少年と少女達の輝き目指す物語   作:キャプテンタディー

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どうも、キャプテンタディーです。

ますます冬の寒さが増してきましたね。
僕は推しである曜ちゃんと同じで寒さがとても苦手なので、マフラーはいつも必需品ですw

今回は、前回からの続きです。
千歌たちが魔都・東京に出発するお話となります。
少し短いかもしれませんが、ご了承を。

それでは、本編をどうぞ!





#38 東京に向けて

 

 

 

 

 

「曜〜!遼くん迎えにきてるわよ!」

「うんっ!今行く〜!」

 

 

 ついに、ついにこの日がやってきた!

 今日は私たちが東京に行く日で、東京で開催されるイベントの前日である。

 

 私は1年生の時に千歌ちゃんと一度訪れたことがあるから、久しぶりにあの街に行けると思うとすごくワクワクしちゃう!

 あぁ〜!早く行きたい!

 

 そんな期待に胸を膨らませている私へと、一つの怒号が玄関から部屋へ鳴り響く。

 

 

「曜〜!早くしねぇと、乗り遅れちまうぞ!」

 

 

 遼くんってば、ときどき私を急かしてくるときがあるから、それはそれで嫌になっちゃう……。

 でも、それだけ遼くんが心配してくれているって考えたら、それもそれでいいかなって私は感じる。どっちにしても、五分五分って感じ。

 

 

「分かってる〜!」

 

 

 私は東京に持っていくものをカバンに詰め込み、そのあとに服を着替え、帽子はツバが後ろになるように向けて被る。

 それで忘れ物がないかを確認した上で、私は部屋を飛び出し玄関へと向かうと、玄関に仁王立ちして待っている彼の姿があった。

 

 

「遅い。俺を何分待たせる気だ」

「何分って。遼くんはいつ来たの?」

 

 

 眉間にしわが寄り、腕組みをして私を待っていた彼に私はそう尋ねると、彼はこう答える。

 ただ遼くんのその答えには私は馬鹿としか言いようがなく、私は呆れてため息ついた。

 

 

「……30秒前だ!」

「ついさっき来たばかりじゃん!」

 

 

 たった30秒前に私の家に来て、私によくそんな事が言えるねって私は思っちゃう。

 とりあえず、私は靴を履いてママに言う。

 

 

「じゃあママ、行ってくるね!」

「えぇ。向こうでも気をつけてね!」

「うん!行ってきま〜す!」

 

 

 土曜・日曜と2日も会えないことに少し寂しそうに私を見つめているママ。そのママに別れを告げた私は遼くんの自転車に乗り込み、玄関で私を見送ってくれるママに手を振った。

 ママの姿が、他の家の陰で見えなくなるまで手を振り続けた私は、その振り続けた手を下ろす。

 そして彼のお腹に両手を回すように、ちゃんと彼から離さないように背中から抱きついたところで、遼くんは私に話しかけてきた。

 

 

「曜、忘れ物はないだろうな?」

「大丈夫!ちゃんと確認したし!」

「そうですかい」

 

 

 彼のその言葉に、私は『心配性だな〜』って心の中で微笑むも、遼くんの質問にちゃんと答える。

 なんだかんだ心配してくれてることに、私も少しばかり安心しきっていた。

 

 

「それにしても、今日はやけに暑いな」

「そうだね。今日は真夏日って言ってたもん」

 

 

 今日は気温27度。

 

 真夏日となる25度を超えていて、太陽の日差しがさんさんと私と遼くんに照りつける。

 まだ7月が始まったばかりなのに、夏の季節はすでに到来しているかのよう。海から涼しい風が吹いてくるけど、それよりも暑かった。

 

 

「でも、やっと夏が来るんだな」

「うん!今年もとうとう“夏が来た”って感じがするよね!今年もたくさん楽しみたい!」

 

 

 ただ、実は遼くんも私も夏が大好き。

 小さい頃から夏になれば毎日のように外に出て、千歌ちゃんと果南ちゃんと4人で、一緒に海で日が暮れるまで遊んでいた時がある。

 今でもそれはいい思い出だけど、今年はそれよりもっといい思い出になると思ってる。

 

  千歌ちゃんはもちろん、梨子ちゃん、ルビィちゃん、花丸ちゃん、善子ちゃん。全員を合わせて7人もいるんだから、今年はもっと楽しい夏になる。

 それだから私は、早く夏休みにならないかなって思ってて、心から待ち遠しかった。

 

 

「まっ、曜はそんな事を言う前に、それよりも先にやることがあるんだろうけどさ……」

「うぐっ。遼くん、それ言っちゃダメ……」

 

 

 だが、遼くんは心に突き刺さる言葉を言い放つ。

 彼は一応遠回しに言ってくれているけれど、私にとってそれは悪魔的存在で、嫌でもそれはやりたくないものである。

 みんなもきっと、分かるよね?

