がっこうぐらし!―Raging World―   作:Moltetra

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2分割と言ったな、あれは嘘だ(前回と間が空きすぎたのでとりあえずの中編です)


16.お風呂・中編

 由紀が戻ってから20分近くが経った。次の番は美紀……何か不都合があったのかはわからないが、入浴に遅れが生じているらしい。

 まさか道中で襲撃でも受けたのか? 新館からこの旧館まで大した距離はない。だがもし途中で迷い込んできた感染者に襲われていたら? 考えたくもないが、叫ぶ間もないなら生存は絶望的だ。

 

「お待たせしました」

 

 あらゆる可能性を思案していたが、どうやら無駄だったらしいと気付いた。振り返ってみれば、いつも通りの美紀が風呂桶に入浴道具一式を入れて立っている。

 

「遅かったな、花摘みにでも行ってたか」

 

「まあ、そんな所です。由紀先輩から聞きました、あそこで体を洗ってから入るんですよね?」

 

「そうだ、体が冷えない様に手早く済ませるのをお勧めする」

 

 小さく「はい」と返答した美紀は、衝立の奥へと入っていく。いつも通りの様に見えて、雰囲気がどことなく違う気もする……なんだろう? 若干浮足立っているような気がする。

 気にしても仕方ない、もしもの時はカバーしてやればいい。そう結論付けて、水温を確認する為に手を突っ込んだ。

 うん、丁度いいくらいだ。これなら美紀のお眼鏡にも適うだろう。濡れた手を払ってポケットに手を突っ込み、その中にあるハンカチで残った水滴を拭う。悠里に持たされた物だがこんな所で役に立つとはな。ハンカチなんて止血にしか使わないと思っていた。

 何となくポケットからそのハンカチを取り出してみる。触った感じがどことなく上品な感覚で、まさかそれなりの値段をする代物なんじゃないかと不安になったのだ。

 

「……んー、なるほど」

 

 ラノベなんかじゃ下着なんかが入れられていたりするものだが……流石悠里だ、そんな事はなかった。ピンクの生地に控えめな花の刺繍が入れられており、とてつもなく女の子っぽいハンカチだ。性能より見た目を重視した物だな。俺は実用性のあるタオル生地ばかりだったから、こういう質感はなんとなく慣れない。

 自然に匂いを嗅ぎそうになるのを寸前で堪えて、簡単に折り畳んで再びポケットの奥へ突っ込む。違う、俺は断じて匂いフェチなんかじゃない。ただ私物以外の物は匂いを嗅ぐ癖があるのだ。きっとそれは……有害な薬物なんかが染み込んでいないか確認する為の本能だな。危ない薬品が染み込んでたりすると死ぬ可能性もあるけど。

 

「今からそっちに行きますけど、下を向いててくださいね」

 

「ん? バスタオルしてるんだろ?」

 

「しますけど、お風呂にバスタオル巻いて入るなんて不潔じゃないですか、後に入る悠里さんとイツキさんが可哀相です」

 

「皆そうして入ってたから気にしなくていい……っていうのは違うか」

 

「……私は嫌なのでしません」

 

「まあ好きにすればいい。目を瞑ってろと言うのなら、ずっとそうしてるさ」

 

 当分視界は確保できない。そう見込んで簡易的な炉から灰を掻き出し、新たな燃料をセットする。普通の薪とはだいぶ違うこれは、おがくずなんかを固めたものだ。暖炉や薪ストーブで使う事もあると知識上にはあるが、実物を見たのは初めてである。色々な種類の物があり品によって性能は変わるが……これは灰が出やすい。適度に灰を掻き出してやらないと効率が落ちてしまうのが俺がいる理由でもある。

 

「じゃあ、そっち行きますからね?」

 

「どうぞ。下向いてるから」

 

 瞼を閉じると、真っ黒になった視界の中央に橙の光が透けて見えている。枝の爆ぜる音、微かに聞こえる炎の揺らぎ。このまま目を瞑っていれば座ったままでも眠ってしまうだろう。それはなんとしても避けたいが、美紀の為だ。最悪頬でもつねって耐えてやろう。

 衝立から風呂まではダンボールが敷いてあったが、びしょびしょになって冷たかった為に撤去してある。その所為で美紀は靴を履いて風呂まで来ていた。

 

