あと、前回の話を修正して年齢を10歳に、レベルを40にしました。というわけで今回から爆焔です。
めぐみん視点
ーーそれは、私にとっていつもの何の変哲もない朝の光景……、のはずだった。
担任のぷっちんが名簿を見ながら名前を読んでいく。
「出席を取る。……あるえ!かいかい!」
担任に名前を呼ばれて生徒達が返事をするなか、私はこっそりと隣の席の生徒を伺っていた。
「さきべりー!」
その生徒はカラスの濡羽のような美しく長い黒髪を腰まで伸ばして一本にまとめ、何が楽しいのかゆらゆらと揺らしていた。
「どどんこ!ふにふら!」
またその生徒は年齢に似合わない高身長であり、私のものより一回り大きい制服とローブを華麗に着こなしている。
「…ん!おい!」
そしてその生徒はーー
「…ぐみん!おいめぐみん!聞いてんのか!」
「ひゃい!!」
名前を呼ばれていたことに気づかず、変な声を出してしまうという紅魔族一の天才にあるまじき不覚をとった私は、クスクスという笑い声の微かに聞こえるなか、頬をほのかに朱く染めて席についたのだった。
「……、ゆんゆん!」
「今ちょっと忘れてませんでしたか!?」
今日も不憫な自称ライバルの声を他所に隣に座る生徒を盗み見ると、まりとらは薄いピンクの唇に白魚のような指を当てて上品に笑っ………、
「っていうかなんでまりとらがいるんですか!?あの子めぐみんの妹ですよね!!」
その言葉に興味を惹かれて担任を見るとダメ人間として知られるソイツは頬をかき、
「あれ言ってなかったっけ?まりとらが入学前に上級魔法覚えちゃったからとりあえず半年だけ最上級クラスに入れて卒業させることにしたんだよ。」
「「「「「ええーーーーーーーー!!」」」」」
そんな衝撃の言葉を発した。
朝の点呼が終わると休み時間になるが、やはりまりとらはクラスメイト達に囲まれていた。
「まりとらちゃん凄いんだね!」
「幼き時から我が師そけっとについて回っていただけだ、大したことではない。」
「どうやってレベル上げたんだい?」
「冒険者に職業を変えればレベルが上がりやすくなるからな。それで30まで上げてからアークウィザードに転職して上級魔法を取得したんだ。あとは覚えた魔法で周囲のモンスターを倒し続けていればそれくらいにはなる。」
「ホントにめぐみんの妹?全然体格が違うじゃない。」
「それも我が師そけっとだな。倒したモンスターを焼いて食べさせて貰っていたんだ、それで経験値も結構溜まった。」
「いまレベル幾つなのよ。」
「40だ。つい一週間前に上がったばかりだがな。」
「「「「「おお〜〜〜〜!!」」」」」
飛び交う質問に対し流れるように答えていくまりとら。というか体格が妙にいいと思ったら貴女そんなことしてたんですね、迂闊でした。
そんなまりとらへと近づくと、私は言ってやった。
「いいですかまりとら。貴女は私の妹であり、それだけでこの私より立場が下なのです。なのであまり調子に乗らず、私の言う事は全て聞くように。」
「ちょ、ちょっとめぐみん貴女………。」
「だまりなさいゆんゆん。これは姉としては譲れぬ矜持なのです!」
そう、ゆんゆんを始め周りクラスメイト達がドン引きした顔をしていたとしても、妹との上下関係というのは絶対に守られなくてはいけないものなのだ!!
「了解した、我が姉めぐみんよ。もとより私は我が姉めぐみんを姉として慕っているのだ。その気持ちに嘘はないし、その言葉に従うのも異存は無い。」
「ぐはあっっっ!!」
「どうしたのだ?我が姉めぐみん。」
そう私を見つめるまりとらに、私は言葉が出なかった。
「大変よ。めぐみんが大人げない事を言ったら大人な返しをされてダメージを受けているわ!!」
「嬉しさやら恥ずかしさやらで顔が真っ赤ね!!」
「姉としての威厳を失って言葉がでないんだろう。」
………とりあえずそこの三人の顔は覚えたので、後で泣かしてやろうと決意した。
なにげにまりとらの容姿が初めて描写されましたね。今回はホームルームです。
次回から一コマごとに話を作るので、更に短くなるかもです。