また、この小説に特定の宗教宗派を貶めるという要素はありません。
アルセウス関連の没イベントが元になっている部分があります。
没イベントの詳細は「てんかいのふえ アルセウス」辺りで検索かければ上位に動画がヒットしますので、そちらでご確認お願いします。
あと今回は作者の地頭の悪さと引き出しのなさがモロに出ている回です。
テーマは大きいのにこんな表現しか出来なくて申し訳ないくらい……。
「ふぅー」
執務室で付いた溜め息の大きさや長さから、彼の今日の執務が如何に神経に重圧の掛かるものであったかを物語っている。
「総理、もうお休みにならないと明日に差し支えが出ますよ」
「吉乃さんの会見は終わったのかな?」
「はい。それで、官房長官から『予定通りのことまでお伝えしました』との言付けが先程ありました。それから今日はもう上がられるそうです」
「そうか。上手くやってくれたんだな。ではそうだね、我々も彼女に倣おうか」
目頭や眦を揉みほぐしながら秘書官のそれに答えると、帰りの身支度をする。官邸玄関フロアで待機している記者を正直鬱陶しいともこんな時間までご苦労様とも思いつつも、玄関前に横付けされた公用車に乗り込む。
「出してください」
そうして公用車はそのまま官邸を出発。運転手も慣れたものと、行き先は瑞樹の私邸である。
『総理大臣ならば首相官邸の隣にある総理大臣公邸に住まうべきでは?』
そんな話が出ており、またそれに関する質問主意書まで出されて内閣で答弁の閣議決定をしたこともある。実際にここ40年以上、総理になって公邸に住まなかった総理大臣はいない。というのも一度自由保守党は政権の座から転落し、その後、民主善良党という党が政権を担ったのだが、そのときに暴力団や公安調査庁の“調査対象団体”などの非社会的組織を始め、韓国や中国の駐在武官が頻繁に公邸に出入りして、改装工事を指揮していた。
そのため盗聴器を始めとした様々な危険があり、それらが3年近くの間じっくり仕込まれたと思われるため、『もはや全て発見、取り除くのは無理』という安全上の観点で私邸から出勤しているのだ。
「で、創造神とやらと会うためのスケジュール調整はどうなっていますか?」
「はい。総理と眞柴大臣の調整、並びに陸自のヘリとパイロットの手配は終わりましたが、地上支援に少々時間がかかるということで、週明け火曜日ということになりました。当日は官邸屋上よりヘリで御殿場の富士駐屯地へ、そこでヘリを乗り換えていただき富士山頂上へ向かうという行程です。ただ、天候により変更となる可能性も多分に含まれてはいますが、まあ大丈夫でしょう」
「そうでしょうねぇ」
隣に座る秘書の言葉に感慨深げに頷き、瑞樹は先程のことを思い浮かべていた。
「神に値するポケモンですら、あれほどの威圧感だった。ならば、全てを生み出した神とはいったいどれほどのものか」
「さて、緊急かつ重大な案件とのことで早めに切り上げてきましたよ」
「オレもだな。てか中国大使から「貸したパンダはどうなってんだ?」的なこと聞かれたから、ちょっとしたら「返せ」って言われるんじゃねぇの?」
「はは。でも眞柴さんも適当にあしらったんでしょう?」
「まあな。にしても総理よぉ。総理こそアレにぞんざいな対応を取ってもよかったのかい?」
「彼と実りのある話が出来るのは現状では世界中で私だけですよ。そして彼も国外首脳への伝手は半ば私に頼らざるを得ない。逆もまた然りです。私は各国首脳とはそれほどの関係を構築してきたという自負があります。それにポケモンについての情報を他国より少し厚くしていけば問題もないでしょう、日米同盟的にもね」
「なっはっは。まあ、それもそうか」
仲睦まじい様子で瑞樹と眞柴が着席しながらそう話し始めているこの場所は、先も開かれていた未確認生物対策本部改め、ポケモン対策本部。ちなみに今集められた面々は瑞樹の特に信がおける仲の閣僚数人と先の対策本部で与野党関係者以外の学者、あるいは実務を担う面々であった。
なぜこのような制限を設けたかといえば、内閣危機管理センター内の閣僚の中には自保党内での瑞樹の敵対派閥に属する閣僚や官僚も含まれる。況してや野党はという状況。不利益を被る可能性は十分にあった。
そして何より中河は先のときに御子神より『創造神』という単語を聞いていたのを思い出した。『宇宙を創造した』とも言っていた覚えもある。選択肢をミスれば即Dead Endにもなりそうな案件を最高責任者の総理抜きでは拙いとの判断だった。ついでに学者らによる何らかの取っ掛かりも期待してのこともあった。
「遅くなりました」
「いやいや、大丈夫ですよ。さ、会議に移りましょうか」