「……まだ下向いててくださいね」

 

 ちゃぽんと音を鳴らして、美紀は湯に浸かる。

 

「はい、もう目を開けてもいいですよ」

 

 いつもより優しい声色で、美紀は目を開く事を許してくれた。どことなく違和感というか……いつもの毒がないのが物足りない感じがする。ゆっくりと目を開くと、最初に見えたのは優美に揺らぐ火だ。

 そこから上を見ようなんて思わないし、怖いもの見たさで本当に怖い思いをする必要もない。火の揺らぎのおかげか、俺は冷静な判断を下していた。

 

「雅先輩。由紀先輩に探りを入れろって、言いました?」

 

 美紀は何かを思案するかのように、含みのある問いを投げてくる。

 

「ああ。お前に何があったのかはわからないが、このままはいけないと判断した。癒し要素のある由紀に頼んだんだが……それも間違いだと思ってな。やっぱりやらなくていいと言った頃には手遅れだった」

 

 正直に答えて、ほんの少し間を置いて小さな声で「不快な思いをさせたかもしれないな、すまなかった」と付け足す。人に謝るのは慣れていないし、恥ずかしい。だが謝る時は謝らなければ人間関係というのは容易く崩れてしまう。それがどんなに、小さな事でも。大きな事なら尚更だ。

 そんな俺の言葉に、美紀は微笑した。嘲笑うような感じではない、まるで我が子を優しく諭すかのようなものだった。

 

「いいんです、むしろちょっと嬉しかったかもしれません」

 

「かもしれない、とは?」

 

 自分の事なのに、まるで他人事の様にその時の感情を述べた美紀。粗方予想はつくが、俺はあえて聞いてみる。

 

「……私、“あの時”からあんまり感情が出てこなくなって……まるでガラス越しに見ているかのような感じ方をするんです」

 

「ふむ、ガラス越しか」

 

 面白い表現だと思った。正直な所、俺もそんな感覚だ。ただ俺が表現すると「薄壁1枚先の音を聞いている」、という感じになる。大方は一緒だ。人の内心を知ろうとするあまり、自分の感情に意識を向ける事ができなくなってしまう。

 美紀も同じなのか、それとも根幹がどこか違うのか。感覚は一緒でも切っ掛けが違えばそれを取り払う手段も変わってくる。そのガラスを力づくで割るのか、地道に退かすのか、それともその壁が途切れる部分を探すのか。

 俺の場合は……どうなんだろう? 乗り越えた経験がない事に関しては迂闊に助言も出来ない。

 

「1つ、これに関して言える事がある。前も言ったかな? 人の考えている事がわかるのは本当に読んでいるからじゃない。自分の被害妄想が偶然当たっているだけだ」

 

「……はい。そうだとしたら、これは……」

 

「まだわからない。俺とお前じゃ感じ方が違う。俺は感覚で感じて、お前は“聴く”。幻聴の類なのかはわからないが……その声を鵜呑みにするな。俺が何を考えているか、わかるか?」

 

「……いいえ。先輩は感情を表に出さない人ですから」

 

「つまりそういう事だ。人間は感情を身体面で表現する時がある。嘘を吐けば目が泳ぐ、怯えていれば肩身を狭くする、怒れば目がキツくなるし、殺気も出る」

 

「先輩が目を見て心を読むのは……」

 

「そういう事だろうな、特徴を知っているから察知できる。声も分かりやすい。抑揚の付け方、呼吸と発音の仕方、挙げればキリがない」

 

 人の感情なんて、よく見ればすぐにわかってしまうものだ。一挙手一投足を見れば力の入れ方からも機嫌が悪いかわかる。誰でもわかる事で言えば扉の開閉や物の取り方や置き方だな。

 

「……やっぱり、雅先輩はいつも私を助けてくれます」

 

「ん? 何の事だ、助けない訳がないだろう。お前にも、色々と世話になっている。死線も潜ってきた仲だからな」

 

「そうですね……」

 

 感慨深げに呟いた美紀は、小さな溜息を吐いた。……そろそろ聞いてもいいだろうか? 嫌ならそれでいい、今はとにかく小さな手掛かりでもいいから惜しい。

 

