どうも、キャプテンタディーです。
今回のお話も、前回からの続きになります。
もちろん、暫くは花丸ちゃん視点です。
最後まで是非、読んでってください!
それでは、本編をどうぞ!
「えっ?ダイヤさんが?」
「うん、そうなんだ」
放課後、バス停の近くの堤防に座ってバスが来るのを待っていたマルとルビィちゃん。
それでバスを待っているとき、ルビィちゃんは最初にマルのために生徒会長、お姉さんのダイヤさんについて話をしてくれた。
「お姉ちゃん、本当はああ見えて昔はスクールアイドルが大好きなんだ」
「へぇ…そうだったんだ」
「特に『μ's』ってグループが大好きで、私もそのグループが大好きだったんだ」
「そうなんだ……」
ダイヤさんは、ルビィちゃんと同じようにスクールアイドルが大好き。あの雰囲気ながら、実は千歌さんたちがしているようなスクールアイドルが大好きという、ルビィちゃんの話による意外な事実が発覚してマルはびっくりした。
「お姉ちゃんと私でね、一緒にμ'sの真似とかしてた。μ'sの歌を歌ったりしてたんだ」
「本当に大好きだったんだね」
「うん。大好きだった…」
ルビィちゃんの話から想像してみると、ダイヤさんはルビィちゃん以上にスクールアイドルに対しての愛が強いというか、大好きだったみたい。
時にμ'sが着ていた衣装を自分たちで作り、それを自分たちが着て真似したりしていたと、ルビィちゃんの口からそんな話題が飛び出してきて、マルは驚きの連続だった。
でも……どうしても気になるのは1つだけ。
そんなスクールアイドルが大好きだったダイヤさんが、どうしてスクールアイドルを嫌うようになってしまったのか?
マルは、それがどうしても気になっていた。
「でもルビィちゃん、どうしてダイヤさんはスクールアイドルを嫌いになっちゃったの?」
「う…うん……」
マルはルビィちゃんにそう尋ねる。
ルビィちゃんはお姉さんがスクールアイドルを嫌いになった理由を尋ねられて、何も言わずに顔を下に俯かせてしまう。
だけどしばらくの沈黙の後で、ルビィちゃんはマルの質問に答えてくれた。
「実はね、ルビィもよく分からないんだ…」
「えっ?分からない?」
「うん。お姉ちゃんがスクールアイドルを嫌いになったのは、お姉ちゃんが高校に入ってからしばらくした頃で、ルビィがスクールアイドルの雑誌を読んでた時にお姉ちゃんに言われたんだ……」
『片付けて!それ……見たくない!!』
ダイヤさんがそんなことをルビィちゃんに言っていたことに、マルは衝撃を受けた。
「そう…なんだ……」
「本当はね、ルビィもお姉ちゃんと同じように嫌いにならなきゃいけないんだけど……」
「…っ!?どうして?」
「お姉ちゃんが見たくないって言ってるものを好きでなんかいられないよ!」
「ルビィちゃん……」
ダイヤさんの嫌いなものには、ルビィちゃんも嫌いにならなきゃいけない。
多分、マルがルビィちゃんに聞こうとしていたことの“答え”って、きっとこれなのかもしれない。
ダイヤさんがスクールアイドルを嫌いになっているから、ルビィちゃんがスクールアイドルを始めたら何が起きるか分からないって、ルビィちゃんはそう思ってるんだと思う。
でもマルは、そのルビィちゃんの考えは間違ってると思ってる。他人の嫌いなものを自分も嫌いになるなんて、そんなの間違ってる。
「でもルビィちゃん、ダイヤさんと同じようにそれを嫌いにならなくてもいいと思う」
「どうして?」
「だって…ダイヤさんが嫌いだから、ルビィちゃんまで嫌いになる必要はないよ。スクールアイドルが好きなら、好きでいればいいと思う」
「花丸ちゃん……」
隣で縮こまって座っている親友を、正面に向き合わせてマルは意見を述べる。
ダイヤさんがスクールアイドルが嫌いだからって、ルビィちゃんも嫌いにならなきゃいけない理由なんてない。
好き嫌いは個人の自由。
それにマルはルビィちゃんがスクールアイドルの話をしているときの笑顔が大好きだから、嫌いにならないでほしいって思ってる。
マルの変な考えの押し付けになっちゃうけど、マルはルビィちゃんにそうでいてほしいと願った。
するとその後、ルビィちゃんが逆に尋ねてくる。
「花丸ちゃんはスクールアイドルに興味ないの?」
