どうもキャプテンタディーです。
今回はライブの話にしようと思いましたが、その前の閑話ということでその前の場面を切り取って、話を仕上げてみました。
ただアニメと展開は違っていたりするので好き嫌いが分かれるかもしれないですが、長い目で話を見てくれれば良いかなと思います。
最後まで見ていってくれれば、それも嬉しいです!
それでは、本編をどうぞ!
とある日の夕方のこと
「ここでステップするより、ここでこう動いた方がお客さんに正対出来て良いと思うんだけど……」
「じゃあ、私がここからこう回り込むように動いて、それからサビに入る?」
俺や曜、そして梨子がいるのは千歌の部屋。
俺たち3人は振り付けの見直しをしていた。
というのも、梨子がサビ前の動きがまだ怪しいらしく、少し動き方を調整している最中なのである。
大体のところは曲の振り付けが出来ていて、3人は朝の練習で十分に上達したと俺は自負している。
3人ともダンスは上達するのがとても早かったからもう大丈夫だと思う。俺の目に狂いはない。
「だとしても間に合うか?」
「いくら曜ちゃんでも、大変だと思うけどな…」
「大丈夫!私に任せてよ!」
余裕綽々と曜は得意気に言ってみせる。
梨子は大丈夫だろうかと不安になっているが、曜のやる気を感じてか、梨子は曜なら大丈夫だろうと思い相談していた動きを曜にして貰うことにした。
「じゃあ曜ちゃん、ここは任せるわね!」
「うん!了解であります!」
「じゃあダンスの動きはこれで大丈夫だな」
曜がビシッと、梨子に対して敬礼したところでダンスの最後の最終調整は終わった。
それで曜はスマホで時間を見る。
「うわっ!もうこんな時間。バスもう終わっちゃってるよ……」
「あらマジ?ど〜すっかな〜?」
すると時間は6時半を回り、日はすでに山に隠れて沈みきっていた。バスで通学している曜は、終バスの時間をも逃してしまっていた。
ただ不幸中の幸い、俺は千歌の家までは自転車で来ている。曜を後ろに乗せて、2人乗りは出来る。
千歌の家から俺と曜の家まで歩くとなると、余裕で1時間以上はかかるから、ここは俺から誘って帰った方が最適かもしれない。
そう思った俺はすぐさま行動に移す。
「なら曜、帰りは俺の自転車に乗って帰るか?俺は自転車で来たから、二人乗りになるけど…」
「うん、そうする!その方が帰るの早そうだし!」
「じゃあ決まりだな」
「ダメ!二人乗りはダメよ!」
だけどそこへ梨子は注意をしてきた。
自転車の二人乗りは禁止だと、梨子は俺と曜の親かとでも言われてしまいそうなくらいに、彼女は厳重に注意をしてくる。
梨子はルールをきっちり守る人だとは思っていたが、そこまで厳しく言ってくるとは思わなかった。
「先生から教わらなかった!?自転車の二人乗りは絶対にしたらダメだって!」
「ダメだって言われても、ねぇ?」
俺は曜に話を振られたので、梨子に対してどう答えようかと思ったが、東京と内浦、都会と田舎の違うところを話すことにした。
「東京と違って、こっちじゃ普通だしな」
「えぇ!?普通なの!?」
梨子にそう話すと、彼女は驚きを隠せない。
「確かに二人乗りはダメかもしれないけど、あまり警察とかお世話になったことないしね……」
「あぁ。ましてやこんな時間帯だ。大丈夫大丈夫」
俺と曜のヘラヘラした話を聞いていた梨子自身は、『なんて子たちなの!?』と、両手を口に抑えて、信じられないみたいに驚いていた。
それと同時に都会と違って、田舎ではこうなのかと彼女は開いた口が塞がらないくらい驚いていた。
それで曜は俺に言ってくる。
「じゃあ帰ろう遼くん!」
「おうよ」
早く帰らないと本当の親に怒られるからと、曜はすでに自分のカバンを肩にかけ、帰る気満々だった。
俺と曜の話を聞いて呆れた梨子は、自分もそろそろ帰ろうと思って千歌の名前を呼ぶ。
「千歌ちゃん!曜ちゃんと遼くん帰るって!」
「……………………」
そろそろお邪魔させてもらおうと彼女の名前を呼んだが、千歌からの返事はなく、よく見ると、千歌はテーブルに置いたノートパソコンを起動させたまま突っ伏して眠っていた。
ましてや隣には歌詞が載ったノートを広げ、右手にペンまで持って寝ていた。
「あらっ?寝てるのかよ」
千歌はというと俺たちとは別に、自分たちが歌う曲の歌詞の見直しと修正をしていた。
彼女は『自分たちが歌う歌詞に間違いがあったら大問題だよ!』って言っていたけど、千歌は最近頑張っていたから、疲れてしまったんだろう。
でなきゃここで自分から寝るはずもないからな。
「すぅ……すぅ……」
「最近の千歌はすごく頑張ってるからな。このまま寝させてあげようか」
