どうも、キャプテンタディーです!
今回はお待ちかね、ライブの話です。
同時に、この話を最後に第3話も終わります。
僕の中ではこの場面が結構印象に残っているところなので、丁寧に書いて話を仕上げてみました。
※昨日、13時〜19時の間で小説に投稿されていた話ですが、あれは僕のただのミスで間違いです。
自分でもよく分からないままそれに気づかないで、その時間まで放置してしまっていました。
直ちにこの話は消去致しましたので、この度、この場をお借りして深くお詫び申し上げます。
↑の文は見てしまった人に対してのお詫びですので、知らなかった人は見なくても結構です。
最後まで見てくださればとても幸いです。
それでは、本編をどうぞ!
今日は待ちに待った、ライブの日。
今日までにたくさんの人たちに宣伝をして、体育館にはたくさんの人たちが来てくれるだろうと、私たち3人は期待に胸を躍らせていた。
ただ、今日の天気は最悪だった。
「最悪だね、今日の天気……」
「そうね。天気は私たちの敵をしてるのよ」
雨足は体育館の窓を打ち付け、風もビュービューと音を立てる。今日の天気は生憎の雨。
まるで私たちが今までやって来た事を、全て台無しにしてしまおうって感じで、雨風とともに、雷まで鳴り響いていた。
何というか…ついてない。
こんな天気の中でお客さんが来てくれるのかと考えれば、限りなく『No』に近い。
それでも尚、千歌ちゃんはやる気満々な様子。
「よ〜しっ!それじゃあ曜ちゃんが私たちに作ってくれた衣装、早く着替えよ!」
「そうだね!もうそろそろライブの時間だし!」
「う、うん。分かったわ」
千歌ちゃんは外の天気の事なんて考えなくて、ただライブをすることにやる気に満ち溢れていた。
「じゃあ私から着替えてくるね!」
「うん!サイズが合わなかったら…ごめんね?」
「大丈夫大丈夫!多分着れると思うから!」
カーテンで仕切られたスペースを使って、1人ずつそこで衣装に着替える。
まず最初には千歌ちゃんが先陣を切って、私が一生懸命作った衣装に着替えていった。
私たちがいるのは体育館のステージの裏側。
雨と湿気のせいで舞台裏の空気はとてもジメジメしてて、湿った木の匂いが鼻をつつく。ライブが始まるまでは、私たちはここでライブの準備をする。
それに今日は、凄い助っ人もついてくれる。
クラスメイトのヨシミちゃん、イツキちゃん、ムツちゃんの3人が、私たちのためにライブの手助けをしてくれるんだ。
イヤホンマイクとかスポットライトとか、本格的なライブのように私たちのために機材を準備をしてくれて、彼女たちには本当に感謝してる。
駅で行ってたチラシ配りにも積極的に参加してくれて、千歌ちゃんもすっごく喜んでた。
「ジャジャ〜ン♪着替え終わったよ〜♪」
そうしてるうちに、千歌ちゃんは着替え終わる。
カーテンを思いっきり開けて、右手をピースサインにして可愛くポージングしてくる。
私は似合ってるとしか思いようがないくらい、衣装を着ていた千歌ちゃんの姿がとても可愛かった。
「わぁ!千歌ちゃん凄く似合ってる!可愛いよ!」
「本当?えへへ…嬉しいな…///」
千歌ちゃんは照れながら、その場で衣装のスカートを翻すように一回転してみせる。衣装の特徴は袖がなく、肩を露出させたノースリーブが特徴。
千歌ちゃんは丸見えの肩を気にする様子もない。千歌ちゃんの衣装の色はオレンジ色。みかんが千歌ちゃんは大好きだから、その色に合わせてみた。
特に衣装の問題はなさそう。頑張って作った甲斐があったと、私は心の中でホッとした。
「じゃあ次は梨子ちゃんね!」
「えっ!?わ…私!?」
「私は最後でいいから、さっ…早く早く!」
「わっ!分かったからぁ…」
次に着替えるのは梨子ちゃん。
梨子ちゃんは私や千歌ちゃんに背中を押され、押し込まれる形で着替える場所へと足を運ぶ。
カーテンを閉め、梨子ちゃんは制服から衣装に着替えるときに、とても恥ずかしそうな声がカーテンの向こう側から漏れて聞こえてくる。
「うぅ…スカート短い…///」
「大丈夫だよ梨子ちゃん!μ'sのライブも、最初はこんな感じだったから!」
