どうも、キャプテンタディーです。
今回から、サンシャインの第7話を
お送りしていきます。
アニメ内での1つの山場だと感じてるので、
頑張って行きたいと思います。みなさん是非
読んでいってください。
それでは、本編をどうぞ。
「えっ?この前のPVが5万回再生?」
「はい!そうなんですっ!」
千歌ちゃんは持ってる団扇を仰ぎながら、ルビィちゃんが発した言葉に驚きの声を上げる。
『夢を夜空で照らしたい』っていう曲と、内浦の街の魅力を伝えるPVをホームページにアップして、ちょうど1ヶ月がたった。
季節はもうすでに夏に差し迫り、私たちの学校の制服も夏服へと切り替わる。
1年生だけは夏服に袖がなく、ほぼノースリーブな形なんだけれど、私や千歌ちゃんも1年生の時に経験してるから、あまり気にすることはなかった。
それで梨子ちゃんやルビィちゃんが、私たちの動画を見てのコメントを拾って読み上げていく。
「『ランタンが綺麗』、『みんな可愛い!』」
「『頑張ってください!応援してます!』、私たちの動画を見て、凄く評判になってるみたいです!」
コメントの数々には、私たちを応援するコメントや、サイトにアップした動画を褒めるコメントが、たくさん載せられていた。
そんなコメントをたくさん見ていく中で、ルビィちゃんの隣で床に膝立ちし、顔だけをテーブルからひょっこり出していた善子ちゃんが私たちに呟く。
「見て。ランキングも上がってるわ」
「「「「「えっ!?」」」」」
私を含め、みんなは善子ちゃんの言葉に驚くと、パソコンの画面に目を見やる。
すると、私たちAqoursのサイトに記されているランキングを見たとき、私たちは信じられないといった表情にたちまち変わる。
まさか、こんなにも私たちの順位が上がっているなんて思わなかったし、千歌ちゃんだってきっとこんなことになるなんて予想外でしょ。
「きゅ……99位!?」
「び、びっくりずら……」
梨子ちゃんと花丸ちゃんは、部室の外にまで聞こえるくらいに大きな驚きの声を上げる。でもそれくらい、私たちは驚いていた。
そして、千歌ちゃんも全く同じだった。
「……来た。来た来た!」
『99位』という、誰が見てもとんでもない順位を目の当たりにして、みるみる表情が笑顔になっていく千歌ちゃん。
それで彼女は一度私たちに尋ねるように、今の順位を確かめるようにして、千歌ちゃんは話しだす。
「『99位』って、全国で『99位』ってこと!?5000以上もあるスクールアイドルの中で、100位以内ってことでしょ!?」
「うん!確かにそうなるね!」
「もしかしたら一時的な盛り上がりってこともあるかも知れないけど、それでもすごいわ!」
「ランキング上昇率でも、第1位!」
「す、すごいずら〜!」
梨子ちゃんは千歌ちゃんに対してそう話し、ランキングの上昇率では第1位と、ルビィちゃんの一言でさらに盛り上がる私たち。
そんな雰囲気の中で千歌ちゃんは、今度はとんでもないことを私たちに言い放つ。
「何かさ……このまま行ったら、ラブライブで優勝出来ちゃうかもしれないね!」
「優勝……?」
「もう!そんなに簡単なわけないでしょ?」
「うん。私も梨子ちゃんと同意見」
でも梨子ちゃんの言う通りで、簡単に『優勝』と言って、簡単にそれが出来るわけじゃない。
5000以上もあるスクールアイドルのグループがしのぎを削りあって、たった1つのグループにしか得られないものなのだから、それは凄く簡単なことじゃないと私は思う。
「2人が言うのは分かっているけど、でも、可能性は“0”じゃないってことだよ!」
「まぁ、それもそうだけど……」
ただ、それでも千歌ちゃんはそう言うのだから、きっと千歌ちゃんは本気で目指すつもりなんだと、私はそう感じることが出来た。
ピロリン♪
「んっ?メールです」
するとパソコンから、メールが送られてきた着信の音が鳴る。ルビィちゃんはメールに声を上げると、私の宛先についての話を聞きながら、そのメールをクリックして開く。
「どこから?」
「えぇ…っと、東京スクールアイドルワールド運営委員会って書いてあります」
「東京?」
「スクールアイドルワールド?」
「運営委員会?」
メールを私たちに送ってきたのは、東京スクールアイドルワールド運営委員会という、少し長め〜な名前が付いた運営委員会らしい。
