少年と少女達の輝き目指す物語   作:キャプテンタディー

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どうもキャプテンタディーです!

今回は、千歌の個人回の前編の続きになります!
つまりは後編として、お話を書きました。

最後まで是非、見ていってください!
それでは、本編をどうぞ!





#28 千歌との初経験 後編

 

 

 

 

 

あれからまた1時間が経った。

 

『夢』っていうコンセプトのもとで、ある程度言葉を繋ぎ合わせて作ってみたはいいものの、なかなかしっくりくる歌詞は出来なかった。

 

 

「はぁ……駄目だこりゃ……」

 

 

初めて作詞というものをしているのに、初めてでも分かるくらいに作詞の出来が悪い。

 

俺は歌詞が書かれたその紙をくしゃくしゃに丸め、それを部屋の隅っこにあるゴミ箱に放り投げた。

 

もうこの動作も、もう10回目にもなる。

 

 

「はぁ……どうすればいいんだ?」

 

 

新しくテーブルに置いた真っ白な紙とにらめっこしながら、俺はボソッと悔し紛れにそう呟く。ここまで何かしらに上手くいかないことなんてなかったから、本当に悔しかった。

 

 

「んん……あれ?遼……くん?」

 

 

するとついさっきまで寝ていた千歌の野郎が、ようやく眠りから目が覚めたようだ。

 

俺が歌詞作りを再開した時間と同じ時間に寝始めたから、千歌がベッドで寝ていた時間は、1時間程度くらいになる。

 

そんな千歌は眠りから覚め、眠気でしょぼしょぼした目を両手でこすり、俺に尋ねてくる。

 

 

「遼くん、何……してるの?」

「見て分からない?作詞してるんだよ」

 

 

俺はその答えに、自分が書いている紙を見せた。

 

 

『夢にまつわる歌』

 

 

でも実際、今はこれだけしか書いてない。

 

だけど千歌に手伝ってと言われた作詞は、ちゃんと作業しているつもりだ。

 

 

「夢にまつわる……歌」

「お前話してたろ?次の曲は、『夢』をコンセプトにした曲にしたいってさ」

「…………あっ!忘れてた!」

 

 

 

ズッテーーン!

 

 

 

千歌の発せられた言葉に、俺は盛大にずっこける。

 

そして同時に俺は呆れ、大きなため息をついた。

 

なんというか、本当にこいつは“バカ千歌”なんだな〜って、改めてそう感じさせられたよ。

 

 

「馬鹿かお前!忘れてたとかアホやろ!」

「だって忘れてたんだもん!」

 

 

俺は千歌に対して作詞のコンセプトを忘れていたことに指摘をぶちかますと、千歌は忘れていたということで一点張りである。

 

 

はぁ……まぁいいや。

 

 

本当なら千歌を襲おうと思っていたのだが、1時間前に千歌をヤったことを思い出し、それもあるからまたあとでにしようと思った。

 

とりあえず俺は、千歌を隣に座らせる。

 

 

「とりあえず起きたなら、隣に座れ!」

「ふんっ!言われなくても分かってるよ〜!」

 

 

千歌はプンプンと未だに怒なからも、俺の隣に正座して座り込む。その千歌に俺は彼女がいつも使っている歌詞ノートとシャープペンシルを渡し、千歌にこう言い放った。

 

 

「帰る時間までは、俺もちゃんと作詞に付き合ってやる。それまでお前も頑張れ」

「……っ!遼くん……」

 

 

俺が帰ろうと思っている時間は6時。

 

その頃には夕陽も沈みきって、夜になりかけているだろうけど、その頃には俺は帰るつもり。

 

だからその時間まで作詞を頑張ろうって、俺は千歌にエールを送ったら、彼女はそのエールにやる気が出たみたいだった。

 

 

「うん、千歌も頑張る!だから遼くんも頑張ろ!」

「あぁ!お前に言われなくても!」

 

 

俺にまたエールを送ってくる千歌に対し、俺はふと笑みを浮かべながらそう言い返す。

 

さっきまでのちょっとした口喧嘩は嘘のようになくなり、俺と千歌は作詞を再び始めた。

 

