やはり俺の友達はどこかおかしい   作:ケンシシ

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唯一の友達

『〜青春を楽しむ愚かども、砕け散れ!』

 

砕け散れ、で締められた作文を書いた少年比企谷八幡は放課後に『高校生活を振り返って』という課題を出した国語教諭の平塚に呼び出されていた。

 

「全くなんだ?この作文は……砕け散るのは貴様だ。馬鹿者」

 

「いや、普通に思ったことを書いただけなんですが……」

 

目をドロドロさせた……まるで魚の腐ったような目が特徴的な八幡はそう呟く。

 

「はぁ……こんな事を思っているから君の目は腐っているんじゃないか?」

 

「それはDHAが豊富そうですね」

 

「はぁ……」

 

捻くれた答えを返す八幡にため息がでる平塚。

 

「あー、その、なんだ?君は友達はいるのかね?」

 

申し訳なさそうに聞く平塚だが

 

「あー、えーっと……多少仲の良いやつなら」

 

「え?」

 

てっきりいないと断言するか友達の定義を聞いてくると思っていた平塚は驚いてしまった。

 

「何ですか?その『え?』は……」

 

「いや、すまん。ちなみにそれは誰なんだ?」

 

「同じクラスの佐倉ですよ」

 

佐倉真(さくら しん)八幡達と同じクラスのあまり目立たない少年である。

 

「ほう、佐倉か……」

 

そう呟く平塚を尻目に八幡は佐倉との出会いを思い出していた。

 

 

 

 

 

『ん?同じクラスの比企谷か?』

 

それはある日、八幡が本を買いに行った時だった。その書店で佐倉から話しかけられたのだ。

 

『え?……えぇと、誰ですか?』

 

クラスの人の名前とかも全く覚えてない八幡はもちろん佐倉のことも知らなかった。

 

『同じクラスの子も覚えてないのか……まぁ良いか。同じクラスの佐倉 真だ』

 

佐倉が八幡に話しかけたのは単純な理由だった。学校で八幡がラノベを良く読んでいるのは見ていたので話しかけて見たかったが近寄るなオーラが凄く話しかけずらかったのだ。

 

『比企谷、ラノベよく読んでるよな?もしオススメあったら教えたくれんか?』

 

雑食系読書家の佐倉はラノベに手を出そうと思っていたが、種類が多く迷っていたところに八幡が来たので幸いとばかりに話しかけたのだ。

 

それから基本的に佐倉の方からだが話しかけるようになりラノベからゲームの話しななどをしていき、さらにお互い妹がいるなどで意気投合していった。

 

 

 

 

 

 

「ま、まぁそれはともかくとして……では恋人はいるのかね?」

 

「先生はいるんですか?」

 

八幡がつい言葉を返した瞬間に八幡の顔の横を拳がかすめた。

 

「女性に余計な事は言うものじゃないぞ?比企谷」

 

「は、はい……まぁ課題は書き直します。」

 

そう言う八幡に平塚は

 

「本来ならそれだけで済ませる予定だったが君の心無い言葉で私は傷ついた。ゆえに君にペナルティーを科す。ついて来たまえ」

 

八幡は嫌々ながらもついて行くことにした。

 

「先生、ペナルティって何をするんですか?」

 

「奉仕作業と言っておこう」

 

八幡が何だそれは?と思いながらついて行っていると

 

「比企谷に平塚先生?」

 

今帰るとこだった佐倉 真がいた。

 

「今帰りかね?佐倉」

 

「はい、そうですが……比企谷どうしたんですか?」

 

佐倉には捻くれたり内向的が過ぎるかもしれないが、素行は悪くない比企谷が生活指導も兼ねている平塚に連れられているのが不思議に見えた。

 

「さっき色々あってな……」

 

これ以上余計な事を言ったらさらにひどい目にあうと考えた八幡は濁して答え

 

「そうか、じゃあ俺はこれで」

 

そう言うと佐倉は立ち去った。

 

「本当に学校の話せる人がいたんだな……」

 

信じてなかったのか……と八幡は思っていると

 

「しかし淡白な反応だったが、仮にも知り合いが生活指導の教諭に連れられているのに」

 

「あぁ……たぶん……」

 

そして八幡はスマホを取り出すと新着のメールを見せた。

 

『もし何かあったら相談しろよ、話くらいは聞いてやる』

 

佐倉からそう送られて来ていた。


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