赤き正義の味方と禁忌教典   作:暁紅

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やったぜ遂にあのヘラクレスもどきと殺れる。
いやー楽しみだね。シロウの勇姿に乞うご期待。


システィーナってかなりめんどくさいね

 

 

平穏な日常に戻りいつも通り授業が始まる前、周りはいつも通りガヤガヤと騒いでいるが、とある一箇所だけは静まり返っていた。

 

「大丈夫だよシスティ。また次があるよ」

「うん分かってるよ....分かってるけど...へこむなぁ.....」

 

ルミアはシスティーナの肩を叩いた励ます。

 

リィエルは何と声をかければいいか分からずアタフタとしているが、シロウは何故落ち込んでいるのか知っていた。

 

今度魔術教授であるフォーゼル=ルフォイが、新たに発見された古代遺跡を調査するため団員を募集した。

 

システィーナは亡き祖父のため自分も行くのだと、団員に立候補者したのだが落選していた。

 

理由としては大きく分けて2つ。

 

第1に位階の不足。

基本遺跡調査とはそれなりの難易度のため、第三階梯(トレデ)以上の魔術師から選抜される。

対してシスティーナは第二階梯(デュオデ)なので選ばれるのは難しいだろう。

 

 

第2に調査遺跡の探索危険度の高さ。

探索危険度にはS・A・B・C・D・E・Fの七等級を、細分化した二十一段階評価で表される。

今回の調査遺跡は推定B++級。

よく準備された調査隊でも、死人が数人でるレベルだ。

 

この2点から落とされたとシロウは推理している。

 

 

システィーナの元気が少しづつ戻り始めた頃、ドアを勢いよく開け颯爽登場したグレンが、異常なテンションの高さで入ってくる。

 

この時のテンションをシロウは知っていた。確実に何か怪しい事を考えていた時だ。

 

 

「おはよう諸君!!今回は授業を始める前に超重大な発表をする!!」

 

黒板の近くに置かれていたチョークをつまみ上げ、大げさな動きで黒板に字を書き終えると、黒板に書いた文字を大きな声で言う。

 

「遺跡調査のメンバーを決めるぞ!!」

 

遺跡調査と聞けば誰しもが興奮する。

 

全員の反応を見たグレンは調査場所を発表する。

 

「何と今回はあの!『タウムの天文神殿』だ!!」

 

『タウムの天文神殿』は過去にも何度も調査され探索危険度はF級と生徒でも安全に探索する事が出来る。

 

しかし遺跡とは何が起きるのか分かった物では無い。過去にも難易度がE級で油断していたら、隠し扉が現れそこからB級まで一気に探索危険度が跳ね上がったと言う話も無くはない。

 

一応第三階梯(トレデ)の生徒を集めれば良いのに何故このクラスの生徒を集めるのか......金と言う答えに誰しもが辿り着く。

 

もし第三階梯(トレデ)を雇うとなるとお金が発生するが、ここの生徒であれば金は発生しない。

 

グレンならばめんどくさいと断る中この調査を受けた。となると今出回っている噂が真実味を帯びてくる。

 

「なぁ...グレン」

「ななんだよシロウ」

「私たちに隠し事をしていないか?例えば魔術研究の定期報告論文を書いていないとか」

「何故それを!いやーそんなことしらないなー」

「悲しいよグレン......リィエル」

「分かってる」

 

リィエルはグレンの後ろに回り込み、両手を掴みあげ拘束する。

手を拘束され抵抗しようにもリィエルの力が強く抜けられない。

 

身動きの取れないグレンに、シロウは夫婦剣を持って近づく。

 

「残念だよ......本当の事を話してくれれば......先に逝っててくれ」

「分かった分かった言います言わせてください」

 

数分後全てに罪を認め洗いざらい吐いたグレンは教卓の上で正座していた。

 

「それで尻拭いを私たちにか......随分と虫のいい話だな」

「.........」

「だが私たちの仲だ...生徒全員分の焼肉の奢りで手伝ってやるよ」

「く......分かった...」

 

生徒の全員は歓喜の声を上げる。その場にグレンは崩れ落ちて痛い出費になったと後悔する。

 

全員が自分の席にもどると、遺跡探索のメンバー続々と決まっていく。

 

・ルミア

・リィエル

・ギイブル

・セシル

・カッシュ

・テレサ

・リン

・ウェンディ

 

システィーナの内心はあまりにも早く決まっていく事に焦っていた。

 

─どうしよどうしよもうあと1人しか空いてない...お願いします神様。どうか私に

 

そんな願いが叶ったのかグレンはシスティーナの方を向く。

 

「あぁ...それとな最後の1人だが...なんつうかもう決めてんだ」

 

グレンはゆっくりと階段を登ってシスティーナに近づいていく。

 

その1本進む事にシスティーナの鼓動は加速していく。

 

そして、目の前でグレンは止まり

 

「シ」

 

システィーナの顔は春を迎えたように嬉しく笑顔になって

 

「シロウ来てくれ頼む」

「別に構わんが」

 

秋を迎えたように散っていく。

 

─どうせ、どうせそんなんなんだ...

 

肩を震わせて俯く。

 

グレンはキレた!やべぇどうしようと慌てるが、周りにいた生徒全員は分かっていた。

 

シロウはグレンにある行動をとるように言う。何故?と首を傾げるがいいからやれと蹴りを入れる。

 

「よしそれじゃあ後はシスティーナだな」

「......へ?」

「おいおい何驚いてんだよ、お前は隊長に決まってんだろ?嫌だと言っても連れてくからな。もしいかないなら単位を落としてやるよ」

 

システィーナは目元に溜まっていた涙を拭い、立ち上がりグレンを指さす。

 

「なんて卑怯なの単位を盾にするなんて、これは行かなくちゃだめね。次こんなことしたら訴えるわ。今回は仕方なく仕方なく」

 

グレンと含め全員が心の中で思った。

 

『めんどくせぇ~』

 

 


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