「美紀」

 

「はい?」

 

「……何があったんだ? もしよければ、教えてほしい。嫌ならそれでいいが……他の皆も心配する」

 

「……」

 

 顔が見えないからと穏やかな声色で問い掛ける。もし許されるなら、美紀から話を聞けたなら……俺は全力で問題解決に励もう。

 予定では明日の昼にはここを発つ。もうしばらくここに居たかったが、食料やその他諸々の備蓄が心許ないのだ。

 

「………そうですね、雅先輩になら――話していいかもしれません。きっと私よりも……苦しい思いをしているでしょうから」

 

 それがどういう意味を含んでいるのか。考えるだけ無駄だと判断した俺は、無言でその先を促した。

 

 ―――俺が倒れてからの事。意識を失った俺は原因不明の高熱に侵されていたらしい。だがそれもごく短時間で、美紀が戻る頃には引いていた。

 その症状を見て風邪だと判断した悠里は、車に薬を探しに行った。だが目的の薬は見つからず、探しに行く必要があった。そこで調達に名乗り出たのが美紀だった。

 そしてとある家屋に目星をつけ、侵入。そこには無残な死体が1つと、かなり腐敗した感染者がいた。

 

「……そんな、事が」

 

「はい、もう殆ど覚えてないですけど。小さい頃にしばらく預けられていた時期があったんです」

 

「殺したのか? ―――いや、これは違うな……でもそれ以外にいい言葉が見つからないが」

 

「いいんです、もう死んでいたんですから。それが動くか動かないかの差しかありませんから」

 

 美紀は……肉親を撃った。それがどんな形であれ、精神的に無事な訳がない。無事な奴なんて根性が腐ってるか余程恨んでいたかのどちらかだ。どちらにせよ普通じゃない。

 普通であったが故に、美紀は心に深い傷を負った。今まで溜め込んでいた物も含めて破裂してしまったんだ。それを癒す方法なんて……あるのか? この普通じゃなくなってしまった世界で。

 

「これは全く関係ない質問になるが、その呼び方は? 何故俺を『先輩』と呼ぶんだ」

 

「ふふっ、簡単な事ですよ。人生の先輩っていうのもありますけど、私も同じ感じになっちゃいましたから……」

 

 被虐的な笑みが胸に刺さる。護れなかった、それどころか美紀がこうなったのは俺が原因じゃないか。大見栄切っておきながら自分の所為で傷つけてしまうなんて本末転倒だ。

 ずきずきと痛み始めた頭を押さえ、後悔してしまう。何故俺は倒れた? 思い出せない、俺は普通に……このキャンプを自分なりに楽しんでいた筈だ。少々邪魔も入ってしまったが今も、こうして風呂を沸かしてガス抜きをしている。

 

「すまない……俺の所為だ」

 

「そ、そんな事ないですって! 薬もいずれ必要になる時があったでしょうし、それに……」

 

「いや、俺の責任だ。もう後戻りはできない、それでも謝らせて欲しい。すまなかった」

 

「ち、違います……私、そんな言葉が聞きたかったんじゃないです……」

 

「……なら、何が聞きたかったんだ?」

 

 罪滅ぼしにもならないとわかってはいる。だがあえて俺は聞いた。美紀が言って欲しかった、期待していた言葉は何なのか? 責任を取って腹でも切るか、臓物を引っ張り出してクリスマスよろしく飾ればいいのか。自分で考えられる事はこうも(むご)い償いだけだ。

 ひとつ長い息を吸って、美紀は意を決したように呟く。

 

「できるのなら……私に戦い方を教えてくれませんか?」

 

「―――なに?」

 

 呆けた返事をしてしまったが、それは何の償いにもならない行為だったからだ。戦い方を教える、つまり前線に出るという事。胡桃の様に返り血を浴びて常に死と隣り合わせの状況に身を置くという事だ。

 

「弱い自分が許せないんです。いつも守られてばかりで……胡桃先輩やイツキさん、勿論雅先輩にも申し訳ないと思ってるんです」

 

「それでいいんだ。胡桃は例外として、本来武器を握って奴らを屠るのは男の仕事だと俺は思う。そのうち胡桃も引退させるつもりだ」

 