「そ…そういう問題じゃないのっ!///」
梨子ちゃんはスカートについてで千歌ちゃんとそんなやり取りをしながらも、梨子ちゃんは恥ずかしがらながら衣装に着替え終わる。
「お…終わったわよ…///」
「終わった?じゃあカーテン開けるね〜!」
千歌ちゃんの合図と一緒にカーテンが開かれると、もじもじと体を縮こませ、恥ずかしそうにスカートの前の部分の裾を摘んで佇んでいた。
梨子ちゃんの身に纏っている衣装の色はピンク。梨子ちゃんの名前の通り、“桜”色にしてみた。
衣装の特徴は千歌ちゃんと同じで肩は露出させたノースリーブ。梨子ちゃんは顔を赤く染めて、千歌ちゃんと違ってノースリーブが気になってる様子。
「梨子ちゃん可愛い!凄く似合ってるよ!」
「そ…そうかな?でもスカートがちょっと短くて、ちょっと私…恥ずかしいかも……///」
千歌ちゃんは梨子ちゃんに可愛いとべた褒めする。
確かに衣装を着た梨子ちゃんは可愛かった。
見た目が全く…全然違う。いつも綺麗とか美人とか言われたりしている梨子ちゃんだけど、今日はそれに『可愛い』が追加されて、今まで見たことのない梨子ちゃんを発見することが出来た。
それでこの時、もっと可愛い衣装を作って、もっとたくさんの可愛い梨子ちゃんを見たいなって、私はそう思うようになったのである。
「じゃあ最後は私だね!」
「うん!曜ちゃんが着替えてる間、見に来てくれた人たちに挨拶する言葉とか考えてるから!」
「分かった!じゃあ着替えてくるね!」
それから最後に私が衣装に着替える。
カーテンを閉めたあと、素早く制服を脱いでいく。こういうのはいつも、警察官とか自分で作って制服を着てたりしてるから、いつの間にかこういうのが慣れちゃってるんだよね。
だけど私にとってちょっと新鮮だった。
「うわぁ〜。なんか新鮮な気分……」
良い意味で新鮮な気分。
警察官とか、船員の制服とかを自着てきた私だけど、こんな可愛くてフリフリなスカートの衣装を着たのは本当に初めてだった。
「似合ってる…かな……?」
それ故に、自分が似合ってるのかどうか確かめようと、全身が映る鏡の前に立ってみる。
しばらく自分が作った衣装に不備がないか確かめたあとで、スカートの先に摘んで可愛くポージングしたり、スカートをフワッと翻すようにその場で一回転してみたりする。
……可愛い。
自分で言うのもあれだけど、自分でも衣装を着てる姿がとても可愛いと思ってしまっていた。
ただこれを…衣装を着ている私の姿を、彼に見せてあげられなかったのは残念だけど…。
…って!何考えてるの私!?///
やだやだっ!忘れろ忘れろ〜!///
「曜ちゃ〜ん?終わった〜?」
「あっ、う…うん!ちょっと待ってて!」
自分が変な妄想をしていたことを忘れようと、私は頭を横に振って振り払っていると、カーテンの向こう側から千歌ちゃんは私に声をかけてくる。
私の着替えはあと手袋だったり、髪にアクセサリーを付けるだけだったから、私は千歌ちゃんに待ってと言い、急いで衣装で身に付ける手袋をはめて、アクセサリーなども身に付ける。
「これで……よしっ!」
それから着替え終わってカーテンを開けると、私が着替え終わるのを待っていた千歌ちゃんと梨子ちゃんの姿があった。
「どう?似合ってるかな?」
だから私は試しに尋ねてみる。2人が私の衣装を見てどんな感想が返ってくるのか、私は聞かずにはいられなかった。
それで千歌ちゃんから話してくる。
「うん!曜ちゃん凄く似合ってるよ!」
「本当!?」
「えぇ!私も似合ってると思うわよ!」
「梨子ちゃん!へへっ…ありがとう2人とも!」
『可愛い』
2人の感想を聞いた私は、その言葉に思わず口角が上がってしまう。似合ってるって2人から言われたのが、私はとても嬉しかった。
これで私たち3人はそれぞれ着替え終わった。
それで頭をポリポリと掻いて、照れている私を見つめていた千歌ちゃんは、それから私と梨子ちゃんに向かって言ってくる。
「じゃあそろそろ時間だよね?」
「えぇ、そろそろだと思う」