最後に記者会見が長引いていた的井官房長官が入室して謝罪するも、瑞樹は笑ってそれを軽く流して、会議はスタートした。ちなみに一番遅くなった理由は、時間制限やルール等を一切無視して、かつ、毎回要領を得ない演説じみた質問をしてくる某新聞の女性記者に『お前毎回毎回本当にいい加減にしろよ?』とカチンときたので、散々揚げ足とってケチョンケチョンにこき下ろしながらあしらってこれでもかと凹ましてきたという事情もあったりした。瑞樹もそれは察しているし、瑞樹自身も思うところが多分に含まれているので良しとしている。
「さて。御子神くん、創造神に会うということでしたが、どういうことか説明してもらえますか」
瑞樹のその言葉で、議場内の視線はただ一点、どこにでもいそうな普通の青年に移る。
彼は瑞樹に指名されるとその場で立ち上がって、自身のスマートフォンを操作するとオカリナのような、しかし、色や形態などから気色悪さを残す何かが現れ、それを前のテーブルにコトッと置いた。
「できれば、疑問を挟まずに『そういうものなんだ』との理解の元で聞いてください。答えられる質問ならば、後で答えます」
そうして彼は語り出す。その様は一瞬前までの自信なさげな、あるいはこの空気にどこか萎縮した様子から、何かのスイッチが切り替わったかのようにそれらが欠片もなく消え失せ、希代の
その内容は主に以下のようなことだった。
――今この日本にはポケモンがいるが、ポケモンの中にはまさに神と称されるポケモンもいる。
――その中に、今回の肝である創造神アルセウスがいる。
――アルセウスは、宇宙が宇宙の体をなしていないただの混沌のうねりだった頃に生まれたポケモンで、アルセウスが時間と空間の概念、そしてそれによって生じた
――アルセウスは文字通りの全てを超越した神だが、問答無用で話の通じない神ではない……はず。なぜなら、そのようなポケモンであっても人間と契約を結んで、力を与えたこともある。人間の危機を救い、力を貸し与えたこともある。尤も、その人間たちは約束を違え、世界が滅ぶ寸前に至ったこともあったが。
――そして肝心のアルセウスの存在だが、間違いなくこの日本国内にいる。
「その場所が富士山の頂上なんです。正確にはあそこのてっぺんに出来たやりのはしらというところのさらに上層、はじまりのまです」
――そしてそこに行くためにはある道具が必要である。
「そのアイテムこそがこのてんかいのふえなんです」
――場所も条件もクリアしているのなら、会ってみるのはどうだろうか。
その笛を掲げるようにして、彼の演説は締めくくられた。
「ふーむ……」
場には違う空気も流れるが、一番多く横たわるのが困惑のそれだった。
「正直な話、会ってどうする? 何をする?」
誰かがその困惑の正体を代弁した。
「平たくいえば、日本に上手い具合にいくようにアルセウスの言を引き出すんです。そうすれば『このポケモンは全てを生み出した神様であり、その神様がこう言ってんだ。神様の発言にまさか文句はないよな?』的な感じに各国に圧を掛けることも出来るんじゃないですかね。伝説のポケモンの力は十分に見せつけられているわけですし。それにぶっちゃけどの宗教系神様でも比べるべくもないほどの、しかも実際に顕現されている神様ですし」
「まあ、それを言われちゃあなぁ」
眞柴は自身の信仰している宗教の件も含めて苦い顔をする。
そうして意義と意味を見出した彼らだが、1つ大きな問題が立ちはだかった。
「4月の富士山は危険です。季節的にはまだ冬真っ盛りで、春とはとても思えない気候です。おまけに気温も低い」
「仮に当日晴天だったとしても、4月は天候が崩れやすい時期です。危険度は他の季節よりも断然上です」
「陸自の地上支援にしても隊員の安全確保があまりに不十分です。我々も毎年八甲田山で雪中行軍を行いますが、それはルート選定や気象予測、装備、経験から来る知識等の前準備をしっかりと行っているからです。しかし、富士山は違います。通信や気象予報は何とかなるにしても他が不十分です。八甲田山で使用している装備が富士山でも通用するかはわからない。下手をすると旧日本軍の八甲田山遭難事件の二の舞になりかねません」
環境省や気象庁、さらに防衛省、特に陸上自衛隊からの大きな反対の声が上がる。ちなみに八甲田山遭難事件とは、日清戦争で冬季寒冷地での戦いに苦慮したため、さらなる厳寒地での戦いとなる日露戦争における冬季訓練を目的とした雪中行軍だったが、貧弱な装備に極端な情報不足と認識不足、加えて未曾有の大寒波により、200人近くが死亡するという痛ましい大事故だ。
地上支援を行う現場を知る者が大反対となれば、御子神の案は流れるものも当然だと思われた。
『その件についてはボクたちもお手伝いするのネ!』
そこに突如、瞬間移動したかのごとく(実際テレポートを使って)現れたのは、セレビィとフィオネ、それからホウオウにエンテイだった!
