勇者「絶対に笑ってはいけない魔王討伐24時?」   作:めんぼー

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「いつまで、そうしているのですか?」
「俺はただ…笑って暮らしたいだけだったんだ…」

「愚かな…伝説の勇者も、利己的な人の子でしたか。」
「違う!皆の為に…皆の笑顔が絶えぬ世を作ろうとして、何が悪い!」

「その結果が人間と魔族の和平会談ですか?」
「そうだ!!人間と魔族が手を取り合う事を夢見て…俺は!!」

「そして決裂した人の子と魔の者は、戦争を起こしました。」
「…」

「あなたには失望しました。」
「俺は…俺は…っ」

「勇者、あなたは役目を終えました。」
「まだだ!俺はまだ…うわっ!」

「眠りなさい。存分に夢の中で世界を救うのです、あなたの好きな笑顔で。」
「俺…は…」


「もう一度目覚めるまで笑い、苦しみなさい。それが、あなたへの罰です。」


そして伝説へ

 

~魔王城・宴会場~

 

 

勇者「っ!!」ガバッ

勇者(夢…か…なんだったんだ、あれ…)

 

神父「んごぉぉぉぉ!!!…かっ……むふひひひwwww」

勇者「寝ながら笑うとは…器用な人だよまったく」

 

魔法使い「んぅ…」プルプル

僧侶「すぅ…すぅ…っ」ブルブル

勇者「二人とも震える程寒いなら毛布かけて寝りゃいいのに…宴会場の床じゃなぁ」バサッ

 

勇者は自分のマントを二人にかけた

 

戦士「ギリギリギリギリギリギリ」

勇者「歯軋りぱねぇな」

 

勇者「あーそうか…みんな飲み潰れて…魔族の人達も寝てる…なんで?」

 

―今夜皆が寝静まったら城の庭へ一人で来い。そこで話す―

 

勇者「…庭に行くか」

 

 

~魔王城・庭園~

 

 

月明かりに照らされ、美しい光景を見せる庭園

その中心に机が置かれ、傍らには椅子に腰掛けている魔王がいた。

 

さくさくと芝生の上を歩く勇者

その音に気づくと、魔王は振り返ることなく頬杖をついていた左手を動かす

魔力の気配、もう一つ置かれていた椅子を魔力で動かしたのだった。

 

勇者「魔王…」

魔王「遅かったな?」

勇者「すまない、俺も少し寝てしまった。」

魔王「…そうか」

 

空席の椅子の前へ進む勇者

 

勇者「失礼するよ」

魔王「…あぁ」

 

少しの間が空く

 

勇者「それで、話って?」

魔王「…」スッ パキン

 

魔王は男湯で見せた結界を張った

 

勇者「あぁ、それやるんだ」

魔王「当然だ、内容が内容だからな。」

 

魔王「それで、話をする前に」

勇者「うん」

魔王「勇者、夢を見なかったか?」

勇者「夢…」

魔王「そう、夢だ」

 

女神様が自分を眠らせる、夢

目覚めるまで笑って苦しめと言った、夢

 

勇者「見たよ」

魔王「そうか…」

 

庭園をそよ風が吹きぬける

眠気覚ましにはちょうどいい冷たさだった

 

魔王「女神の夢だろう?」

勇者「…え?」

魔王「なぜわかったと言いたげだな」

勇者「そりゃ…まぁ…」

 

魔王「…余も、見たのだ」

勇者「女神様の夢を?」

魔王「そうだ」

勇者「そりゃまたおかしな話だ…魔王の夢に女神様とは…」

魔王「女神は余に、こう告げた」

 

―あなたと勇者は泡沫(うたかた)の夢、(まこと)の夢へ帰るには―

 

魔王「そこで起きてしまって、それ以降さっぱりだ」

勇者「泡沫の夢…真の夢…」

魔王「お主はどんな夢だった?」

 

勇者は、自分の見た夢を話した

 

