、それから外に出る。
太陽の日差しがとても眩しい。
でも、ランニングにはもってこいの朝。
日差しを右手で隠しながら空を見上げ、しばらく準備運動をした後に私はランニングを始める。
「よしっ!行こう!」
旅館を出発点に閑静な住宅街の中を走って行き、神田明神の前、秋葉原の歩道、巡り変わる東京の街並みを眺めながら、私は目的の場所へ向かって駆け抜けていく。
その向かってる“目的の場所”っていうのは、私がスクールアイドルを始めるきっかけをくれた場所であって、初めて“μ's”を見たところでもある場所。
“UTX”と書かれた大きなビルと、そのビルに設置された大きなスクリーン。それがある場所が、私がもう一度行きたかった場所だった。
「はぁ……はぁ……」
そこまで走り終えた私は、目の前で立ち止まる。
両手を膝につき上がった息を整え、汗が頬を伝う顔を上へ見上げれば、つい3ヶ月前にも見たことのあるスクリーンが私の目に映る。
ここで初めて見たんだ……スクールアイドルを!
そして、μ'sを……!
スクリーンの画面はまだ真っ暗ではあるけれど、あのとき見たスクールアイドル『μ's』は、とても輝いていた。
私と同じ、普通の高校生なのにね……。
「千歌ちゃん!」
「……っ!みんな……」
そうやって『μ's』に対して思い耽っていた私に向かって、曜ちゃんの声が聞こえてくる。
私はその声がした後ろを振り返ると、私を走って追いかけて来たのか、練習着を身に纏い、息が上がっているみんなの姿があった。
「やっぱりここだったんだね!」
「うん。もう一度、行ってみたくて……」
「でめ練習行くなら声かけてよ!」
「そうよ!1人で抜け駆けなんてしないでよね!」
曜ちゃんは私がどこにいるのか分かっていたみたいたけど、梨子ちゃんと善子ちゃんには1人で抜け駆けをしたことで怒られちゃった。
ただ抜け駆けというより、梨子ちゃんたちみんながぐっすり寝てたから、起こすにも起こさなかったのが理由なんだけどね……。
「帰りにみんなで神社でお祈りするずら〜!」
「うふふっ!だね!」
「うん!帰りはそうしよっか!」
「ヨーソロー!」
それで帰りは花丸ちゃんの提案で、ライブの成功を祈って神田明神でお祈りをすることになった。
花丸ちゃんの提案に誰も否定する人はいなくて、ルビィちゃんをはじめみんなが賛成だった。
そしたら次の瞬間、大きなスクリーンに映像と、それを演出するための音楽が流れ始める。それを目の当たりにした私たちは、特に私とルビィちゃんはその映像に驚いた。
「ラブライブ……」
「今年のラブライブ!が発表になりました!」
ラブライブの開催。
決勝の会場はアキバドーム。
初めてスクールアイドルを見た場所で、いきなりその映像が突然流れ出すから、その映像に私の目が止まって、釘付けだった。
だけど、曜ちゃんの一声で我に帰る。
「千歌ちゃん、どうする?」
「…………………」
『ラブライブに出る?』
そんな遠回しな感じに尋ねてくる曜ちゃんのその言葉に、私は映像を見ながらでも、ちゃんと気持ちが伝わるようにみんなに話す。
ラブライブに出るのが、私たちの目標だから。
「もちろん出るよ!μ'sがそうだったように!学校を救ったように……!」
それに、私たちの学校の統廃合も阻止しないといけないから、やることはとてもいっぱいある。
ただ今は、今日のイベントに全力で臨んで、みんなが期待してくれている通りの結果が得られるように頑張りたいと思った。
そう思った私は、みんなに声をかける。
「さぁ、行こう!今、全力で輝こう!」
「「「「「うん!」」」」」
みんなの前で自分の右手を前に差し出し、いつものアレをやろうと言葉とジェスチャーで促す。
それをみんなは分かってくれて、笑顔で躊躇う事なく私の上に手を5人は重ねて、円状に円陣を組んで空に向かって叫んだのだった。
『Aqours〜!サ〜ンシャイ〜ン!!』
イベントの結果は、私たちにとって絶対に恥ずかしくないものにしたい。
みんなで全力で頑張って、今の私たちの現在地を明確にしたい。
みんなそれぞれ気持ちを胸に秘め、私たちはUTXと書かれたビルを後にして、神田明神でイベントの成功をお祈りをしていくのであった。
〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜
「ランキング……ですか?」
「そうそう!会場にいるお客さんの投票でね、出場するスクールアイドルのランキングを決めることになったの!」
「そうなんですか」
イベントの会場に着いた私たちを待っていたのは、薄ピンク色の縁取りが印象的で、眼鏡をかけたお姉さん。
一見して、今回のイベントの係員って感じには私は見えないけれど、それを言っちゃったら、絶対にこのお姉さんに怒られちゃうよね。
うん、間違いなくそうなると思う。
「これで上位に入れば、一気に有名になるチャンスってことですか?」
「まぁ、そうね。それでAqoursの出番は2番目!!だから、元気にはっちゃけちゃってね!」
「は、はぁ……」
それで私たちは、その係員のお姉さんに促されるまま、私たちは控え室に案内される。
私たちの出番が最初の方なんだって分かったときは、梨子ちゃんとルビィちゃんが話した事と、私は同じことを思っていた。
「2番目……」
「前座ってことね」
「仕方ないですよ。周りは全部、ラブライブの決勝に出たことがあるグループばかりですから」
「そうずらか……」
前座。
きっとこのイベントの盛り上げ役として、私たちを抜擢したんだと思う。私たちの後にはラブライブに出場しているグループはたくさんいるから、仕方ないとは思う。
でも、これはチャンスなんだ!