「そうね。このまま寝かせてあげましょう」
「ははっ、そうだね」
曜も梨子もぐっすり寝ている千歌を見て、俺が口にしたことにもウンウンと頷き意見に賛成した。
だけど曜は千歌の寝ている場所に指摘をする。
「だけど、千歌ちゃんをこのままテーブルで寝かせてたらダメなんじゃないかな?風邪引いちゃうよ」
「そうだな。風邪ひいちゃったら大変だし」
「頑張ってきたことが水の泡だわ……」
このままテーブルに突っ伏したまま寝かせるのはどうかと、曜はそんな意見を提示する。
俺も梨子もそれには同意見で、まず俺は立ち上がったままの千歌のノートパソコンの電源を切る。
次に千歌をテーブルからベットまでどうにか動かして寝かせなければならない。さっきも言ったが、このまま寝かせていたらライブの直前に風邪を引くなんて元も子もない。
千歌の体を無理やりにでも引きずってベットまで持っていくのもあれだからな。下手に刺激して千歌を起こしてしまうかもしれない。
そうなれば…こうするしかないよね?
「曜、梨子。ちょっとどいて」
「えっ?うん……」
「何をするつもりなの?ま…まさか……」
「別にやましい事なんてしないよ」
俺はあることを思いつき、前にいる曜と梨子にどいてもらうように声をかける。
そしたら梨子の変な妄想からそんな如何わしい言葉が出てきたから、俺はそう言ってはぐらかし、千歌の隣に来てしゃがむ。
多分、俺が次に起こす行動に意味を察した時、曜と梨子は絶対に顔を真っ赤にするだろう。
「千歌、寝てるところ悪いな…よいしょ!」
「「…っ!?えぇ!?///」」
簡単に言うと、千歌にお姫様抱っこをしている。
テーブルに突っ伏していた体を起こし、左腕で千歌の上半身を支える。その後に残っていた右腕を使い千歌の膝裏を持ち上げてお姫様抱っこの完成。
この様子を例えるならば…そうだな。
“眠りの姫を抱える白馬の王子様”
………って、俺は一体何を考えているんだ。
痛いし、バカバカしくてまるで子供だよ。
「遼くんが…お姫様だっこ……///」
「あ…あぁ……///」
それで曜と梨子は思った通り赤面していた。
曜は変な妄想をして頭がショートしてるし、梨子に関しては両手を顔を隠してるけど指の間から目を出して見てるから、隠してる意味がないよと俺は心の中でツッコミを食らわした。
「んしょ…よいしょ、よっこいしょ」
それから俺は、無事に千歌をベットに移動させて、ぐっすり寝ている千歌に布団を掛ける。
千歌をお姫様抱っこしていた時、千歌の体は本当に高校生の体かと思ってしまうほど、彼女の体はとても魅力的だった。
制服越しだったけど、千歌のよく育った体の感触を味わえた感覚がしたよ。うん…とても凄く。
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赤面していた曜と梨子の2人はあれから何とか我に返ったので、千歌に小さく『またね!』と呟いた俺たちは千歌の部屋を出る。
「お邪魔しました!」
「お邪魔しました〜!」
「は〜い!気をつけてね〜!」
それで、千歌の1つ上の姉である美渡さんの部屋を通る際、曜と梨子はそう言って挨拶をしてから軽く会釈をして通り過ぎる。
美渡さんが2人に挨拶を返したあと、俺は美渡さんに対して一言だけ言いたかったことを伝えた。
「美渡さん、千歌はベットで寝てしまったので後のことはよろしくお願いしますね?」
「んっ?分かった、ありがとね!」
美渡さんからお礼をもらい、俺も軽く会釈をしたあとで部屋を通り過ぎる。
その時に俺は、ふと美渡さんの右肘にあるものを目にする。裏がえされていたけど、紙のようなものが美渡さんの右肘にあった。
俺や曜たちから見えないよう、美渡さんは何かを隠している様子が伺えたから、俺は女性ファッション誌を読んでいた美渡さんに尋ねる。
「あっ、あともう1つなんですけど…」
「んっ?今度は何よ?」
「美渡さんの右肘に隠してる紙、別に隠さなくてもいいと思うんですよね?」
「……っ!?///」
美渡さんは俺の尋ね方にバレたのかと思ったのか、裏返されていた紙を一度見た美渡さんは、ファッション誌をバンッと閉じては、バッと隠していた紙を全身で隠す。
俺の美渡さんへの尋ね方が幸い良かったのかもしれない。今の美渡さんの反応の驚きぶりを見たとき、俺の疑問は確信に変わった。
「こ…これは別に何でもない!///」
「千歌のため…なんですよね?」
「バ…バカ!べ…別にそんなんじゃない!///」
慌ただしく僕の質問を否定する美渡さん。
意外と美渡さんは嘘をつくのは苦手なのかな?