それでルビィちゃんは、その運営委員会から送られてきたメールの内容を話し始める。
「浦の星女学院 アイドル部 Aqoursの皆さん、東京スクールアイドルワールド運営委員会です。この度『東京スクールアイドルワールド』なるイベントを開催することになりました」
「つきましては、昨今、注目されていますスクールアイドルのグループに参加いただきたく、ご案内の連絡をお送りしました。だって……」
梨子ちゃんもその話をするように加わって案内の話をした上で、私たちは送られてきたメールについて考えていた。
ただ、千歌ちゃんは違った。
「東京って、東にある京……?」
「全然説明にもなってないけど……」
「でも、当たってなくもない」
東京は“東にある京”。
間違ってはないけれど、ルビィちゃんや花丸ちゃんたちに対しての説明は、全然なっていなかった。
それを言うなら、西にも京はあるけどね。
そしたら千歌ちゃんは、疑問な表情から一転して、今度は嬉しそうに話し出した。
「でも東京だよ!私たち、東京で開かれるイベントに呼ばれたんだよ!それって、私たちのランキングが上がって、人気になってきたからだよね!」
「確かに、ランキングが上がらなかったら、きっとこのメールは送られてこなかったかも」
千歌ちゃんがいつも私たちに話してくれていた『μ’s』は、確か東京の“秋葉原”で活動してたって千歌ちゃんから話は聞いていた。
きっとその『μ’s』がいた東京に行けると思っているのだろう。千歌ちゃんは喜ぶ声を上げて、梨子ちゃんも千歌ちゃんの話に相槌を打つ。
それで私は、千歌ちゃんに尋ねる。
答えは聞かなくても分かってる。けど、このイベントに参加するのかどうかを、私は尋ねる。
「じゃあ千歌ちゃん、参加するんだね?」
「もちろん!こんな機会、滅多にないんだよ!このイベントでもっと人気になれば、ラブライブ優勝だって十分に出来るよ!」
自信満々な表情を浮かべて、東京でのイベントに参加する意向を示している千歌ちゃん。
千歌ちゃんが東京に行ってイベントに出たいという気持ちは、私も十分に理解することが出来た。
でも、その千歌ちゃんの気持ちと意志を、とある人物にちゃんと伝えなきゃいけないよね?
じゃないときっと、私たちを東京に行かせられる許可だって下りないと思うから。
「千歌ちゃんがイベントに参加したいって気持ちは私も十分に分かった。でも千歌ちゃん、その意志をとある人物に伝えないといけないよね?」
「えっ?誰に伝えるの??」
「私、なんとなく分かったかも。曜ちゃんが、千歌ちゃんに言いたいこと……」
察しが良くて助かるよ梨子ちゃん。
1年生のみんなも分かったような素ぶりを見せているあたり、3人も私が何を言いたいのか分かっているようだった。
すると、いまだ私の話の意味が分かってない千歌ちゃんは私の肩を掴み、揺らしながら聞いてくる。
「ねぇ曜ちゃん!それって誰なの?」
“教えて欲しい”という煌めいた目に負けてはいけない。ちゃんと自分で理解して上げないと、下手をすればこのメールや、千歌ちゃんの意志が全部水の泡のようにパ〜になってしまう。
だから敢えて、私は遠回しに話す。
「千歌ちゃん、私たち学校の生徒だよ?」
「先生や理事長の鞠莉さんに伝えないと、きっと私たち、東京に行かせてくれないわよ?」
「あ……あぁぁぁああ!!?」
だけど善子ちゃんが私の言いたいことを全て言いふらしたので、千歌ちゃんは当然の如く、私が言いたかったことが分かって悲鳴を上げる。
やっぱりだとは私も思っていたけど、千歌ちゃんはやっぱり忘れていたみたい。
「そうだよ!理事長に話さなきゃいけないじゃん!曜ちゃんどうして黙ってたの!?」
「黙ってないよ。千歌ちゃんが忘れてるだけ」
「うわぁ〜ん!どうしよ〜!!」
黙ってたわけじゃない。というのも、理事長に話をしなきゃいけないと気づいたのはついさっき。
だから千歌ちゃんにそんな風に責められたけど、私はわざと黙っていたわけじゃないから、ごめんね千歌ちゃん。
そうして心の中で千歌ちゃんに謝っているとき、頭を抱えて、叫びながら項垂れている千歌ちゃんに対して梨子ちゃんが話をする。
「ひとまず、理事長にこの事を話しましょう。千歌ちゃんだって参加したいんでしょ?」
「参加したいよ!」
「だったらいつまでもウジウジしてないで、理事長に話をして許可を降ろしてもらいましょう」
「……そうだね。梨子ちゃんの言う通りかも」