ライブの時間がやって来たことに対して千歌ちゃんがそう話すと、途端に空気が変わる。さっきまでの穏やかな雰囲気はなくなって、ピリピリと張りつめたような空気が漂う。
そんな中で私たち3人は円陣を組むように丸くなって、千歌ちゃんは円陣をどうしようか尋ねてくる。
「じゃあどうしよっか?」
「3人で右手を前に出して重ね合わせて、みんなで掛け声をかけて気合いでも入れてみる?」
「う〜ん…それはそれで変…かな?」
千歌ちゃんの質問に私は意見を出すと、梨子ちゃんにツッコミを入れられて拒否されてしまう。
そしたら今度は千歌ちゃんが意見を出してくる。
「じゃあ手を繋ごうよ!」
「手を…繋ぐ?」
「こうやってお互いに手を繋いで……」
千歌ちゃんの手を繋ごうという意見に流されるがまま、それに従って私は左手を梨子ちゃんの右手と繋ぎ、右手を千歌ちゃんの左手と繋ぐ。
輪になるように私たちは手を繋いでると、心から何か…暖かい気分になっていく感じがしてくる。手から伝わってくる温もりが、私たちの心を温めてくれるような感覚が、私たちの体に伝わってくる。
「ねっ?私…暖かくて好き…」
「本当だ。暖かい……」
梨子ちゃんも同じように感じているのか、にっこりと笑顔を見せていた。
それで千歌ちゃんも…一緒に笑っていた。
「雨…だね……」
私たちは手を繋いだまま、目を瞑って外の音に耳を傾けていた。静まり返った空間のなかで、雨の音を聞いた千歌ちゃんはそう呟く。
私も心配していることを口に出して呟く。
「みんな…来てくれるかな?」
梨子ちゃんは不安に思う事を口に出して呟く。
「もし…来てくれなかったら……?」
「じゃあここでやめて終わりにする?」
そしたら千歌ちゃんの梨子ちゃんの言葉に対してツッコミが入り、私たち3人に笑顔がこぼれる。
「ふふふ…ふふっ…」
「あはははっ…ははっ……」
「ははは…ははっ…」
3人で笑い合い、場の空気が和んだところで、千歌ちゃんは私と梨子ちゃんに向かって強く言い放つ。
「さあ、行こう!今…全力で輝こう!」
「うん!頑張ろう!」
「えぇ!精一杯やりましょう!」
ライブを成功させるため、私も梨子ちゃんも強い気持ちを胸に秘めて言い放ち、3人は右手を前に出して円陣を組む。
それで3人で顔を見合わせてから、一斉にグループの名前を叫んで円陣を切った。
「「「Aqours〜!サ〜ンシャイ〜ン!」」」
〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜
舞台裏から、私たちはステージに向かう。
その途中、舞台の袖でクラスメイトのヨシミちゃんからイヤホンマイクが手渡される。
「ライブ、頑張ってね!」
「うん!頑張るね!」
「ヨシミちゃんもありがとうね!わざわざ私たちのライブの手伝いをしてくれて……」
「いいのいいの。3人が頑張ってるのを見てたら、手伝わずにはいられなくて!」
ヨシミちゃんに感謝しながら私たちは耳にイヤホンマイクをセットする。声の音量はすでに調整済みらしく、こんな細かい調整までしてくれるヨシミちゃんたちには本当に感謝だ。
「じゃあ頑張ってね!」
「うんっ!ありがとう〜!」
ヨシミちゃんは私たちにエールを送り、そのまま自分の役割を担う持ち場へと戻って行った。
「じゃあ手を繋ごう」
「えっ!?ここでも!?」
「大丈夫。恥ずかしくないから!」
クラスメイトの友達からエールを送られたことに、千歌ちゃんのやる気がグンと上がる。
私も梨子ちゃんも気持ちは同じだった。
なんとしてもライブを成功させたい。体育館を満員にしてライブをすることで、鞠莉さんに部として認めてもらえるんだから。
その気持ちを胸に秘め、3人は横並びに手を繋ぐ。
左から私、千歌ちゃん、梨子ちゃんと横一列に並んで手を繋ぎ、目を瞑ってステージに立つ。
そしてしばらくして、舞台の幕が上がる。
暗かったステージに徐々に明かりが差し込んできて、幕が上限まで上がったのと同時に、私たちは一斉に目を開けて体育館の景色を見渡す。
その景色を見た私たちは、愕然としてしまった。
パチパチパチパチパチ!