「男とか女とか! そんなの関係ないですよ……命は皆大切なんですから……」

 

「それもそうだ。だが美紀、お前は特に大切にされている。この意味が分かるか? お前を想う人間が存在し、そいつはお前の為に戦っているようなものだ。そんな奴の隣にお前を立たせたら俺が怒られる」

 

「それは雅さんだって同じです! あなたを想う人も……いるんですよ」

 

「……一旦頭を冷やそう、このまま言い合っても解決しない。だがな、これだけは意地でも言っておく。どんなに俺を想う奴がいても俺は俺だ、好きにやらせて貰う。後々恨まれるような事になっても、俺は俺が正しいと判断した事だけをする」

 

 例え自分が死んだとしても、自分が正しいと思う死に方であれば……それなら悔いはないしむしろ幸せだ。何故死んだと恨まれても、悲しまれても。

 そうしなければ……そうしなきゃ、俺はこの感情を抑えきれない。どんなに望んだ死に方だろうときっと最期は後悔するに決まってる。もっと一緒にいたかった、出来るのなら幸せな生活を送りたかったなんて、現を抜かすんだ。

 美紀の言う、俺を想う人。その中には恐らく悠里が入っている。それが確実だとしても……それ以上の人間がいるかどうかは―――わかりたくない。こんな人間の屑を好いて何になるんだ。

 

「私……雅先輩の事好きですよ」

 

「はぁ……」

 

 美紀の唐突な告白に、深い溜息を吐いてしまう。たった今知りたくない、わかりたくないと願ったのに。現実というのはどこまでも残酷だ。よりによって、イツキの想い人から受けてしまったんだから。

 

「美紀、悪いが……」

 

「知ってます。悠里先輩と付き合ってるんですよね?」

 

「い、いや付き合ってはない。仮にそう言われても俺は断る。……俺は誰かと親密な関係になる気はない」

 

 真面目な話や食料事情の話ならともかく、こういう情についての話はどうも得意じゃない。誰が好きとか嫌いとかそういう状況でもないというのもあるが……俺の場合、心を許せるかそうでないか、それ以外の“敵”以外に他人を括れないからだ。

 

「確かに先輩はそういうのを受けるとは思えません」

 

「じゃあ止してくれ。俺の中で『傍に置きたい、護りたい』以上の位置はない。これ以上ともなれば……どうすればいいのかもわからん。崇拝にも近いんじゃないか?」

 

「うーん……一緒にいたいと思える相手が『好き』って事だと思うんですよ」

 

「なら全員だな。俺は全員と一緒にいたい、許される限り……俺は皆の笑顔を見ていたい。これじゃ駄目なのか? 必ずしも、誰かを選んでその1人だけにしなきゃいけないのか?」

 

「つまり、ハーレム希望ですか?」

 

 突拍子もない返答に肩透かしを食らった様に項垂れる。違うそうじゃない、と言いたいところだが上手い言い回しも見つからない。これだけじゃ「つまる所皆を愛したい欲張りさんだね?」と結論付けられたとしても、首も振れず頷けもしない微妙なラインだ……と判断してしまう。

 そもそも俺は他人を愛しているのだろうか? 保身の為、自分の精神を安定させる為にやっているだけで、そこに愛情なんてない。

 本音を言えば今の今まで個人と添い遂げたい……なんて感情も抱いた事がないし。俺の場合……その愛情とやらは狂っている。そして、その感覚は今の所感じていないのだ。

 

「ハーレムは……論外だと思うんだ。色々な意味で」

 

「……もう、先輩って本当掴み所ないですね。今まで人を好きになった事ありますか?」

 

「あるにはあるし、失恋も経験している。だが俺が人を好きになると……駄目なんだ、色々と」

 

 詳細な所までは思い出せないが、「愛してはいけない」という自分に課した覚えだけはある。もし、俺が誰かを好きになったのなら……恐らく、きっとその相手は不幸になる。それを防ぐ為にも、俺は感情を殺さなければならない。

 

「……どうかしました?」

 

「何でもない。……悪いが、俺はお前の想いには応えられない。仮にお前と恋仲になったとしても、判断を誤って誰かを死なせる事態になったら必ず後悔する」

 

「そう、ですか……別にいいですけど」

 

