アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止   作:真実の月

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《新刃戦》:通達

翌朝

 

「おっはよぉー!みんな《絆双刃(デュオ)》は決まってよかったねー!じゃあ席を《絆双刃(デュオ)》同士に並び替えて心機一転!ってとこだけどぉ……おやおやぁ?仮同居の時とパートナーが変わってない人もいるみたいねー?」

 

「相性が良かったんです」

 

「おお!どんな相性?」

 

「性格」

 

「ちぇー」

 

よからぬ答えでも期待していたのか?

 

「そっちはそっちであぶれちゃったみたいだねぇ?」

 

透流がつまらないと感じたのか、今度は俺に振られる。

 

「運が無かっただけです」

 

俺の答えに先生はむっとする。面白い答えを期待していたようだが、あいにく、申請してない人は抽選で《絆双刃(デュオ)》が決まるというルール上、今回はただ単にツキが回ってこなかっただけ。それについて答えるならこうしかない。

そもそも、なぜそこまで面白い回答を期待しているのかわからない

 

「つまんないなぁー。もっと面白い回答してよー!」

 

「「断る!」」

 

俺と透流の声が見事にハモる。

 

「もー、先生への口の聞き方がなってないぞ!めってするぞ!」

 

「そんな暇あったら早く進めてください。もうすぐ1限目始まります」

 

「ほんっとになってないなぁ……まあいいや、話を続けるよ!《絆双刃(デュオ)》も決まったことだし、さっそく来週に《焔牙(ブレイズ)》の使用を許可した模擬戦、《新刃戦》を行っちゃうよー!」

 

「……は?」

 

来週ということはゴールデンウィーク前か……いやそういうことではなく

 

「早くな」

 

「うんうん、みんなの思ってることよーくわかるよ!アタシも当時は何言ってんだこのクソメガネ、あとでぶっ飛ばしてやる!なんて思ってたし……あ、三國センセには内緒にしててね」

 

当時の担任は三國先生だったようだ。

その時、ふと外に誰かがいると感じ取って後ろを振り向いて窓越しに廊下を見る。ほとんどの生徒からは見えづらい位置で三國先生がメガネを光らせているのが見えた。よく見ると頭に青筋が浮かんでいる。

俺は前を向いて、「三國センセには秘密って……教室の外にいるのが見えるんですが」と言おうとするが、三國先生が手で制したのでやめた。ただ、あとで月見先生の身に起きるであろうことは容易に想像できた。

 

「それじゃあ《新刃戦》のルール説明をするよー!まずは日程だけど、来週の土曜日!つまりゴールデンウィークの前日ね、誰が病院送りになってもいいように休み前にやるってわけ」

 

病院送りが出ること前提かよ、縁起でもない

 

「開始は午後5時、終了は午後7時までの2時間!時計塔の鐘が合図だから聞き逃さないようにねー。で、範囲は北区画一帯。校舎の中も有り!2人の《焔牙(ブレイズ)》の特性を生かして、自分たちに有利な状況を作ることも重要だよ!」

 

要は何をしてでも自分有利にして打ち取ればいいのか。これなら《焔牙(ブレイズ)》の形を変えられる俺にとってミスさえしなければだが難易度はイージーだ。

 

「で、組み合わせだけど……」

 

クラス全員が先生をじっと見つめる。

数秒の沈黙の後、先生は指を立てて言った

 

「全員、敵」

 

一瞬にして俺にとっての難易度がイージーからハードを飛び越えて常時ルナティックまで跳ね上がり、絶望を感じた

 

「じゃ、連絡終わり!授業の用意をして待っててねぇ!」

 

嬉々として教室をでようとする先生。引き戸に手をかけたところで動きが止まり、同時に汗がだらだらと流れている。そりゃそうだ。目の前に頭に青筋を浮かべた三國先生が居るんだから

 

「月見先生、積もる話があるので職員室まで来てください」

 

「逃そ」

 

「逃がしません」

 

襟を掴まれてそのままズルズルと職員室へと連行されていく

数分後、なぜか校庭から爆発音と月見先生の悲鳴が聞こえてきたが、クラスメイトは特に何も反応しなかった


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