アブソリュート・デュオ 《二人目の異能(セカンド・イレギュラー)》※作者就活のため休止   作:真実の月

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エピローグ 生徒サイド

目が覚めると、まず目に入ったのは見慣れない天井だった。

左右はカーテンで閉め切られているため外の様子はほとんどわからない。何とかわかることと言えば、明るさ的に昼頃だということとカーテンの向こうで慌ただしく動き回る多数の足音からここは多分病院かそれに近い施設だということぐらいだ

 

「失礼するぞ……。やっと目を覚ましたようだな」

 

カーテンが開き、医者らしき男が入ってきた

 

「ここは?」

 

「学園内の医療施設だよ。君は新刃戦の最中に気絶してここに連れて来られたんだ」

 

「っ!トラ達と透流達が!」

 

思い出した。教室棟に行くとトラ達が待ち構えていて、突然先生が襲い掛かってきて、倒されて……

ここまで思い出したところで急いで立ち上がり透流の元へと行こうとするが

 

「ッ~~~~~~~!?」

 

腕に力を入れた瞬間に全身に激痛が走る

 

「ほらほら無理しないで」

 

「寝ている場合じゃないんだ!透流達が」

 

「君のお友達なら無事だよ。もう目を覚ましてリハビリ中だがね」

 

「そ、そうか……」

 

「しっかしまぁ、何をしたらここまで体がボロボロになるんだ?」

 

「は?」

 

「君が運ばれてきたときの話だがね。最初は打撲だけかと思ってたんだけど、検査をしたら手足の筋肉だけじゃなく普通ならありえないようなところまで肉離れとか筋断裂を起こしてたんだよ。全治六週間。細かい診断は……見てもらった方が早いな。ほれ、診断書」

 

あまり動かない右手で医者から渡された紙を見る。

診断結果を書く欄がすべて埋まるほどびっしりと診断が書き込まれている。その中には月見の攻撃を受けた時になったとは考えられないようなところの怪我まであった

 

「とりあえず、学校への復帰は最速でも2週間後かな。運動は一カ月間禁止ね」

 

「げ、授業が始まっちまうじゃんか」

 

続けて回復能力まで超化されているとはいえ2週間は長いと文句を言うが、医者は首を横に振った

 

「こんな状態で無理なんてしたら入院が伸びるだけだからね。理事長と担任には報告しておくから、今はゆっくり休んで体を治すこと」

 

「はーい……」

 

医者はカーテンを閉めて別の患者のところへと行ってしまった

二週間、か……。そんなに寝ていられないが、ここで無理しても何も得る物はないか。

結論付けて、俺はもう一度寝ようと目を閉じた

 

「風麗、起きてるか?」

 

が、外から聞こえた声に目を開く

 

「ん?」

 

「お邪魔します」

 

「お、目覚めてるな」

 

カーテンが開き、入ってきたのは学校唯一の男女《絆双刃(デュオ)》だ

 

「透流!ユリエさん!無事だったのか!」

 

「ああ。なんとかな。お前こそ大丈夫なのか?ナースからなんか全身肉離れとか聞いたけど」

 

「さっき起き上がろうとしたら死ぬほど痛かった」

 

「無理はしないでください」

 

「さっきも言われたよ」

 

そして少しの間談笑したところで、唐突に透流が真面目な顔で質問してきた

 

「なあ風麗、お前も月見にやられたのか?」

 

「……ああ。抵抗したけどあっけなくな。その言い草ということはやはり?」

 

「ヤー。私たちも襲われました。ただ、フレイがあっけなくやられたとしたら少し不自然な点があります」

 

「不自然な点?」

 

「月見は肩を火傷していたんだ、それもかなりひどくて目をそむけたくなるレベルの大火傷だ」

 

「火傷?俺が襲撃されたときはそんなのなかったしそんなの負わせるほど抵抗してないぜ?」

 

そう答えた瞬間、透流とユリエさんが文字通り固まった

 

「ほ、本当になかったのか?」

 

「ああ、なかったぞ。ってかどうしたんだ?」

 

「……先生は貴方にやられたと言っていました」

 

「俺が?ありえないな。」

 

「そうか……。じゃあ、また来るよ」

 

「またな」

 

透流達は帰って行った

一人残された俺は、失った記憶に関することを一度頭の中で纏めることにした。

入学式の時の夢……あの光景はなぜかどこかで見た気がするがいつ、どこのことかは思い出せない。特殊な《焔牙(ブレイズ)》を持つ子……はっきりとは言えないがこれも関係があるかもしれない、もしかすると《特別(エクセプション)》に関係している可能性もある。突然届いた手紙は記憶にはそこまで関係していないだろう。

 

「こんな状況で本当に失った記憶が見つかるのか……?」

 

先行きに不安を感じながら俺はゆっくり目を閉じた。


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