架空の現代にポケモンが出現したら   作:kuro

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この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。


アップデート

 おめでとうございます!

 あなたは2匹目のポケモンをゲットしました!

 そのお祝いとしまして商品の値下げ、並びに一部商品の制限の解除を行います!

 

 それでは、ポケモンと人とが共に歩める良きトレーナーライフをお送りください

 

 

 おめでとうございます!

 あなたは3匹目のポケモンをゲットしました!

 ポケモンを多くゲットしてくださるあなたのような方のためにポケストップユーザインターフェースを改善いたします!

 さらにお祝いとしましてアプリポケットモンスターに新たな機能を実装、並びに既存機能の強化を行いました!

 ポケストップ、並びにアプリポケットモンスターをご確認ください!

 

 それでは、ポケモンと人とが共に歩める良きトレーナーライフをお送りください!

 

 ポケストップにてアップデート作業(?)を行った僕の前にはこんなホログラム履歴が表示されていた。

 うん、いろいろと気になる。さて、まずはどっちから手を付けていくか。

 

「せっかくまだポケストップ閉じてないんだからそっちから見ていくべきじゃないかしら?」

 

 という三枝さんの指定を受け、僕はそのまま履歴を消してポケストップ購入欄をタッチ&スクロールしていくことにした。

 

「んー、おっ! こりゃあいい!」

 

 ポケストップの購入画面。

 総歩数や値段等の表示の仕方は変わりはないが、一番の変わりどころ、それはアイテム類のカテゴリ分けであった! ボール類は“ボール”、キズぐすり等は“回復”、木の実系は“きのみ”といった具合にだ。ちなみに技マシンとかの未解禁系は“未解禁”と名を打たれたカテゴリにカテゴライズされている。

 正直このカテゴリ分けはありがたい。

 

「え、どうして?」

「いえね、三枝さん。ポケモンのアイテム数って500以上あるんですよ。それをポケストップで欲しいアイテムを一々探すのは非常にかったるいので」

「なーるほど。ある程度カテゴライズされていればその手間も省けると」

「確かに一々スクロールして探すのは手間だな。それに年を重ねてくると、仕事以外で目に来る作業はなるべくなら避けたいものだ」

 

 というわけでまずはボール、回復、木の実といったところをざっと見ていく。ラインナップは変わらず、されど必要歩数は5%ほど低下しているといったところ。尤も、元々高く設定されていたものはそれ以上の値下げ幅なようだが。

 続いて、新設された“道具”カテゴリを見てみる。

 

「えーと? まずはスプレー系、それと進化の石にするどいキバ、アップグレード、マグマブースターにおこう系……ああ、進化とベビーポケモンに必要なやつか。それと――ブッ!?」

 

 おい! おい!! なんやねん、これぇ!

 

「おい、どうした?」

「なにかあったの?」

 

 いや、「なにかあったの?」どころの騒ぎじゃないわ!

 

 

   かいのカセキ  250,000歩

   こうらのカセキ 250,000歩

   ひみつのコハク 280,000歩

   ツメのカセキ  250,000歩

   ねっこのカセキ 250,000歩

   ずがいのカセキ 250,000歩

   たてのカセキ  250,000歩

   ふたのカセキ  250,000歩

   はねのカセキ  250,000歩

   アゴのカセキ  250,000歩

   ヒレのカセキ  250,000歩

 

 

「いやいやいや、なんでカセキまであるんだよ!? しかもバカ高えし! しかもプテラ(ひみつのコハク)だけ他と値段ちげぇし!」

 

 思わず吹き出して周りや2人の心配も気にせず叫んでしまったけど、僕の行動は正当化されるべきだと思うんだッ……!

 

――なんやねんカセキって……

 

「ちょっと、どうしたのよ?」

「本当に大丈夫か? それに化石とは?」

 

 あー、いい加減2人の方にも説明しないと付いてけないか。つっても僕自身もまだ落とし込めてないんですけどねえ、あまりに予想外過ぎて。

 

「あー、えー、なんと言いましょうか。ポケモンって中には太古に絶滅した種もいるんですよ」

「え? でも「と・に・か・く!」」

 

 三枝さんも「昔にポケモンなんかいなかったでしょ?」とかいう疑問を抱くのはわかるけど、正直ごちゃごちゃ言われても敵わないので、ここはとりあえず強引に押し切ろう!