 

そして1時間半が経過し、残り30分。

 

 

だが、意外にもそこまで時間はかからなかった。

 

 

「やった〜!出来た〜!」

 

 

ようやくの思いで、次の曲の歌詞が完成した。

 

 

「遼くんありがとう!手伝ってくれて!」

 

 

千歌は嬉しそうにお礼を言ってくる。

 

ただ今までの3時間は、凄く無駄な時間だったなと俺は考えていたけれど、歌う側の千歌にとっては、そんなものはどうでもいい感じだった。

 

 

「別にいいよそんなの。お礼くらい……」

 

 

千歌にはそんなことを返し、俺はその場で立ち上がる。もちろん、作詞が終わったから帰るためだ。

 

 

「えっ?どこにいくの?」

「どこにって、作詞が終わったから帰るんだよ」

「えぇ〜!?」

 

 

だが千歌は、すごく名残惜しそうな声を上げる。

 

そしてそれは何だか、俺を家から帰らせるつもりがなさそうな声にも思えてくる。

 

すると千歌は、とんでもないことを発言した。

 

 

「なんで帰るの!?泊まってってよ!」

「…………………えっ?」

 

 

俺は耳を疑ったよ。

 

なんせ千歌から、自分からそんなことを言い出すとは思わなかったからね。正直ビビってる。

 

 

「泊まるって、ここにか?」

「そうだよ!今日手伝ってくれたそのお礼!」

「はあぁぁぁぁあ!?」

 

 

どうやら千歌は、今日の作詞を手伝ってくれたお礼として、俺を部屋に泊めようというのだ。

 

気持ちは嬉しいが、それはダメだ。

 

 

「すまないが、今回は見送らせてくれ」

「えぇ!?駄目なの?」

 

 

そんな悲しい顔すんなよ……。

 

俺だって明日には学校で朝練だし、もし今日泊まることになったら明日大変なことになるしで、家に泊まったら確実に俺の身がもたないかも……。

 

 

「うっ…そんな目で見るな……」

「ねぇ〜!おねがぁ〜い♡」

 

 

だがそれに負けじと千歌は目をウルウルさせ、俺にガシッと抱きついては、上目遣いで俺に泊まってと訴えかけてくる。

 

 

弱った……完全に弱ったな、俺ってば……。

 

 

砂浜で起きた出来事を早く忘れがたいがため、早く家に帰ろうとも思ってはいたが、千歌の様子を見るにそうそう返してくれなさそうだった。

 

もうこうなったら、仕方ないのかもしれない。

 

 

「はぁ、仕方ないなぁ……」

「…っ!泊まって…くれる?」

 

 

純粋で生粋な目で上目遣いをしてくる千歌に、俺は屈することになってしまったようだ。

 

その千歌の問いかけに、俺は答える。

 

 

「分かったよ。ただし…今回だけだからな」

「うわぁ〜い!遼くんありがとう!」

 

 

そしたら千歌のやつは大喜び。

 

部屋の中を悠々とはしゃぎ回り、下手したら隣の部屋にいる美渡さんに怒られるんじゃないかって思っていたが、美渡さんが姿を見せることはない。

 

すると、千歌が美渡さんの話をする。

 

 

「美渡姉は今、仕事で出張なんだ」

「出張。だからいないのか?」

「うん!だからこうしてはしゃいでるの!」

 

 

逆に美渡さんが隣の部屋にいたなら、こんなに千歌がはしゃぎ回ることもないってことか。そうだとしたら、本当に家ではお騒がせな奴なんだな。

 

やれやれって感じだぜ、全くよ……。

 

 

「じゃあ志満姉ちゃんに言ってくるね〜!」

「はいはい。行ってらっしゃ〜い」

 

 

それで千歌は、志満さんに俺が家に泊まる事を告げに部屋を出ていき、俺もスマホでお母さんに千歌の家に泊まると連絡を入れた。

 

母さんってば、驚いていたけどね。

 

 

『えっ!?千歌ちゃんの家に泊まるの!?』

『うん。でも明日の朝の、5時とか早い時間帯には家に帰るから大丈夫だよ』

『そう。あまり迷惑かけないようにね?』

『分かってる。じゃあ、切るね?』

 

