落第騎士の英雄譚~破軍の眠り姫~(一時凍結)   作:スズきょろ

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詩音「ついに私の実力が明らかに!」
作者「連続は疲れるなぁ」
詩音「まあまあ、これも皆様に楽しんで頂くためよ」
作者「そうだね、では本編をお楽しみください!」
詩音「それではどうぞ!」


第2話

 

「ハァァァァアァ!」

 

 開幕と同時にステラは炎を纏った一刀を振り下ろした。

 力任せに叩き付ける恐ろしくも鋭い一撃を、一輝は正しく見切り、《陰鉄》で受け止め――

 

「ッ!?」

 

 ようとしたが、バックステップで後ろへ逃げた。瞬間、《妃竜の罪剣(レーヴァテイン)》が叩き付けられ、ずおんっ、と――第三訓練場そのものが激震した(・・・・・・・・・・・・・)

 

 

「いい見切りね。受けてたらタダじゃ済まなかったわよ」

「なんでふざけた攻撃力だ。まさかここまでとは・・・」

「舐めてもらっちゃ困るわ。アタシの本気はまだまだこんなものじゃないわよ」

 

 ニヤリと笑い追撃の構えを見せるステラ。一輝は間合いを取るためにバックする。ステラの武装は大剣。超重量武器だ。移動の速度では自分が勝る。

 ならば速度でかき回す。それは攻撃力で勝る超重量武器相手のセオリーだ。

 だが―――そんな常識がこの埒外の怪物相手に通用するはずもない!

 

「遅いわ。遅すぎる」

「っ!?」

「スピードでなら勝てると思った?残念ね、魔力の使い方は何も攻撃だけじゃない。足裏に集めて爆発させれば機動力を向上させることもできる。

 そして私の総魔力量は並の伐刀者(ブレイザー)の三十倍。アンタらみたいにセコセコ残りの魔力を考えて行動する必要がない。試合中この速度を維持し続けても―――それでも余る。ようするに、あんたは威力でも速度でもアタシに勝つことができないってことよ!」

 

 そう、たとえるならば、ステラは『燃料無限の超高機動重戦車』なのだ。その理不尽ともいうべき性能を目の当たりに、一輝は苦笑いする。

 

(これが・・・Aランクか)

 

 一輝が目指す学生騎士の頂点、歴代の『七星剣王』ですら大半はBかCランクで占められている。だから、学生でAランクというのはもはや学生の頂点に収まるような器ではない。一人の例外もなく(・・・・・・・・)全てが歴史に名を刻むほどの大英雄だ(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 十年に一度の逸材の前評判は決して偽りではない。

 

 それを思い知った一輝に《紅蓮の皇女》は大地すら揺らす回避不能の一閃を振り下ろす。

 もはや速度ですら逃げ切れない鋼の一撃に、一輝もまた鋼を持って応じ、剣戟が始まる。

 連続して響く快音は第三訓練場に集まった観衆の耳朶に音楽のように響いた。

 

『おおお・・・・・・・・・・・・・っ!!!!』

 

 あがる歓声。

 彼らが見つめる先にあるのは、《妃竜の罪剣(レーヴァテイン)》が描く焔の軌跡だ。

 それは研ぎ澄まされた剣技の軌跡であるということは詩音や刀華には一目でわかった。

 魔導騎士に武道や剣術を極めるものは少ない。

 そんなことに時間を使うくらいなら、同じだけの時間を使って異能の鍛錬を行った方がずっと強なれるし、何より学校や社会もそれを推奨するために、魔導騎士としての評価基準に武道や剣術を盛り込んでいないからだ。

 

 だがそれは――魔導騎士の大半数を占める半端者の考え。

 

 ごく少数の本当に強い騎士たち(・・・・・・・・・・・・・・)は、ほぼ全員が異能だけでなく武道も修めている。

 それは彼らには強さに対する飽くなき渇望があるからだ。己の力になる全てのものに手を出し、それを修め、さらなる高みを目指す。

 

 ステラ・ヴァーミリオンもそれに該当していた。

 

 ヴァーミリオン皇国の剣技大会で優勝したこともあるステラの『皇技剣技(インペリアルアーツ)』は舞のように美しく、しかし烈火のごとく苛烈に一気を追い立てる。

 一輝は隙なく飛来するステラの剣閃を、防ぐだけで手一杯で、後ろ後ろへと後退し続ける。

 

 そして、予想通りの一方的な展開に、観客席に冷めた空気が漂うが、そんな中ただ一人は違う考えを持っていた。

 

