アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止   作:真実の月

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奇襲

一番手で飛び込んだ俺達は残ったクラスメイトが全員飛び込むまでの間に、流れに乗って船と島のちょうど中間地点までたどり着いた

流れに乗ったおかげで体力はまだ残っている、先の道のりを考えてもこのまま行ければ余裕だろう

 

「リーリス、島までは後どれくらいだと思う?」

 

「だいたい2キロぐらいじゃないかしら?」

 

「後一息ってとこか」

 

ここまで掛かった時間は約30分ほど。幸いなことに海は穏やかで予想よりも早く動けている。いいペースだと呟き、塩の味がする海を進もうとするーーそんな俺達の頭上を何かが通りすぎた

 

「襲撃!?」

 

「陸からの狙撃!潜って!」

 

慌てて俺達は潜る

第2射が目の間に落ち、目の前を通りすぎていく。ぼんやりと見えたそれは、俺達の真下で一瞬発光して消えた

 

(《焔牙(ブレイズ)》!?)

 

どうやら襲撃者は《焔牙(ブレイズ)》を使うようだ。となるとスタッフの先輩方かもしれないが、攻撃された以上何とか逃れて合宿所にたどり着くしかない

撃っても当たらないと判断したのか、3射目を撃って来る気配は感じられない。しかし襲撃者が《焔牙(ブレイズ)》を使うというヒントを得られたのは大きい。

リーリスに一度浮上しようとサインを送り、俺達は水上に出る。やはり3射目は来ない

 

「どうしてこうよく襲撃を受けるんだ!?」

 

「呪われてるんじゃない?それより次撃たれたらまずいわ、急ぐわよ」

 

「了解」

 

今まで温存した分体力は余裕がある。上陸してから襲撃者と会わないないよう願いながら俺達は海流に乗りながら急いで島へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴメン、当たらなかった」

 

島の海岸。

巨大な弓を持った少女が隣の少年に話しかけた

 

「仕方ねぇよ、あんな距離プロでも当たらねぇレベルだ。身体能力が超化されてっとは言えども当てれる方が奇跡だぜ」

 

ま、切り替えていこうや。と付け加る。

そんな彼らの服装は黒装束。暗い森の中で通り掛かった者を襲撃する、そんな役割を負っている二人は海岸を後にした

 

「だけどまぁ、他の奴らは大丈夫なのかねぇ?」

 

森に入り、少年が呟く

 

「多分、殆ど倒されると思う。相手は本校(・ ・)の生徒だから、みんな強い」

 

「ま、俺らは一度負けてるからな。だけど、その分皆努力したろ?」

 

「『努力に憾みなかりしか』。だったよね?」

 

「それは『努力不足ではなかったか』って意味。でもま、雪辱は果たさせてもらうさ」

 

「うん。私は相手が違うけど、頑張る」

 

しばらく歩いた二人は森の中の少し開けた場所に到着した。

この森は彼らにとってのホームグラウンド。そしてこの広場はこの日のために作り出した二人の狩場。この日、彼らの任務は『本部の防衛』。一応《焔牙模擬戦(ブレイズプラクティス)》だが……彼らにとっては実戦であり、ある雪辱を果たす機会だ。

少年は《焔牙(ブレイズ)》を呼び出すための《力ある言葉》を紡ぐ。それに呼応して激しい炎が舞い上がり一本の《(スピア)》へと形を変えた

 

「《資格の儀》じゃ負けたが、今回は勝たせてもらうぜーー不思議な《焔牙(ブレイズ)》使い!」

 

ズドン!と、槍を地面に打ち付ける音が森へ吸い込まれていった


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