あまり話す機会もないことが多かったけど、でもこうして話してみると、千歌の1つ上の姉といえど、千歌と何だか似てるような感じがしてとても面白い人だなと、俺は思った。
それから俺は美渡さんに問いかけるように話す。
「でもやっぱり…手伝いたくなりますよね?千歌が最近あんなに頑張ってるのを見ると……」
「……そうね……///」
千歌の最近の頑張りようについて話をすると、美渡さんは口をツンっと尖らせて、半目で赤面しつつ、千歌と部屋の方向を見ながらボソッと呟く。
美渡さんは千歌に対して敵対的な態度をとり、いつも喧嘩をしていると千歌から話は聞いているけど、中身は根っから優しい、姉らしい姉だった。
千歌には自分の本性を見せないだけ。
ただ……それだけだった。
それから僅かな時間を使って間を開けた俺は、美渡さんの方に身体を向き直して話した。
「美渡さん、千歌のことを応援してください。姉として…妹の頑張りを見てやってください!」
「………………………」
深く長く…きちんとお辞儀をして、俺は美渡さんの答えを聞かないで部屋を去る。
美渡さんなら千歌のことを大切に思ってくれているはず。だから、答えは聞かなくとも、あの人がどう行動するのかは俺の中で分かっていた。
「遼く〜ん!早く帰ろ〜!」
美渡さんの部屋を去って玄関まで来ると、曜は手を振って俺を急かしに言ってくる。
もう夜だし、曜が早く帰りたいのも分かっていたから、俺は急いで曜と梨子の元へと急ぐ。
「あらっ?もう帰るの?」
「あっ、志満さん」
するとそこへ千歌のもう1人の姉、三姉妹の長女である志満さんが現れる。
さっきまで洗い物をしていたのか、彼女の手にはタオルがあり、濡れた手を拭きながらやってくる。
「はい。千歌は疲れてベットで寝ています」
「本当?ありがとう!」
千歌は部屋で寝ていることを報告し、志満さんは千歌のことについて俺に話をしてくる。
やっぱり志満さんでさえも千歌がスクールアイドルというものに興味を持ち、それに凄くのめり込んでいることが未だに信じられないようだった。
「あの子が何かしらにのめり込んでるところ、あまり見たことないから」
「えぇ、それは僕も一緒です」
俺も志満さんの意見に同じように共感し、志満さんはさらに俺に対して話をしてくる。
それは、とても大事なことだった。
「もしあの子の身に何かあったら、遼くん、千歌のことをよろしくね?」
「はい、言われなくても大丈夫です!」
大切な人を守らなければならないという、小さいけれど大きな…多大な責任を負わされているような、そんな責務を感じた。
でもそれを俺は任されたから、志満さんの願いには応えようと俺はそう答える。
それを見た志満さんは、安心して笑顔を見せた。
「うん。遼くんなら任せられるわ!」
「はい!任せてください!」
そんなやり取りを志満さんとした後で、俺は志満さんにお邪魔しましたとお辞儀をし、急いで曜たちの元へと向かう。
すると『十千万』の入り口の暖簾を潜ろうとした俺を、また志満さんは呼び止めてきた。
「あっ、遼くんちょっといい?」
「えっ?何ですか?」
何かを思い出したように俺を呼び、右手でこっちに来てとジェスチャーをしてくるから、俺は一旦曜には『ちょっと待ってて!』と言い残し、志満さんのところへと戻る。
すると志満から耳元で囁くように尋ねてきて、俺はその内容に心臓がドクンッと一気に跳ね上がる。
「それで?誰が1番の本命なの?」
「えっ!?えぇ!?」
「だって、あんなに可愛い同級生の3人と一緒にいて、何も思わないわけないでしょ?ましてや、千歌ちゃんと曜ちゃんとは幼馴染みなんだから!」
志満さんのいきなりのとんでもない質問に、俺は体が飛び上がるように驚く。
いや…まずどうして志満さんの口からそんな話題が飛び出してくるんだ?志満さんって恋愛の話とか大好きそうだけど、本当に好きなのか?