 

そうして母さんとの電話を切ると、ちょうどその頃に千歌も部屋に戻ってきた。

 

 

「言ってきたよ!」

「はいはい。分かりましたよ」

「はぁ〜!!遼くんが千歌の部屋に泊まるなんて、とっても久しぶりな気分だよ〜♪」

 

 

満面な笑みを浮かべている千歌は、俺が千歌の家に泊まることに対して、高揚感と、懐かしさというものが言葉として俺に発せられた。

 

俺も、千歌の家に泊まるなんて久しぶりだ。

 

子供の時とかは、よく曜とも一緒に泊まっていた時があった。でも、今はそんな機会すらない。

 

俺も曜も進むべき道を、夢に向かっている最中。

 

だから誰かが誰かの家に泊まること自体、滅多になくなってしまったのだ。

 

仕方ないといえば、仕方ないけどね。

 

 

「じゃあ始めよ!」

「えっ……?」

 

 

すると千歌は突然、パソコンを俺の目の前に持ってくると、パソコンの画面にはスクールアイドル一覧というものが映し出されていた。

 

 

「あの……千歌さん?一体何を……?」

 

 

それに千歌の格好は、いつそれに着替えたんだって思うくらいだった。

 

よく着るであろう真っ黒なスーツをビシッと着こなし、赤色で縁取られた眼鏡を装着していた。

 

それで千歌が俺に対して、一体何をしようとしているのか尋ねると、千歌は両手を腰に当てて、大きく膨よかな胸をドンッと張って答えた。

 

 

「今から遼くんに、スクールアイドルの勉強をこのタカミーチカから教えてあげます!」

「…………はっ?」

 

 

その答えに、俺は心の中で呟いた。

 

 

『マジかよ』と……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいっ!これでスクールアイドルについての勉強はおしまいだよ!」

「はぁ……疲れた……」

 

 

色んなスクールアイドルの話を聞いていて、俺の身体はすごくどっと疲れた気分に陥っていた。

 

別にスクールアイドルの話は、聞いていて楽しい。

 

全国には色んなグループがあって、その各グループそれぞれに個性があって、色んなスクールアイドルがあるんだな〜って感心させられる。

 

ただ…疲れた要因として強いて1つだけあげるならば、それは千歌の話し方に問題がある。

 

はっきり言ってしまえば、全国のスクールアイドルのグループの紹介の仕方というか、千歌の話し方が飛びに飛びまくっているのだ。

 

 

例えば、『これは○○○○ってグループで3人組』

あとは、『この学校のグループの人数は6人』

おまけに、『これは○○○○ってグループ』

 

 

最初の話については、そのグループがどこの学校に通っているのかが不明であること。

 

2つ目は、通っている学校は分かったが、その6人のグループ名がなんなのか不明であること。

 

そして3つ目は、グループ名しか言わずに、何人が所属しているとか、どこの学校に通っているとかは何も言わず、全くもって論外であること。

 

スクールアイドルの紹介の仕方がそれぞれバラバラで、もうちょっといい話し方とかないのかな〜と、少し残念な気持ちになっていた。

 

 

「どう?面白かった!?」

 

 

だが、そんな俺の気持ちはどこ吹く風。

 

千歌は目をキラキラ輝かせ、自分の話に対してどう思っているのか感想を聞いてくる。

 

この雰囲気からして、こう答えた方がいい。

 

 

「あぁ、とても面白かったよ」

「本当!?良かった〜!」

 

 

こう答えた方が、千歌も十分に喜ぶ。

 

 

「また時間あったら、またスクールアイドルの勉強しようね!私はいつでもできるから!」

「ま…まぁ、時間があったらな?」

 

 

でも千歌が笑顔でそう話してきたとき、俺は苦笑いをしながらそう話す。

 

そして俺が千歌に対して言った喜ぶようなことを、彼女に言わなければ良かったと、俺は後悔した。

 

 

すると部屋の外から、志満さんの声がする。

 

 

「2人とも、ご飯が出来たわよ!」

「は〜い!今から行くね〜!」

「あれ、もうそんな時間かよ」

 

