赤き正義の味方と禁忌教典   作:暁紅

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ふぅ...2ヶ月?3ヶ月ぶりかな?
まじ遅くなって申し訳ありません。

さらには久々なのにシロウくん出ないし。もうダメな私です。

十一巻までの話を考えるだけ考えて、文字にしないとはこれ如何にです。本当に申し訳ありませんでした。




逃げ出した彼らは

 

「なんでだよ!なんでこうなるんだよ!」

 

グレンは石の壁を思いっきり殴りつける。

 

さっきはアレしか方法がなく、最悪自分がやろうとしていたのに全てシロウが請け負ってしまったことに対して、自分への苛立ちが積もっていた。

 

「先生落ち着いて」

「くそ......クソがァァ!!」

「そんなシロウ...今からでも」

「ダメだよルミアかなり危険なんだから」

「でも」

 

ルミアはその場に倒れ込み大粒の涙を浮かべている。

 

あの魔人の恐怖を知っているからこそ、シロウが生き残っていないだろうと予想がついてしまっている。

 

その考えは皆ついており、諦めムードがこの場に漂っている。

 

『いがいね。貴女にそんな感情があったなんて』

 

どこからとも無く聞こえてくる声に下を向いていた顔を上にあげると、ルミアと瓜二つの顔をした白い少女が歩いて寄ってきていた。

 

「ルミア?違うだってここに」

「誰だお前は!」

 

グレンはシスティ、ルミアを守るように少女との視界の間には入り銃口を向ける。

 

青い大剣を両手持ちで構えリィエルは出方を伺う。

 

少女は二人の戦闘態勢に両手を上に上げ敵意が無いことを示す。

 

「安心しなさい。貴方達の敵ではないわ」

「なんだと?」

「一から話したいところだけど、あの魔人はもう動き出しているの。このまま逃げても無駄よ、倒すしかないわ」

「倒す?馬鹿な事言うなよ、あいつは不死身で」

 

そこで言葉が詰まる。

 

あいつについての情報は明らかに不足しているからだ。そんなおり背後で服がこすらる音が聞こえ振り返る。

 

「くっ、ここは...」

「目覚めたのかよセリカ、具合はどうだ?」

 

髪を掻きむしりながらグレンは様子を聞く。

 

セリカは一向に顔色が悪いまま体を引きずりながら動き、壁によりかかり言葉を紡ぐ。

 

「最悪だな。あの剣は私のエーテル体を奪い取り、自分の力にするようだ...そのせいでこのザマだ」

 

ぐったりとした様子だ自分の今の様子を語る。

 

切り裂かれた傷は治療魔術で治されていので問題は無いが、エーテル体を傷つけられたセリカは自然回復するまで魔術は殆ど使えないと思った方がいい。

 

最悪治ったとしても魔術が一生使えなくなるか、かなり制限がつくことになるであろう。それほどまでに魔術師にとってエーテル体とは重要なのだ。

 

「そう言えばあの魔人はどうした?」

「そうだな、実は」

 

あの時あった事をすべて包み隠さず話した。

 

全てを知ったセリカは余計顔色を悪くし頭を抑える。

 

「あのバカ、また無茶なことを...まぁグレンお前のことだから助けに行くんだろ?」

「当たり前だ、あいつの料理が食べれないなんてこの世の終わりだからな」

「だったら、私を置いていけ確実に足でまといになる」

 

冷めた声で淡々と言い放つ。

 

「ダメだ!お前をこんな所に置いてけるかよ」

「なら、どうする気だ?あの魔人を相手に戦えない私を守りながらやる気か?無謀にも程があるぞ」

「さ、さっき見つけたんだ。地上に出るための転移ポイントを...だからなお前だけでも」

「はっ、嘘をつくならもっとマシな嘘をつけ」

「嘘じゃねぇよ!」

「嘘だな。何年お前と一緒に暮らしてたと思っている...お前の嘘ぐらい見抜けるさ」

 

咄嗟に思いついた嘘もセリカには見抜かれていた。

 

その事に自分の力の無さを悔やむ。シロウであれば上手くかわしていたであろうに、自分ではまともに騙すこともできない。

 

「それに、逃げるなら...私がいる方が」

「ダメだ。それだけはダメだ」

「ばか、私の言うことをき」

「バカはお前だ!」

 

突然の怒鳴り声にセリカの肩が一瞬揺れる。

 

怒声は休憩に止まっている洞窟のようなこの場所全体にこだましていく。

 

「なんで、だよ」

「家族だからにきまってんだろ!」

 

いつもは言わないだあろう心の内をぶちまける。

 

かなりの不意打ちにセリカは口を開け唖然とする。

 

「逆の立場でもセリカならそうするだろ、たとえどんなに生還率が低くても...」

「......」

「それが家族だろ」

「ははっ...家族か...そうか......くすっ...」

「なんで泣くんだよ」

 

少し小っ恥ずかしい事を言ったのは自覚したいるが、突然泣き出すのは想定外だあり慌てる。

 

「私だけどおもってた...家族と思っているのは」

「はぁ?なんでそうなるんだよ」

「だって...私は人間じゃないだろ...だからグレンは家族だなんて思っていないって」

 

セリカの声から微かに喜びが感じられた。

 

さらに、硬く絡まった何かが解れるように温かい何かがセリカの全身を包んでいく。

 

この感情がなんなのか、未だによく分からない。だが、確かなのは家族と言われて嬉しかった事だ。

 

「グレンもう一回言ってくれ」

「なっ......くそっ...家族だから」

「うん?すまない声が小さくて聞こえない」

「だぁくそ!家族だからだ!これで満足か!」

「ありがとうな...グレ......ン...」

 

心の底から安心したのか気絶するように眠りに入ったセリカは、笑顔を浮かべていた。

 

『ありがと』

「うわっ、!なんなんだよさっきから」

『さて、会議をしましょう。あの魔人を倒すための』

 

謎の少女が進行をしながら対策会議が始まる。

 

 


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