ペルソナ4 有里湊のif世界での物語   作:雨扇

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6月7日(火)~6月12日(日)

 6月7日。火曜日。

 

 今日は長瀬の練習の手伝いをした。とりあえず思ったのは「長瀬はスポーツ馬鹿なのか?」ということだった。女性関係を持とうとせずサッカーのことばかり。何か誰かさんを想像してしまった。(節制コミュ2)

 

〓〓〓

 

 6月8日。水曜日。

 

「なぁ有里、鳴上。免許、とらね?」

 

 放課後。花村が急にそんなこと言ってきた。鳴上の机に原付免許の教材を置く。

 

「後ろにさ、その、な。ムギューっとなるんだよ」

 

 ムギュー? 何が? 鳴上もよくわかってないようで首を傾げていた。ムギュー……ムギュー……。あぁ。

 

「牛?」

 

「ギューじゃねーよ」

 

 花村が色々と熱弁していたけど結局何がムギューっとなるのかを言ってくれない。

 

「ほら、ムギューっとなるんだよ」

 

 「分かるだろ?」とでも言いたげな目をしているが残念ながら僕には一切分からない。

 

「牛が?」

 

「だからギューじゃねーよ」

 

 同じツッコミをしてくれた。花村はツッコミの才能が高いといつも思うよ。

 

「ウーッス」

 

 完二がやってきた。僕たちの話に混じってきた。

 

「先輩たち免許とるんスか? カチコミならオレに任せてくださいッス!」

 

「いやカチコミじゃねーから!」

 

 ちなみに完二は「自転車で十分っしょ」とか言ってた。凄いな。あと完二は年齢的にダメらしい。そっかー、じゃあ月光館の時免許とれたんだ。まぁ都会だったから交通面で困ることなかったし、仕方ないか。

 

 あと、何が「ムギュー」なのかと言うと女子のアレがムギューとなるとか。でも原付二ケツ禁止だと完二につっこまれた。どんまい花村。とか言ったら「ナンパする計画は終わらない!」とか。普通にドン引きするわ。

 

 でも免許とるのは悪くないかも。

 

「二冊鳴上と有里用に買ったんだ。感謝しろよ?」

 

「悪いな、花村」

 

「うん、どうも」

 

「有里感謝してる!?」

 

 モチロンシテルヨー。最近花村の扱いが雑になった気がするけど気にしないでおく。

 

 鳴上は堂島さんという保護者的存在がいるため一応訊くことになった。僕? 一人暮らしだから。

 

「お前一人暮らしだったんだな」

 

「だから親の許可とか必要ない。僕は免許いつでもとれるよ」

 

「じゃあ相棒。訊いたら連絡くれよ」

 

「あぁ」

 

 その後、足立さんの援護ーーあんまり意味なかったらしいーーがあり鳴上も問題ナシ。早速明日とりに行くことになった。

 

〓〓〓

 

 6月9日。木曜日。

 

 放課後、僕たちは免許をとりにバスで試験会場へ向かった。試験はとても簡単な問題が出たり、事前の勉強が役に立ったのか楽々合格出来た。

 

「簡単だったな」

 

「あぁ」

 

「あんまり勉強しなくてもよかった」

 

 ガソリンスタンドを通ると刑事さんがいた。近くに足立さんの姿が見えたから上司だろうか。よく見ると鳴上を初めて見た日に一緒にいた人だった。もしかしてあの人が「堂島さん」?

 

 堂島さんは鳴上が昨日の今日に免許をとってきたことに驚いていたがその驚きは一瞬だった。

 

「おい足立!」

 

「はいはい。ちょうど終わりましたよ」

 

 足立さんが一台の原付バイクを持ってきた。白いバイクだ。

 

「これお前にやる。俺のお古だ。大事に使えよ」

 

 堂島さん、一見厳しそうな人だけどいい人なんだね。

 

「花村、明日学校で一緒にカタログ見よ」

 

「いいぜ。じゃ、またな鳴上」

 

 僕らは堂島さんと足立さんにお辞儀して別れた。

 

◇◇◇

 

 さて、これからどうしようか。このまま帰ってもいいけど正直まだ暇だ。学校に戻って誰か知り合いを探すのもひとつの手だ。

 すると携帯の着信が鳴った。見てみると完二からだった。

 

「もしもし」

 

『急にスンマセン先輩。一緒に愛屋の肉丼でもどっスか?』

 

「ちょっと待ってて」

 

 僕は財布を取りだして中身を見る。ふむ、肉丼一杯分なら問題ないだろう。

 

「いいよ。行こうか」

 

『あざっす!』

 

◇◇◇

 

 待ち合わせをして店内に入る。店長の娘の「中村あいか」が案内してくれた。ちなみに彼女が同じクラスだと知ったのは今日だ。とても驚いて思わず彼女に謝ってしまった。

 

「肉丼二つ。お待ちどう」

 

 僕らの前にホカホカの肉丼が置かれる。ここの肉丼は飽きないからとても好きだ。「はがくれ」のラーメンと同じくらい好きだな。通いたくなる味だ。……現実はそう甘くはないけど。