「流石だね一輝、もうあなたの勝ちだね」

「でも、はたから見ればステラさんの優勢に見えるけど、実際は違うの?」

「見てればわかるよ、刀華ちゃん。あれが一輝の戦い方だよ」

 

 詩音の言葉に刀華は疑問に思いながらも、黒鉄一輝の動きを見落とさないためにも、自分も二人の試合に視線を戻す。

 

 観客のほとんどがステラの勝利を疑わない中、ステラ自身は大剣越しに伝わる手応えに、耐えがたい違和感を覚えていた。一撃で大地に激震を奔らせるステラの剣撃は問答無用で相手を押し潰す(・・・・)一撃。しかし、伝わってくるのは軽い手応え。それが意味しているのはーーー

 

(まさか、アタシは、あしらわれている!)

 

 相手のパワーを受け流す柔らかい防御。それは剣術の中でも高難度の技だ。力加減、角度、タイミング。いずれか一つが微細にでも狂えばすぐに破綻する綱渡りを、目の前の男は顔色一つ変えずにやすやすとやってのけている。

 その事実にジワリと、ステラの中に恐れとも形容できる感情が染み出す。

 それと同時に一輝の視線を強く感じる。自分の服をすかし、皮膚をすかし、筋繊維の動きまで、自分の一挙手一投足が観察されている。

 そして、ステラの第六感が、黒鉄一輝は危険だと告げている!

 一輝が自分の動きを見切ろうとしているのだと気づいた。

 

「逃げるのだけは上手いじゃないのっ!だけど、そんな簡単に見切れるほど、私の剣はお安くないわよ!」

「―――いや、もう見切った」

「ッ!?」

 

 瞬間、今まで防戦一方だった一輝が初めて攻めに転じた。

 そんな彼の《陰鉄》の振るう軌跡は、まさに先ほどステラの《妃竜の罪剣(レーヴァティン)》が振るうそれと全く同じだった。正面きっての剣戟で、ステラを後ろに押し込んだ。これには流石の刀華も驚いていた。

 

「あれが、彼の戦い方なの?」

「うん、あれが一輝の剣技《模倣剣技(ブレイドスティール)》だよ。相手の剣術の『枝葉』を辿り『理』を理解し掌握することで、敵の剣術の全て是正した完全上位互換の剣術を編み出す。まあ要するに相手の技をダウンロードして、最新式にアップデートしたんだよ!」

「凄いですね。そんな芸当、私でも正直真似できないかな」

 

 昔から黒鉄の家から疎まれ、誰にも何も教えてもらえなかったから、他人の剣を見て盗む。それだけならまだ武道を極めているものなら分かっていることだ。

 しかし、一輝はその理解をさらに深め、他人の剣の欠点を全て補った剣を編み出した。それは並大抵の努力ではなすことはできない。

 

 そこからは、流れが一輝の方に傾いた。照魔鏡が如く観察眼で、剣術を盗まれた上、その上をあっさりと行かれ、しかも、それを一切の魔力行使なしで行っている。

 この男にとっては、自分の剣技を凌駕すること、自分の猛攻をあしらうことも全て、ただの普通の体術でしかないのだ。

 

 もはや疑いようがない。

 

 剣術においてこの男は自分よりも数段格上にいる存在だと。剣撃における引き出しの数がそもそも勝負になっていない。

 そして、ステラはそれを認めた。その上でなお相手の上をゆくのが、Aランク騎士《紅蓮の皇女》ステラ・ヴァーミリオンだ。

 

 だから、ステラは自分の剣が見切られてると言うのなら、それを利用することにした。

 

 《妃竜の罪剣(レーヴァティン)》での打ちおろす初動を見せる。瞬間、一輝が斜め下から《陰鉄》を振り上げた。

 

 それこそが、ステラの仕掛けた罠だった。

 

 ステラは打ち下ろしを放たずに、後ろへ下がることで、斬り上げ大きく空振りした一輝に初めて隙ができた。

 

(ーーもらったッ!)

 

 一輝の斬り上げは大きく空振り、その一瞬に生じた隙を狙いすまし、ステラはがら空きの脇腹めがけて《妃竜の罪剣(レーヴァティン)》を薙ぎ払う。

 その刃は一輝のがら空きの胴を深々と薙ぎ払うーーーはずだった。

 

「太刀筋が寝ぼけているよ」

「ッ!?」

 

 そう言って、《妃竜の罪剣レーヴァティン》は一輝の《陰鉄》の柄で防いだ。しかも、柄を握る右手と左手にある、わずかな隙間を使って。

 

(一体どういう動体視力してんのよコイツ!?)