この絶好の機会、逃すわけにはいかないよ。
「でもチャンスなんだ!頑張らなきゃ!」
そうやって私たちは控え室に向かうと、既に多くのスクールアイドルグループが控え室にいた。
ステージ上で歌う衣装に着替えているグループもすでにいて、この人たちみんながラブライブの決勝に出たことのあるグループなんだって思うと、俄然私のやる気はさらに上がる。
それに、間近で他のスクールアイドルのグループも見れるから、いい意味で一石二鳥だと思う。
「梨子ちゃん、緊張してる?」
「そりゃ……もちろんよ」
控え室のカーテンに仕切られた場所で、みんなで衣装に着替えてるときに、曜ちゃんが梨子ちゃんにそんなことを尋ねていた。
梨子ちゃんとは昨日の夜に話をしたけれど、彼女もこのイベントに対して緊張を抱いていた。
すると曜ちゃんが、梨子ちゃんの緊張を解すために“いつもの”をし始める。梨子ちゃんにも、それをやるように促しながらね。曜ちゃんがいつもしているそれは、緊張を解す“おまじない”だってことは私も理解してるんだ。
「じゃあ私と一緒に敬礼!おはヨーソロー!」
「お、おはヨーソロー?」
「緊張が解けるおまじないだよ!」
「ありがとう!曜ちゃん!」
曜ちゃんの“おまじない”は凄いんだ。
私も絶賛するくらいなんだから!もし緊張する事があった時に『おはヨーソロー!』って緊張を解せば、何もかも上手くいく気がするくらい!
梨子ちゃんは曜ちゃんにお礼を言い、2人で笑顔で笑い合っていた。
ただ、1人だけ感情が正反対の子がいる。
すごく人見知りな子、ルビィちゃん。
「うぅ……や、やっぱり無理です……」
だけど人見知りという性格よりも、きっとライブで失敗しないかとネガティブに考えちゃってるのかもしれない。
イベントのライブを目前にして、ルビィちゃんはその場でしゃがんで1人縮こまってしまった。
「うっ、ぐっ……ひっく……」
「ル、ルビィちゃん……」
弱々しく怖がるルビィちゃん。
そんな彼女に私が何か一声かけようと考えていた瞬間、花丸ちゃんがルビィちゃんの肩に手を置いては、優しい声でルビィちゃんを元気付ける。
「ルビィちゃん。ふんばルビィずら!」
「花丸ちゃん……うん!」
ルビィちゃんの名前を掛け合わせ、花丸ちゃんはルビィちゃんに『負けないで!』って声をかける。
そのおかげでルビィちゃんは表情を明るくなり、花丸ちゃんを正面にして笑顔になった。
ルビィちゃん、元気になってよかった。
「Aqoursの皆さ〜ん!準備お願いしま〜す!」
「「「「「「……っ!」」」」」」
そしてちょうど、係員が私たちを呼んでいる。どうやらもう時間で、出番が回ってきたみたい。
よしっ!このライブは絶対に成功させてやる!