それにどうして男の恋愛事情に首を突っ込んでくるのかも、俺にはよく分からなかった。
そしたら志満さんは俺の話も聞かずに、ペラペラと3人を1人ずつ俺に尋ねながらことを話し始める。
「もしかして転校してきた梨子ちゃん?あの子とても綺麗だし、遼くんと付き合ったら、とてもお似合いだと思うわよ?」
「いや…僕は今それは全然……」
「それとも千歌ちゃん?遼くんならいつでも千歌ちゃんのこと貰っていっていいからね!」
「いや…ですから……!」
志満さんは俺の話も聞かず、ペラペラと梨子と千歌のことを話して本命なのかどうかを尋ねてくる。
確かに梨子は都会っ子だけあってとても綺麗だし、千歌は元気一杯で一緒に遊んでても楽しい。
「それとも……“曜ちゃん”?」
「なっ!?い…いえ…あいつとは全然…!///」
それで俺は曜の名前を聞いたとき、不意に自分の顔が熱くなるのを感じた。どうしてなのか…俺も全然よく分かってない。
「ん〜っ?何で顔赤いのかな〜?」
「こ…これはただ暑いだけです!」
ジト〜ッと正面から見つめる志満さんに目を背けたまま、俺はその真意については何も語ろうとしなかった。自分でも分からないことを他人に話したところで、何かが分かるわけじゃないから。
とりあえず、この事は頭の隅っこに置いておこうと思う。いつしか分かるからもしれないから。
それでこのまま志満さんの質問責めに付き合っていたら埒があかないと思った俺は、その場の雰囲気を壊すように志満さんに言う。
「ベ…別になんでもないですから、僕はこれで失礼します!お…おお…お邪魔しました〜!///」
「ふふっ♪は〜い、また来てね〜!」
質問責めを振り払うように志満さんにそう言って、俺は『十千万』の暖簾をくぐって外に出る。
志満さんのあの質問責めから逃れることが出来たのだが、休憩の文字はなさそうだった。
なんせ目の前には彼女が待っているのだから。
「やっと来た!もう遅いよ遼くん!」
「あぁ…ごめんごめん」
彼女は腕を腰を立てて仁王立ちし、プンプンと怒って待ちくたびれていた様子を見せていた。
それから曜は俺に向かって言ってくる。
「遼くん待ってる間、梨子ちゃん先に帰っちゃったんだからね!責任とってよね!」
「うん、それは分かったよ」
どうやら梨子は先に帰ってしまったらしい。待たせてしまうのも悪かったから、先に帰らせておいてよかったと思う。
曜に関しては俺が責任を取って、あとで曜が大好きなミカンアイスを奢るしかないようだ。
でないと曜の機嫌も治らないからなぁ……。
「じゃあ早く帰ろう!もうお腹ペコペコ〜!」
「はいはい。じゃあ後ろに乗って?」
時間も夜の6時半を過ぎている。
日もとっくに暮れていて空も真っ暗。曜のお腹も空いているようなので、俺は曜にそう言って自転車の後ろになるように促す。
曜は素直に指示に従い、サドルの後ろにある荷台を乗せるところに曜はきちっと座る。
「はい、乗ったよ〜!」
「じゃあしっかり掴んどけよ?離すなよな?」
「は〜い!了解しました〜!」
俺の注意に曜はまたビシッと敬礼をしたあと、両手を俺のお腹に回して、俺から離れないように体に密着するようにくっついてくる。
背中から伝わる柔らかい感触は今は考えないほうがいい。考えたら負けだ。
「それでは、家にしゅっぱ〜つ!」
「ヨーソロー!!」
そして俺と曜はようやく千歌の家から出発し、目指すべき俺たちの家へと俺は、二人乗りで重量が重くなった自転車を漕ぎ始めるのだった。
〜〜〜〜〜〜※※※※〜〜〜〜〜〜
「風は気持ちいいですか?」
「うん!とっても気持ちいいよ!」
「それは良かった」
今の時間帯はとても涼しく、俺も曜も自転車の勢いで起こる心地よい風を感じていた。
