どうも、キャプテンタディーです。
今回からまた、サンシャイン第5話目へと
話をお送りしていきたいと思います。
等々、6人目の善子ちゃんの登場です。
それでは、本編をどうぞ!
とあるマンションの一室
「……感じます。精霊結界の損壊により、魔力構造が変化していくのが……。世界の趨勢が天界議決により、決していくのが……」
部屋はカーテンを締め切り真っ暗。
電気もつけず、唯一の明かりは1本の蝋燭のみ。
その蝋燭の前に立つ私は、堕天使のような真っ黒な衣装に身を包み、私の生放送を見てくれているリトルデーモンたちに、ことを呟いていた。
「かの約束の地に降臨した……堕天使ヨハネの魔眼が、その全てを見通すのです。全てのリトルデーモンに授ける…堕天の力を!」
最後の話を終えた私は、見てくれているリトルデーモンたちの前でフッ!と、火を灯していた蝋燭に息を吹きかけ火を消す。
それと同時に画面は切り替わり、生放送は終了。
無事に何事もなく、生放送は終わりを告げた。
のだが……
「やってしまった〜!」
我に帰った私は、そう部屋で叫んだ。
またやってしまったと、締め切っていたベランダのカーテンを開き、部屋からベランダに出て、私は海に向かって叫んだのだ。
「何堕天使って?ヨハネって何?リトルデーモン?サタン?いるわけないでしょ、そんなも〜ん!」
実は時刻は午前6時頃。
こんなに朝早く、私は生放送を行なっていた。
「もう高校生でしょ津島善子!卒業するの!そう…この世界はもっとリアル!リアルこそ正義!リア充に私はなる!」
私の名前は堕天使ヨハネ!じゃなくて…!
私の本当の名前は、津島 善子。
浦の星女学院に、通って“いた”高校1年生。
【貴女も堕天使ヨハネと契約して、私のリトルデーモンにならない?うふっ♪】
うわぁ〜!もうっ!やっぱりこんなの嫌っ!!
あの時を思い出すだけで嫌になる!
「あぁ〜!!もう何であんなこと言ったのよ〜!!学校行けないじゃな〜い!!」
なんであんなこと言っちゃったんだろう。
私のバカ。これじゃもう…学校に行けないわ…。
〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜
「うーん、今日も上がってない」
部室には、千歌ちゃんの困った唸り声。
でもそれはもう仕方のないことで、今みんなで練習前にAqoursのランキングがどのくらいなのか見ているんだけれど…。
Aqoursのランキングは、今のところ4768位。
ランキングに載ってはや1週間が経つのだけれど、まだまだ底辺に近いランキングだった。
「昨日が4856位で、今日が4768位かぁ…」
「まあ、落ちてはないけど…」
今の順位に不満そうな千歌ちゃんと梨子ちゃん。
「ライブの歌は評判いいんですけど・・・」
ルビィちゃんも今のランキングの状況を見て、険しい表情と声でそう呟く。
ライブの評判は確かに良いとは言えるけど、それ以外の所でインパクトのあるものはなかった。
「でも千歌ちゃん、1日で100位くらい上がってるから大丈夫だっていう考えはダメなの?」
「ダメだよ。もっと注目されないとラブライブには出られないんだから!」
私は千歌ちゃんに対して、そんな考えを持って口に出してみたけれど、千歌ちゃんは私の意見を否定。もっとランキングを上げて、ジャンジャン人気者になりたいみたい。
でも、ランキング以外の所では評判はいい。
「それに、新加入の2人も可愛いって!」
「えっ!?そうなんですか!?」
ルビィちゃんと花丸ちゃん。
2人がメンバーに加わったお知らせをホームページに掲載したら、たちまち2人の人気は急上昇。
千歌ちゃんから話を聞いたルビィちゃんは、嬉しそうに笑顔で聞き返す。
「特に、花丸ちゃんの人気が凄いんだよ!」
千歌ちゃんはパソコンをみんなに見せるようにしてくれると、確かにコメントには花丸ちゃんへのコメントばかりだった。
「花丸ちゃん!応援してます!」
「花丸ちゃんが歌ってるところ早く見たいです!」
私はその書かれているコメントを読んでいく。
千歌ちゃんの言う通り、5人の中では特に花丸ちゃんへのコメントがたくさん書かれていた。
「ねっ!ねっ!大人気でしょ!?」