魔王「世を救えず、女神によって眠らされた哀れな勇者…か」

勇者「そして微笑むことも許されない…呪われた勇者さ」

魔王「…っ!」ガタッ

勇者「どうした?」

 

魔王「いや…なんでもない…気のせいか」

勇者「え?」

魔王「勇者…今から奇天烈(きてれつ)な話をするが、黙って聞いてくれるか?」

勇者「ん、わかった」

 

魔王「まずは結論から続けて話そう。我々は【この世界の者ではない】という推測の下、話を進めるぞ」

 

魔王「勇者の冒険譚の話を覚えているか?」

勇者「あ、あぁ…えぇと…」

 

 

 

魔物と人間が戦争をしている時代

始まりの国に住む貧しい孤児の少年が天啓を受ける

 

勇者は王様に謁見する事無く一人で旅に出ると

隣村で人間を襲う魔物の噂を聞く

 

魔物の住処にやってきた勇者

そこには無数の人間の屍骸があった

 

魔物の親玉へ幾重にも重なる剣戟、ついに親玉を倒す

しかしその隣村は呪われ、親玉と命を共有していた

 

親玉を屠った時、村を紅蓮の炎が包む

無数の命が散りゆく中、誰に感謝される事なく、勇者は一人歩き続ける

戦乱の世を憎みながら

 

行く先々で同じ事の繰り返し

やがて勇者は笑うことをやめた

 

ついに魔王城の門前へと辿り着く勇者

開かれた門の中から魔物の大軍勢が勇者を襲う

 

魔物を打ち破るも、満身創痍(まんしんそうい)の勇者であったが

魔王との決戦へ赴く

 

そして

 

魔王「…もう、いい」

勇者「え?」

魔王「聞くも腹立たしい絵空事だ…余が人を襲う?そんな馬鹿な話が…」

勇者「…」

 

魔王「物語の【勇者】も理不尽極まりないとは思わないか?」

勇者「あ…え…?」

魔王「誰も救えず誰からも感謝されず、一人黙々と道を歩む【勇者】。こんなもの、子供が憧れると思うか?」

勇者「…そういえば…なんでだろう…なんで俺、この物語に憧れて…」

 

 

ふと、気づく

 

 

勇者「あ…ぁ」

魔王「どうした?」

 

 

【おもいだす】

 

 

―始まりの国に住む貧しい孤児の少年―

 

母 『とうとう旅立ちの日だねぇ…』

勇者『そうだね、でも大丈夫。仲間も一緒だし』

母 『あぁ、勇者…どうか元気に、無事に帰ってきてね』

勇者『はい、お母さんもお身体お大事に。それじゃ行ってきます』

母 『気をつけて行くんだよ!』

 

 

【あぁ…そうだ…】

 

 

―勇者は王様に謁見する事無く一人で旅に出る―

 

勇者『おはよう』

戦士『おう、ようやく揃ったな』

魔法使い『それじゃ、行きましょ』

僧侶『き、緊張してきました…』

 

 

【このたびは、ほんとうのおれがゆめみていた】

 

 

―そこには無数の人間の屍骸があった―

 

ボス『あれを見ろ!!貴様ら人間が姑息な手段で屠って来た魔物たちの墓だ!!』

 

 

【ながい、ながい たびのはてにたどりついた】

 

 

―誰に感謝される事なく、勇者は一人歩き続ける―

 

 

『また来いよ~!』

 

 

【 おれの ねがった せかいのたび 】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―開かれた門の中から魔物の大軍勢が勇者を襲う―

 

 

 

??『太陽拳!!!!』カッ!

神父『うおっまぶしっ』

 

勇者「いやそれは違うわ」

 

魔王「どうしたというのだ」

 

 

勇者「魔王、お前はこう言いたいんだろう」

魔王「なんだ?」

 

勇者「この世界は、夢なのだと」

魔王「…」

 

ピシッ

 

魔王「何っ!?結界が…!!」

勇者「もう、終わりにしよう」

 

魔王「…気づいたのか、勇者」

勇者「…俺にはもったいない…夢だ…」

 

パリィン

 

魔王 の 結界 は 音を立てて 崩れ去った !