『ホウオウはこう言っているのネ。「お前たちが創造神に謁見するというのならば我々もそれに同行する用意がある」とのネ。だから、ホウオウたちなら寒いのなんか大丈夫なのネ。ねっ、ホウオウ?』
「ショオオ」
『「我が眷属に親友セレビィ、それと蒼海の王子の
フィオネはどこかほわわんとしていたが、ホウオウ、そしてエンテイの放つ熱気と威圧感に部屋にいた一同は微動だに出来ず、感じ取っていた。
――これが伝説、いや、神にも等しいと言われるほどのポケモン!――
それが自身の肌で体感した
そして彼らは同時に思う。
――彼らがいてくれればすんなりと上手くいく――
そうした安心感をも彼らに抱かせていた。
それからはアルセウスに会うことに何の憂いもなくなり、アルセウスにどうやって話を付けるのか等を含めて詳細を詰めていく。
結果、陸支援に陸上自衛隊の他、ホウオウとフィオネ以外の伝説のポケモンが付き、陸自の所持するUH-1Jに御子神彰、瑞樹康宏、首相補佐官と秘書官1人ずつ、学識者3人、自衛官4人、フィオネで乗り込んで、ホウオウと編隊飛行して富士山頂に向かうことになったのだった。
「あー、今日はいろいろあったから、なんかようやっと帰れた気がする」
激動だった1日も日が落ちて今は真っ暗な状態。
数日はスケジュール調整云々があり、また明日は日曜日でもあるため、僕は総理らから休みをもらった。ちなみにそれを横で聞いていた神定さんに速攻で「なら、明日私に付き合ってください」と言われてすぐさま予定は埋まったけど。
適当に外食で済ませて(ポケモンたちも食べさせるんだけど、ギャラドスがいるから家の中じゃデカすぎて食べさせられない)公安の武藤さんたちの車で僕は自宅アパートに帰ってきた。
尤も自宅に帰ってきていざ寛げるかというと――
「引っ越しかー。ちょっと面倒というかなぁ」
武藤さんらから是非とも引っ越しをするように頼まれていたのだ。なんでも、護衛をするのにここでは色々と不向きだから、最低でもオートロック式のところに引っ越してほしいということらしい。ちなみに候補は渡されており、その中からある程度選ぶ形のようだ。
「決まったら教えてください。そのマンションの上下階と同階の全室を借り受ける必要がありますので」
香取さんにこんなことを言われたときには、「そこまでやるか」ということと「そこまでやってくれるのか」ということに、マジで度肝を抜かれた。
「ラル」
「カゲ」
「モグ」
とりあえずギャラドス以外の3匹をボールから出してから、資料を検分……したはいいものの、何となくそういう気分じゃなくなったので、すぐに投げ出した。明日でいいや明日で。
「カゲ♪カゲポゥ♪」
「モッグモッグ♪」
「ラッルー!」
3人はどうやら鬼ごっこ的なものに興じ始めているようだ。今はラルトスが鬼になった……はいいんだけど。
「ラル!」
「カゲェ!?」
「ラ!」
「モグモォ!?」
テレポートで背後に移動して捕まえたり、ねんりきで拘束して捕まえたりとか、そんなんありなんか? なんか2匹ともビックリしてるし。
「おーい、とりあえず喧嘩しないで楽しくやれよー」
あ、そういえばさっき送ってもらったときポケストップに寄ってみたら、更新通知がされていろいろとなんか更新されていたっぽいんだよな。ポケストップの方は明日確認するとして、スマホのアプリの確認はしておかないと。
まず、“図鑑”、“ポケモン”、“道具”、“ポケリフレ”、“トレーナーパス”の項目は変わらない。トレーナーパスには“New”の文字が付いているがこれはまだ見ていない説明もあるからだとも思う。
尤も、それだけでは間違いなくないだろう。
「んな゛ッ!?」
今僕の中ではそんなことも気にもならない、今日の最大級の驚きに匹敵するぐらいの衝撃が駆け回っていた。
それは“New”の文字が付いている新設された4項目のうちの2つだ。
“ポケモンセンター(改)”
“通信交換(改)”
この2つの項目に目が釘付けだった。
「ま、まさか……!」
思わず震えてしまっている指で画面をタップする。
まずは“ポケモンセンター(改)”だ。(改)ってのが謎だけど。
伝説のポケモンがゲットされました!