 

 

「それだったら、遼くんだって一緒じゃん」

「俺はいいんだよ。曜とは違って、ちゃんと夏休みの期間内に終わらせられるからさ」

「むぅ〜!遼くんのバカッ!」

「なんでぇ!?」

 

 

 彼の耳元で私はそう叫び、鬱憤を晴らす。

 全くもって聞きたくもなかったことを彼に言われて、私はがっくりと肩を落とした。

 

 それからしばらくして、私は遼くんの送迎のおかげで、みんなと集まる集合場所である沼津駅に辿り着く。

 集合時間まではあと15分もあるから、まだ駅には私と遼くん以外誰も来ていない感じだった。ただ、私が駅の周りを見渡していたときに、駅前に何故か人だかりができていた。

 

 

「ねぇ遼くん。あれ……」

「あぁ。こんな時間に何をしてるんだ?」

 

 

 遼くんもそれに気づき、疑問の声をあげる。

 こんな朝早い時間に、しかも子供連れの親の人たちまでいる。人だかりの中心には一体何があって、一体どんな事をしているんだろうと思っていた。

 

 すると、人だかりから少し離れた子供と、その母親のちょっとした会話が私の耳に入ってくる。

 

 

「ねぇお母さん、あれなに〜?」

「し〜っ!あれは見ちゃダメよ」

 

 

 人だかりに向かって指を指す子供と、それに対して遠ざけるように離れさせる親。親子の会話の様子を見て聞いていると、あの人だかりの中心には子供にとって悪影響な物、あるいは、“人”がいるのだと考える私に、遼くんは尋ねてくる。

 その質問の仕方には、私と同じで、彼も既に分かっているような口ぶりだった。

 

 

「曜。今の親子の話……」

「うん。私、あの人だかりの中心に一体“誰が”いるのか分かっちゃった気がする」

「奇遇だな。俺もだ」

 

 

 私も遼くんもそれが分かったときには、こんなにも早い朝っぱらから、“あの子”は一体なにをしているんだって思った。

 

 どうしてあの人だかりの中心には“人”がいるって分かったのか?理由としては、さっきの親子の会話と、私たちが沼津駅に集まるということ。

 この2つの理由を照らし合わせれば、私と同じで沼津の街に住み、集合時間の15分も前にここにいる子なんて、私の中でたった“1人”しかいない。

 

 

「うふふふ……うふふふ……」

「この笑い声。間違いないね……」

「あぁ。全く、世話の焼けるやつだよ」

 

 

 遼くんも呆れるくらいの女の子で、自分を堕天使ヨハネと名乗り、私たちAqoursのメンバーの1人で、私の大切な後輩の1人。

 

 そう、善子ちゃんだ。

 

 

「天津雲居の彼方から、堕天使たるこの私が、魔都にて、冥府より数多のリトルデーモンを召喚しましょう!」

「またあいつは変なこと言って……」

「まぁまぁ。あれが善子ちゃんだから仕方ないよ」

 

 

 今日もまた、いつものようによく分からないことを話している善子ちゃん。

 人だかりの近くまで寄っていくと、集まっている人たちみんなはスマホのカメラを持ち、何故か善子ちゃんに向けて写真を撮っている。

 どうして善子ちゃんにカメラを向けているのかと考えながら、私は遼くんの後を追うように人だかりを掻き分けて進むと、人だかりの中心に予想通り、善子ちゃんの姿があった。

 

 

 ただ……

 

 

「ウッフッフ……ウッフッフ……」

「よ……善子ちゃん……!?」

「おめぇ、なんて格好してやがる!?」

 

 

 一瞬にして、私も遼くんも愕然とした。

 何にって?目の前の善子ちゃんの姿にだよ。

 