「マ…マル!?ないない!ほ…ほら、自分のことをオラとか言っちゃうし……」
ルビィちゃんはとても真剣な眼差しでマルを見て、マルの表情を覗き込むようにながら尋ねてきたから、マルはルビィちゃんの質問に対して両手をブンブンと振って、慌てながら質問に答える。
マルは正直に言ってスクールアイドルは似合わないと思ってる。お寺の子だし、地味だし、自分のことを時々『オラ』って言っちゃうときがあるし…。
「じゃあ、ルビィも平気!」
「……ルビィちゃん」
ルビィちゃんはそう言って、作り笑顔を見せる。
普段のルビィちゃんなら、いつも眩しい太陽のような無邪気な笑顔をマルに見せてくれる。
でもこの日のルビィちゃんの笑顔は、本来の無邪気な笑顔と、いつもの太陽のような明るさとはとても程遠いものだった。
なんというか、我慢している。
自分がスクールアイドルをしたら、ダイヤさんが妹のことで首を突っ込んでくるのではないかと、常に考えているのかもしれない。
これはマルの考えで、本当はどう思ってるのか分からない。だけど、そうだと信じたい。
ルビィちゃんは…本当は何がしたいんだろう?
顔を俯かせ、悩んでいる表情を浮かべていたルビィちゃんを見て、マルはそう思うのであった。
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「じゃあ花丸ちゃん、じゃあね〜!」
「うん!また明日〜!」
それからバスに乗って沼津へ向かった後、沼津駅でルビィちゃんと別れたマルは、帰りにいつも寄っている本屋さんへと歩みを進める。
「今日もいい本あるずらか〜?」
いつもの期待を持ちつつ、店の中に入る。
店に入ると、『いらっしゃいませ〜!』と男性店員の少し高めの声がマルに向かって発せられる。その声を耳にしながらマルは、文庫ものの棚の方へと足を運ぶ。
店の本棚の間を縫っていくようにして、マルはいつものように店を歩いていた。
けどマルは、あるものを目にして足が止まる。
「あっ……」
それが視界に無意識に入った。たったそれだけで、マルの足は自然に止まってしまった。
『スクールアイドル特集』
スクールアイドルに関して特集されたものばかりの雑誌の本棚を見たマル。
頭に思い浮かぶのは、親友の苦悩。
「………っ!」
あんなに思い悩んでいるルビィちゃんを、どうにかしてマルが解放してあげたい。
その気持ちは今、マルにはある。
そして、それと同時に思い出すのは……
『花丸ちゃんはスクールアイドルに興味ないの?』
そんなルビィちゃんの問いかけだった。
文庫ものの本棚に向かおうとしていたマルは、気がつけばスクールアイドル特集と書かれた本棚の前にいた。それで、ルビィちゃんが大好きな『μ's』の特集がされていた本を手に取り、目を通していた。
「μ'sか……」
μ'sのメンバーは9人。
ルビィちゃんから『μ's』の話は聞いていたけど、ルビィちゃんの言っていた通り、9人全員が本当に『キラキラ』していた。
メンバーの一人一人が、まるでルビィちゃんの笑顔のように太陽みたいで、すごくキラキラしてた。
「んっ…?」
本のページをめくっていき、μ'sの歩んできた軌跡を見ていく中で、マルはふととあるページを見て、ページをめくっていた右手を止める。
「何これ…すごいずら……!」
雑誌に大きく写真で載っていたのは、結婚式の時に女の子が着ているウェデイングドレス姿の写真。
そのウェディングドレスに扮した衣装を身に纏い、オレンジ色のショートヘアのその少女に、マルは目と心を奪われ、思わず言葉が漏れる。
その子の名前は、“星空 凛”っていうみたい。
しかも、マルと同い年の1年生。凄いずら…。
「わぁ……綺麗ずら……」
マルはスクールアイドルでも、こんな素敵な衣装が着られるんだってことを初めて知った。
それと同時に、マルの眼に映るこの人物が、本当にマルと同い年の高校生なのって疑ってしまうほど、『星空 凛』っていう少女はとても綺麗だった。
とても明るそうな女の子。
常にみんなを引っ張っていくような、太陽のような明るさがありそうな女の子で、マルもこんな明るさがあったらいいなって思ってしまう。
羨ましい。ただただ…羨ましかった。
スクールアイドル……。
こんなオラも、輝けるのかな?