「えっ…?」
隣にいる千歌ちゃんはその景色を見て、思わずそんな落胆の声が漏れてしまっていた。
この体育館に集まった人は、うちの生徒や他の学校の生徒を合わせても約10人ほどしかいなかった。
中には梨子ちゃんがチラシを渡した、変な服装した女性がいる。集まっているところから離れた場所に鞠莉さんがいて、体育館の入り口にはルビィちゃんと花丸ちゃんの2人が私たちを見つめていた。
現実は…残酷だった。
私も梨子ちゃんもこうなることに驚きを隠せなくて、暗い表情で落ち込んでしまう。
駅であんなにライブの宣伝をしても、来てくれる人はごく僅かな人たちしかいないんだと、私たちはそれを痛感させられた。
すると千歌ちゃんは顔を上げ、私と梨子ちゃんより一歩前に踏み出したあとに、集まってくれた人たちに対して挨拶を始めた。
そのときの表情は、やると決めた時の顔だった。
「皆さんこんにちは!えっと…私たちは、スクールアイドルの『Aqours』です!」
最初に千歌ちゃんは自分たちの自己紹介をする。
私と梨子ちゃんも千歌ちゃんの勇気に腹をくくり、私たちも一歩前に出て話をする。
「私たちはその輝きと!」
「諦めない気持ちと!」
「信じる力に憧れ、スクールアイドルを始めました!目標は、スクールアイドル…μ'sです!」
千歌ちゃんが目標にしている『μ's』のようになりたいと、約10人ほどの見に来てくれている人たちの前で、千歌ちゃんは力強く話す。
そのあとで私たちは、ライブの準備をする。
曲が始まる時の最初の位置に着き、千歌ちゃんは胸を張って見に来てくれている人たちに言い張った。
私たちの歌を…聞いてくださいってね。
「聞いてください!!」
私たちの歌を聴いてくださいと、気持ちを前面に押しだした千歌ちゃんの声とともに、曲のイントロが流れ始めて私たちは歌い始めた。
『き〜ら〜りと〜きめ〜きが〜♪』
『うま〜れた〜んだと〜♪』
『気づいたわ〜けは〜♪』
『目の前のき〜み〜だ〜って〜こ〜とさ〜♪』
『“ダイスキだったらダイジョウブ”』
それが、私たちが歌っている曲の名前である。
『ララララ〜ララ〜♪』
『ララララ〜ララ〜♪』
歌を歌いながら、私たちが一生懸命やってきたダンスの練習の成果を、みんなの前で披露した。
10人ほどの少ない人数しか見てくれる人はいないけど、10人も私たちのライブを見てくれている人がいるから、私たちは全力で歌い、全力で踊った。
曲は順調に進んでいた。
歌詞の言い間違いも私を含めてもないし、ダンスによる大きなミスもない。
イヤホンマイクを付けているおかげで、私たちの声は体育館中に響き渡っている。集まっていた人たちも目を輝かせて私たちを見つめていた。
このまま順調にいけば、ライブは成功する。
そう……私たちは思っていた。
千歌ちゃんが1人で歌って、それからサビに入ろうとした瞬間、事件は起きてしまった。
ピカッ!ゴロゴロゴロッ!