 

「そうした大昔に絶滅したポケモンもいるんです。で、これはそのカセキです」

「ふむ、それはそれでまた貴重だな」

「そうですね。絶滅したポケモンもいるなど、その筋の人間にとっては実に興味深い話だと思います」

 

 2人はうんうんと頷いて面白そうに興味を示してるけど、このカセキはそんな単純なものじゃないんだよ。

 

「で、ここからが話の本題なんですが……」

 

 ここで話を溜めて、2人の注意を僕の方に促す。マジヤバな話なので。

 

 

「おそらくですが、このカセキ、

 

     然るべき手順を踏めば、  復活します

 

                                」

 

 

「「…………は?」」

 

 

 その言葉で思わず凍り付いた2人。

 いやね、気持ちはわかるよ。僕もゲームやってたときこの技術があれば、「リアルジュラシックパークじゃん」って思ったりもしたことあるし。でも、それはあくまで空想上の話だったから「フフン♪」って流してたけど、ここではそうもいかない。

 

 まだ、方法は見えてこないけど、でも、なんとなくだけども。

 

 ――カセキを復元できる何かが存在する。

 

 そう思えて仕方がない。ポケストップはタマゴ孵化装置なんてくれた訳だから、何かしらカセキの復元方法が提示されてもおかしくない。

 そしてそれらが提示されたならば……。

 太古の生物を甦らせるためにこの仕組みの研究が始まって、そして――

 

「えええええええええええええ!?」

「なにいいいいいいいいいいい!?」

 

 そんなことをツラツラと考えていたときにフリーズしていた2人に再起動がかかった。

 

 

 

 

※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「うわあぽけもんやばいすげえぽけもんやばいすげえぽけもんやばいすげえ」

「うむうう、これは本当にシャレにならんぞ……。行き着くところは死んだ人間の復活すらあり得る話になってしまうのではないかね……?」

 

 三枝さんは再起動したはいいけどまだバグがあるらしい。その点、伯父さんの方は順応できたようだ(違 これが亀の甲より年の劫というやつか。伯父さんの最後の言葉? きゅうにみみがとおくなっちゃたみたいできこえません……。

 

 

 うん。とりあえずは後で考えよう! 何のための対策会議だ! そこでお偉いさん方に考えてもらいましょう!

 

 

 ……んで。……それでっ!

 その後だけど、残りの方を見ていくとディフェンダーやスペシャルアップ、ピッピにんぎょうなんかのバトル中に有効なアイテム、ハートのうろこやかけら系、みつ系なんかなど。カセキに比べれば、まあまあ至って平凡なアイテムだ。……思い出しの人いないのにハートのうろこなんてどうするのかは意味不明だが……。

 

「……いやいや。まさか、ね……」

 

 とりあえず、首を横に振って自分の想像を頭の中から追い出して、次を見る。

 

「次は“もちもの”カテゴリか」

 

 2つ目に新設されたそれをざっと見回す。

 

 ……

 

 ……

 

 うん。至って普通だ。『こだわりスカーフ』『きあいのタスキ』といったものや『でんきだま』のような特定ポケモン専用のもの、あとはジュエル系や『もくたん』なんかのタイプ別の威力上昇系ものなど、プレート系やメモリ系、メガストーン以外のアイテムが揃っている。とりあえずこれで道具系はほぼ解禁されたも同義と考えて問題はないだろう。至って普通、常識の範疇だ。

 …………ポケストップが現実に存在するのはもう極めて常識的で当たり前の現象だから(震え声)。

 

 それはそうと、プレートやメモリはともかく、メガストーンがないのはやや残念に思う。

 

「メガシンカ、見てみたかったな」

「ん? 何か言ったかね?」

「いいえ、べつに」

 

 僕のつぶやきは伯父さんには拾われなかったようだ。

 しかしまあ、無いのなら仕方がない。せっかくラルトスやヒトカゲが居るんだからサーナイトか、あるいはリザードンか、メガシンカをこの目で見てみたかった気もする。

 ……ちなみにZ技は、どうだろう? あのポーズはやるのがちょっとなぁ……。いや、威力はバカ高いから、受けようとして出てきたポケモン吹っ飛ばせるの好きだったんだけどね。