千歌の家を出発して10分ほど自転車を漕いで海の海岸沿いを走ってるものの、一向に道のりは遠い。
それに逆に二人乗りをしてるせいか、いつもより俺は疲れているように感じた。
だけどもこれは俺から誘ったわけで、途中でやめたらこいつに煽られるのが目に見えるので、我慢して自転車を漕ぎ続ける。
そんな時に曜は、俺に話しかけてくる。
「遼くん、あのね?」
「ん?なに?」
「あのね、体育館でやる私たちのライブ、遼くんは見に来てくれるの?」
彼女は後ろから、俺を覗き込むように尋ねてくる。
曜が尋ねてきた内容はライブの話であり、俺に向かって何かを期待しているような尋ね方だった。
ライブを見に来てくれると尋ねてきた曜なのだが、俺のその質問の答えは……『No』だ。
その日は残念ながら、部活がある。
「曜、俺はその日は部活なんだ」
「……そうなんだ」
「あぁ。見に行きたいのも山々なんだけど、部活だから見に行く事はできない。だから…ごめんな?」
「……うん。分かった……」
曜は俺の話を聞いたあとで、自分の頭をコツンと俺の背中に預けるようにしてに俯いた彼女を思うと、罪悪感というものが否めなかった。
千歌、曜、梨子。
3人が頑張ってするライブは、俺もとても見に行きたかった。例え客が俺1人だろうと、俺はどうしても彼女たちが輝くところを見たかった。
だが現実はそうもいかず、俺の大好きなサッカーを捨てることも出来ない。
だから千歌たちがするライブは、またの機会に見に行きたいと思う。今度のライブで千歌たちの活動の進退がどうなるかは分からないけれど、俺は3人のライブの成功を信じるよ。
「でも俺は、曜たちのライブの成功を祈るよ」
「えっ?本当……?」
「うん。曜が可愛い衣装を着て踊る姿を見たかったけど、部活で見に行けないから。だから俺は曜たちのライブの成功を信じるよ!頑張れよ…曜!」
「……っ!///」
3人のライブの成功を祈ったり、曜の可愛い衣装を見たかったと彼女自身に伝えると、曜は自分の頬はポワッと赤く染め、顔に熱が帯びるのを感じた。
そうした中で曜は、俺がエールを送ったことに対して恥ずかしそうにお礼を言う。
「うん…ありがとう遼くん。私…頑張るね!///」
「おう、頑張れ頑張れ!」
顔を背中に預けているせいで、曜の顔の表情は確認出来なかったけど、嬉しかったに違いない。
俺の服を無意識なのかぎゅっと握りしめて、背中のある一部分だけが熱くて俺の背中に伝わってくるから、曜の感情は多分そうなのかなと思う。
「じゃあスピードを上げるぞ?」
「うん!更に全速前進であります!」
それで俺は更に自転車のスピードを上げ、曜は合わせていつもの言葉を俺に向かって言い放つ。
親の影響もあって、曜はその言葉を使うのがとても好きだった。ていうかそれが曜らしいと俺は感じているから、俺そんな曜が好きかなって感じてる。
「お前…本当にその言葉好きだよな?」
「うん!だって…大好きなんだもんっ!」
曜たちのライブが成功するかは、当日になってみないと分からない。だけど俺は成功を信じる。
今まで朝練を毎日欠かさずに頑張ってきたんだし、失うものはなにもない。だから信じる、ライブは…
成功するって!
曜たちのライブの成功をそう信じ、家に向けて自転車を漕ぎ続ける俺なのであった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回は察しの通り、次回は第3話の見どころであるライブの話へと移って行こうかなと思います。てか移る(断定)のでよろしくお願いします。
そしてライブの様子を書くのは本当に久しぶりなので、思い出しながら書いて行きたいなと思います。
次回も楽しみにしててください!
感想・評価等、お待ちしています!