 

志満さんの声を聞いて時計を見ると、ちょうど時間は7時を回っていて、晩御飯には良い時間。

 

逆に1時間ものスクールアイドルの勉強をしていたと思うと、スクールアイドルの影響力は凄いんだなって改めて思う。

 

 

「じゃあ、ご飯食べてこよう!」

「そうだな。俺も腹減ったし」

「えへへっ♪じゃあ行こうよ!」

 

 

俺は千歌と一緒に晩御飯を食べに台所へ向かう。

 

台所のキッチンと冷蔵庫、後はダイニングテーブルと椅子が一緒に設けられた部屋に向かうと、ピンクのエプロン姿がよく似合う志満さんがそこにいた。

 

 

「ごめんね?今日は簡単なものしか作れていないんだけど、お口に合うかしら?」

「わぁ〜い!今日は生姜焼きだ〜♪」

 

 

テーブルには、大きなお皿に出来立ての生姜焼きが置かれていて、生姜焼きのお肉と、玉ねぎの香ばしい匂いが鼻を突き、腹を虫を鳴かせる。

 

千歌の口からは既によだれが垂れている。志満さんもそれを見て、フフッと笑みをこぼしていた。

 

 

「千歌、よだれ出てる」

「あっ、生姜焼きが美味しそうに見えて…つい…」

「やれやれ……」

 

 

俺はよだれが出ていることを千歌に指摘し、千歌は慌ててよだれをティッシュで拭く。

 

それで俺と千歌が席に着いたところで、志満さんは両手を広げ、俺と千歌に対して笑顔で言い放った。

 

 

「さっ、たぁ〜んと召し上がれ♪」

「「いただきま〜す!」」

 

 

その志満さんの言葉に両手を合わせ、そして食べ物に感謝の気持ちを寄せて、2人でそう言った。

 

 

「う〜ん♪美味し〜い♪」

「生姜焼き、とても美味しいです!」

「うふふっ、良かったわ〜♪」

 

 

箸で肉と玉ねぎを同時に口へと運ぶ。

 

お肉のジューシーな旨味と、玉ねぎのちょっとした甘みがいい感じに口の中で広がって、物凄くたまんねぇ〜!って感じに美味しい。

 

頬っぺたが落ちるって、こういうことなんだな。

 

前までだったら、今まで俺が千歌の家に泊まった時は、いつも千歌のお母さんが晩御飯を作っていた。

 

今は仕事の関係上、千歌のお母さんはいないらしいけど、志満さんもそれくらいに美味しかった。

 

 

「はぁ…♪食べた食べた〜!」

 

 

いつも志満さんの手料理を食べている千歌も、今日はすごい満足気な笑顔の表情をしていた。

 

いつも家で食ってるのにね……。

 

 

「志満さん、今日はご馳走様でした!」

「はぁ〜い!お粗末様でした〜♪」

 

 

俺は志満さんに対してそんなお礼の言葉を告げると、志満さんも手料理を賄って良かったと、そんな嬉しそうな表情が見てとれる。

 

俺が泊まるって千歌に言われて、それなりに料理に対して腕を振るったんだと思う。

 

するとその志満さんが、俺に話をしてくる。

 

 

「今日は旅館にお客さんは誰もいないから、遼くんの大好きな露天風呂、貸切出来るわよ?」

「えっ!?本当ですか!?」

「うふふ……本当よ♪」

 

 

なんと、旅館には今誰1人泊まっていないらしい。

 

それで志満さんが言うには、今なら露天風呂は貸切状態で入れるということだった。

 

実は俺、千歌の旅館の露天風呂が大好きだ。

 

昼間とかに露天風呂に入ったら、海を眺められたりと景色は最高だ。でもだからと言って、夜に入りたくないわけではない。夜の景色も最高だ。

 

満天の星空を眺めながらお風呂に入るのも、俺の中では気分的に最高の気分だ。

 

でも、逆に入ってもいいのか?