この人みたいに…。
こんなに地味で、運動も出来なくて、本を読むことしかなくて、一人称を『オラ』って言っちゃう時があるこんなマルが……。
スクールアイドルなんて出来るのだろうか?
「……よしっ!」
とりあえず、この本を買っていこう。
ルビィちゃんから話してくれる『μ's』について、マルも自分から少し勉強しないと…。
そう思ったマルは、読んでいたμ'sの特集がされていた本を買うことにして、その後に読もうと思っていた文庫の本2冊も、一緒に買うことにした。
「ありがとうございました〜!」
店員さんの声を聞きながら、マルは書店を出る。
空もすっかり夕焼け色に染まっていた。
太陽も山に隠れて見えなくて、だんだん空には星も見えてくる。とても幻想的な風景ずら。
「さてと、うちに帰らなきゃ!」
マルはそう言って空の景色を見たあと、暗くなる前に早く家に帰ることにした。
「あっ、そうだ!」
それで家に帰る途中、マルはルビィちゃんに対して面白いことを考えたずら。
ルビィちゃんが、快くスクールアイドル部に入れるよう、マルはとても良いことを考えたのでした。
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次の日の朝のこと
俺は千歌の提案に付き合わされて、いつものように朝練をするわけなのだけれど、今日の朝練でやって来たのは淡島神社。
「ここだよ!ここっ!」
「なるほど、ここか……」
千歌の提案というのは、とても過酷なものでした。
「この階段、段数っていくつあるの?」
「う〜ん、分かんない!」
「分かんない…じゃないわよ!」
「あはは…まぁ梨子ちゃん、落ち着いて…」
梨子の怒りは曜によってなんとか沈められ、千歌はごめんね?と梨子に苦笑いしながら謝る。
俺が言う過酷っていうのは、目の前にある淡島神社へと通じている階段である。
階段の段数が非常に多く、普通に歩いて登ったり、走って駆け上がったとしても、せいぜい時間は10分以上はかかってもおかしくはない。
だからはっきり言わせてもらうが、ここで特訓をするなら相当の覚悟が必要。
でないと……死ぬぞ。
「それで?ここの階段を登るのが朝練か?」
「うん!μ'sも階段を登って、体力作りをして鍛えてたって聞いたことあるから!」
「ふぅ〜ん、なるほどねぇ…」
どうやらここの階段を使って朝練をする理由としては、千歌たちの体力作りが主旨になるだろう。
きっと歌ってダンスをするのが、今の現状ではまだまだ体力が必要なんだなと思うけど、μ'sがやっていたその階段ダッシュは、これくらいヤバい階段を登って鍛えていたのだろうか?
それが1番、俺は気になるけどな。
「じゃあ早速、登って朝練開始だy…」
「待った。朝練をする前にしっかり準備体操な?」
「うぅ…分かったよ……」
千歌は俺の指摘に項垂れつつ、準備体操を始める。
曜と梨子の2人も、千歌が渋々に準備体操を始めると、同じように2人も始める。
体操は怪我を防止するもの。だから練習前にはしっかり準備体操は欠かさずにやるのが、怪我しない体にも繋がっていく。
曜は言わなくても分かると思うし、梨子も話せば分かってくれる。だから特に千歌には、毎日そういうのをしっかりやって欲しいんだ。
リーダー(仮)が練習で怪我したらどうにもならないからな。そういうところを気をつけて欲しい。
「よしっ!これでいいでしょ?」
「あぁ、十分だ」
「じゃあ始めるね!」
準備体操を終えた千歌は、階段前の鳥居をスタートラインに位置に着く。
曜と梨子もそれにつられて、千歌の両脇にスタート位置を取ると、曜が俺に言ってくる。
「それでは遼くん、スタートの合図を!」
「えっ?あ…あぁ、分かったよ」
正直、俺も3人と一緒に階段を登る練習をしようと思っていた。だが曜がそう言うので、俺は3人が先に登って行かせたのちに、俺が後から追いかけるようにしようと考えた。
なんの心配もいらないよ。