でも話をするというか、頭を抱えてウジウジしている千歌ちゃんを見かねて、ちょっとしたお説教をする梨子ちゃん。
そしたら千歌ちゃんは、梨子ちゃんからのお説教を聞いたあとで自分で考え、その後に梨子ちゃんの言う通りだと自分でも納得していた。きっと、梨子ちゃんのお説教が良い意味で千歌ちゃんの迷いごとを吹っ飛ばしたんだと思う。
やっぱり凄いなぁ…梨子ちゃん。
なんか……嫉妬しちゃうな。
「じゃあ早速、理事長室に向かいましょう!」
「おぉ〜!絶対に許可を貰うぞ!ねっ、曜ちゃん」
「えっ?あっ、うん!そうだね!」
あ、危ない危ない。
危うく千歌ちゃんや、みんなにこんな事を気付かれちゃうところだった。
とりあえず、今は嫉妬だとか変な事は考えちゃダメだと思う。みんなにも迷惑がかかるし、決してこれは顔に出しちゃいけない。
うん、これからはそうしよう。
「それじゃあ、全速前進!ヨーソロー!」
「「「「「ヨーソロー!」」」」」
私の恒例の掛け声には5人は合わせてくれて、私は嬉しさのあまりに部室を先頭に飛び出して、鞠莉さんのいるであろう理事長室へと向かう。
鞠莉さんが許可を出してくれるかどうか、正直私にはよく分からないけど、ちゃんと鞠莉さんに説明をすれば、きっと分かってくれると思う。
私は、今はそれだけを信じようと思った。
〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜
夜、午後9時、遼くんの部屋
「東京のイベントに参加するだって?」
「そう!あの東京で!」
いつも通りこの時間は、私は遼くんの部屋に訪れていて、今日学校であった出来事を話していた。
もちろん、東京のイベントのこともね。
「私たちが5000以上もあるグループの中で99位。100位以内ってすごいと思わない!?」
「すごいとは思うけど、いきなり『参加してください』ってその運営唐突だな」
遼くんも、この事には当然驚いていた。
私が開口一番にその事を伝えたら、ランキングが100位以内に入って、ましてや東京に行ってイベントに参加するなんてって、凄く驚いてた。
良い意味で遼くんには、ちょっとしたサプライズが出来たかもしれない。
そしたら彼は、私に聞いてくる。
「でもどうせ、行くんだろ?」
「うん!理事長にも許可は下ろして貰ったよ!」
「そっか。そりゃあ良かった」
遼くんは私の答えを聞いて、やっぱりなって感じの表情をしていた。口の口角を上げて、不敵な笑みを浮かべていた。
実はあの後、鞠莉さんがいる理事長室で、千歌ちゃんは鞠莉さんに頼み込んだの。『東京のイベントに招待されたので、参加したいから東京に行かせてください!』って……。
みんなで鞠莉さんの前でお辞儀して、必死に頼み込んだの。そしてそれが、功を奏する。
結果はもちろん“OK”だった。鞠莉さんが私たちに、『みんながそれで良ければ、理事長として許可を出すわ!』って言ってくれたときの千歌ちゃんの喜びようは、とても凄かったけどね。
すると遼くんは、何かを思い出したような表情を私に見せると、また私にことを尋ねてくる。
でもその内容は、私たちの中でも一度だけ話題になったことだった。
「あっ、でも一つ気になることがある」
「んっ?なぁ〜に?」
「東京に行くまでの交通費は、どうするんだ?」
「あっ、それは大丈夫であります!」
そう、沼津から東京に行くまでの“交通費”。
遼くんとこの前に横浜に行った時の経験があったから、東京はそれよりも遠いし、お金も凄くかかることは私も百も承知だった。
でも、東京までの交通費がかかる事を千歌ちゃんたちはド忘れしてて、私が話をしていなかったらと思うと、私は冷や汗をかいた。
「でも私が言わなかったら、みんな忘れてたみたい。千歌ちゃんも忘れてたみたいで、思い出した時にこう言ってた。お小遣いを前借りするって!」
「左様でございますか……」
遼くんに千歌ちゃんが言ってたことをそのままに話せば、彼は呆れてそう言い、ため息をつく。
東京へは、今度の土日を挟んでの1泊2日。日曜日にイベントが開催されるから、その前の日に東京に行こうって、みんなで話し合った結果そうなった。
だから東京の街並みを見て回れる時間もたくさんあるし、それに千歌ちゃんの提案で、秋葉原に行くことにもなってるから、私も早く行きたいな〜って思ってるんだ!
