この紅魔の幼女に聖剣を!   作:海洋竹林

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題名詐欺は今更なんで苦情は受け付けません。


この荒ぶるモンスター達に鉄槌を!

 炎に雷、風、氷、色彩豊かな魔法がとび、荒ぶるモンスター達が根こそぎ吹き飛ばされてゆく。

 

「うむ、この分なら昼食前には終わりそうだな。」

 

と満足気に頷くのはぼっちのゆんゆんの父親であり、最近あまりにも名前を呼ばれないせいで紅魔の里では名前を呼んではいけないあの人と呼ばれ始めた、名前を読んではいけない里長。

 

 つまり現在行われているのは、先日危惧したとおりに暴虐の力の残滓によって凶暴化し暴れ始めたモンスターの間引きである。

 本来なら生徒は来てはいけない筈のこの催しに私が参加しているのは、

 

「ねえねえ今どんな気持ち。ついこの間警告されて時間もあったのに結局モンスターが自分のせいで凶暴化してるのってどんな気持ち。」

「あの、真顔棒読みで煽らないでくれるかしら?」

 

こうして怠惰の化身ウォルバクにNDKをくらわせるためだ。

 

「警告されたにされたのに何もしなかった怠惰の化身ウォルバクさんマジ怠惰の化身っすね。」

「だから棒読みで煽らないでよ!ていうか貴女そんなキャラじゃないでしょうに……。」

「それもそうだな。」

 

仕方がない、一旦煽るのはやめるとするか。

 

「それで貴女、結局何しに来たのよ、サボり?」

 

失礼な。

 

「私はただこうして怠惰の化身ウォルバクを煽りに来ただけだ。警告を受けたにもかかわらず何もしなかった怠惰と肥満の化身年増のウォルバクをな。」

 

「「『デストラクション(メドローア)』!」」

 

人に向かって炸裂魔法とか何考えてんだ怠惰の化身ウォルバクは。更年期障害か?」

 

「聞こえてるわよ!『ファイアトルネード』」

「『メドローア』」

 

どうやら口に出していたらしい。しかし怠惰の化身ウォルバクは我が姉めぐみんに大魔法使いと名乗っていたが、意外とたいしたことないのだろうか?」

 

「「『トルネード(メドローア)』!」」

 

おっと、まだ口に出してしまったらしい。

 それにしてもこの魔法、むちゃくちゃ使い勝手いいな。

 

 

 

「あ、ウォルバク様じゃないですか。何まりとらと喧嘩してるんですか?」

 

 しばらく魔法を撃ちあっていたら、一人の紅魔族が話しかけてきた。

 この男は隣にある靴屋の息子で我が姉めぐみんにとっては近所の兄ちゃん的な立場の………

 

「ストーカーニートぶっころリーじゃないか。ストーカーニートぶっころリーも間引きに来ていたのか?」

「す、ストーカーニートはやめてくれないかな。いつも通りそけっとの情報を集めに出かけようとしたら、親父に暇なら間引きの手伝いに行けって連れて来られたんだよ。」

 

あ、怠惰の化身ウォルバクの顔が微妙に引き攣ってる。

 

「まあそけっとも来てるみたいだし、これを気にそけっとに格好いい姿を見せてアピールしようと思うんだ。まりとらはそけっとがどっちに行ったか知らないかい?」

 

清々しい程に気持ち悪い男である。

 

「あっちに行ったぞ。今なら間に合うだろう。」

「ありがとうまりとら!今度なにかお裾分けにいくよ!」

 

そう言ってストーカーニートぶっころリーは走っていった。

 

「そけっとの担当って反対側よね?」

「あっちに一撃熊がいった。今ならまだ間に合うだろうな。誰がとは言っていない。」

 

 

 

 モンスターを蹴散らしながら怠惰の化身ウォルバクと周囲を探索していると、気付けば邪神の墓の近くへと来ていた。

 

「そういえば、怠惰の化身ウォルバクはアクシズ教徒に封印されたんだったな。何があったんだ?」

 

前から気になっていたことを聞いてみると、怠惰の化身ウォルバクは苦笑いしながら頬をポリポリと掻いて

 

「ちょっとした価値観の相違よ。アクシズ教の女神アクアってのは知り合いじゃないけど。多分まだ若い神かなんでしょうね。」

「ジェネレーションギャップと言う奴か。」

「まあそんな感じね。先生みたいな割りと古参の神はあまり悪魔に憎しみとかないから私みたいに悪魔と契約してたりするのも結構いるんだけど、若い子は悪魔を毛嫌いする子が多いのよ。」

 

神の中にも派閥があるということか?

 

「どちらかと言うと清濁併せ飲むかどうかってことね。神の本能としては悪魔に嫌悪感くらいは出るけど長く神やってたら無くなってるし、悪魔に信徒がいるからって封印するのはまだ若くて嫌悪感バリバリの潔癖な子くらいよ。悪魔に嫌悪感持ってるのは本能に忠実な子と魂の管理担当位だけど、よっぽど頭が悪くないとそういう事はしないわよ。」

「魂の管理担当と言うと、幸福の女神エリスか。」

「悪魔に持ってかれた魂は特例扱いで仕事も増えるし、見付けたら殺す位の殺意を持っていてもおかしくないわね。」

 

神界の裏話を聞いてしまったが、そんなことを話していいのだろうか。

と、そろそろ邪神の墓か。

 

「くそっ、ウォルバク様は何処に封印されてんだ?」

 

ん、今何か聞こえたような……。

 ハンドサインで怠惰の化身ウォルバクへそこに待機するよう指示してから近づいてみると………

 

「カツ丼おいしいしいね!」

「ああもう食え食え!今日は俺もヤケ食いしてやる!」

 

我が妹こめっこが悪魔に餌付けされていた。

 しかしどうしてあんな状況に……

 

「ホースト?貴方、ホーストじゃない!?」

「ウォルバク様!?」

 

………え?




今回は独自設定結構盛りましたね。本能で生きてるかなり頭の悪い神(アクア)ってことです。

実際原作では女神なのにどうしてウォルバク様は悪魔嫌ってないんでしょうね。

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