 

 さて、とりあえずは歩数と相談してそろそろなにかアイテムが欲しい。

 やすらぎのすず(1,020歩)、しんかのきせき(2,550歩)、しあわせタマゴ(4,250歩)、たべのこし(2,550歩)当たりが良さげなんだけど、その中でも一番低いやすらぎのすずですら全然足らない。足踏みする? ん~、ないかな。

 仕方ない。今回は諦めよう。そしてなるたけ歩数稼いで、どれも取りに行く。最優先はしあわせタマゴか。そこまでがんばろ。

 

「んじゃ、確認も終わりましたそろそろ行きます?」

「ん? まだアプリの確認が終わってないんじゃなかったかね?」

「あ」

 

 そうだった。たしか既存機能強化と新機能実装とかあったな。わすれてたわ。

 

 くっ。これもカセキの衝撃が悪いっ。

 

 

 

 

※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 そうして三枝さんもようやっと復帰したところでアプリの方の確認も行う。

 

「お、結構『New』マーク付いてるな」

 

 “図鑑”以外のアイコン全てにこのマークが付いている。尤も、“ポケリフレ”は触ってないし、“トレーナーパス”は何かがアプデされたときには付く(取説みたいなもの)ようなので、実際は“ポケモン”“道具”が機能の強化だろう。()()1()()()()()()()()()()()()()()は後回しにする。

 まずは“ポケモン”をタップ。

 変わったところとしては体力がHPとして具体的な数字で示されたことか。見る限り、ゲームのポケモン画面と同じ感じになっているようなので、持ち物持たせたらアイコンとかも出るんだろう。ラルトスたちは今お休み中なのでそれは後で確認してみるとして。

 次に“道具”。

 変わったところとしてはカテゴリがさらに細かく区分分けされている。具体的にはポケストップのときの区分分けに近い(つまり、“もちもの”と“道具”が登場)。さらに新規で“大切なもの”と“フリースペース”が登場している。

 大切なものはゲームでは技マシン以外の個数表示がされないアイテム類がこれに分類されていたが、これがあるということはいずれ入手できる可能性があるということか。……具体的にはポケストップで。

 そして“フリースペース”はよく使うアイテム類なんかを別に分けておいて使いやすくするためのやつだ。今はそんなにアイテム類は持っていないので使う機会はあまりないだろうが、増えてくればゲームのときのようにお世話になるかもしれない。

 

 にしてもなんでもかんでもポケストップでとか、ポケストちょっとガバガバ過ぎね?

 

 そして最後。新規登場のアイコン。ガラケーなんかで表示される電波の絵柄が描かれているこのアイコン、その名も“通信”。タップしてみれば“PSS”に“トレーナーちゃんねる”とある。

 ……あれか? “トレーナーちゃんねる”とかまんま2chな気がする。

 で、“PSS”の方だけど、これは要はポケモンXYとかポケモンORASであったプレイヤーサーチシステム(PSS)とほぼ同等のようだ。交換とか対戦、さらにはGTSやミラクル交換なんてものすらあった。……GTSとかミラクル交換とか、正直どういったものなのか想像もつかないのだが。ただ、あの黄色い地の画面が妙に懐かしく思えた。

 

 

 さてさて。あれだ。なんかゲームのときの感覚と同じような感覚でスイスイーッといけてるけどそろそろ“トレーナーパス”(取扱説明書)に詳しく目を通すか。元々僕は一応取説は最初に読む派だ。ただ、今日はあまりのことでそんなのは後回しにしてたんだけど、これからは対策会議もあることだし、他者にプレゼンとかする上でより詳しく把握しておく必要があるからね。

 

「あ、先生! そろそろ行かないとマズいかもですよ!」

「ふむ。一応事情は説明しておいたが、あまり向こうを待たせるのも悪いか。いや、待たせてる間に資料とかは作っているのだろうけど、はっきり言って我々以上の物は中々ないだろう。早めに届けるべきか。では行こうか。車を頼む」

「はい! 彰くんも車の中で今の話聞かせてね」

「了解ですよ」

 

 そうして僕たちは河川敷の自然公園を後にして、首相官邸へと向かうことになった。




一応カセキについては他にも手に入る方法がありますので、高額に設定しました。(むしろそっちがメイン?)

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