「じゃあ行こう!みんな!」
「「「「「うんっ!」」」」」
私はみんなに向かってそう声をかけ、係員の指示に従ってステージの舞台袖で私たちは待っていた。
「す、すごい人です!」
「だ、だだだ……大丈夫よ!」
ルビィちゃんは舞台袖の幕から顔を覗かせては、観客席にいる人の数を見て驚いていた。
善子ちゃんもそれを見て驚いて、ルビィちゃんの言葉に対して『大丈夫』と安心させるような言葉を投げかける。けど善子ちゃんも緊張しているせいで、全然大丈夫そうに見えなかった。
「善子ちゃんも緊張してるずら」
「うっさい!」
体を震え上がらせている事によって、花丸ちゃんに彼女は言われてしまう。善子ちゃんは弁解の余地もなくて、ただただ花丸ちゃんに『うっさい!』と嘆いていた。
ルビィちゃんもさっきよりも元気になったから、緊張とかそういうのは、もう大丈夫だと思った。
1年生3人のやり取りを見ていて、私も曜ちゃんも梨子ちゃんも笑みを浮かべる。緊張してる面持ちもスッキリなくなって、いい雰囲気でライブに臨めると、私はそう感じていた。
そしたら次の瞬間、2つの足音が鳴り響き、私の耳に入ってくる。
コツン……コツン……
誰かが来る。私は気になって後ろを振り返った時に、私はその“2人”の姿を見て驚きを隠せない。
足音を鳴らしながらゆっくりこっちにやって来たその2人は、神田明神で歌っていたあの2人、私たちのことを知っていたあの2人だった。
「よろしくお願いしますね!」
「スクールアイドル……だったんですか?」
私は見れば分かるのに、ついサイドテールの子にそんな質問をしていた。
私のすぐ後ろに立っているみんなでさえも、この人たちがスクールアイドルだったことに驚きを隠せないでいた。
そんな時、サイドテールの子は答える。
「あれっ?言ってませんでしたっけ?なら自己紹介しますね。私は鹿角 聖良。こっちは妹の理亞」
「…………………」
鹿角 聖良に、鹿角 理亞。
2人は姉妹らしくて、姉妹でスクールアイドルとして活動しているみたい。
お姉さんである聖良さんが、私たちに対して質問に答えているけど、妹の理亞ちゃんは何も言わず、ただ私たちを睨みつけていた。
どうしてそんなに睨みつけられるんだろうと考えていたら、司会の人がトップバッターである2人の名前を叫ぶ。
「では、トップバッターはこのグループ!」
『SAINT SNOW〜!』
『『『『『キャアアァァァ!』』』』』
『SAINT SNOW』
その名前が2人のグループの名前なんだって分かったとき、聖良さんがステージに出て行く間際に、私たちに振り返って言い放った。
「是非見ていってくださいね!私と理亞の……SAINT SNOWのステージを!」
「…………………」
私は聖良さんの言葉に対して返す言葉もなくて、聖良さんに言われるがまま、彼女たちの歌とパフォーマンスを見ることにした。
同じ前座という立場ではあるけれど、ラブライブを目指す上で、この人たち以上に頑張らなければならない。そうしないと、絶対に“出られない”という感情に、私は……みんなはさせられた。
「最高〜だと 言われたいよ〜 真剣だよ〜♪」
「We gotta go〜♪」
ロック的な曲調に、自分たちの心情が込められた歌詞。2人それぞれ違うダンスは、今の私たちよりもキレは格段に上。
1分から2分の間で見せられた光景の中で、私たちと彼女たちの間に歴然とした差があることを、私は目の前でまざまざと見せつけられた。
「遠〜くの光へ〜 もっとBaby〜♪」
「一緒に〜飛びたい〜 もっとBaby〜♪」
「震える指先〜 知ってても 見〜な〜い〜で〜♪」
「大切なの〜は SELF CONTRFL〜♪」
曲の演奏が終わって、SAINT SNOWのライブが終わって、次は私たちAqoursの番。
それなのに私は、SAINT SNOWのライブを見て口にする言葉が見当たらず、なんて言っていいのか自分でも分からなかった。
“圧倒”された。
せめて、強いて言うならその言葉。
一言も話せないくらいに“衝撃”を受けた、という感じで受け身になったわけじゃないけれど、私の心の中で不信がざわめいていた。
『みんなでなら大丈夫だよね?』
『みんなで精一杯練習して来たんだもん!』
『大丈夫だよね?大丈夫だよね???』
胸中で自分に何度も何度も問いかけている私に、またあの不安が頭をよぎり、重くのしかかる。
そのとき司会の人は、イベントの進行を進める。
「続いて!今、人気急上昇中のフレッシュなスクールアイドル、Aqoursの出番です!」
『『『『『キャアアァァァ!』』』』』
私たちAqoursの名前を呼ぶと、客席のお客さんから黄色い歓声が湧き上がる。
その歓声にビクッと体を跳ねさせる私に気づいた曜ちゃんが、背中から優しく声をかけてくれた。
「千歌ちゃん!」
「………っ!うん!」
大丈夫。みんなでならきっと出来る。
その気持ちを全面に、全力でライブで出せれば、きっと結果はついてくると思う。
その思いを胸に抱きながら、私たちはステージに登る。客席から私たちを見つめる視線が注がれる中で、今出せる最高の全力を尽くして、全力のライブをするのであった。
これで7話が終わり、8話の出だしの
ところで今回は終わりにします。
だから全然文字数なくて、申し訳ない。
次回から頑張ルビィする。
ということで次回もこの続きです。
次回も是非、楽しみにしててください。
感想や評価等、お待ちしています!