アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止   作:真実の月

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上陸

「どう?」

 

「大丈夫、誰もいない」

 

岩影から少し頭を出して周りを見る

あれから何事もなく島にたどり着いた俺達は、再度狙撃されることを警戒して開けた砂浜からの上陸を避け、少し危険だが隠れる場所のある岩場から上陸することにした。

だが運の良いことにそれは杞憂に終わった。他の場所に行ったのか、他の《絆双刃(デュオ)》に倒されたのかは知らないが、少なくともこの近辺には居ないようだ

 

「よし、一度休憩しよう」

 

「そうね、少し疲れたわ」

 

岩場をこけないように気をつけて進み、そしてすぐ側の木陰に入って座り込んだ。

ここまで1時間以上。予想以上に時間が掛かってしまっている

しかし陸から見ても海は穏やかで潮風が気持ちいい。そして真横を見るとリーリスが濡れた制服を脱いで……

 

「ってリーリス!何してんだ!?」

 

「何って服を乾かしてるのよ」

 

「いやいやいやいや!乾かしてるのじゃなくて!何でここで脱ぐ!?目のやり場に困る!」

 

「今更気にすることじゃないわよ。昔なんて一緒にお風呂入ってたでしょ?」

 

「初耳だ!?てかそんなこと良いから服を着ろー!!!」

 

渋々と言った表情でリーリスは服を着た。全く、心臓に悪い

 

「さて、先へ進む?それともまだ休む?」

 

そして30分ほど休憩したところで、リーリスが立ち上がった

 

「何でゲームの選択肢みたいな聞き方なんだよ。とりあえず先へ進もう。合宿所に着けば何か分かるかもしれーー伏せろ!」

 

「きゃ!」

 

覆いかぶさるように伏せた直後、頭上を矢が通り過ぎた。

目の前には巨大な弓を、矢を放った後の姿勢の人影。人は違うかもしれないが、襲撃者だ。

人影は当てられなかったと見るや森の中へ駆け込んで行った

 

「くそ!追うぞリーリス!」

 

「え、ちょ!待ってよ!」

 

俺達はそのあとを追って森の中へ入る。

森の中は入り組んでいるように見えて、かなり細い獣道のような道がある。そこを人影は走って逃げている

 

「リーリス!《(ライフル)》で撃てないか!?」

 

「無理!道が細すぎて出したら木にぶつかる!」

 

「ちぃっ!」

 

後ろからの攻撃はできない。となると追いつづけるしかない。しかし相手はこの環境に慣れているのかかなり速く、追いつける気がしない。

そのまま人影を追いつづけて獣道を駆け抜け、そして少し広い場所に出た。いつのまにか、前にいた人影は消えていた。

少し休憩しようと思ったが、何か妙だ。この場所だけよくわからない違和感がある

 

「ねぇ、何か妙じゃない?」

 

リーリスも感じていたようだ

 

「ああ、俺もそう思ってる。ここだけ何か妙な違和感があるんだ」

 

「さっきの人影もあのあと一度も攻撃してこなかったし……」

 

「まさかーー」

 

「貰った!」

 

突然の声に後ろを振り向く。目に映ったのは長い棒のような物を振り下ろす別の人影

 

「な……ぁっ!?」

 

咄嗟に右腕でガードするが相手の一撃は重く、全身に響く強い衝撃の直後、次の瞬間には俺は吹き飛ばされて木にたたき付けられていた

 

「くそぉ……!さっきのは陽動か!」

 

完全に引っ掛かった。リーリスを探すと、さっきの弓使いと戦闘になっている。陽動からの分断。タイマンに持ち込んで行くのが敵の戦術だったようだ

場所もある程度広いとは言え森の中。木漏れ日はあれどそれでも薄暗く、ただでさえ黒装束の相手の姿が捕らえづらいのに加えて空は夕焼け。加えて相手の武器は長柄の何かだ。《焔牙(ブレイズ)》は殆どが黒基調なことも考えれば暗くなると完全に積む。ここを抜けるには暗くなる前に倒しきるほかない

 

「やるしかない。悪いけど、押し通る!《焔牙(ブレイズ)》!」

 

《力ある言葉》を紡ぎ、《焔牙(ブレイズ)》を具現化させる。炎は刀となり、それを手に握ると俺は目の前の敵に斬りかかった


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