ただ本当の目的はイベントに参加して、みんなの前で精一杯ライブを披露することだけどね。
「でもまぁ、本当凄いもんだ。4月から活動を始めたAqoursが、もう100番目に近い順位まで上がってくるなんてな。全然想像もしてなかったよ」
「うん。私も思ってなかった」
遼くんは私たちのランキングと、私たちの頑張りに感銘を受けている。彼のベッドに座る私の隣で、パソコンを使い、笑みを浮かべて笑っていた。
でも、こうして私たちAqoursがこのランキングにいられるのは、紛れもなく、少なからず遼くんも関わってる。毎日の朝練、振り付けの練習にも付き合ってくれている遼くん。彼がいなかったら、今の私たちはいないと思う。
だからむしろ、私は遼くんに感謝してる。
千歌ちゃんたちもきっと、そう思ってると思う。
その気持ちを表すかのように、私は彼の左肩に頭をそっと置き、心の底から感謝の気持ちを述べた。
“いつもありがとう!遼くん!”ってね!
「んっ?眠いのか?」
「ううん。嬉しいんだ……」
「嬉しい?何だよそれ?」
「いいんだ。遼くんに分からなくても……」
私がスクールアイドルを始めるきっかけも、一緒に横浜に行ってくれた時も、遼くんがいてくれたから楽しい日があって、今ある楽しい日々がある。
この気持ちは、絶対なくしちゃいけない。
私は、心からそう決心したのだった。
「変な曜だ。んっ、メール来てるぞ?」
「えっ?あっ、本当だ」
すると彼の指摘で私は自分のスマホを覗くと、彼の言った通りスマホに一通のメールが届いていた。
送り主はママ、お母さんだった。
「誰から?」
「えっと、お母さんから」
私はスマホをいじりながら遼くんの質問に答え、送られて来たママのメールの内容を見る。
一通り送られてきたメールの内容に目を通した後で、遼くんがまたメールのことで尋ねてくる。
「どんな用件だった?少し話があるから、家に戻って来なさいって書いてあるとか?」
「凄い!ものの見事に的中だよ!」
「え"ぇ"!?」
そしたら、遼くんの言ったことが、そのまま全てママからのメールの内容に当てはまっていた。
一文字も、寸分の狂いもなくね。
言った遼くん本人もびっくりしてる。
「いや、嘘だよな?」
「ううん。じゃあこれ見て」
「あっ、そのままじゃん」
まだ『嘘でしょ?』と疑問に感じている遼くんに私は証拠を見せると、彼は私に送られてきたメールの内容を見て、瞬時に理解してくれた。
その後に遼くんは、私に言ってくれた。
「だとしたら早く戻ってやれよ。お母さんに怒られるのは面倒だろ?」
「うん。まぁね……」
ママのために早く帰ってやれよと、すごく優しく彼は私にそう言ってくれた。
彼のこういうところ、私は……。
「じゃあ私は戻るね!また明日!」
「おう。また明日!」
そして私は、ママに怒られないように早く自分の家に戻るため、遼くんの部屋を後にした。
ママからきたメールの話は、きっと今度の東京への交通費の話だと思う。学校から帰ってきてその事を伝えたら、『考えておく』って言われてたから、今その考えが付いたんだと思うんだ。
これで、何の心配もなく東京に行ける。
はぁ〜!、楽しみだなぁ〜!!
早く土曜日になって欲しいと
切実に願う私であった。
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「うふ♪やっぱり来た」
「……待っていたんですの?」
「えぇ。来ると思ってたわ♪」
私が来るのを待っていたかのように、鞠莉さんは自分の部屋のドアの前で待っていました。
時刻は9時半を回り、もう夜も遅い時間。
どうして私が鞠莉さんの家、いえ……鞠莉さんの部屋へこんな時間に訪れたのか?