いきなりの落雷だった。
そしてそのせいで体育館は停電してしまう。
流れていた曲も途中で途切れ、私たちを照らしていたスポットライトさえも消えてしまった。
暗いステージのなかで、私たちは不安ばかりでその場で立ち尽くしていた。
「どうすれば……?」
「一体、どうしたら…!」
不安に駆られ、私と梨子ちゃんは呟く。
すると千歌ちゃんは曲もないまま歌い出す。
ただ、その千歌ちゃんの声はとてもか弱かった。
「気持ちが…つ〜なが〜りそ〜うな〜んだ〜」
「知らないこと…ばかり、なにもか〜もが〜」
「それ〜でも きた〜いで〜足が〜軽〜いよ〜」
でも千歌ちゃんが歌っていたからと、私や梨子ちゃんも一緒に後に続くように歌い続ける。
けれども曲が流れているわけでもなく、私たちは歌っていても楽しくもないし、明るくもない。
だから場の空気に気圧され、次第に声は小さくなってしまう。そしてやがて千歌ちゃんを始め、私たちは歌わなくなってしまった。
「う…うぅ……」
「千歌…ちゃん……」
今まで頑張って来たことが、ここで全て無駄になってしまったような感覚が私にはあった。
梨子ちゃんもきっと…同じ考えだと思う。
千歌ちゃんは肩を小刻みに震わせながら、両手を拳にしてギュッと握り締めている。彼女の目には涙が浮かべ、小さくすすり泣きをしている。
千歌ちゃんは、とても悔しがっていた。
ライブは失敗になって、私たちのスクールアイドル活動を鞠莉さんに受け入れてもらえずに、そのままグループは解散。
そんな最悪な結末を、ここで迎えてしまったことに千歌ちゃんは悔しさを抑えきれなくなっていた。
「千歌ちゃん……」
今にもここで大泣きしてしまいそうな千歌ちゃんのもとへ、私は一歩前へ歩み出す。
すると次の瞬間
バタンッ!
体育館の入り口が突如として開かれ、体育館に眩しい光が差し込んでくる。
すると誰かが千歌ちゃんに声をかける。
「バカ千歌〜!!」
「えっ!?」
「あんた開始時間、間違えたでしょ!!」
その声を頼りに入り口の方に私たちは視線を送ると、なんと入り口にはレインコートを羽織った美渡さんが姿があったのだ。
「お…お姉ちゃん!!」
右手の親指を立ててグットサインをしてみせる美渡さん。一体この状況で何が起こってるのか、私たちは全く分からなかった。
するとどこかからか声が聞こえてくる。
「ここが会場かな?」
「体育館…暗〜い!」
「あっ、もうステージに出てるよ!」
「本当だ!早くライブしないかな?」
体育館はまだ暗いままだったから、なんでこんなに人の声がたくさんするんだろうと、私たち3人は疑問に思うばかりだった。
そして長らく消えていた電気が復旧すると、私たちは目の前に現れた景色に驚きを隠せなかった。
「…っ!?こ…これって……」
「みんな…私たちのために……?」
体育館がライトで明るくなると同時に、体育館にはたくさんの人が私たちを見つめていた。
沼津の高校生や大人もたくさんいる。この体育館に入り切らない程の人がたくさんいて、みんなは私たちのライブを見に来てくれていた。
この光景を見た私たちは言葉を失っていた。
体育館に収まらない程の人たちが、私たちのライブを見に来てくれるとは思ってもいなかったから。
すると美渡さんはステージの前まで来て、千歌ちゃんに向かっていつもの言葉を言い放つ。
「バカ千歌!」
「お姉ちゃん……」
「何ぼさっとしてるの!さっさとライブを始めなさい!みんなあんたたちのためのライブを見たいって来てくれてるんだから!」
「……っ!うん!」
美渡さんに指摘された千歌ちゃんはその光景を見たあとで流していた涙を拭う。たくさんの人たちが見に来てくれたことが嬉しくなっていた。
「私…バカ千歌だ……」
それから千歌ちゃんは自分を罵倒し、発破をかけてやる気を出すと、私と梨子ちゃんに言う。
「曜ちゃん!梨子ちゃん!」
「うん!もう一回やり直そう!」
「みんなのために、歌を届けましょう!」
「うん!みなさん!私たちの歌を、どうか最後まで聞いてってください!」
パチパチパチパチッ!