まるで自分のことのように喜んでいる千歌ちゃん。
とりあえず、ランキング以外でメンバー内での人気があることが分かった。ルビィちゃんや花丸ちゃんもまだ入ったばかりだけど、みんなからとても受け入れられてる印象だった。
すると、当の人気メンバーNo. 1である花丸ちゃんは何だか不思議そうな表情をしながら、フラフラとパソコンの画面へと寄っていく。
そしたら花丸ちゃんから発せられた開口第一声の言葉に、私たち全員は衝撃を受けた。
信じられない、あり得ないと思った。
「これが、パソコンずらか?」
「えぇ!?そこっ!?」
まるでパソコンを初めて見ましたという発言をした花丸ちゃんに対し、私は思わずツッコミを入れる。
花丸ちゃんの目はパソコンの画面ではなく、パソコン自体に目を輝かせていた。
「これがあの“知識の海”へと繋がっていると言われている、“インターネット”!?」
花丸ちゃんから出てきた言葉の数々は、まるで過去の人が現代にタイムスリップしてきて、未来のものに触れて驚きを隠せないという感じだった。
自分がメンバー内で1番人気なのに、コメントよりパソコンに反応する花丸ちゃん。
千歌ちゃんも梨子ちゃんも私と同じように驚いていたけど、梨子ちゃんは冷静に対処してくれた。
「そうね。知識の海かどうかは知らないけど…」
「わぁ〜!すごいずら〜!」
でも、梨子ちゃんもちょっと驚きを隠せていない。
この歳、高校1年生で初めてパソコンを見る人なんて初めて見たし、何よりも普通なら、学校の授業とかでパソコンぐらい使うと思ってた。
「もしかして花丸ちゃん、パソコンとかって使ったことないのかな?」
「まさか。流石に学校の授業で使うでしょ」
千歌ちゃんが自分の持論を展開すると、梨子ちゃんは私が考えていたことをそのままに話して、千歌ちゃんのその意見に反論をする。
それでその話の間に割って入ってきたのは、花丸ちゃんを誰よりも知っているルビィちゃんだった。
「実は花丸ちゃん、お家が古いお寺で、電化製品とかもほとんど無いらしいんです…」
「そうなんだ!」
「はい。おじいちゃんが古風な人らしくて…」
ルビィちゃんの説明に、千歌ちゃんは驚く。
ルビィちゃんは苦笑いしながら花丸ちゃんの家事情を話してくれて、それから自分で目の当たりにした花丸ちゃんの姿のことも話してくれた。
「この前沼津に行ったときもそうなんです。手をかざせばお水が出る洗面器や、手を乾かす機械を見てとても驚いてました。『未来ずら〜!』って…」
ルビィちゃんの話を聞いていると、本当に花丸ちゃんは家電製品とかに情報は疎いようだった。
もしかしたら私が愛用しているヘアアイロンを花丸ちゃんに渡したら、きっとそれをどう使えばいいのか分からないって言い出すと思う。
教えたら教えたで、『未来ずら!』って言うかも。
「逆にここまで来ると凄いわね。ここまで家電製品とかに疎いなんて……」
「でも、お家がそうなら仕方ないよ」
梨子ちゃんも、花丸ちゃんの事情を聞いてはすごく驚いている。元々都会っ子だった梨子ちゃんからしてみれば、信じられないの一言だろう。
「これ、触っても良いですか!?」
「もちろん!いいよ!」
「わぁ〜!未来ずら〜!」
花丸ちゃんはパソコンに対して感動の声を上げながら、花丸ちゃんは自分の両手をゆっくりパソコンに近づけていく。
千歌ちゃんは花丸ちゃんにパソコン触ってもいいよって許可したけど、何だか嫌な予感がする。
するどころか、する(断定)だと思う。
「んっ?」
それから花丸ちゃんは手をピタッと止め、パソコンで何かに対して疑問の声を上げる。
その瞬間、私は嫌な予感がした。
そしてそれが、すぐさま現実になった。
「……ずらっ!」
ポチッ!
そんな音が鳴るように花丸ちゃんはキーボードのボタンを押すと、付いていたパソコンの電源が突然落ち、画面が一瞬で真っ暗になる。
「えっ!?」
「い、いきなり何を押したの!?」
突然パソコンの画面が真っ暗になったことに慌て、梨子ちゃんは花丸ちゃんにパソコンに一体何をしたのかを尋ねる。
それで梨子ちゃんの慌てぶりを見た花丸ちゃんは、疑問の表情に引きつった笑みを浮かべて答える。
「えっ…1つだけ光るボタンがあるな〜って…」
ビュンッ!