そのきっかけは、少し時間を遡りますわ。
1時間前、午後8時半
『えっ?東京?』
『うん。東京のイベントで、一緒に参加して歌いませんかって……』
『そうですか……』
妹のルビィが活動しているAqoursの皆さんが、東京で開催されるイベントの参加を呼びかけられたらしいんですの。
まるで、それは昔の“私たち”のように……。
『交通費は大丈夫なんですの?』
『え、えっと、千歌さんがお小遣いを前借りして、何とかしてみるって言ってて……』
『はぁ。そうですか……』
正直、千歌さんの言う言葉には少し不安が募っています。
千歌さんはAqoursのリーダーですが、私からしてみると彼女の言動にはとても不安になるのです。
ですが、これは私が話に首を突っ込むことではありません。ルビィが東京のイベントに参加したいのであれば、私からは何も言わないつもりです。
『お姉ちゃんは、どう思う?』
『私は、ルビィの気持ちに賛成しますわ』
『えっ?ど、どうして?』
『私は“Aqours”のメンバーではありません。それにルビィは自分の意志でスクールアイドルを始めたのですから、誰がどう思おうと、ルビィ自身で思ったことに従うべきですわ』
『お姉ちゃん……』
“姉”として、妹を見守るつもりですわ。
自分の考えを行動しなさいと、私はルビィにそう言います。何事にも、自分の考えを持って行動しえ欲しいと、私は心からルビィにそう訴えました。
『私から言えるのはこれだけ。ではルビィ、今日はもう遅いので早く寝なさい。また明日、朝から練習があるのでしょう?』
『うん。分かったよお姉ちゃん』
『えぇ、おやすみなさい』
そうしてルビィは私の部屋から出て行き、私は鞠莉さんの家にやって来て今に至るのです。
「どう言うことが分かっているんですの?」
「ん〜っ?どういうことかって?」
私が鞠莉さんの家にやって来た理由は、もうこの地点で彼女自身も分かっているはずです。だから私は、何の前置きもなしに鞠莉さんに尋ねました。
「あの子たちを今、東京に行かせるのがどういうことか分かっているのでしょう?」
「Oh〜!そういうことですか!」
私の問いかけに、両手を合わせて今思い出したかのように話す鞠莉さん。ですがこれは、鞠莉さんがわざと忘れていたふりをしているので、昔からの友人である私には見え見えなのです。
でも次の瞬間、鞠莉さんは言います。
私に鋭い視線を向けて、私の心にグサッと突き刺さるようなその言葉を、鞠莉さんは言いました。
「ならダイヤ、あなたが止めればいいのに……」
「……っ」
「ダイヤが本気で東京に行くのを止めれば、あの子たち、諦めるかも知れないよ?」
「…………………」
その言葉に私は、何も言えませんでした。
すでにルビィにはあんな事を言ってしまったのですから、今更そんなことは死んでも出来ません。
すると、今度は鞠莉さんが私に問いかけるようにして話を続けてきました。
「ダイヤも期待してるんじゃないの?あの子たちが、私たちが乗り越えられなかった壁を乗り越えてくれることを……」
「だとしても、もし越えられなかったらどうなるのか、十分あなたも知っているでしょう?取り返しがつかないことになるかも知れないのですよ!」
その問いかけを筆頭に、私と鞠莉さんは言い合いになりました。
千歌さんたちが下手をしてしまえば、昔の“私たち”のようになってしまい、取り返しのつかないことになってしまいます。
私はただ、私たちの二の舞になって欲しくはないと、鞠莉さんにもその事を伝えました。
ですが私は、鞠莉さんのたった一言に言葉に詰まらせてしまいました。
「だからといって避けるわけにはいかないの。本気でスクールアイドルとして、学校を救おうと考えているなら……」
どうして?鞠莉さんはそんな余裕な表情をしていられますの?あんな事があったのに、果南さんともあんな事があったのに……。
「……………………」
でもやっぱり、彼女は変わってませんわ。
“あの時”と同じように、全く変わっていないのですねと、私は改めてそう感じました。
「ダイヤも、応援してあげま……」
バンッ!
「……うふっ♪」
「変わっていませんわね。あの時と……」
「褒め言葉として、受け取っておくわね♪」
私は鞠莉さんが寄りかかる壁に右手を叩きつけ、それでも尚、全く動じない鞠莉さん。
真っ直ぐ私を見つめる鞠莉さんの瞳は、何かしらの思惑を秘めているような、そんな気がしました。
ということで始まりました第7話。
第8話とで2話構成となっているだけあって、
だいぶ長い話にはなっていくと思います。
なので、読者の皆さんの期待に応えられる
ように頑張りたいと思います。
応援のほど、よろしくお願いします。
次回もこの続きになります。
是非楽しみにしていてください。
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