 

 

「えっ、でも、入っていいんですか?」

「勿論よ!今日はもう旅館にお泊まりに来るお客さんはいないから、ゆっくり入ってきなさい」

「は…はぁ……」

 

 

志満さんは、『お言葉に甘えなさい』って感じに、笑顔で俺に対してそう話してくる。

 

隣に座っている千歌も、『そうしなよ』という風に笑顔の表情で接してくるから、こういう時は素直に甘えさせてもらったほうがいいのかもしれない。

 

でなきゃ、志満さんに失礼だもんな。

 

 

「では、お言葉に甘えさせていただきます」

「は〜い。ごゆっくり〜♪」

 

 

俺は志満さんにそう言い残し、食べた晩御飯の食器を片付けてから部屋を出る。

 

向かうのは、俺の大好きな露天風呂だ。

 

それで俺は、着替えを持ってきていない。千歌の家に泊まるなんて思ってもいなかったからだが、志満さんが特別に旅館用の寝巻きを貸してくれるというので、すごく有り難かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久々だな、ここも……」

 

 

目の前にあるのは、大きく書かれた『ゆ』の文字。

 

その暖簾をくぐると、よく見慣れた風呂場の脱衣所の大きなスペースが現れる。小さい頃から結構時間が経っているけれど、全然変わってない。

 

とりあえず久々の露天風呂。満喫するぞ!

 

 

「さ〜て、さっさと入りますか!」

 

 

俺は着ていた服を全て脱ぎ、まずは頭と体を洗うため、脱衣所からシャワーが設置された部屋に出る。

 

露天風呂に行くには、シャワーが設置された部屋から外に出るので、お楽しみはまたあとで……。

 

 

シャカシャカシャカシャカ♪

 

 

「はぁ……気持ちいい……」

 

 

シャンプーを泡立て、頭を洗う。

 

あらかじめ露天風呂に入るんだったら、少し運動とか、いつものランニングをしてくれば良かったと、俺は今すごく後悔している。

 

運動後のお風呂とか、もう最高の一言。

 

お風呂に入っているときの疲れが抜けていく感覚が俺には堪らないんだ。入る時はお風呂には10分以上も入っているときがある。

 

まぁ、大体その時はのぼせちゃうんだけどな…。

 

 

そんな時でした。

 

 

「お待たせしました!お客様♪」

「え"ぇ"っ!?」

 

 

俺の後ろから突然声がして、俺はその反応とともに頭をついている泡をシャワーで洗い流す。

 

全ての泡を洗い取った後で、顔をふと声がした方向へと向けると、真っ白なバスタオルを巻いた彼女の姿がそこにあった。

 

絶対にここには入ってこないだろうと思ってはいたのに、彼女が入ってきた途端、俺は今までで発したことのない声を上げてしまった。

 

 

「……お、おおお前!?何入ってきてんだ!?」

「何って、遼くんと一緒に入りにきたんだよ?」

「え"っ!?」

 

 

俺は、完全にこいつに対して油断をしていた。

 

風呂にやってきたのは、千歌である。

 

 

「遼くんがちょうど頭を洗い終えたってことは、次は身体を洗うんだね!そしたら私が、遼くんの背中を洗ってあげるよ!」

 

 

そして入ってきて早々に、俺の背中を洗ってあげるというご奉仕的な行動に千歌が出てきた。

 

背中だけなら別にいいが、なんだか変な感じだ。

 

小さい頃とかはよくそんな事をして一緒にお風呂に入ってはいたけれど、いざ成長してまた一緒に風呂に入るってなった時、俺はすごくドキドキする。

 

千歌の身体は、エロいほどに成長している。

 

性格とかはまだ子供だが、身体は大人っぽくなり、胸も大きく成長していた。

 

って、何考えてんだよ俺は……。

 

 

「ほらほら、千歌に背中向けて!」

「痛っ!お前、それでも旅館の娘かよ!」

「むぅ!これでも真剣にやってるんだから!」

 

 

仕方なく俺は千歌に背中を向け、背中を洗ってもらうことにはしたが、千歌がゴリゴリと力強く洗ってくるから逆に背中が痛い。

 

力加減でいうものを、こいつは知らんのか?

