赤き正義の味方と禁忌教典   作:暁紅

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皆様戻って参りました。約四ヶ月ぶりの投稿。それにも関わらずお気に入り登録者が1000人を超えました!!!

いやー嬉しいですね。ほんとうに皆様に感謝です。

この作品を久々に書くにあたりある問題にぶつかりました。
話全く進まねぇぇ!!!!この巻の内容いつまでやるつもりだよ!!このあと色々控えてるのに!!となっています。

なので進まねぇと思いながら生暖かい目で見守ってください。


それとプリヤも桜ルートも士郎の格好良さは抜群ですね。ほんとうに感激しました。ただ車のシーンで友達と首を傾げたのはいい思い出。





グレンはご乱心です。

 

数々の珍事件を乗り越え最終日となった今日遂に最深部に到達する。

 

綺麗に磨かれた半球状の部屋の真ん中には謎の装置が置かれていて、近くには黒いモノリスがある。

 

この部屋に来ればまず行われるのが天象儀(プラネタリウム)だ。

 

噂では外に広がる星空と同等またはそれ以上とまで言われている代物だ。それに謎の機械の唯一分かっている利用法がそれなのだ。

 

ルミア達に急かされ嫌々ながらも天象儀(プラネタリウム)のセッティングを終わらせ起動させる。

 

すると、まるで世界が作り替えられるこのように足場まで真っ暗になり、天井にはきらびやかな星達が輝きを放つ。

 

今まで街などでも見た事はあるがこれ程の物を見た事は一度もない。噂は信用出来ないと言われが今回ばかりは当たったようだ。

 

楽しみの時間もそうそうに終わらせしっかりと調査へ戻る。

 

「ふむ...やはり何か気になるな」

「どうしたの?シロウ」

「いやなに、これが気になってな。しかし、何も出てはこない何でも無いはずなんだがな」

 

シロウは天象儀(プラネタリウム)発生装置を触りながら呟く。

 

これでもシロウは御伽噺などの類は子供の時たくさん読んでいたので、この地にも昔来ておりその時に軽くは調べた。

 

結局何も発見できずに終わったのだが、その時から何かをこの装置から感じていた。胸の奥がムズムズする独特の何かがあった。

 

「シロウもそう思うのね」

「君もか?」

「私は何も感じないけど、お祖父(じい)様が何かあるならここだって」

「ここか...」

 

改めて見るが不気味に聳え立つ装置のみ。エリカも調べたが何も見つからない。どんなに頑張ったとしても見つからない。だが、

 

「ルミア少し力を貸してくれないか」

「力?うん...シロウが使いたいなら」

 

そっとシロウの肩に手を当て自身の異能を解放する。

 

感応増幅能力。触れた相手の魔力を底上げして魔術を強化する異能。

 

元から魔力が多くない方であるシロウの魔力を底上げし、最も得意とする魔術を使う。

 

構造解析(トレース・オン)

 

これは剣を作ったりする上で基礎となっていた魔術だ。解析する物が一体どのような物なのか、どのような効果があるのかを調べる事ができる魔術だ。

 

この魔術はシロウが幼い頃に一番使っていた物で思い入れもかなり深い。なので決して初めて使う訳では無いがいつも以上の情報が頭に注ぎ込まれる。

 

例えるならば頭にドロドロの溶けた鉛を流し込むようなそんな激痛が走る。

 

「くっ......」

 

よろめく中モノリスに手を置くことでどうにか倒れないようにする。その直後に突然装置は大きく変形を始める。

 

最初は星空を投影したのと同じよに変形し天井に描いたのだが、装置は回転を始め流星のように星が動き出し、今度は突如として怪しい挙動を停止させる。

 

天象儀(プラネタリウム)の北側の部分に蒼色の三次元的な『扉』が現れる。

 

本来ならありえない起動。数々の研究者や魔術師が調べても現れる事の無かった謎の『扉』が現れたのだ。

 

「どうなってやがる!」

「しまったやらかしたか」

「シロウ何をした」

「モノリスに触れただけだ。他に大きな所はない」

 

とすまし顔で言っているがモノリスに触れた程度で起動するならば過去にも起動しているはずだ。それが無かったのは今回異なる前提条件があったからだ。

 

ルミアの異能による完璧なる解析。

 

シロウはあの膨大な情報の中で明らかに不審な魔術式を発見した。前に解析した時には見ることの出来なかった術式。

 

そのままモノリスに触れてしまうと勝手に起動を始めた。これで証明されたのかもしれないルミアが通常の異能ではなく、異常な異能である事に。

 

隣を見れば驚愕に顔を染める二人がいるが対照的だった。システィはお祖父様が正しかったと喜びの驚き、ルミアは自分の手を見つめ異常な事に気づいたのかもしれない悲しい驚き。

 

(不味いな。やはりと思っていたがこの事はルミアにはまだ早い)

 

考えてみれば疑問点ばかりだった。ルミアのような異能持ちは言ってしまえば他にもいる。なのになぜあそこまでルミアに執着していたのか。

 

確かに王家の血を引いている事を考えれば理由にもなるが、何度も失敗してでも狙い続ける利点が何にもない。

 

とりあえず今はどうにか気をそらさせるため話しかけようとした時背後から怒鳴り声が聞こえる。

 

「何してやがるセリカ!!」

 

声の主はグレンで声のした方に向くと『扉』に手を伸ばしながらセリカが近づいていた。

 

そして、誰もが止められるわけもなくセリカは吸い込まれるように消えていった。『扉』は吸い込んだと同時に消失し完全に行方を眩ませた。

 

あまりに一瞬。瞬き一つすら許されない僅かな時間での消失。全員は絶句とも取れる表情をしている。

 

「グレン!」

「分かっている」

 

突然消えたセリカを今すぐにでも追いかけたいが、この場に生徒を残して行くほど今のグレンは馬鹿ではない。それでも悔しさからか拳を握る力が強くなるのが見えた。


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