 

「善子じゃなくて、ヨハネ!!!」

 

 

 私は善子ちゃんのその姿に驚き、遼くんは彼女にそんなことを尋ねると、善子ちゃんは両手を大きく広げて大きな声を上げる。

 そしたらその場にいた人だかりは、善子ちゃんの声に驚いて一斉に離れていく。

 

 善子ちゃんの声に相当に驚いてしまったんだねと考えていたら、私と遼くんの正面すぐ下にいた3人が、善子ちゃんに対して不敵な笑みを浮かべ、彼女に向かって話し出す。

 その言葉は、善子ちゃんを知っているかのような口ぶりで、そしてそれは言うまでもなく私も遼くんも知っている子たちだった。

 

 

「くっくっく、善子ちゃん……」

「やってしまいましたなぁ……」

「善子ちゃんもすっかり堕天使ずら……」

 

 

 千歌ちゃん、ルビィちゃん、花丸ちゃんの3人。

 3人は身を寄り添って、しゃがんで善子ちゃんに向けてジト目でそう言うと、3人が私たちの足元にいることに遼くんは驚きの声をあげる。

 

 

「おっ、お前ら!?い、いつの間に!?」

「いつの間にって、前からここにいたよ?」

「何だよそれ……」

 

 

 千歌ちゃんと遼くんの話を聞いた後で、どうやら私と遼くんは1番最後に駅に着いたんだと気づく。

 てっきり私が1番最初に来たと思っていたけど、さっきの人だかりの中で、すでにみんなが集まっていだことに驚きを隠せなかった。

 

 

「ていうか、梨子はどうした?」

「梨子ちゃんはあそこだよ」

「あっ、いた」

 

 

 千歌ちゃんが指差したバス停の方に視線を向けると、千歌ちゃんの言う通り梨子ちゃんは腕を組んでこっちを見つめながら立っている。

 それで私と遼くんが千歌ちゃんたちに合流したのを見て、梨子ちゃんがこっちにやってきて彼女と朝の挨拶を交わす。

 

 

「梨子ちゃん、おはヨーソロー!」

「おはよう梨子」

「おはよう曜ちゃん。遼くん」

 

 

 笑顔を見せる梨子ちゃんは元々都会っ子だから、地元に帰るような感じの彼女は、年に1度行けるかどうかの私たちより凄く落ち着いていた。

 大人びていて、とても綺麗で……。

 

 

「千歌〜!」

「あっ、むっちゃん!」

 

 

 するとそこへ、同じクラスメイトのむっちゃんを始め、よしみちゃんといつきちゃんの3人が私たちの見送りにやってきた。

 いつも私たちの活動を陰から支えてくれてる3人が来てくれて、千歌ちゃんはとても嬉しそうな表情を浮かべていた。

 

 

「東京のイベント頑張ってね!」

「私たち、みんなで応援してるから!」

「うん!ありがとう!」

 

 

 彼女たち3人からの応援のエールに、千歌ちゃんは笑顔になって彼女たちにお礼を言う。

 そしたら、後ろにいたいつきちゃんが、袋一杯に入った“のっぽパン”というパンを、私たちへの差し入れとして渡してきたのだ。

 

 

「あとこれ!みんなからの差し入れ!」

「わぁ〜!ありがとう!」

 

 

 “のっぽパン”は静岡で親しまれている長さ34cmくらいある細長いパン。

 それらを差し入れとして渡してきた3人に、千歌ちゃんは快くそれを受け取ると、3人から私たちへの激励の言葉を話してくれた。

 

 

「これ食べて、浦女の底力を見せてやって!」

「学校のみんなも、期待してるから!」

 

 

 3人は、私たちAqoursに期待している。

 学校の統廃合の危機を救おうと、スクールアイドル活動をしている私たちの陰からずっと支えてくれている彼女たちの言葉には、『学校を救って』と、心からそう願っているような言葉だった。

 そんな彼女たちの思いを真剣な表情で受け取った千歌ちゃんは、思い思いに彼女たちの期待に応えられるようにして、大きく返事をして答える。

 

 

「……うん!頑張るね!」

 

 

 東京のイベントで全力でライブをして、みんなに良い結果を報告できるようにすると、千歌ちゃんの表情は、やる気溢れる表情を見せていた。

 そして、会話が終わったのを見かねた遼くんは、私たち6人に向けて言い放つ。

 