付きましてはアプリポケットモンスターの特殊機能、ポケモンセンター(改)機能を全トレーナーに解放します。
これは、あなたのポケモンをお手持ちの携帯端末でも全回復出来る機能です。
またポケモンセンターでの回復は無料になります。
バトルで疲れてしまったポケモンや傷ついてしまったポケモンを是非回復してあげてください。
なお、ポケモンセンターは引き続きポケストップでもご活用出来ます。
詳細はトレーナーカードの説明をご確認ください。
ついに、ついにこの機能が来た!!
ポケモンって言ったらやっぱこれがないとダメでしょ!
これで育成もグッとやりやすくなるし、回復がラクになるということは敷居が下がって一般にもポケモンもさらに広がる!
ていうか移動式ポケセンとかヤバい。説明読む限り、いきなりバージョンアップ版を解放出来てしまったっぽい感じだし、ひょっとしたらこれが(改)とやらの効果かもしれない。
それに回復アイテムとかもいらない系になった?
あ、でも、野生のポケモンとかには使えなさそうだし、バトル中は無理そうだからそうでもないか。おまけに人間にも効果あるし。
それにひょっとしたら、トレーナー同士のバトルとかも出来るかもしれない。
(ただ、今は決闘罪とかに引っかかる恐れがある。それに勝った後、現金巻き上げるのはやっぱ良くないよな)
おまもりこばんとおこづかいポンやおこづかいパワー併用して荒稼ぎしてたなんて外道なことなんて現実ではやったことないし~(;・3・)~♪
ま、まあとにかく次を見てみよう!
今度は“通信交換(改)”だ。
伝説のポケモンがゲットされました!
付きましてはアプリポケットモンスターの特殊機能、通信交換(改)機能を全トレーナーに解放します。
これは、あなたのポケモンをお近くのトレーナーの他に、全国のトレーナーともポケモン交換が出来るようになる機能です。
交換によりポケモンには様々な影響が与えられます。是非いろいろとご活用ください。
また手持ち複数匹によるポケモン交換だけでなく、道具の交換も出来ます。
なお、通信交換は引き続きポケストップでもご活用出来ます。
詳細はトレーナーカードの説明をご確認ください。
なお、通信交換は手持ちポケモン3匹以上でないとご利用出来ません。
ご注意ください。
これもうほぼほぼポケモンのゲーム機能完備してね?
1匹ずつじゃなく、何匹かでまとめて交換出来るとか道具だけ送れるとか、もはや本家よりバージョン上だから、多分これが(改)機能だろう。
てかこれはあれか? 通信進化のフラグが立ったのか? ぶっちゃけユンゲラーとかゴーストなんか通信以外どうやって進化させるか皆目見当付かなかったから、これならまあ安心。
通信出来る相手がいない? ダイジョブダイジョブキットイルッテ。
ていうか思ったけど、これって説明見るに両陛下が伝説のポケモンゲットしたから、この機能実装されたんだよな。
ていうことはやっぱり、
「両陛下ありがとうございます! 両陛下万歳!」
「ラルラ!?」
「カゲカ!?」
「モグモ!?」
ということかしらん。
そして3人とも驚かしちゃってゴメン。
ちなみに残りの2つは“不思議な贈り物(改)”と“掲示板”だった。
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
また、この小説に特定の宗教宗派を貶めるという要素はありません。
ということで伝説と幻が捕獲されたので、特殊機能(ご褒美)解禁。豪華特別機能が実装されました。
本来ならば
・トレーナー数50万人以上+手持ち所持数3匹以上で近場の人との通信交換解禁(1on1での交換/持ち物なし)
・トレーナー数100万人以上+手持ち所持数3匹以上でポケモンセンター解禁(歩数による有料方式、ポケストップでのみ)
・トレーナー数150万人以上+手持ち所持数4匹以上で全国の人との通信交換解禁(1on1での交換/持ち物あり)
的な感じに設定。以後、トレーナー数+全トレーナー諸条件(イメージ的にはポケモンGOやBW2XYのメダル獲得条件的なもの)をクリアすると共にバージョンがアップしていきます。
ちなみに伝説が懐くというのは他国だったら多分ならなかったでしょう。強いて言えばデンマーク王室がワンチャン?