 

それで背中だけを洗ってもらった後、自分で身体の隅々まで洗い流し、待ちに待った露天風呂に入る。

 

露天風呂の湯加減は、とても最高だった。

 

 

「はぁ〜♪極楽〜極楽〜♪」

「湯加減はいかがですか〜?」

「あぁ、最高だよ」

「えへへっ♪良かった♪」

 

 

背中を洗ってくれた千歌も、俺が身体を洗っている最中で頭と身体を洗い流してて、そのまま露天風呂に入っては、俺の話に嬉しそうに聞いていた。

 

ていうか俺と千歌は一緒に入っているわけだから、ぶっちゃけこれって混浴みたいな展開だよね。

 

 

「千歌と風呂に入るのって、小学生以来だよな?」

「そうだね。私も久しぶりだよ!」

 

 

素っ気ない話を繰り広げ、俺は空を見上げる。

 

空は雲一つなくて、星もしっかり見える。意外と、今日泊まってって良かったかもしれないな。

 

 

「星、綺麗だな……」

「うん、綺麗だね……」

 

 

だだ、思うように会話が弾まない。

 

千歌の表情は明るいが、俺の話に対して一言で会話が終わってしまう。

 

こういう時は、アレを聞くしかないな。

 

千歌にかえって申し訳ない気持ちがあるが、これが男の性癖なんだ。許してくれ、千歌。

 

 

「そういえば千歌って、バストどれくらい?」

「なっ!?いきなり何聞いてくるの!?///」

 

 

俺は千歌に対し、胸の大きさを聞いたのだ。

 

その質問に千歌は瞬間的に顔を真っ赤にし、両腕を使って胸に当てては、胸を隠して俺から離れるように後ろに後ずさる。

 

女の子だけあって、顔をトマトのように真っ赤にするあたり、そういうことには敏感なんだな。

 

 

「まぁ……気になるから?」

「女の子の秘密は、聞いちゃダメ!///」

 

 

千歌は顔の前でバツ印を作る。自分の身体の秘密を俺には知られたくないらしい。

 

千歌の顔の赤さと表情を見るに、俺から胸のことを聞かれることに凄く驚いていて、ものすごく恥ずかしそうな顔をしている。

 

だが俺からしてみれば、そんなに千歌の胸が大きいと、逆に胸の大きさが気になって仕方がなかった。

 

 

「まぁまぁ…そんな事を言わずに……」

 

 

だから俺は、じわりじわりと千歌に迫った。

 

けど千歌の口から放たれた一言に、俺の身体は時間が止まったようにピタッと止まった。

 

 

「りょ…遼くんダメ。今に千歌をやったら、夕方の浜辺のときみたいになっちゃう///」

 

 

ピタッ!

 

 

千歌ってば、夕方のこと覚えてたんだ。

 

あの時はすぐに千歌は寝てしまったのにな。あの時を覚えていることに俺は驚いている。

 

 

「あの時は、お前はすぐその場で寝ちゃったけれど、あの時のこと覚えてたんだな」

「あれはちょっと、忘れられないかも……///」

 

 

千歌は顔を赤らめながら、あの時のことが忘れられないと呟く。あれは俺からしかけたことだからな。申し訳ないと思っている。

 

 

「あれは俺から始めたことだから、別に千歌は気にしなくてもいいよ。でも、俺は胸が気になる」

「も…もう〜!遼くんってば〜!///」

 

 

俺がそう言えば、千歌はポカポカと右肩のあたりを両手で打ってくる。

 

たが、千歌に打たれても痛くもかゆくもない。別にからかってるわけじゃない。気になるだけ。

 

揉んで確かめたいくらい、気になっている。

 

 

「……はぁ……もう……///」

 

 

すると千歌は俺に背を向けてため息をつくと、俺に振り返ってきていきなり命令してきた。

 

 

「遼くんっ!!」

「んっ?何だ?」

「そこ……座って!」

 

 

千歌に命令されたのは、とある場所に座れという命令だった。場所は、風呂場のすぐそばの角。

 

正面を見て首を右に回せば、ちょうど海が見える。

 

そんな角の場所で、一体何をするつもりだろうか?そんなことを考えていた矢先、千歌はとんでもない行動に出たのだった。

 

