わたしが買ってきた親子丼を置くと、邪神の墓が鈍く光り始めた。
「おおおおおおお!マジで親子丼で封印解けんのかよ!これでようやくウォルバク様にお会いできる!封印されてから云百年!ホーストはやってやりましたよウォルバク様!」
嬉しいのか泣いているホーストに、わたしは声をかけた。
「封印解とけたなら親子丼たべていい?」
「おお、いいぞいいぞ!よくやったこめっこ!どうせなら金をやるからカツ丼も食ってこい!」
「げんちはとった!」
光りが収まってからホーストが差し出してきた親子丼を食べるわたし。
「あれ?光っただけで何も起きねえぞ、確かに封印は解けたっぽいのに。」
親子丼を食べていると、しっこくのまじゅうがヨタヨタとわたしに近づいてきた。………とても小さかったけど。
「おかしいなあ、確かに封印は解けてるっぽいんだが。」
どうやら親子丼を狙っているらしい。わたしのもとまでたどり着いたきょうぼうなしっこくのまじゅうは、なんとわたしにおそい掛かってきた!
「ウォルバクさまーーー!いませんかーーー?」
引っ掻いたり噛み付いたりしてきたきょうぼうなまじゅうを押さえつけて噛み付いてやると、しっこくのまじゅうは降参したのか動かなくなった。これは今日のお夕飯にしよう!
「はぁ、もしかして違う封印だったのか?ってこめっこ何してんだ?そんな子猫に噛み付いたりして。」
「せんりひんだからあげないよ?」
「いらねえよ。そいつはこめっこが飼ってやんな。それよりこめっこ、この村で他に封印されてる所ってないか?」
封印されてるところ?
「あとはくぐつの女神が封印されたとこと、なんとかしんの丘ってところ。」
「きっとそこだ!よし、明日もここに集合な!そのなんとか神の丘ってとこに行ってみるか!」
「カツ丼」
「あ〜、それは明日な。明日また来たらお金やっから。」
「しかたないなあ。」
そう言って、わたしとホーストは別れたのだった。
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私と我が姉めぐみんが帰ろうとしていると、ぼっちのゆんゆんがぼっちらしい面倒くさい理由を付けて一緒に帰ろうとしてきたため、一緒に帰ることになった。
「ね、ねえまりとらちゃん、お腹減ってない?ちょうどそこに喫茶店があるんだけど……。」
「いいぞ」
そんな事を言い出すぼっちのゆんゆん。どうせぼっちだし友達と一緒に喫茶店に行くのが夢だとかそんなところだろうと思って了承すると、我が姉めぐみんがケチを付けて来た。
「ちょっと待って下さい!何故まりとらだけを誘うんですか!?」
「え、だってめぐみんはお金持ってないから来ないとか言いそうだし……」
「それならまりとらだって持ってるわけないでしょう!同じ家に住んでいるんですから!」
確かに古代の金貨とか以外のエリス硬貨は持っていないので頷く。
「そ、そうなの!?それじゃあ私が二人分奢るから、三人でいこう?」
我が姉めぐみんが小さくガッツポーズをとった。奢らせたかったのだろうか?まあゆんゆんはかなりお金を持っていそうだしいいか。
「いらっしゃい!紅魔族随一の、我が喫茶店にようこそ!ひょいさぶろーさん所のめぐみんと
「カロリーが高くて腹持ちがいいもので。」
「パフェをください。」
「ちょっ!めぐみんそれ女の子のメニューの選び方じゃないわよ、まりとらを見習って!あ、店長さん……、私はオススメのもので……」
席に座ると、ぼっちのゆんゆんが話しかけてきた。
「そ、それでまりとらちゃん。え、
「あ、それは私も気になってました。」
何かといわれても……
「毎日古代遺跡に潜っていたらいつの間にか二つ名がついてた。」
「そういえば、昔からまりとらは外で遊んでいましたね。」
「そけっとさんについていってお肉もらっていただけじゃなかったんだね。」
そんな話をしていると、店主がメニューを差し出してきた。
「オススメか。今日のおすすめは『白龍皇の加護を受けしシチュー』と『赤龍帝の魔弾風カラシスパゲティだな。」
「カラシスパゲティで」
「私はこの『魔神に捧げられし子羊肉のサンドイッチでお願いします。」
「私は『強欲に囚われし悪魔のゴールデンパフェ』を頼む。」
「あいよ!赤龍帝の魔弾風カラシスパと魔神に捧げられし子羊肉のサンドイッチ、強欲に囚われし悪魔のゴールデンパフェだな。」
「カラシスパゲティで!」
我が姉めぐみんとぼっちのゆんゆんは恋バナなどをしていたが、私はそれを無視してパフェを食べていた。
……すごくおいしかった。
「帰りましたよー!」
「ただいま」
「お姉ちゃん達お帰り!」
家に帰ると、我が妹こめっこが出迎えてくれた。我が姉めぐみんのお下がりのローブを引きずっているあたり、どうやら遊びに行っていたらしい。
「あーあー…。ローブが泥だらけじゃないですか。お留守番を頼んでいたのに、また何処かへ遊びに行っていたんですか?」
そういって我が妹こめっこのローブについた泥を払う我が姉めぐみん。
「うん!新聞屋の兄ちゃんはげきたいしたから、そのあと遊びに行った!」
「ほう。今日も勝ちましたか。流石我が妹です。」
「うん!『もうみっかもかたいものをたべてないんです』って言ったらお食事券をくれたよ。」
そういってお食事券を差し出す我が妹こめっこ。我が家は貧乏だが、我が姉めぐみん以外は普通に一人でも生きていけそうな気がする。
「姉ちゃんからいい匂いがする。」
「おっと、流石は我が妹。お土産ですよ。魔神に捧げられし子羊肉のサンドイッチ!さあ、腹がはち切れんばかりに喰うがいいです!」
「すごい!魔神になった気分!じゃあさっき捕まえた晩ごはんは明日の朝ごはんにしよう!」
また我が妹こめっこが何か捕まえてきたらしい。この前捕まえてきたセミを見せられた時は、慌ててモンスター肉を狩ってきたものだが、今回はせめてイナゴまでにして欲しい。
「こめっこ、晩ごはんとはなんですか?何を捕まえてきたのです?」
そういう我が姉めぐみんの声は震えている、同じことを思い出していたようだ。
「見る?しとうの末に倒した、きょうぼうなしっこくの魔獣!」
そう言って我が妹こめっこが持ってきたのは……
「にゃ~」
何故かぐったりとした、黒い子猫だった。
「これはまた大物を捕まえてきましたね。」
「うん!ていこうしてきたけど、かじったら大人しくなった!」
「勝ったのはいいですが、なんでもかじってはいけませんよ?毒を持つ奴もいるんですから。」
そんな話をしながら我が姉めぐみんが子猫を受け取ると、怯えたように胸元に縋り付いていた。どんな目にあったのだろう。
結局その子猫は、我が姉めぐみんが自室に持って帰った。……食べるのだろうか?
これ原作見るとめぐみんかなり妹思いで泣けますよね。泣くような小説でもない気がしますが。
あと、試験に入るのでしばらく投稿できません