 

「完二」

 

「……? なんスか」

 

 僕はふと思ったことを完二に訊いてみた。本当に、たまたま思っただけなのだが。

 

「どうして急に誘ったの?」

 

 完二の顔が少し怖くなる。僕は箸を置いて完二の次の言葉を待つ。肉丼? もう食べたよ。

 

「……人付き合いがよくわかんなくてよ。こんなだから変に思われたりしたらどうしようって常に不安があって。でも、先輩達はそんなオレのことをただただ善意で助けてくれたことに、オレ、カッケーって思ったんス。

 

 オレに何が出来るんだろう。そう考えて、何も分からなくて。この前鳴上先輩に訊いてみたんスよ」

 

 鳴上が……ね。流石リーダーだよ。僕は、相談とかされても“いい答え”を返せそうにないから。前の世界での二年間、僕はしっかりリーダーが出来ていたか……不安になるくらいに。鳴上のリーダーとしての器は大きいと改めて知った。

 

「何て言ったの、鳴上は」

 

「“まずは仲よくなることじゃないかな”って言ってたんス。だから、有里先輩とこうして愛屋の肉丼食って仲よくなろうと……」

 

 なるほど。そういうことだったのか。とりあえず納得出来た。

 

「完二。愛屋だけじゃなくて、他の場所行ったり喋ったりしよう。それが、仲よくなることに繋がる……はず」

 

「ウス!」

 

 巽完二。……彼は本当に純粋で、いい子だと思った。ただひとつ。

 

ーーシャドウが“あんな”じゃなければよかったなぁ。

 

 そう思って残念がったのは秘密だ。

 

ーー新たなコミュニティ。「皇帝:巽完二コミュ1」

 

〓〓〓

 

 6月10日。金曜日。

 

 今日は雨が降るけどすぐに止むらしい。最近天候に敏感になってきた。

 

「やっぱ色はオレンジかな」

 

「僕は……青?」

 

「群青とかは? ほら、ちょっと濁った感じ」

 

「うん、いいと思う」

 

 昨日の約束通り、僕と花村は朝、教室にて一緒にカタログを見ていた。今は色を決めているところだ。

 

「そういや来週林間学校らしいぜ。俺ら班一緒だとよ。里中はどうか知らねぇけど天城は旅館の娘だろ? いやぁ、期待しちゃうなぁ」

 

「そ、そう……だね」

 

 花村。君は何も知らないから幸せだね。あのムドオン弁当を食べた僕は……正直休みたい気分だ。

 この世界に来てから料理は簡単なものしかしてない。二年前は結構みんなのーー主に順平ーー夜ごはんとか作ってたりしたいたからやっていたけど。

 

 久しぶりにやろうかな。

 

◇◇◇

 

 という訳で今日は荒垣先輩の家にアポナシでお邪魔した。流石荒垣先輩。世界は違えど料理上手さは変わらなかった。(月コミュ2)

 

〓〓〓

 

 6月11日。土曜日。

 

 今日は完二と一緒に帰った。「一緒に編みぐるみ作ろう」と誘われた。なので完二の家で編みぐるみ作り体験をした。かなり難しい。完二の女子力の高さに驚き半分軽く引いたのが半分だった。(皇帝コミュ2)

 

〓〓〓

 

 6月12日。日曜日。

 

 今週もやってきた時価ネットたなか。前の世界の癖でどうしても日曜に見てしまう。まぁ、いっか。

 

 一つ目は[火伏せの符、野草サプリ×2 4980円]

 二つ目は[反魂香、呪殺ペーパー×4 2980円]

 

 今回はすんなり決められそうだ。反魂香は意外と最後の方でも重宝するアイテムだ。これと同じ効果の魔法(サマリカーム)が使えるペルソナはいるにはいるのだけど……アレ、精神力(SP)がごっそり減るんだよ。

 

 だからあまり使いたくない。だからこのアイテムは重宝するのだ。

 僕は迷わず反魂香セットを注文した。

 

◇◇◇

 

 土手のベンチに行くと鳴上がいた。そう言えば鳴上はシャドウ完二戦が初めてのペルソナ合体なのに本人は全然疲れがなさそう。訊いたら「特にない」と。

 

 ……やっぱりシャドウ完二の影響かな? そうじゃなかったら僕どんだけ体弱いんだって話だよね。(永劫コミュ3)




ワイルドコンビは「天城の料理の腕前がムドオン並」とは知ってますが、「里中は天城よりはマシなのではないか」とも思ってます。なので林間学校の際、カレーがムドオンになることは予想してません。ムドくらいだろうと思ってます。……どんまい。

女性人を止めようと思っても、鳴上はステータス的にまだ無理(勇気が足りない)で有里に至っては「花村の反応が見たい」という自分も犠牲になることを覚悟し、黙ってます。

つまり「天城が料理出来ない」という真実を知らないのは花村氏だけ。
ちなみに完二もまだこの時は何も知らずに幸せだった……。

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