 

結界が崩れると同時に、旅で出会った人達がまわりにあらわれる!

 

 

 

王様「おめでとう」パチパチ

王子「おめでとう」パチパチ

姫 「おめでとうございます」パチパチ

 

兵士「おめでとう」パチパチ

兵士長「おめでとう」パチパチ

詩人「おめでとうございます」パチパチ

 

戦士「めでたいなぁ」パチパチ

神父「おめっとさん!」パチパチ

魔法使い「おめでとう」パチパチ

僧侶「おめでとうございます」パチパチ

 

ボス「おめでとう」パチパチ

女魔「おめでとうございます」パチパチ

 

 

 

魔王「おめでとう」パチパチ

母 「おめでとう…元気でね…」グスッ パチパチ

勇者「…ありがとう」

 

 

気づかせてくれた魔王に、ありがとう

夢の中の愛する母に、さようなら

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 勇者 タ イ キ ッ ク ー

 

勇者「…?」

 

戦士「やべぇ~マジで寝過ごすところだったぜ」

勇者「?」

 

魔法使い「あんたねぇ、ほんとに寝る奴がある?」

勇者「おーい?」

 

僧侶「正直笑い堪えてて寝るどころじゃなかったんですよね…すみません勇者様…」

勇者「笑い堪えてて…って…ハッ!?」

 

~回想~

 

魔法使い「んぅ…」プルプル

僧侶「すぅ…すぅ…っ」ブルブル

勇者「二人とも震える程寒いなら毛布かけて寝りゃいいのに…宴会場の床じゃなぁ」バサッ

 

~終わり~

 

神父「いやぁ~わしは我慢できんかったわ」

―んごぉぉぉぉ!!!…かっ……むふひひひwwww―

勇者「」ボーゼン

 

 

魔王「途中から笑いを堪えるのに苦労…ムフッ…したぞ…w」

 

~回想~

 

「世を救えず、女神によって眠らされた哀れな勇者…か」

「そして微笑むことも許されない…呪われた勇者さ」

「…っ!」ガタッ

 

~終わり~

 

魔王『そして微笑むことも許されない…呪われた勇者さ』キリッ

 

戦士「お前そんなこといってwwwwww」

魔法使い「むふっwwwww」

僧侶「」コヒュ

 

デデーン 戦士、魔法使い、僧侶 アウトー

スパスパスパァン!!!

 

勇者「そ、そんな待ってくれよ!!あの、あの夢は!?」

魔王「あぁ、あれか?」

ホワンホワンホワンホワーン

 

~回想~

 

勇者「」睡眠中

 

僧侶「あなたは夢であって夢じゃない夢を見てマース、ハーイ」洗脳中

勇者「うーんうーん…」

 

僧侶「こうこうコウイウ設定デー、旅にデマシター」

勇者「うぅ…」

 

戦士「…っ!…っwwwwwwww」←声にならない笑い

魔法使い「」ムフヒュ

神父「…むほふっっっ!!!wwwwww」←アウト判定すら出来ない程笑う

 

僧侶「いつまで、そうしているのですか?」←演技中

勇者「俺はただ…笑って暮らしたいだけだったんだ…」

 

魔王っ【カンペ】

僧侶「愚かな…伝説のゆうしゃもー、りこてきなひとのこでしたかー」

 

神父「腹つったっ!!は、腹っ!!!!!」

魔法使い「静かにしなさいよwwwwww」ボソボソ

戦士「ぼうよwwwwみwwwww」バシバシ

 

~終わり~

 

 

 

 

魔王「というわけだ…w」

勇者「」ポカーン

 

 

勇者「あの絵本は…?」

神父「あ~あれな、お母さん説明したってください」

 

 