 

 

 

ハラリッ……

 

 

 

 

「なぁ!?え……えぇ!?///」

 

 

千歌は、巻いていたバスタオルを自分から取って、一糸まとわぬ姿となったのだ。

 

その瞬間を見た俺は、思わず鼻血が出そうになる。

 

そして千歌はその後、俺の目の前に座る。それで俺の身体に自分の身体を預けるようにして、俺に寄りかかって座ってきた。

 

 

「あ……あの……千歌さん?///」

 

 

俺の顔が今、どんな風になっているかは察して。

 

俺は正面に座る千歌に『さん』付けで呼ぶと、千歌はボソッと呟いた。

 

 

「…………ぃよ///」

「えっ?なんだって?」

「“触っていいよ”って言ったの!///」

 

 

俺が千歌の声を上手く聞き取れなかったことを聞くと、彼女は俺の耳元で大きく叫ぶ。

 

 

『触っていいよ』

 

 

その言葉から考えられるのは、俺は…千歌の豊満で大きな胸を触ったり、揉んだりすることが今ここで出来るということ。

 

 

「い……いいの?///」

「いいよ。遼くんなら……///」

 

 

俺はもう一度確かめると、彼女は俺に振り向かないまま、そのまま首を縦に振る。彼女は、恥じらいを捨てて俺に応えてくれた。

 

自分の胸は、俺になら触られてもいいという了承を得て、俺は固唾を飲み込み、そっと……両手を千歌の胸の前まで持ってくる。

 

それから俺は、彼女に告げた。

 

 

「じゃあ、触る……ね?」

「う……うん……///」

 

 

触るよという、自分の行動を伝えた。

 

そして俺は、千歌の胸をギュッと鷲掴んだ。

 

 

「ひゃあ……///」

「………っ!」

 

 

掴まれた瞬間の声は、とても千歌から発せられることのない、今までで聞いたことのない声。

 

 

 

モミッ……モニモニッ……♪

 

 

 

千歌の胸は、ちょうどの俺の手に収まるくらいな大きさで、触っていてとても柔らかい。

 

俺は千歌に対して、感想を述べる。

 

千歌の胸を揉んでいる、その様子を見せながら。

 

 

「千歌の胸…とっても柔らかいよ」

「うぅ、言わないでぇ……///」

 

 

すごく恥ずかしい表情が、彼女から見て取れる。

 

耳元で胸が柔らかいことを千歌に告げれば、彼女は顔を火照らせ、羞恥にまみれる。

 

 

「はぁ……あっ……んんっ……///」

 

 

それで千歌の嬌声に耳を傾けて聞けば、俺の性欲はさらに駆り立てられ、胸の揉み方を次第にゆっくりと変えていく。

 

2つの双丘の頂点に位置する乳首。その薄ピンク色に染まった乳首をも一緒に刺激させて、より一層に激しく胸を揉んでいった。

 

 

「あっんっ……はぁ…あぁん///」

 

 

同時に、次第に大きくなる彼女の嬌声。

 

 

「んっ…はっ……あんっ……あぁん!///」

 

 

千歌の心臓の鼓動が早くなっているのが分かるし、自分の心臓がどうなっているのかさえ分かる。

 

それくらい、俺の千歌の身体は密着し合っていて、俺も千歌も心の底から興奮していた。

 

そしたら千歌は、途切れ途切れに言ってくる。

 

 

「遼……くん、千歌……気持ち、いい…///」

「…………そうかい」

 

 

でもその言葉は、俺の性欲がさらに高まる言葉で、途切れ途切れの言葉が逆にエロくて、今の状況から千歌をイかせたくなった。

 

俺は、ひたすら胸を揉み続けた。

 

 

「あっ……あぁっ!んっ……はぁん!///」

 

 

弾力があってハリのある胸に、しばらく弄ったせいでぷっくりと大きく膨らんだ乳首を、俺は意のままに揉み続けた。

 

 

「んっ……あんっ……あぁん!///」

 

 

千歌に関してはもう抵抗する気力も何もなく、ただ俺に自分の胸を触られ揉まれ、弄られる。

 