「気持ちが押されているから軽々に勝ちに走る。逃げながら斬るなんて君のスタイルじゃないだろう。そんな温い剣だから、僕程度にも受けられる。ーーーこの曲げた一撃は致命傷だ」

 

 告げて、一輝は《妃竜の罪剣レーヴァティン》を大きく弾き、

 

「ハァァァアアア!!」

 

《陰鉄》の刃を、切り札を返され無防備になったステラに打ち下ろした。

 

 

──────────────────────

 

 

「格好悪いわね。こんな勝ち方・・・」

「・・・やっぱり、ステラさんは分かっていたんだね。僕の《陰鉄》が君を傷つけられないと」

 

 ステラの右肩に振り下ろされた《陰鉄》は止まっていた。

 魔力を纏う伐刀者(ブレイザー)は同じく魔力を纏った攻撃でなければ倒せない。

 魔力がバリアの役目を果たすからだ。

 しかし、一輝の魔力は細く、弱い。どれだけ卓越した技を持とうと、一輝には伐刀者(ブレイザー)として重要な資質が欠けている。それこそ、ただそこに立っているだけのステラに傷を付けられないほどに。

 

「もちろんよ。分かった上で剣戟の勝負を挑んだ。魔力だけじゃなく、剣でもアンタに勝って、アタシが才能だけの人間じゃないと思い知らせるために。だけどそれは叶わなかったわね。

 ・・・・・認めてあげるわ。この一戦、アタシが勝てたのは、アタシの才能のおかげだったと」

 

 だからこの試合で彼が『才能に負けた』と言っても、ステラは彼を軽蔑しないだろう。彼にはそれを口にしてもいいほど強いからだ。

 

 だからーーーーー

 

「アンタのその努力をアタシは、認めるわ。だからーーー最大の敬意を持って倒してあげる」

 

 瞬間、ステラが円形のリングの縁。観客席とリングを隔てる壁際まで大きく後ろに跳躍した。

 

 その行動に、一輝は疑問を覚えるが、次の瞬間、それは戦慄によって振り払われた。

 

「蒼天を穿て、煉獄の焔」

 

 

 

「うわぁ・・・・・天井を軽々とぶち抜く力、これは・・・予想以上だね。しーちゃん」

「あんなの一対一で使う技じゃないよ。でも、使ったということは」

「ーーーー黒鉄君があの大技を使うに値する強さの持ち主ということを認めた、そうゆう事だね」

「うん・・・じゃあ、一輝、君はどうするの?

 それと刀華ちゃん、私達はどうする?」

「何が?」

「ここ、あれの直撃コース」

「心配なんかしてないよ。守ってくれるでしょ?」

「もちろん」

 

 《妃竜の罪剣(レーヴァティン)》に宿る炎がその光度と温度を一層猛らせ百メートルを優に超える光の刃に変え、ドームの天井を溶かし貫いた。

 それはまさに太陽の光といっても過言ではないほどだった。

 これぞAランク騎士《紅蓮の皇女》が誇る最強の伐刀絶技(ノウブルアーツ)

 この戦場全てを焼き払う太陽の焔の剣だ。

 

「終わりよ。あがかずに敗北を受け入れなさい。その方が、アンタにとっても幸せよ」

 

 ステラは一輝を尊敬していた。これほどまでに自分を研ぎ澄ますことができる人間ならば、どんな分野でも成功を収めることができるはずだと。ただ一つ、致命的に才能に恵まれなかった『魔導騎士』の道以外なら。

 

 だから、ステラは一輝のためにもその絶対的な才能の力を持って敗北を与えることにした。

 

 

「《天壌焼き焦がす竜王の焔(カルサリティオ・サラマンドラ)》ーーーー!!」

 

 そして、訓練場を焼き切りながら振り下ろされる滅びの意味を知る光の剣。

 

『う、うわぁああ!?』

『巻き込まれるぞぉっ!?』

『お、おい、あそこ!会長と・・・・《眠り姫》!?』

『なにやってんだ、あの二人!?』

『そんな事より逃げなきゃ!』

 

 

 圧倒的熱量を持って迫る敗北を前に、あろうことか、一輝は微笑んでいた。

 

「確かに、僕には魔導騎士の才能がない。でも退けないんだ。ーーー魔導騎士になるのは、僕の夢だから。今この場を降りることを、僕を僕たらしめる誓いが許さない」

 

 自分が人よりも劣っているのは自分自身が一番よく知っている。一輝が魔導騎士になるには、最低でも七星剣武祭で優勝しなければならない。

 一輝が目指すあの人に追いつくためにも、そして、自分よりはるかに才能がありながらもこの一年間、自分を支えてくれた友達のためにも!!