俺はこれでも、一応ここの階段は、ノンストップで頂上まで行けるくらいだ。いつも、あいつと一緒に階段を走って登ってるからね。
「じゃあ頑張れよ〜お前ら」
「「「は〜い!」」」
「よ〜い……どんっ!」
それで俺の力強いスタートの合図で、3人は同時にものすごい勢いで階段を駆け上がっていく。
でもまぁ、その勢いは最初だけだろうけど…。
「じゃあ、俺も準備しよ〜っと」
3人が階段を登り始めて姿が見えなくなったころ、俺は千歌たちがいたスタートラインに立つ。そこで屈伸、アキレス腱伸ばしなど、準備体操を怠らずに行ったあとに、俺は先に登って行った3人を追いかけるようにして階段登り始める。
本当にこの階段は、頂上に行くまでとても遠い。
千歌たちにとっては、地獄のようだと思ってもおかしくはない。多分千歌たちは、昔の俺みたいになっているだろう。
「あっ、見えた……」
そんなことを考えながら階段を登り続けていると、階段を登る3人の後ろ姿が見えてきた。でも俺が見たところ、既に限界にきている3人だった。
もって…あの中間地点くらいだろう。
「お前ら遅いぞ〜!」
「りょ…遼くん!?」
「中間地点で待ってるからな〜」
俺は限界にきている3人を無慈悲に抜き去る。
自分たちのためにやるのなら、俺の助けなんかいらないよね?って俺は思いながら、中間地点で待ってると言い残して先に登っていく。
「はぁ…はぁ……」
「き…きつい……」
「はぁ…はぁ……!」
俺が中間地点に辿り着いてから、5分後
ようやく中間地点に辿り着いた3人。
中間地点に着いた途端、千歌を始め、3人は息を荒げて座り込んでしまう。相当しんどかったようだ。
「遼くん…階段登るの早いよ……」
「しょうがないだろ?ここはもう慣れてるからさ」
「息……切らしてないなんて……」
因みに俺の言う中間地点というのは、登山者に対してのエールを送るためにある『がんばって』という標識があるということだ。
なかなかシンプルな標識だと思う。だけど、どうしてここにこんな標識を作ったのかは分からない。俺も結構、これに関しては不思議でしかない。
「遼くんは…サッカー部だもん。本当に凄いよ」
「そういえば…そうだった…わね……」
自分たちと比べ、階段を登っても全然息を切らしていない俺を見て、衝撃を受ける3人。
1番衝撃を受けている梨子は息を荒げ、女の子座りをしつつ両手を地面について俺を見上げる。
その体勢を逆に俺から見ると、その梨子の体勢はなんともエロい格好なのかと思い知らされる。
梨子の肩幅並みの狭い感覚にある梨子の両腕。
その両腕の間に梨子の胸がムギュッと寄る感じで、梨子の服の隙間から、彼女の胸の谷間が見えそうで見えないギリギリのラインだった。
ギリギリのところで梨子の胸を拝見することが出来ないのがとても残念ではあるが、梨子の胸もいつか見たいものだ。
曜以外の胸とか触ってみたいしね。
梨子もそうだけど、見た感じ発育のいい千歌の胸も触ってみたい。ていうかこれマジの変態じゃん。
いけないいけない。変な妄想は消え去れ。
「梨子も体力を付ければこれくらいは余裕だよ。俺だって最初は、梨子みたいにすぐバテてたから」
「そうなの?」
「うん。だから頑張ろうよ」
俺はそう言って、梨子を励ます。
まだ初めてのことだから、下を向かないでコツコツと続けていこうという意味合いを込め、俺は彼女に手を差し伸べる。
だけど梨子は、ネガティブな発言をする。
「でも、もう無理よ……」
「梨子ちゃん!そんなにすぐ諦めちゃったらどうにもならないよ!」
「いや、お前が言ってどうする」
「痛っ!もう〜痛いよ遼く〜ん!」
千歌が言ったことには間違いはない。ただ、千歌が言うから説得力がない。なにせ、千歌も梨子と同様にもうバテているからだ。
だけど俺は、千歌の言ったことだけは間違ってないと、梨子にちゃんと説明した。
「確かに千歌の言ったことは間違ってない。だからそんなに早く諦めたらダメだよ梨子」
「でも…私…!」
「大丈夫。俺も梨子のために頑張るから…ね?」
