アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止 作:真実の月
理由は活動報告と、小説のあらすじにのせておきます
理事長と会ってから二日経った合宿4日目。俺は、約70キロある人形を背負って薄暗い森の中を全力で走っていた。
(ルールは単純明快だが……ハードな訓練だな……!)
うさ先生こと月見が出した訓練内容。それは森の中での鬼ごっこだ。
月見の訓練ということで覚悟はしていたが、細かい起伏や木々の根や枝が邪魔をするのに加え、背中の人形と高い気温が体力に追い撃ちをかけてくるという地獄だ。それも初日の《
この訓練の設定としては、捕まった要人を救出して回収ポイントに向かうと言うもので、実際にゴールが数箇所に配置され、俺達本校組はそこを目指すことになっているが、この森になれている上に無線機という最強アイテムを手にした分校組がそれを阻止しようと動いて、捕まえに来る。
本校組は鬼ごっこの基本である追う側を攻撃してはいけないというルールの中で分校組から隠れ、撒いて、ゴールを目指すのだがーー
「見つけた!」
ここまで見つかってこなかった俺のところにも鬼が来てしまった。
「やべっ!」
すぐに方向転換して、全く別の方向へと走る。
ここで訓練を始めてから四日、島の環境を活かした訓練をしてきたおかげである程度森には慣れたのだが、やはり約3か月ここで過ごして、俺達がここに来て初めてした訓練をやってきた分校組は、この森が家と言わんばかりに、森を獲物を追う猛獣の如く駆け抜け、時に幻惑して俺を追いかけて来る。
「厄介なことこの上ないな!」
「お褒めにあずかり以下略!」
「何だよそりゃ!」
鬼は森を縦横無尽に動き回りながら、しかしゆっくりと距離を詰めてきている。
横から抜けようかと思っても、隙がなくて抜けようがない。そして段々とゴールから遠ざかっていく
「一か八か!《
人形を捨てるように降ろし、《力ある言葉》を叫ぶと焔は大剣の形を作る
当然だが、攻撃に使うわけではない。ならどう使うかと言うと……
「でぇぇぇっ!」
振り向きざまに、木の一本を目掛けて振り抜く。手応えはあった。これなら狙い通りに行くだろう
「悪あがきをっ!?」
木は狙い通り鬼のほぼ真上に、ミシミシと音を鳴らしながら倒れはじめた
「もう一本追加だ!」
反対側の木を同じように切り倒す。
二本の木に襲われた鬼は木から逃げるように去って行った
「ふぅ、何とか切り抜けた……」
ホッとして木を背にゴールへ向かおうとすると、どこからともなく「ピンポンパンポーン」という場に不釣り合いな音が森に流れ
「風麗く~ん、人形が木に押し潰されたので失格!」
月見のハイテンションなこえで俺の失格が告げられた。放送にきづいて見渡すと、確かに人形は潰され回収しようにも木が大きすぎて《
なお、分校校舎に戻った時には人形は既に回収されていた。いつ回収したのだろうか
「使えるものは使えって助言したけどよ、まさかそのために人形を捨てるとは思わなかったぞ」
月見の説教とペナルティーの島一周(海岸)マラソンを終えた俺に優が鬼ごっこでの俺の行動にツッコミを入れて来る
「人形が回収不能になったら失格なのをすっかり忘れてたんだよ」
「ま、普通にやれば重りを持って逃げるだけだもんな」
「その普通すらできなかった馬鹿ですよ俺は」
そのまますたすたと歩き、俺は森の中の広場へ向かう。
何をするかと言うと、《
というのもここに来て訓練を重ねるうちに、一対多の状況では一度消す行為がかなりの隙になることをリーリスや優達に指摘され、《
「さて、やってみるか」
試すのは《
普通に想像するよりは確実性が上がるが、名前を知らない武器にしようとすると確実性は下がるのが欠点だ
「《
俺が《力ある言葉》を発すと焔が体の周りに現れ形を作る
程なくして、一本の剣になった
「ここからだよな、《
形の似ているもので想像しやすい短剣を想像すると、強く感じるほどの負担もなく剣は短剣となる。
「大剣……は変わらないか、なら《
再び形を変え、《
「っ!ふぅ、慣れない武器だと負担が重いか」
体のだるさを感じ、これ以上は午後に響くと判断して《
思い返すと、今やっている《
「《
それが近道なのだろうが、そもそも方法が分からない以上やりようがないためこの案は捨てている
そして時計を見ると午後の訓練開始10分前だった。
余計な時間を使ったのが痛いが過ぎたことは仕方がない。訓練を切り上げて俺は分校校舎へと向かった