 

「だから・・・考えた。最弱が最強に打ち勝つにはどうすればいいかを。僕が僕を貫くのに何をなせばいいのかを。ーーー今、ここにその答えを示す」

 

 一輝は《陰鉄》の切っ先を持ち上げ、ステラに向けて告げた。

 

「僕の最弱(さいきょう)を以て、君の最強を打ち破るーーーー!」

 

 

 

 その瞬間、一輝の全身と《陰鉄》の刀身から蒼い焔のように揺らめく、淡い輝きが生まれる。

 ステラは自分と同じ火属性の能力かと一瞬考えるが、すぐにあれは可視化できるほどに高まった『魔力の光』だと気づく。

 

(魔力が、増幅しているの・・・・ッ!?)

 

 本来、魔力が生まれ持った量以上にもいかにも変動することはない。

 ならば、これはどういうことか?

 わからないが、ただ一つわかるのは、あの蒼い光を纏った《陰鉄》には自分を倒す力があるということ。

 

 ーーーだが、たとえ自分を倒せる力を持っていたとしてもか太陽の前には森羅万象等しく灰燼と化すのみ、敵が何をしてこようが光の刃を届かせ焼き尽くせばいいだけの話!!

 

(振り抜け!ただそれだけでこの戦いの勝利はアタシのモノだ!)

 

 光の剣が一輝を薙ぎ払わんとした刹那に、彼の姿が消えた。

 否、消えたように見えるほどの速度で跳躍し、光の剣を回避したのだ。

 

「ーーッ!?」

(今の、なに!?)

 

 驚きながらもすぐに二の太刀を払う。

 だが、それも一輝はかわす。そして、その後に振るわれる三の太刀も、振るわれる光の剣の間を縫いながら、疾風が如き速度で戦場を駆け抜け、回避し続ける。そのあまりの速度に、ステラの目は一輝を捉えることができなくなっていた。

 

「くっ、なんなのよその力ッ!?どうして突然、そんな動きができるようになるのよ!」

「それが僕の能力だからだよ。ステラさんが炎を操れるように、僕だって伐刀者(ブレイザー)としての異能を持っている。

 とは言っても、身体能力倍加っていう異能の中で最低の能力だけどね」

「嘘よ!その動き、二倍なんてものじゃないでしょう!それに、身体強化で魔力が上昇するなんて聞いたこともないっ!」

 

 ステラは一輝の言葉に光の剣をふるいながら声を荒らげる。

 身体からは視認できるほどに高まった魔力を放ち、視界にすら捉えられない速度で動く。

 そんな力がただの身体能力倍加であるはずがない。身体能力一つに限って言っても、確実に十倍以上に跳ね上がっている。

 

「そうだね。だって僕は普通の使い方をしていないから。僕はこの能力を普通には使わないで全力で使っている(・・・・・・・・)

「はぁ!?そんな心構え一つで能力が上がるわけないでしょ!?」

「だけど・・・それが心構えだけじゃなく、文字通りの意味なら別だよ」

「え・・・・っ」

 

生物は本能的に自分を生かそうとする。

 

それが生存本能(リミッター)

 

 それは心で全力を尽くすと構えても、本能がそれを許さない絶対無意識。

 言うなれば、生物としてのメカニズムだ。

 

 だが、自分の意思の力で、その箍を外す事ができたら?

 

普通の人間の全力が本来の力の30%程度しか出せないとして、もしそれを100%出すことができるのなら・・・文字通りの全力を発揮することができる。

一輝はそこに目つけたのだ。

 

「アンタ、まさか・・・・・っ」

「そうだよ。この魔力は上がったんじゃない。生存本能(リミッター)を意図的に破壊して本来使えない力に手をつけているだけさ!」

 

 自分の才能の無さは自分自身が誰よりも理解している。

 天才だって努力している。天才が才能だけで戦っているなど、それは単なる冒涜にすぎない。少なくとも、一輝はそう思っている。ゆえに、差なんて広がることはあっても埋まることはない。

 