拍手にとともに私たちはもう一度、私たち3人は来てくれた人たちのために最初からライブをした。
〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜
曲の途中から最初に戻って、もう一回みんなのためにライブをするのって変かもしれない。
だけど、私たちのためにライブを見に来てくれた人たちに、ライブ途中から見せるのってとても失礼だし、私たちにとってとても勿体無かった。
だから私たちは最初から最後まで見せた。
ライブの日までにやってきた、今までの練習の成果を全てぶつけるように、私たちは歌って踊った。
『ダイスキ〜があれば〜♪』
『ダ〜イジョ〜ウブさ〜♪』
最後まで歌いきり、しばらくの静寂に包まれる。
ステージ上で最後のポーズをし、私たち3人は肩で息をしながら、ライブを精一杯にやり遂げることが出来たと実感していた。
パチパチパチパチッ!
黄色い歓声とともに、最高の拍手が送られる。
ただライブ自体は成功したとは思わない。それは、一歩前に出てみんなに向かって話をしようとする千歌ちゃんも同じだった。
「彼女たちは…言いました!」
息を整えながら、千歌ちゃんは話をする。
「スクールアイドルは、これからも広がっていく。どこまでだっても行ける。そして繋がっていく……どんな夢だって叶えられると!」
以前に私に話してくれたことをみんなにも向かって千歌ちゃんは話をする。μ'sが話していた今の言葉を千歌ちゃんは胸を張って伝える。
ライブ自体は失敗に終わってしまったけれど、私もこれだけは言えると思う。
私たち3人は、輝くことができたと思う。
するとその時、人ごみのなかを突っ切ってステージに立つ私たちの前に、とある人物が現れる。
「あなたたち!」
「あっ、ダイヤさん!」
目の前に現れた人物はダイヤさん。
両腕を前で組んで、私たちに向かって今日のライブの成功について話をする。
その話は、私たちが思っていたことと同じだった。
「いいですか?これは今までのスクールアイドルの努力と、街の人たちの善意があっての成功ですわ!決して…あなたたちの努力が実っての成功ではありません!勘違いしないように…!」
このライブの成功は、街の人たち集まってくれたおかげであって、私たちの努力で集まってくれたわけじゃない。私たちの実力はまだまだ未熟。
生まれたてのひよこのようなものだった。
でも今日のライブで、私や梨子ちゃん、そして千歌ちゃんもそれを理解することが出来た。
千歌ちゃんはダイヤさんに臆することなく、彼女はダイヤさんに向かって言い放った。
「分かってます!」
「……っ!」
「でも…でもただ見てるだけじゃ始まらないって!上手く言葉では言えないけど、今しかない“瞬間”だから!だから……!」
その千歌ちゃんの言葉とともに、私と梨子ちゃんは千歌ちゃんのそばに寄り添うように近づく。
「千歌ちゃん!」
「千歌ちゃんっ!」
「うん!」
そして手を取り合い、私たちは叫んだ。
「「「輝きたい!!」」」
いつ…そんな風になれるかは分からない。だけど、千歌ちゃんが言った今しかない瞬間っていうのは、本当に今しかないのかもしれないって思った。
そんな私たちの言葉を聞いていた人たちは、私たちに対して頑張ってねと、まるで応援してくれているようで、私たちに拍手を送ってくれた。
千歌ちゃんも満足そうに笑顔を浮かべて、私たちのライブはなんとか無事に終わりを告げた。
今回のライブは、いい教訓になったと思う。
最初から上手くいくことなんてないんだって…。
今まで過ごしてきた時間も決して無駄じゃないんだってことが、私たちはそれを知ることが出来た。
これで鞠莉さんがどう決断するのか。
私たちをスクールアイドル“部”として認めてもらえるのか、それとも虚しく解散させられるのか。
その2つの行方に、私たちは知る由もなかった。
私たちはふと体育館の窓を見ると、空から明かりが差し込み、雲の切れ間から青空が顔を出す。
そして太陽の暖かい日差しが、私たちの浦の星を、眩しく照らしていたのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます
今回をもちまして、サンシャインの第3話が
終わりになります!
やはり第3話といったら、このライブの話ですね!アニメを見てて1番ドキドキしたところでもありますし、今でも十分に頭に残っててとても印象に残るお話でした!
そして次回からは、第4話に入ります。
あの“2人”がメインになるかもしれない
次回も楽しみにしててください!
感想・評価等、お待ちしてます!