先日この作品が検索妨害だと運営から言われ、ビックリしました。
まさかクロスオーバーを入れていないからだとは.....心臓に悪い。
盛大なミスを犯し、別作品のタイトルにて投稿してしまった。恥ずかしさのあまり1月程寝込みます。
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今のシロウの足を持ってすれば海岸から宿まで二分もかからない。
それは屋根を使って一直線に進んでいるからでもある。
ルミアのいる部屋は予め覚えていたので、後は最後の屋根を踏み砕いてルミアのいる部屋まで跳躍するだけだ。
丁度届く程度で飛ぶ音を立てずに着地をすると、中にいるであろう人物に声をかける。
「すまない開けてくれないか」
「シロウ?こんな時間にどうかしたんですか?」
疑問に思いながらも窓を開けてしまう。
そして窓の向こうには血塗れの布を首に巻いているているシロウがいた。
「それは...」
「しまった着替え忘れたか。まぁいいどうせすぐ終わる」
ルミアは抵抗しようと指輪をつけている手を前に突き出し、熾天覆う七つの円環を起動させようとしたが、起動よりも先にシロウの手刀がルミアの首に吸い込まれるように叩き込まれる。
首の骨を折らないように手加減をしているが、それだけでもルミアの意識を奪うには十分すぎた。
その場から崩れ落ちるルミアの腹部に腕を回し支え、そのまま慣れた手つきで肩に担ぐ。
これで帰れると安心したせいで警戒を怠り、こちらに向かってきていた足音に気づけなかった。
「ルミア...何をしているの!」
「はぁ...自分が嫌になるな、まったく」
システィーナは震える手つきでシロウに指を向ける。
もしグレン辺りが向けているのであれば軍用魔術も使えるので警戒するが、システィーナは言ってしまえば子供に毛が生えた程度、警戒する必要もないので気にすら留めない。
「打たないのか?」
「う、打つわよ!」
「そんな震える手では守りたい物も守れないぞ」
なのだが、何故かちょっかいをかけたくなり話かけてしまう。
その震える手つきが昔のグレンぽかったのでちょっかいをかけたのは秘密だ。
「よくもルミアを...」
「安心しろルミアは殺していない。ルミアはこの後の計画に必要なのでな」
システィーナは最悪な事を想定してしまう。
だがそれは違うと頭を横に振るう。だってあの人はと。
そんな彼女の心を打ち砕くかのように、シロウは出来得る限りに醜悪な笑みを浮かべ告げる。
「分かっているだろう。グレンの血だ」
嘘と呟きながらその場に膝を折って崩れ落ちる。
遊び過ぎたなと内心自分を叱りながら、窓からルミアを連れて飛び降りる。
それをシスティーナは見守る事しか出来なかった。
「いや素晴らしい!これでアレが進む」
「ならば良かった。その前に何か羽織る物はないか?さすがにこのままでは耐え難い」
「そうなると思っていましたわ」
エレノアは赤い畳まれた物を差し出す。
今は四の五の言ってられないので、それを受け取り着る。
ただ羽織る上に腰に巻くだけだったので楽だったのだが、うんなんと言うか派手だ。
シロウの基本スタイルは姿を消しての奇襲だったのでこんなに派手ではそれも果たせない。まぁそれも今回はあんまり関係ないかと一応服に何か細工がないか『眼』と『魔術』を使ってしっかりと確認する。
何も問題が無いことを確認するとそこら辺の壁にもたれかかり、軽く仮眠をとる。
「どういう事だこれは!!何故あの男が生きている貴様が殺したのでは無いのかシロウ!」
せっかく眠っていたのに不意に起こされ、少し機嫌が悪いので適当に答える。
「知らん。確かにあの時殺した。シオンがその証明をするはずだ」
本当かと睨むとシオンは肩を竦める。
ちゃんと始末すら出来ないのに何だその態度は!と怒りたい所だが、今はそれよりも進めたい事がある。
「まぁいい。奴らには
キメラを覚醒させるためにバークスはキーボードを打ち始める。
研究者とは随分と切り替えが早いなと思っていると、後から声がかけられる。
「先生...よかった...」
ルミアが安堵のため息を吐くとバークスがキーボードを強打する。
なんせ彼としてはかなりの傑作の
まぁそれが普通の反応だろうな。執行者時代でもあの2人が組んだ事があったが......まぁ化け物じみていたからな。
軽く過去を思い出して懐かしんでいると、エレノアを連れバークスは2人の足止めに向かう。
アルベルトが上手くグレンを逃した事でこちらに物凄い速度で向かってきている。
「どうする。私が迎え撃つか?」
「いやここはリィエルに任せようと思う。行けるねリィエル」
「分かった」
グレンが扉を蹴破り現れるのには数分もかからなかった。
「グレン先生!!」
「ルミア!...さて、どうしてくれようか2人とも」
グレンは手首をパキパキ鳴らしながら近づいてくる。
それを迎え撃つためリィエルは剣を作り出し、グレン目掛けて振り下ろす。
そこに微かに躊躇いがあり、グレンは余裕で避ける。
「リィエルお前そいつが本当に兄だと思うのか」
「信じてる。だって目の前にいる」
グレンはリィエルの剣を巧みに躱しながら語りかける。
その語りかけは、微かに残っていたリィエルの迷いを刺激し始め、だんだんとその剣速は落ちていき、終いには完全に剣を地面におろす。
このタイミングを狙っていたのか、グレンはリィエルの心を揺さ振る一言をかける。
「なぁそんなに兄が大好きなら名前言えるよな」
「そんなのあた...り...まえ......」
リィエルは名前を思い出そうとするが、頭痛が襲い剣を地面に落としてしまう。
突然の頭痛に頭を抱えその場に蹲ると、頭にかかっていた靄が消え名前が浮かび上がる。
「シオン......そうだ...私は...」
「やっと思い出したか...これでリィエルはいいとして、後はシロウお前だな」
グレンは懐に隠し持っていた銃をシロウに向ける。
それでもなおシロウから笑みが消える事は無い。