それを覆すために、一輝は普通ではいられない。ならばどうするか。

 

―――修羅になるしかない(・・・・・・・・・)

 

 たった一分だけでいい。(・・・・・・・・・・)

 その短い時間だけは、誰にも負けないようにしよう。誰だって、倒せるようになろう。

 

 ーーそれが、黒鉄一輝が出した、最弱が最強に勝つための答え。

 自らが持つ全ての力自分自身のありったけをたった一分間のうちに使い尽くすことで、最弱の能力を何十倍もの強化倍率に引き上げる伐刀絶技(ノウブルアーツ)ーーー

 

「《一刀修羅》!」

 

 瞬間、もはや視線すら追いつかない速度で戦場を駆け回っていた一輝が、その驚異的速度でステラの懐深くに踏み込みーーー全てが決まった。

 ザン、と。

 迎撃も防御も悲鳴すら追いつかない速度の中で、ステラは《陰鉄》の一閃をその身に受けた。

 

「ぁーーー」

 

 足元が崩れるような感覚とともに、ステラの意識が急速に奈落へと堕ちていく。

 《幻想形態》で致命傷を受けた時特有のブラックアウトだ。

《一刀修羅》はその名の通り、一刀の元に《紅蓮の皇女》を下した。

 力なく地面に崩れ落ちるステラ。

 

「そこまで!勝者、黒鉄一輝ッ」

 

 レフェリー黒乃が勝者の名を告げる中、その場にいた二人の生徒を除いてほぼ全ての生徒たちが、目の前で起こったあまりにも予想外な結末に、ただ言葉を失い、佇む《落第騎士》の姿を見つめていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 詩音はフラフラと訓練所を出ていく一輝を見送り、隣に座っている刀華をちらりと見ると呆れたようにため息をつく。

 刀華は周りに雷をバチバチと迸らせ、顔には獰猛な笑みを浮かべていた。

 

「そんなに戦いたいの?刀華ちゃん」

「え!?そ、そげなことなかとよ!」

「本音は?」

「・・・戦ってみたいです」

「正直でよろしい。まあ、一輝も必ず選抜戦に出てくるから、早くて選抜戦、遅くても七星剣舞祭で戦えるよ」

 

 刀華にそう答えると、刀華はため息をついた。

 

「はぁ・・・・」

「どうしたの?」

「いえ、やっぱり貴女も大概規格外だなぁって・・・・」

「守ってあげたんだから、そんな事言わない」

 

 いま二人が座っている観客席は、ステラの伐刀絶技(ノウブルアーツ)を真正面から受けたはず、なのに観客席には傷ひとつ付いていなかった。

 刀華にむすっとした顔をしながら、詩音は観客席から立ち上がる。

 

「じゃあ、私そろそろいくね?」

「うん、あっ、しーちゃん」

「なに?」

「たまには生徒会室にも顔だしてよ。カナちゃんもうたくんも会いたがってたよ?」

「了解ですよ。確かに最近会って無いから会いたいなぁ。うん、近いうちに行くよ」

「うん、待ってるよ」

 

 そして、詩音は観客席から立ち去った。

 その背中を見送った刀華も、席を立ち訓練場を去った。

 

「ほんとに規格外なんだから、まさかあれを固有霊装抜きの魔力の壁だけ(・・・・・・・・・・・・・)で防ぐなんてね」

 

 そんな刀華の呟きが誰かの耳に入ることなんてなった。




作者「・・・・・・・・・・」
詩音「・・・・・・・・・・」
作者(そろー・・・)
詩音「あら、作者どこに行くのかしら」ガシッ!
作者「ひっ!・・・ほ、ほら、次の話を書かないと、い、いけないから」
詩音「あなた、前回、私VSステラを書くって言ってなかったかしら?」ニッコリ
作者「いえ、その、区切りが良かったので・・・」
詩音「何か、言うことがあるんじゃない?」ニッコリ
作者「えっ、えっーと、詩音VSステラを書けなくてすいませんでしたぁぁっっ!!!」
詩音「良くできました」ニッコリ
作者「あ、あのー離していただけないのでしょうか?」
詩音「あら、私から直々のO★HA★NA★SIが残っているわ、さあ逝きましょ?フフフフフ・・・・」ニッコリ
作者「まっ、待って!?今の『いきましょ?』の字がおかしかったよ!?は、離してぇっ!?
あっ、皆さん、感想や評価お願いします!!
ちょっとマジでやめ・・・・・イヤァァァァッッ!!!・・・・」

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