赤き正義の味方と禁忌教典   作:暁紅

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シロウのうっかりは治らない

とりあえず1巻の内容が終わったので毎日投稿は一旦終了です。

もしかしたら夏休みの時は復活するかも?

 

決して疲れたとかそう言う理由ではなく、他の投稿作品も進めるためです。

ご了承ください。

 

ですがこの先も作って参りますので、どうぞこの作品をよろしくお願いします。

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アルザーノ帝国魔術学院自爆テロ未遂事件。

 

たった一人の生徒と非常勤講師の活躍により、最悪な結果とならずにすんだこの事件は、関わった組織があまりにも巨大なため、この事件の真相を知っているのは極少人数の講師と教授陣と実際に体験した生徒のみだ。

 

そして、この事件を解決した2人は学院長室に呼ばれていた。

 

「さて、何か弁明はあるか?シロウ」

「これは仕方がなかった事だ。そう、コラテラルダメージだ、ルミアを守るためぇにぃぃ」

「はっはっは随分と面白い事を言うな」

 

セリカは笑ってはいるが目が全く笑っておらず、確実に怒っている。

 

さらにセリカはシロウの頭を片手で鷲掴みにして、宙に上げている。だんだんメリメリと聞こえてはいけない音が聞こえてくる。

 

シロウはこの事を予想していて、許してもらうための最終兵器をだす。

 

「これ...を......」

「これはなんだ?私に買収はされんぞ、何せ今回の後始末全て私がおっ...た...」

 

今回シロウが出した被害は、学院の破壊+転移魔法陣の破壊。それを全て1人で片付けたセリカは決して許さないと固く誓っている。

 

そんなセリカが渡された袋を片手で開けると、中には丸く白い何かが棒に三つ刺さっていて、その上にトロトロと黒い蜜がかかっていて、甘そうな匂いが鼻を突き抜ける。

 

「これは...」

「ここから東方の地にある和菓子と呼ばれるものでね、今その菓子作りにハマっていて」

 

セリカはシロウの堅苦しい説明など無視して、1個棒から取って噛む。

 

うまい純粋にその一言だった。

 

白く丸い物はかなり柔らかい上にある程度の歯ごたえがあり、掛かっている蜜は丁度いい甘さで、無性に熱いお茶が欲しくなる。

 

「こ、この程度では私は」

「他にも饅頭、桜餅、あんころ餅、あんみつがあるぞ」

 

セリカはシロウの手にある紙袋を受け取ると、反省文用紙を1枚手渡し紙袋を大事そうに机におく。

 

「さて、グレン貴様は何かあるか?」

「な!セリカ今買収」

「されてないぞ、これは詫びとして普通の事だ。ほれシロウそれを明後日までに提出しろよ」

「了解した。失礼するよセリカ、グレン」

 

 

愉悦という表情を取ってドアを出ると、何かグレンが叫んだ気がするが無視をする。

 

 

ドアを出て外に出ると心地よい風がシロウを吹き抜ける。

 

「随分と平和だな...あそことは大違いだ」

「あそこって軍人時代ですか?」

「あぁそうだよ、だが君には難しいだろうねルミア」

「むぅ馬鹿にしないで下さい」

 

ルミアは頬を膨らめて不貞腐れる。

 

それを軽く笑うとルミアの頭を撫でる。

何故か撫でたくなる。これがまさか母性なのではと思い始める。

 

「あっ...うぅ...はぅ...」

「おっとすまない。つい本気で撫でてしまった。とりあえずあっちに行こう」

 

ルミアを連れて近くにあるベンチに座ると、彼女用に作っていたお菓子入りの紙袋を渡す。

 

それは先程セリカに渡した物と同じだが、2つ謎の箱が入っていた。

 

疑問に思いお菓子より先に正四角形の箱を開ける。するとそこには七つの花弁が円のようにくっついている指輪が入っていた。

 

「これって...」

 

ルミアは嬉しさのあまり頬が紅潮する。

 

「あぁ君には必要だと思ってね。もう一つの方も開けてみてくれ」

 

もう一つの指輪の入っていた箱より厚さの無いケースを開けると、今度は波を打つような形をした髪留めが入っていた。

 

まるで夢を見てるようと思う。

 

「じゃあシロウは」

「あぁこれは君を守るための物だ」

 

え?

 

「その指輪は魔力を通せば熾天覆う七つの円環(ローアイアス)と言う盾を出せる。そっちの髪飾りは破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)が」

「うん分かってた。シロウはそういう人だって」

「何故落ち込んでいるんだ?」

「別に何でも」

「風邪か?少し触るぞ」

 

シロウはルミアの髪を上に上げると、そっとおでこをくっつける。

 

そんな事をすれば当然ルミアの体温は上がる。

 

「少し熱があるな」

「むぅシロウのせいなのに」

「一度保健室に行くか」

「大丈夫だから早く行こう」

 

ルミアが言うのならと納得して授業を受けるために教室に向かう。

 

だがその前にシロウはルミアの肩を掴み止めると、今付けている髪飾りを外し、新たにシロウの作った髪飾りをつけ、指輪を適当に左手の薬指につける。

 

指輪の位置には必ず意味があり、その場所は永遠の愛を誓うなど、婚約者がつける位置だ。

 

それに気づいたルミアは自然と頬が紅潮するが、シロウにバレないようにと前を向く。

 

 

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「まさかエルミアナが襲われるとは。やはりシロウに行って貰って正解でしたね。まぁそれはいいです...けど......ルミアの報告が少なすぎます!!」

 

アリシアは目の前に広がる3日に1回にシロウから送られてくる、ルミアの報告書を読み耽っていた。

 

アリシアして見れば1日に数回ほど送ってもいいものなのにと思っている。

 

そして、アリシアは後もう少しでエルミアナを間近で見れると思いワクワクするのと同時に

 

「エルミアナを泣かせた上に抱きついたシロウはどうしてくれましょうか...フフフフフ」

 

アリシアにはシロウ以外にもグレンと言う情報網があり、そこからあの事件の時に起きた不祥事について聞いていた。

 

それを知り不敵な笑みを浮かべシロウの写真に何回もナイフを刺す。

 

 


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