アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止   作:真実の月

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招かれざる客

生存闘争(サバイブ)》開始から25分、あらもーど屋上

 

ドローンによってリアルタイムでモニターに送られてくる映像には、風麗と彼に対峙するトラ、タツの《絆双刃(デュオ)》と橘、穂高の《絆双刃(デュオ)》が映る。朔夜はそれをじっと見つめていた。

 

「能力が判明していない 《特別(エクセプション)》の方に《異能(イレギュラー)》を差し向けて動きを封じ、 能力のほとんどが判明している《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》に戦力を集中させて突破を狙う……。いい作戦ですわ」

 

もう一方のリーリスと対峙する透流、ユリエの《絆双刃(デュオ)》が映るモニターを見て、朔夜は呟く

 

「ですが、その分離脱者が多い……」

 

「彼らにとっては想定内でしょう。さて、作戦に乗らなかった生徒は……?」

 

急にモニターの画像が途切れ、砂嵐が流れ始める

 

「どうやら、来客のようですわね」

 

「いかがいたしましょう?」

 

「丁重にもてなして差し上げて下さいな」

 

「承知しました。朔夜様」

 

三國は朔夜を置いて貯水タンクの上に軽く飛んだだけで登る

残された朔夜は館内放送を起動し、月見に向けてメッセージを出す。

ヘリのローターの音はだんだんと近づいてくる……

 

 

 

 

あらもーど内、4階階段前

開始から30分が経った。

戦況はこちらが戦術的に劣勢、二人だけの防衛線は確実に押し込まれているが、相手の損害も少なくは無い。万が一さえなければこのまま勝つことは出来るだろう。

しかし……

 

「さすがに連続は……疲れるな……」

 

疲労だけはどうにもならない。

一点に戦力を集中させる。作戦といえるかどうかもわからない単純な作戦だが、俺達二人しか相手がいない《生存闘争》なら話は別だ。

こちらは一点に戦力を集中することが出来ないのに対し、相手は限界はあるとは言え物量で攻めることが出来る。大方、橘が考えたのだろう。相手を疲れさせ隙を作り突破、もしくは薔薇を散らせて勝利、か。

 

「どっちにしろ、まだやれる!」

 

目の前にいる、四つの人影に向かって吠え《焔牙(ブレイズ)》を構え直す

 

ガシャーン!

 

「何だ!?」

 

始まろうとしていた戦いを邪魔するかの如く、人影の真後ろの窓ガラスが砕け、強い光が差し込む。

よく見ればそれはヘリ、それも軍用の物。

そして光を背に浴び、銃を持った人影が割れた窓から飛び込んで来た

 

「どこかの軍か!?」

 

人影の一人、トラが一歩下がり身構え、我に返った橘、みやび、トラの《絆双刃(デュオ)》のタツも同じように一歩下がり、《焔牙(ブレイズ)》を構える。

次々と飛び込んで来る兵隊は瞬く間に数を増やし、俺達を包囲した

 

「《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》、荒巻風麗さん、ですね?」

 

「……っ!そうだ!」

 

「突然の無礼、申し訳ありません。我々は《神滅部隊(リベールズ)》。命令により、貴方をお迎えに参りました」

 

隊長らしき兵が兵隊達の間を縫って現れる

 

「……断ったら?」

 

「それは貴方が一番分かっているはずですが?」

 

目線でトラ達4人を攻撃すると伝わって来た

 

「……分かった、従う」

 

「にはまだ早いぜ!」

 

横を何かが通りすぎる。凄まじい勢いで飛んで行ったそれは、ヘリのエンジン部に突き刺さり爆発を起こす。

後ろを振り向くと、そこに月見がいた。

ヘリまでは見て3、40mはありそうだが、その距離から《焔牙(ブレイズ)》を投げてヘリを落とすという意表をついた攻撃に 、俺達と《神滅部隊(リベールズ)》は呆然としていた

 

「何ぼーっとしてやがる!あっちだ!あっちに向かって走れ!」

 

月見の言葉に4人は意識を引き戻し、月見の指差す方へ走り出すが、俺は行かない。

 

「リーリスは?」

 

「逆側で《異能(イレギュラー)》と一緒に戦闘中だぜ?」

 

「分かった」

 

「……っておい!?」

 

俺はリーリスの元へ走り出す。

それが、全ての元凶と出会うことになると知らずに……


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