「……っ///」
そう言って、俺は梨子を励ます。
今、梨子の目に俺がどう映ってるか分からない。
別に千歌の言葉を使って言ったわけで、全然良い事なんて言ってないのに、梨子の顔は真っ赤だ。
だから外野から、罵声が飛んでくる。
「イチャつくのは別の場所でやってくださ〜い」
「そうだそうだ〜!」
「お…お前らなぁ……」
梨子が顔を真っ赤にしているおかげで、俺には弁解の余地がなさそうな雰囲気にされてしまう。
俺…何も言ってないのになぁ…。
「あれ?千歌たちじゃん」
すると階段の上の方から、聞きなれた声が聞こえてくるのを耳にする。
俺たち4人は、頂上へ通じる階段の上に視線を向けると、階段をそれなりのスピードで降りてくる果南の姿があった。
どうやら、今日も登っていたみたいだ。
「あっ、果南ちゃん!」
「おはよう果南。いつものやつの帰り?」
「うん。いつものやつの帰り!」
俺は確認のために果南に尋ねると、やっぱりそうだったみたいだ。相変わらずすげぇよ、果南は…。
「果南ちゃんもしかして、上まで走っていたの?」
「一応ね!まぁ、日課だから」
「えぇ!?日課なんですか!?」
「まぁね。ずっとここを毎日のように走ってるから、いつの間にか日課にちゃって……」
梨子の驚愕した声が漏れるのと一緒に、千歌も曜も驚きの表情をしていた。
3人の表情、驚きを隠しきれていないよ。
まぁ仕方ないよね。果南ってば、あまりそういうことを人に話すことなんて全くしないし、何でもかんでも隠したがる性格だから。
それで果南が俺たちに尋ねてくる。
「それよりどうしたの?こんなところで?」
「えっとね、私たちスクールアイドルやってるから、この階段で鍛えなくっちゃって!」
「ふぅ〜ん、そっか……」
千歌たちが体力を付けるためにこの階段で練習を始めたことを知った果南は、そんな反応を見せる。
果南はスクールアイドルに関してはあまり興味はない感じに見えなさそう。果南がそんな反応を見せるのは、きっとそういうことなんだろう。
「まぁ、頑張りなよ?」
「うん!頑張る!」
「じゃあ、店開けなきゃいけないから!」
「ばいば〜い!」
それから果南は俺たちにそう言って、階段を息一つ切らさずに降りていった。果南の前で言いたくないけど、果南は本当に化け物だよ。
マジの体力馬鹿ってやつだ。
「凄い。息一つ切れてないなんて……」
「上には上がいるってことだね!」
「よ〜しっ、負けてられないぞ〜!」
果南の体力の凄さを間近に目の当たりにした千歌は、立ち上がってやる気を漲らせる。
果南が出来るんだから、私たちも頑張れば果南みたいになれるかもと思ったんだろう。でも、すぐには果南みたいになるわけじゃない。
果南は毎日欠かさずにやってアレなんだから、千歌たちも毎日の朝練でやるべきだな。
「じゃあ千歌、俺を階段で追い越せなかったら帰りにジュース一本奢りな〜?」
「えぇ〜!?やだよぉ〜!」
「果南みたいに頑張るんだろ〜?」
「もう〜!馬鹿にするな〜!」
3人はまだまだ、この超長い階段をノンストップで登りきれる体力は全然ない。けれど、ダンスの練習の時のように成長できる見込みは十分にある。
だから出来るだけ、3日坊主ですぐ止めさせるのもいけないと思ってる。彼女たちのためだからね。
「じゃあ私たちも、行くよぉ〜!!」
「「「おぉ〜!」」」
それからしばらくの休憩のあと、俺たち4人は一緒に中間地点から頂上へ階段ダッシュを始めた。
まだまだ初日だ。焦ることはない。
ドテッ!
「あいたっ!」
「千歌ちゃん!?」
「千歌、大丈夫か?ほれ、手を出せ」
「…っ!うんっ!ありがとう!」
地道に努力して、みんなで上を目指そう。
階段を登っている時、俺はそう思ったのであった。
今回は長すぎました()
6,000字以内を目指しましたが、悠々と2,000字も
オーバーしてしまいました。
次回も、この話の続きからになります。
次回も楽しみにしててください!
感想・評価等、お待ちしています!