「………えっ?」
その瞬間、私と梨子ちゃんは勢いよくパソコンの元に飛びつく。私がいた位置からパソコンまでの距離はほとんどないのに、花丸ちゃんの髪がブワッてなびくくらいに風が巻き起こった。
「大丈夫!?」
「衣装のデータ保存してたかな〜」
私はシャットダウンしたパソコンを再起動させて、衣装を考える参考として保存していた衣装の画像のチェックを始める。
花丸ちゃんは今の状況を見て、自分がまずい方向に関与してしまったのではないかと、ガタガタと壊れかけのロボットのように身震いしながら振り向く。
「マ…マル。何かいけないことしました?」
「あはは…大丈夫大丈夫……」
「んん〜!」
花丸ちゃんは目を潤ませ、申し訳なさそうにこちらを見つめる。でも大丈夫。シャットダウンをしただけで、パソコンが壊れたわけじゃないから。
「ふぅ…なんとか大丈夫だったよ!」
「良かった〜!」
何とか衣装の参考の画像は残ってたし、他にも何かデータが飛んだわけでもなかったから、とにかく何事もなかったから良かった。
「ごめんなさいずら。マル……」
下に俯き、申し訳なさそうに謝る花丸ちゃん。
それで私は、花丸ちゃんにパソコンの使い方を教えたほうがいいかもしれないと思った。
その方が、花丸ちゃんにとっていい機会になる。
「大丈夫。あとで使い方教えて上げるよ!」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
花丸ちゃんは私の言葉を聞いて笑顔になる。
そして千歌ちゃんは、私と花丸ちゃんのやり取りを見てから練習を始めようと言い放った。
「じゃあ、練習始めよっか!」
「えぇ!そうしましょ!」
梨子ちゃんもその意見に賛成し、千歌ちゃんと梨子ちゃんとルビィちゃんの3人は先に部室を出て屋上へと向かっていく。
「私たちも行こうか?」
「あっ、曜さん!」
私もあとから3人を追って屋上に行こうと思って所を、すぐ後ろにいた花丸ちゃんに止められる。
「あの!今から練習前でいいので、少しだけ…このパソコンの使い方、教えてくれませんか?」
「えっ?練習前に?」
花丸ちゃんに言われた内容は、練習前にパソコンの使い方を教えて欲しいということだった。
「どうかお願いしますずらっ!」
「う…う〜ん……」
今から練習なのに、その前に使い方を教えて欲しいと願う花丸ちゃんに私は驚いた。
目を輝かせ、教えてくださいと言わんばかりに鬼気迫って私を見つめてくる花丸ちゃんの気迫に、私は負けたのであった。
「分かった。練習前に少しね?」
「あ…ありがとうございます、曜さん!」
花丸ちゃんの思いに観念し、練習前に少しだけパソコンの使い方を教えようと思った私は、テーブルに置かれているパソコンを左手に抱える。
それから私は、花丸ちゃんに言った。
「じゃあ、急いで屋上に行こう!」
「はい!急いで行くずら〜!」
笑顔を見せる花丸ちゃんは、初めてパソコンを触ることが出来る嬉しさと、私から使い方を教えてもらえる期待感が、同時に表情に浮かんでいた。
その表情を見た私は、出来るだけ花丸ちゃんにパソコンの使い方を教えようと思った。
あんなに嬉しそうな表情を見たら、誰だって私みたいな気持ちになると思う。多分…遼くんもね。
〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜
「おおっ!こんなに弘法大師…空海の情報が!」
「うん!ここで画面切り替わるからね!」
「すごいずら〜!」
屋上で、私が付き添いながらパソコンの操作の仕方を教えている。さっきみたいに押し間違いでシャットダウンにはならないと思うけどね。
それで花丸ちゃんに少しパソコンの使い方を教えたら、花丸ちゃんはすっかりパソコンにハマっちゃったみたい…。
真言宗を開いた人で知られる空海をパソコンで調べると、画面に一杯にその空海のことが出てきて花丸ちゃんは凄く驚いている。
だけどその横で、梨子ちゃんは不満気に話す。
「もう…今から練習なのに……」
今から練習なのにその前にパソコンをいじることに、梨子ちゃんは膨れっ面でこちらを見つめていた。
だけどそこに、花丸ちゃんが発言する。
「ごめんなさい梨子さん。マル…どうしてもパソコンの使い方を知りたくて……」
「だから、許して梨子ちゃん」
「うっ……」
目を潤ませ、そう嘆きかけてくる花丸ちゃんに梨子ちゃんは言葉を詰まらせ、『やめなさい』と、言うにも言えない状況にさせられた。
そこへ私もそれに追い打ちをかけ、梨子ちゃんに対して許してもらえるように話すと、梨子ちゃんはため息を1つ付き、両手を腰に当てて言う。