母 「あれねぇ~…【勇者】の運命が凄惨過ぎて子供達に悪影響出るからって、売りに出される前に販売中止になった絵本なのよ」

勇者「え?」

母 「お父さん、王国新聞の関係者でしょ?」

勇者「ハイ」

 

 

母 「子供の頃に勇者がど~しても【勇者】の冒険譚読みたいって聞かないから…集英社の知り合いのコネでね。」

勇者「つまり?」

母 「正式な絵本は仲間と旅に出てます」

勇者「」

 

 

魔王「ちなみに結界の外へは丸聞こえでした、ただの薄っっっっっっっすい幻術結界」

勇者「」真っ白

 

 

王様「そろそろこの旅の目的を話さぬか?」

魔王「おぉ、そうであったな人の王よ」

 

 

勇者「」

王様「勇者よ、聞いて欲しい」

勇者「ハイハイナンデスカ」

 

 

魔王「実を言うとな、真面目な話我々は戦争寸前だったのだ」

勇者「うそぉ!?」

神父「うそぉ!?」

 

 

戦士「お前もかよwwwwww」

魔法使い「あいつwwwww」

僧侶「むふっwwwww」

 

 

デデーン 戦士、魔法使い、僧侶 アウトー スパァン!

 

 

王子「一見平和そうに見えたでしょうが、水面下で経済や流通、土地、食料の揉め事があったんです」

姫 「このままでは戦争が起こるのも時間の問題でしたの」

 

女魔「それに未だに人間を下等生物と罵る魔物達や」

ボス「魔物を家畜同然に見る人間も少なからずいるわけだからな、火に油ってなもんよ」

 

 

 

王様「そこで考え付いたのが」

魔王「人間と魔族で行う共同企画」

 

 

王様・魔王【絶対に笑ってはいけない魔王討伐24時】

 

 

勇者「絶対に笑ってはいけない魔王討伐24時?」

 

 

魔王「人間と魔族両方に魔水晶にて閲覧させ、高感度を上げる作戦だ」

王様「うなぎ上りじゃったぞ」

 

 

魔王「互いに手を取り合えば笑いあえる物を作れる」

王様「それがこの企画の こんせぷと じゃな」

 

 

 

勇者「…」

神父「勇者様」

勇者「え?」

 

 

神父「役とは言え、数々の御無礼、お許し下さい」

 

戦士「我々も嘘をつきました事、お許し下さい」

魔法使い「全ては世界の平和の為…」

僧侶「何卒お慈悲を…」

 

 

勇者「出会った時に交わした約束も、話も、全部」

 

 

戦士「はい」

魔法使い「きっかけを作るのに…」

 

 

勇者「お前ら許さない…」

 

 

戦士「…」

魔法使い「…」

僧侶「…」

 

 

勇者「次敬語使ったら許さない…!僧侶も敬語やめないと許さない!」

 

 

戦士「…っ!」

魔法使い「…わかったわ」

僧侶「…うん」

 

 

魔王「大団円というやつか?」

王様「そうじゃな、ほっほっほ」

 

 

どさっ と、勇者は芝生に寝転がった

 

勇者「なんだよー!!!!!ちくしょー!!!!!!!」ジタバタ

 

続いて魔王も横に座る

 

魔王「勇者」胡坐(あぐら)

 

勇者「あんだよ」ジロッ

 

 

 

魔王「笑いで世界、救えたじゃないか?」

勇者「…へへっ」

 

~後に人々は(うた)う~

 

~笑いで世界を救った勇者の冒険譚を~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神父「あ、勇者様 アウトです あとタイキックも残ってますので」

勇者「」ガバッ  ダダダダダダダダダダ

 

戦士「逃げたぞー!」

魔法使い「勇者ー!タイキックー!」

僧侶「待ってー!」

姫 「」シュバッ

 

 

えっ?姫様?なんでここに…アァッヤメッ!

 

 

 

シパァァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!

 

そして伝説へ




稚拙な文章、長ったらしい空白
謎な急展開

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