アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止 作:真実の月
前編
《
私が、《
「こ、これは……!」
私の目の前で焔が舞う。その焔の起点は目の前で呆然と立ち尽くす我が初孫。そして孫の目の前には焔の壁とそれに突っ込む形で止まる大型トラック。
私はその焔を魂だと見抜いた。
「風麗!ついて来なさい!」
私は集まりつつある野次馬から逃げるように半ば家と化した研究所に戻り、 すぐに上層部へ報告した。帰ってきた返答は、「至急検査の上、結果を報告せよ」。 すぐに検査の準備に取り掛かった。
こう言うとき、この機関は融通がきく。元々異能の力を中心に調べることの多いこの機関だからこそ、非科学的な現象だろうと検査をさせてもらえる。改めて、この機関に所属したことが正解だったと感じる。
話がズレた。私はすぐに検査室を借り、派遣された同業者を指示し検査の準備をさせる。当然、大型トラックに突っ込まれた孫の身に異常が無いか調べるのもある。しかし、それ以上に研究者として、あの力に興味があった。
「準備できました!」
「CTと脳波測定は終わらせたか?……よし、すぐに始めるぞ!出たデータはすぐに纏めて私に見せろ!」
「はっ!」
そして検査が始まった。
一つの検査が終わり次第送られて来るデータの傾向は、大きく二つに分かれた。
一つは常人と何ら変わらない結果。これは脳波やCT等に当て嵌まった。
もう一つは、常人に比べ大幅に向上した結果。こちらには筋肉や心肺機能等に当て嵌まった。
結論として、力に目覚めた人間は身体能力が大幅に向上することが判明した。私は目覚めたものを《
結果、私の研究に予算がつき、すぐに世界中の《
すぐに九人の《
そして2年に渡る研究の結果、人為的に《
人工的に《
しかし、《禁忌》を犯す者が出るかも知れないという懸念はあった
そしてこの間にあった個人的な事といえば二人目の孫が初孫が《
そんなこんなでさらに2年が経過したある日の事、とうとう懸念していた事が起きてしまった
「大変です!」
私の世話役が血相を変えてノックもせずに部屋のドアを開ける。
「何事だ?」
「息子様が……《禁忌》の実験を!」
「何!?」
私は案内を受け、息子の研究室に向かった。
そして中にはいると、体中がズタズタになり大量の血を流して倒れている人間と狂ったようにパソコンにデータを打ち込む息子の姿が。すぐに倒れている人間に駆け寄ったが既に手遅れだった。
「貴様!何をしたか分かっているのか!」
「何って、実験に決まっているじゃないか。《
「ふざけるな!」
顔に一撃。突然の一撃に驚いたのか、倒れたまま呆然と私を見つめる
「もう貴様を息子とは思わん!責任者として告げる、今すぐここから出ていけ!」
「何だと!」
「つべこべ言わず出ていけと言っている!おい、こいつのパソコンからこの実験に関するデータを全て引き出せ。今回の件、かなり根が深いかもしれん」
「は、はい!」
数日後、息子は正式に機関を追放された。
調査の結果、実験は九人に施されていたことが判明し、施術後の生存期間の差はあったものの全員が死亡していた。
そして2度とこのようなことが起きないように様々な対策が行われた。
しかしこれがこの二週間後に起きる事件の発端になるとは誰も思っていなかった……
風麗はこの話開始時点で6歳です