「でも、そうだな。こんな俺を好きになってくれて―――」

 

「やめてください!」

 

 その言葉は聞きたくないと遮られてしまう。確かに、こんなのはすぐ死ぬような奴が言う事だった。柄でもないと笑いながら、こうも自然に笑えるようになったのだと改めて思う。

 

「せめて私が生きている間は……死なないでくださいね」

 

「無理な相談だなぁ、善処はするが何度も言う通り死ぬのは俺が最初だ。そうじゃなきゃ納得も出来ない。それとお前を前線に出すのも却下、大却下だ。蹴り飛ばしてでも後ろに戻すからな」

 

「……はい」

 

「よろしい」

 

 上からぽたぽたと滴ってくる水滴に見向きもせず、半ば眠る様に火を見続ける。あえて意識を遠のかせる事で現実から目を離すこのテクニック、維持するのも難しければ急な敵襲があった時に対応する速度も若干落ちてしまう。

 だが、相手が誰であれ水面で遊ぶ音や微かな呼吸音ですら今の俺には毒になる。今はともかく車内で睡眠を摂るとなれば……不味いな、何故俺は男として産まれてしまったんだろうか?

 かといって男でなければこの図体も力もなかった。忍達と出会い親友の関係になる事もなかっただろう。……しかしキツい。いっそ取っ払ってしまおうか。自力では不可能だが。

 

「……私、出ますね」

 

「ああ、湯冷めしない様にテキパキとな」

 

「そのくらい当然です」

 

 一際大きな水音を立てて、美紀が風呂から出たとわかった。願わくばこのまま不祥事が怒らない事を祈る。もし転びでもして足をくじいたら……それはもう色々と面倒な事態へと発展するからな。

 

「雅先輩も、風邪ひかないように気を付けてくださいね」

 

「善処しよう。まあ着込んでるおかげでそこまで寒くもないしな、大丈夫だろ」

 

 衝立の奥へと行ったのを確認して、俺はやっと一息つく事が出来た。もし次回があるのなら、今度は胡桃に火の番を任せよう。ある程度予想はしていたがやはり男では無理がある。なら今度胡桃に火の調整の仕方でも教える為に焚火でもさせるかな。

 傍らにある燃料を見てみると、予定より消費が早い。これは……急がなきゃ足りなくなるぞ。少なくとも2分、最後の1人はかなりぬるくなるんじゃないか?

 となると、必然的に俺は入れない……か。元よりそのつもりだったし全く問題はないが……これは後の2人が申し訳ないとか言って騒ぎそうだ。黙っておこう。この備蓄数を見れば勘が良い奴なら気付きそうだけどな。

 

「美紀、次の奴は速攻で来いって言っといてくれ」

 

「どうかしました? もしかして体調が悪いとか……」

 

「あー……いや、そうじゃない。ただ、その……飽きた。飽きてきたからさっさと来いって言ってくれ、このままだとこのドラム缶を的にブローニングぶっ放すぞってな」

 

「つ、伝えておきます……」

 

 そそくさと戻っていく美紀を見送って、そこら辺にあった最後の小枝を放り込む。ぶっちゃけこの程度何の足しにもならないが、なんとなくこうして火にくべる作業は好きだ。

 将来は暖炉付きの家に住んでみようか? ……なんて、叶いもしない夢を見るのもアホらしい。それでも、こうしていつか来るかもしれない日を夢見るのは……悪くないと思ってしまった。

 

 




大変遅れてしまいましたが、一先ずの中編でした。後編は悠里、イツキ、そして雅をお伝えして参ります。
日常パート書きにくいったらありゃしない。血と暴力に塗れてる方が刺激もあって面白いと思います(小並感)

書いてる途中に自分でも気になりましたので、一行の武器弾薬を数えてみました。

M700・約50発
サクラ・約70発
M1910・約40発

ナイフ数種・剣鉈・白鞘の日本刀
斧・スコップ・包丁・レンチ

近接武器は感染者用として専用に使用しているもののみ計上。
弾薬数がかなり多いです。とは言ってもまともに撃ってたらすぐに弾切れしてしまいますので使用頻度はかなり低いです。
ブローニングは雅の専用武器となっております。片手じゃリロードも一苦労ですからね。

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