アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止 作:真実の月
ああ……考えていた設定変えないといけないかも
一週間後
今日もいつものように月見が謎テンションで教室に入ってくるところからホームルームは始まる。
少し違うのは中庭で話した次の日から隣にリーリスが居ることだ。とはいっても、寮の部屋と教室で隣の席にリーリスがいてよく話すくらいで日常的には夜にコンビネーションを鍛える自主トレをするくらいの小さな変化くらいしかない
「みんなおっはよー!みんな今度2年生との交流試合があるの覚えてるかなー?」
この質問に俺を含む大半の生徒が手を挙げる。唯一、透流だけは挙げていない
「……九重君、どおして覚えてないのかなぁ?」
「今聞いて思い出しました」
「殺すぞ」
ほんの一瞬素の姿を見せ、またにこやかに続ける
「さてさて、先生の話を覚えてないとぉっっっても残念な子がいるからもう一度説明するね!九重君はちゃーんと聞いておくこと!」
そう言って月見は《咬竜戦》の説明をする。要約すると
・1年全員対2年生選抜(4組の《
・《
・制限時間は一時間
・場所は格技場
・1年生は格技場中央の旗を倒せば勝利
「早い話棒倒しだな」
「つまり棒倒しと思っていいのですね」
身も蓋もない発言が被る。片方は俺だが、もう一人は橘だ。とはいっても、俺にとってはもうどうでもいい。これからリーリスと二人で終わらせるからだ。
「イエス♪有利じゃんって思っている人もいるみたいだけど、今までの勝率は2年生が7割位だよ」
旗を倒すという簡単な勝利条件に対して1年の勝率は3割。かなりの人数差に対してこの勝率なのは経験と《
「要は策を練ろ、ということですか?」
「その通り!そう言えば2年生はこれから選抜メンバーを決定するみたいだからみんなで偵察に行ってみよっか!」
その偵察も意味が無くなるけどな、とボソリと呟き、聞かれてないかと周りを見る。
幸い誰にも聞かれてなかったようだ
その後透流と月見がやり取りをしたのち
「40人以上の偵察がばれないわけないだろ……」
透流の呆れた声がホームルームを締めくくった
結局、偵察になっていない偵察は行われることになり、みんな格技場へと向かって行った。俺もリーリスと格技場へと向かったがクラスメートとは途中で別れ、向かった先は格技場の控え室。
着くと同時にリーリスがこちらを向いた
「準備はいい?」
俺は無言で頷く
「なら良いわ」
そう言ってリーリスは外へ向かって歩き出す。俺もその隣を歩き、やがて閉じた扉の前で止まる
「さあ。私とフレイ、二人だけのダンスを始めましょう」
その言葉を合図に、扉が開く。
二年生の「誰だ?」と言いたげな視線とクラスメートの驚きの視線が俺達二人に集まる
「選抜メンバーが決まったばかりで悪いけど、今から《咬竜戦》を行ってもらえないかしら」
「……は?」
「……おい、リーリス。何言ってんだ?」
二年生のから困惑の声が上がり、俺もその発言に戸惑う。しかしリーリスはそれを無視して続ける
「ただ、そっちの疲労も考えて私達二人で相手をさせてもらうわ」
「はぁ!?」
今度は格技場全体に驚きが駆け巡る。
「おいおい、突然出て来て何言ってんのさ。《咬竜戦》を二人で相手するとか、意味わかんねーっての」
「もしかして先に潰そうって魂胆か?また斬新な作戦を考えたもんだな」
我に返った男子生徒とその《
「……だったら、その体に教え込んであげる」
「は?今なんて……」
「二度は言わないわ。《
その嘲笑に、リーリスは行動で答えた。
焔が舞い、リーリスの手に《
「そ、それって……!」
《
「な!テメェ!何しやが……!」
「《
俺は即座に生み出した《
直後、その生徒も意識を失って倒れ伏せた
「ちょっと!どういうつもり!?」
「ケンカ売ってんのか!」
殺気立つ二年生達。今にも襲い掛かって来そうな彼らを無視し、リーリスは涼しい顔で来賓席にいる理事長と三國先生の方を向く
「どうにも丸く収まりそうに無いし《咬竜戦》の許可をもらえるかしら?」
「随分と唐突ですわね。理由をお聞かせ願えないかしら?」
「これが終わった後ででいいかしら」
沈黙が流れる
「全く、貴女の気まぐれさには困ったものですわ」
理事長はそう言って席を立ち
「仕方ありませんわね。今から《咬竜戦》を行うことを特別に許可します」
許可を出した
「と、許可も貰えたことだし、《咬竜戦》、スタートよ!」
開始を宣言するや否や、リーリスは《
「テメェ!」
その隙を狙って、男子生徒がリーリスの体の倍はあるであろう《
「ああもう!なるようになれ!《
それを俺が受け止め、勢いを右に流して左に飛ぶ。同時に銃声、どさりという音と共に倒れる男子生徒
「ナイスプレー♪」
「ナイスショットって言っとくけど、終わったらどういうつもりか聞かせてもらうぞ?」
「大丈夫、ちゃんと話すから。さて、次は誰かしら?」
挑発した瞬間、関係のない2年生も俺たちに襲いかかってくる。
それからは戦闘とも言えない戦闘、突っ込んで来る者は尽く撃ち抜かれ、後ろから攻撃して来る者は俺が切り裂く。まさに蹂躙というべき戦いだった。
5分が立つ頃には、立っているのは俺達二人だけになっていた
「……《咬竜戦》とは、一年生にとって戦略次第で格上と互角に、時には勝てることを経験させる事を目的としています」
終わったと見るや、静観していた理事長は口を開く
「約束ですわ、理由を聞かせてもらいましょう」
「フレイとのペアダンスの最終調整。それと……こっちが主だけど、パーティーを開きたいから、よ」
あっけらかんと答えるリーリス
「……前者の意味は理解できます。後者はどういうことですの?」
その回答に理事長はもう一度質問を飛ばす
「転入してからいろいろあって二回くらいしか授業に出れてないから、クラスメートとの親睦を深めようと思って会場を借りたのはいいけど、日程が
いつの間にそんなことをしていたのか……
「……つまるところ、貴女は個人的な理由で《咬竜戦》を早くに済ませたかった、ということですか」
「ご明察」
「お前って奴は……」
パチリとウィンクをするリーリスに俺は頭を抱えて呟く
「はぁ……全く、許可を出した私もですが、困ったことをしでかしてくれましたわね。後日同様のものを開催するか、それとも全く別のものを開催するか。ああ……予定も変えなければいけないですわね……。頭が痛いですわ」
理事長も同じように頭を抱える
「それなら問題ないわ」
「何でだ?」「なぜですか?」
俺と理事長の声が重なる
「私たちの実力は見ての通り、二年生全員を相手しても勝てるレベル。後は分かるわよね?」
「まさかとは思うけど……俺とリーリス対残りの一年生とか言わないよな?」
「その通りよ、フレイ」
「はぁ!?」
「なるほど……つまり貴女はダンスパーティーを開こうというのですね」
「そう。私たちは踊るの。《
「そうね、
一呼吸の間を置き、一人の生徒に目線を向けてその
「《
視線を当てられた生徒……透流は驚いた表情を見せる
「……確かに、《咬竜戦》の主旨で考えるのならばそれでも良いでしょう」
「決まりね。ルールと場所ははまた後日伝えるわ」
そう言い残して、リーリスは控室へと向かう。
俺もその後を追って格技場を後にした