千歌はあの時と同じように、快楽に溺れていた。

 

 

「遼…くん、私…を、イか…せて……///」

「……っ!千歌……」

 

 

すると千歌は、胸を激しく揉んでいるだけなのに、彼女はイかせてと俺にお願いをしてきた。

 

また夕方の時のようになってしまうけど、あの時とはまた違い、今度は千歌の方からお願いしてきた。だから俺は、その言葉に応えなければならない。

 

そう……最後までイかせるためにね。

 

 

「分かった。千歌を気持ちよくさせるよ……」

「うん、来て……♡」

 

 

そして俺はスパートをかけるため、千歌の敏感なあそこをまた弄り、千歌を気持ちよくイかせる。

 

 

クチュ…クチュクチュ……♪

 

 

「あっ、あんっ……あぁん!///」

 

 

あそこを弄ればいやらしい水音が鳴り、千歌は嬌声を上げ、腰を思いっきり仰け反っている。

 

彼女の声を聞いている限り、千歌はとても気持ち良さそうな声を上げていた。

 

 

「あんっ……んっ……あぁん///」

 

 

右手を使ってあそこを弄り、左手で両方のおっぱいを揉みしだく。今の俺にとってはフィーバータイムのようなものだった。

 

千歌のおっぱいなんて、いや、女の子のおっぱいなんて滅多に触れるものではい。だから俺は、千歌に対してこう告げながら、彼女を気持ちよくさせて、気持ちよくイかせてあげた。

 

 

「最後に気持ちよく、イっちゃえ!」

「ああぁぁぁぁああん!!!///」

 

 

あそこを激しく弄り倒し、おっぱいを揉みしだき、千歌は腰を思いっきり仰け反らせ、イった。

 

 

「イ…イっ、イっちゃううぅぅう!!///」

 

 

旅館の外にまで響くくらいに声をあげ、イった直後の千歌は、ぐったりと俺の体に身を預けた。

 

 

「はぁ……はぁ……///」

「はぁ…はぁ……」

 

 

俺も千歌も、 当然のごとく息が上がっていた。

 

当たり前だ。こんなにも激しくなってしまったことが、俺の中で想定外だったからな。

 

でも俺も千歌も、とても満足だった。

 

 

「気持ち……良かった?」

「うん。気持ち……良かったよ///」

 

 

俺の問いかけに千歌はそう答え、笑顔を見せる。

 

本来の目的は胸を触るだけだったのに、千歌は興奮して最後にはイかせてしまった。

 

でもまぁ、今日で2度も興奮している千歌を見られたのは、俺としては良かったかなって思ってる。

 

とりあえず露天風呂出たら、もう寝るなこれ。

 

 

「千歌、一緒に上がろう?」

「うん。分かったよ遼くん……///」

 

 

それから俺と千歌が風呂から上がったあと、千歌は部屋のベッドですぐに熟睡してしまった。

 

布団をかけ、スヤスヤと眠っている千歌を微笑ましく見つめていた俺は、明日は部活の朝練のために、俺もすぐに寝ることにした。

 

 

「おやすみ、千歌」

「うぅ……んっ……遼…くん、好きぃ……」

 

 

おやすみと言った一言に対して、千歌は寝言でとんでもないことを言ってきたが、あくまで寝言なのであまり気にしないでおいた。

 

 

「千歌、おやすみ……」

 

 

もう一度千歌にそう告げ、俺は深い眠りについた。

 

今日は千歌の“初経験”?ありきな1日だったが、案外とても楽しかったと、俺はそう感じている。

 

スクールアイドルの話をたくさん聞けたし、志満さんから手料理を振舞ってもらい、久々に露天風呂にも入ることが出来た。

 

 

 

俺の中では、楽しい1日だったよ。

 

 

 

頭の中で日記のように綴り、今日の出来事を決して忘れないようにしようと思った俺なのであった。

 

 

 

 

 






ということで、千歌の個人回は
これにて終わりとなります。

次回からはまた、サンシャインの第6話の
お話にへと進んでいきたいと思います。

次回も楽しみにしててください!
感想・評価等、お待ちしています!



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