 それは、私たちの出発を促す言葉だった。

 

 

「んじゃ、そろそろ時間だな」

「うん!遼くん、行ってくるね!」

「おう。気をつけてな」

 

 

 私を含めてみんなは彼の言葉を聞き、それを合図に自分の手荷物を持つ。

 それでみんなで遼くんとよしみちゃんたち4人に向き直っては、彼らに『行ってきます!!』と千歌ちゃんは告げるように言い放った。

 

 

「じゃあみんな、行ってきます!」

「精一杯やってこい!」

「「「いってらっしゃ〜い!!」」」

 

 

 そして、私たち6人は遼くんたちに見送られながら改札を抜け、東京に向かう電車に乗り込む。

 遼くんとの横浜に行ったとき以来の電車だから、またあのときみたいに長い旅路の始まりが思うと、胸が踊ってワクワクが止まらない。

 

 『早く東京に着かないかな』と、私を含めて6人みんなは電車内で談笑しながら、そんなことを考えているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千歌たちを無事に駅で見送り、朝のやるべきことが済んだ俺は、今日は部活が午後からのため、午前中は何をしようかと考えていた。

 

 家でずっとゴロゴロするのもありで良い。

 だが俺の性格上、1つの場所でずっとじっとしている事が出来ない。なんにしろ、何かしていないと落ち着いていられないのだ。

 

 

「う〜ん。どうすっかな……」

 

 

 この快晴の空の下、のんび〜りと家で過ごすか?何かしらアクティブなことをして過ごすか?

 その2つの選択肢の間で頭を悩ませている俺は、不意にある事を思い出し、それを考えた上で午前中はそうしようと決心した。

 

 

「あっ、午前中はアレをしよう」

 

 

 沼津の街は海が超近い。そして俺の幼馴染みは、海へダイビングできるアクティビティを取り揃えたお店を手伝っている。午前中の間だけは“あいつ”とあそこで過ごすしかない。

 そしてついでに、彼女からあの話も聞いておこうと考える。

 

 ダイヤから話を聞いたって彼女に言えば、あいつもきっとあの時の話をしてくれると思う。

 そう思った俺は、すぐさま駅から自転車を漕いで家に戻り、あいつの店に行く準備をした上で母さんに告げる。

 

 

「母さん、午前中は果南の家に行ってくる」

「はいよ。くれぐれも気をつけてね!」

「うん。じゃあ行ってくる」

 

 

 母さんのそんな心配をかける言葉を胸に秘めて、俺は果南の店へと出発する。

 家から自転車でフェリー乗り場まで15分漕いで、そこからフェリーで淡島へは15分。

 

 俺が果南の家に着いた頃には、太陽も上りきっていて、空気も少しムシムシする。夏が近づいてきた証拠だと思いながら、すでに店の前で開店の準備をしていた果南に俺は声をかけた。

 

 

「お〜い!果南!」

「んっ?あれ?遼……?」

「午前中暇だから、ダイビングしに来た」

 

 

 相変わらず、今からダイビングでもするのかっていうくらいに、きっちりと全身にウェットスーツを着込んでいる果南。

 そのウェットスーツが、1つ年上の幼馴染みとは思えないグラマーなボディを浮かび上がらせているけれど、ただそれはまた別として、果南は俺が店にやって来たことに驚いていた。

 

 

「まだ開店の2分前なんだけど……」

「まぁそう言わずに、早く開けてくれよ」

「もう、しょうがないなぁ……」

 

 

 そして、俺の要望に『仕方ない』といった表情を露わにしている果南だったが、あと2分で店も開店だからと、少し早めに店を開けてくれた。

 

 

「今日だけ特別だからね?」

「サンキュー、果南」

 

 

 半ば果南には申し訳ないと思いながら、俺は開店した店の中へと入っていく。

 ダイビング自体をするのは本当に久しぶり。前回は梨子の『海の音を聞きたい』という希望で、千歌と曜と4人でダイビングしたっきりだったからな。

 もうあれから3ヶ月も経っている。時の流れは恐ろしいほど早いんだなと実感させられた。

 

 

「んしょ……んしょ……」

 

 

