アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止   作:真実の月

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第二章 《二人目の異能》と《特別》、記憶の断片
第二章 プロローグ


日本上空

そこを一機のヘリが昊陵学園のある島へ向かい飛行している。機内にはパイロットと執事の格好をした女子、そして金髪青目の少女。

その少女は眼下に広がる港を眺めながら口を開いた

 

「サラ、あと何分ぐらいで着くかしら?」

 

サラと呼ばれた執事服の少女が、パイロットと一言二言会話し答えを返す

 

「何事もなければあと10分程と。……先ほども同じ質問をしましたよね?」

 

「したかしら?」

 

少女は執事の方を向き、首をかしげる。

 

「今ので7回目です。一体どうしたのですか?」

 

「日本にあたしの同類が二人もいるって聞いてね」

 

「お嬢様と同じ、ですか?」

 

「ええ。それにその片方は……」

 

乱気流に巻き込まれたのか、機体が揺れ、少女の声を上書きするようにガタガタと大きな音が機内に響く。

 

「申し訳ありません。聞き取れませんでした」

 

「気にしなくていいわ」

 

少女はまた外を眺める。目を離していた数分の間に、下は港の光景から島々が点在する海の光景に変わっていた

 

「フレイ……」

 

少女はぼそりとつぶやいた

頭の中に広がるのは小さなころ、森で一緒に遊んだ時の思い人の姿と、ある事件で自身が連れ去られそうになった時、助けてくれた思い人の姿の二つ。

 

「なにか言いましたか?」

 

「え?何も言ってないわよ?」

 

少女は内心で無意識に思い人の名前を声に出してしまったことを後悔した。

 

 

 

場所は変わり昊陵学園グラウンド

風麗は朝陽を浴びながらゆっくりと歩いていた。その体にはところどころに包帯が巻かれ、彼と同じように散歩に出た別の生徒に痛々しさを感じさせる。

 

「やっぱまだ痛むな……」

 

彼は先日行われた《新刃戦》で全身打撲と肉離れor筋断裂の重傷を負い、昨日やっと退院したところ。いまはリハビリがてら朝の散歩へと出ているところである。

……が、退院したからと言えど傷はまだ癒えておらず、医者からは自室で安静にすることと言われているため、見つかれば即寮へ戻されるという状況だ

 

「ふぅ」

 

一息つこうとベンチに座る。

彼が今まで住んでいた場所に比べ、自然の多いこの場所の空気は山間の村と同じぐらいに空気が澄んでいる。その空気を胸いっぱいに吸い込み、吐く

 

「風麗君?」

 

その姿を見て、二人の女子が駆けよっていく。

 

「ああ、橘さんに穂高さん。おはよう」

 

「おはよう風麗君。体は大丈夫?」

 

「まだ痛むね」

 

「そうなんだ……」

 

「そう言えば、君も《昇華の儀》の対象になっていたぞ。土曜日にするそうだ」

 

「君もって事は橘さん達も?」

 

「何とか……ね」

 

もじもじするみやびの背中を橘が活を入れるように叩く

 

「荒巻、今は無理をせずしっかり治すんだぞ」

 

「ありがとう。じゃあまた後で」

 

彼はゆっくり立ち寮の方へと進もうとする。その時だった、バラバラ……というローターの轟音とともに彼らの頭上を巨大な影が通り過ぎた。

 

「アレはヘリか?」

 

「何かあったのだろう。みやび、気にせずトレーニングに入ろう」

 

「うん!じゃあね!」

 

2人はグラウンドへ続く階段を下って行った。彼はそれを見送ると、もう一度ヘリを見る。学園の敷地の中心へと飛んで行ったヘリは、職員棟の辺りで降下を始めていた

 

 

 

中庭に着陸し、長いフライトを終えたヘリは、乗客を降ろすべく扉を開く

 

「さ、降りるわよ」

 

少女はスーツケースを、執事は大きめのリュックサックと手提げを持ってヘリを降りる。

彼女たちの目の前に立ち出迎えるのは風で艶やかな黒髪とゴシックドレスを揺らす少女、九十九朔夜とその腹心の三國。

 

「お出迎え、ありがとうございます」

 

「ようこそ昊陵学園へ。《特別(エクセプション)》リーリス・ブリストル」

 

リーリスと呼ばれた少女は微笑んで返した


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