「仕方…ないわね。5分だけよ…」
「っ!ありがとうございます!梨子さん!」
「えへっ!ありがとう梨子ちゃん!」
何とか、梨子ちゃんからの許しは得てもらえた。
それから千歌ちゃんがまたランキングのことで再度話を切り出す。
「それより、ランキングどうしようかだよね。こんな何もない場所の地味 & 地味 & 地味!なスクールアイドルだし…」
「毎年、スクールアイドルが増えてますから」
何も“地味”を3回繰り返して言わなくてもいい気がするけど、毎年スクールアイドルが増えているとルビィちゃんが言うには、確かにランキングをどうにかしなければならない。
けどそこに、梨子ちゃんが千歌ちゃんに言う。
「そんなに目立たないとダメなの?」
「やっぱり人気は大切だよ」
梨子ちゃんの…千歌ちゃんの言葉に対しての質問に、千歌ちゃんはそう答える。
「目立つこと……」
私はボソッと、そんな素っ気ない声を上げる。
そんな時、梨子ちゃんが意見を出す。
「そうね。例えば、グループの名前をもっと奇抜な名前につけ直してみるとか?」
「奇抜なグループ名……」
その梨子ちゃんの意見に、私は梨子ちゃんが思いついたあのグループ名を思い出す。
だがそれを思いついた瞬間、千歌ちゃんが言う。
「スリーマーメイド?」
久しぶりに聞いたようなそのグループ名。
千歌ちゃんがその名前を口にした途端、名付け親である梨子ちゃんは顔を真っ赤にして、恥ずかしくてたまらない表情をしてみせる。
「あ…あれは無しって言ったじゃない!///」
「あっ、でも今はファイブか…!」
話を蒸し返され、梨子ちゃんは怒る。
だけどそれを気に入っているルビィちゃんがいた。
「ファイブマーメイド…♪」
私たち5人が、人魚の格好をしている想像をしていそうなルビィちゃん。それを横目に、梨子ちゃんはまだ千歌ちゃんに対して怒っている。
「何であの話を蒸し返すのよ〜!」
「あっ、でも踊れないじゃん!」
「千歌ちゃん……」
でも千歌ちゃんは聞く耳を持たず、マーメイドは人魚で足がないということに気づく。
そこへルビィちゃんが提案をする。
「じゃあみんなの応援があれば、人魚のヒレから足になる設定というのはどうでしょう?」
「いい!その設定良いよルビィちゃん!」
いつの間にか、千歌ちゃんとルビィちゃんの2人で勝手にファイブマーメイドの名前での設定を考えていた。
笑顔を見せる千歌ちゃんとルビィちゃん。
でも、そこには唯一無二の欠点がある。
それを千歌ちゃんとルビィちゃんに、私は話す。
「でも千歌ちゃん、ルビィちゃん。足になる代わりに、声がなくなっちゃうんだよ…?」
「あぁ〜!?そうだった〜!」
「そしたら私たち…歌えなくなっちゃう…」
「悲しい話だよねぇ、人魚姫……」
悪戯っぽく2人に話したら、千歌ちゃんは頭を抱えてしゃがみこみ、ルビィちゃんは声がなくなることに身を震え上がらせる。
声がなくなっちゃったら、スクールアイドルが出来なくなっちゃうからね。
「とにかく!その名前はもうなしっ!」
「えぇ〜?どうして〜?」
「だから、それは単なる思いつきで!」
千歌ちゃんと梨子ちゃんは『スリーマーメイド』のことでそんなやり取りをみせていた。
そういえば、人魚のヒレが足になる代わりに声がなくなるっているのは、人魚が人間に“恋”をするお話なんだよね。
人間に対して恋が叶わなくて結婚できなかったら、2度と人魚に戻れなくなって海に泡となって消えてしまう。とっても悲しいお話なんだ…。
「…?善子ちゃん?」
「んっ?どうしたの?」
「あっ、いえ…なんでもないです…」
するとふと、パソコンに夢中だった花丸ちゃんが声を上げる。私は彼女に尋ねたが、はぐらかされてしまったので花丸ちゃんが見ていた方向を見る。
だけど、誰もいなかった。
そしたら花丸ちゃんはその場で立ち上がり、みんなに向かってトイレに行ってくると言い出す。
「あの…マル、お手洗に行ってくるずら」
「う…うん!行ってらっしゃい!」
梨子ちゃんに肩を掴まれ、グラグラと揺さぶられていた千歌ちゃんはそれに返事すると、花丸ちゃんそそくさと屋上を降りていった。
「じゃあ花丸ちゃんがトイレから戻ってきたら練習始めましょう」
「うん!今日も練習頑張るぞ〜!」
花丸ちゃんが戻るまで、しばしの休憩。
練習をする気満々の千歌ちゃんを横に、私は練習前の準備運動を始めるのであった。
次回、この続きになります。
そしてよしまる推しの皆さんへ
次回はよしまるのお時間ですよ。
次回も楽しみにしててください!
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