リリラお嬢様がパパシャンの元へと戻れば、パパシャンは心配したと軽く目尻に涙を浮かばせながらもお嬢様へと駆け出し、おいおいと泣きだした。その姿にお嬢様はさすがにバツが悪くなった様子で、慰めるかのように声をかけては、もう心配はかけないと声をかけていた。その後、白髪の青年がリリラお嬢様を街へと送り届けるといい、二人はゆっくりと街へと歩き去っていった。パパシャンも安心したのか、仕事があるからと言っては「ウルダハ操車庫」へと戻りかけていたが、そこを引き止め、何か手伝えることはないか、と話を進めた。パパシャンは考えながらも、ここから少し離れたところにある、コッファー&コフィンに行けば仕事がもらえる、と言っては一礼しつつ、持ち場へと戻っていった。
「いやー、いそがしいとはいってもさ、あんまりこう、ないがしろにされたかんじじゃあないかなぁ?」
コッファー&コフィンへと向かう途中、シルビアちゃんはやや頬を膨らましたような表情をしつつも歩みを続けていた。
「まぁ、今さっき大切なお嬢様が見つかったばかりでゴワスからなぁ。心身的にも疲労が溜まってるんでゴワスよ、きっと」
「だとしても、こう、おじょうさまなんだからおかねくれてもよくない?」
「お嬢様と言ってもどれぐらいお金を持ってるのかが不明瞭でゴワスからねぇ。まぁ、また何かあればきっと縁があるでゴワスよ」
「だといいんだけれどねぇ」
ぶつぶつとやや不貞腐れ気味のシルビアちゃんを横目に、苦笑しつつも歩みを進めていく。すると、景色が少しずつだが変わってきた。周りにはサボテンが多く生え始め、少しだけ土埃が強くなってきた。そのせいか、カラカラと音を立てながらも大きく、力強く回っていく風車、そこからは二本の電線がゆらりと少したれ下がりながらも伸び続け、近くにある木の小屋へと繋がっている。その小屋の入り口には、このような看板が吊るされていた。
COFFER and COFFIU
「ここでゴワスかね?コッファー&コフィンっていうお店は」
「しるびあよくよめないけれど、たぶんここであってるんじゃないかな?」
「女性の勘ってゴワスかね。まぁおいどんはなんとか読めるでゴワスから、多分ここで合ってるでゴワスよ、うん」
そう言いながらもドアへと手をかけ、ゆっくりと扉を開く。木製の扉であるため、キィッ、と小さな音を立てては中の姿が露わになる。電球替わりのランタンが店内には吊るされ、薄暗いながらもテーブルの近くをしっかりと照らしている。そのお店の中にはシルビアちゃんと同じ種族であるララフェル、自分と同じ種族のルガディン、はたまた普通のサイズのヒューマンといったように、多くの種族が溢れ返っていた。中には冒険者のような風貌の人達もおり、テーブルを囲んでは色々と話を進めつつ、店員へと注文を取っていた。
「結構賑わってるでゴワスねぇ。おいどん酒場とか来たことがないんでゴワスけれども、どこもかしこもこういう感じなんでゴワスかね」
「んー、しるびあまだちっちゃいからわかんないよ」
「それもそうでゴワスねぇ……ちなみにでゴワスけど、シルビアちゃん何歳なんでゴワス?」
「それ今聞くの?」
「……なんでもないでゴワス」
急に声のトーンが変わったシルビアちゃんにやや戦慄を走らせながらも店主らしき人物へと声をかける。店員は少しだけ忙しそうにしつつも、見慣れない自分たちを見てはこちらへと顔を向けた。
「なんだい、見慣れないな、あんたら。お客かい?」
「えっと、まずはここがコッファー&コフィンでいいんでゴワスかね?」
「おうともよ。ここが俺、ロジャーの経営する店ことコッファー&コフィンさ。まずは話がしたいのならカウンターにでも着いて注文しておくれよ。お客さん」
そう言いながらもニヤリと意地悪そうな笑みを浮かばせつつ、手を軽く広げながらもロジャーと名乗った店主は自分たち二人を座席へと座りこませた。
遅れてしまい申し訳ないです。と言いながらも今回は前文がほとんどなんか色々と飛ばし気味で上手く書けなかった気が……
次の話はもっとうまく書きます(多分)