 慣れた手つきで、俺はウェットスーツを着る。

 もう何度もここには来てるし、果南にも親父さんにも世話になってるから、ウェットスーツを着る事なんてもうへっちゃら。

 ウェットスーツをちゃんと着た上で、ダイビングに必要不可欠のゴーグル、シュノーケル、フィンを手に持って外に出ると、俺を待っていたかのように果南が腕を組んで立っていた。

 

 

「それで?今日はどうするの?」

「今日はそこまで深いところは行かないよ。午前中はとても暇になってるけどね」

「分かった。じゃあちょっと待ってて?」

「えっ……?」

 

 

 すると果南は俺に待っているようにそう言い残すと、いそいそと店の中へと入っていく。

 一体果南はどうしたんだと思っていたけど、仕方なく俺は果南に言われるがまま店の前で待っていると、2分後、果南がやっと帰って来る。

 

 が、俺は果南に対して驚いた。

 

 

「お待たせ〜!」

「あれ?店番はしなくていいの?」

「うん。午前中、しばらくはお客さんは来ないし、折角だから、遼と一緒に潜りたいなぁ〜って……」

 

 

 俺が驚いたのは、彼女の手に持っているダイビングの用具で、俺が店から取っていったものと一緒だったこと。

 ゴーグル、シュノーケル、フィンの3点セットを手に持ち、苦笑いを浮かべながら、そんな事を話す彼女の姿に、俺の今日の運はいいと心中でそう思いながら笑みを浮かべる。

 

 俺にとって、それはとても好都合な話。

 俺も果南とは潜りたかったし、果南の要望を断る必要はなかったから、俺は果南の希望に何の躊躇いもなく応える。

 

 

「全然構わないよ。それよりも、むしろ俺から言いたかったところだし……」

「本当!?良かった〜」

 

 

 果南も俺の話を聞いて胸をなでおろし、ホッとしたような安堵の表情を見せる。

 果南には機会を伺って、“あの話”も聞き出したいところ。でも今は、俺は果南と2人でダイビングをしたいという気持ちが強かった。

 

 

「じゃあそうと決まれば、早速一緒に潜ろうぜ!!時間は待ってくれないんだからさ!」

「そうだね!じゃあ行こ!」

 

 

 果南もその意識はとても強く、近くの海岸に小型ボートを浮かべて、俺と果南はそれに乗り込む。

 付属しているオールは器用に使って、果南を正面にして俺は後ろへと漕いでいく。波は静かで穏やかだったから、そこまで大変なことではなかった。

 

 そうして俺たちが潜ろうとしてる目的地のところまでやって来ると、あらかじめ先に準備をしていた果南が海に勢いよく飛び込む。

 

 

「よっと!おっさき!」

「うわっ!おい、先に行くなよ!」

 

 

 そのせいで水しぶきが顔に飛んできて、危うく目や口に入りそうになる。

 果南のようにすぐに海に入りたいのも山々。でも俺もまだダイビング出来る格好じゃなかったから、ゴーグルとシュノーケルとフィンを身につけ、すでに飛び込んだ果南がいる海へと、俺は飛び込んだ。

 

 

「果南。さすがに早すぎ……」

「ごめんごめん。早く海に潜りたかったんだ」

「そんなに早くしなくても、海は逃げないよ」

 

 

 海は、意外にも暖かい。

 あの時よりも温度は低いという感じはしないから、今日のダイビングはとても気持ちいいものになるだろうと俺は思う。

 

 まっ、最初に飛び込んでった果南もそう思ってる様子だし、いつもより有意義なダイビングになるんじゃないかなって、俺はそう思った。

 

 

「それじゃあ、早速潜ろっか!」

「うん。それもそうだな」

 

 

 こうして果南の言葉に俺は賛同したのちに、俺と果南による2人だけのダイビングを始まる。

 果南と“2人で”っていうのが意外にもこれが初めてだから、そういうことも含めて、果南とダイビングを楽しもうと思った俺であった。

 

 

 

 

 






こんなところで果南が出てくるなんて
思わなかった人は多少はいるとは思います。

あまり小説で話に出てこなかったので
この回で彼女を出してみました。

ということで次回は、この話の続きです。

次回も楽しみにしててください!
感想や評価、誤字脱字等があれば、
是非ともよろしくお願いいたします!



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