ほろ苦♪ドルチェ~甘い音楽に苦い青春って憧れるよね! 作:ぬんちゃくティッシュ
本編どうぞ♪
俺は、今日から高校生だ!
時は桜舞う暖かき春。全国各々で新たな青春が交わるであろう入学シーズンであった。
俺の名前は石原匠(いしはら たくみ)。中学校の頃から吹奏楽部でチューバをやっていた、ただのしがない学生です。ほんで、今日から高校生ってワケですな。緊張するぜぇ~。
ちなみに、高校の名前は銀河学院高校。見ての通りの私立高校だ。別に受験失敗したワケじゃないんだぜ?ここには中学の時の連中は来ない。また知らない人がいっぱいの中、イチから始めたくてこの高校にしたんだ。
まぁ、私立に行くって親に言ったら机に一万円札出して怒られたけどね…(笑) え?どういう事かって?それは、この一万円札が何枚飛んでいくと思ってんの!?って念押しして怒ってきたんだから恐らく…ねぇ?でも、なんだかんだ受け入れてくれたのは感謝してるけどさ。
…で、入学式も教室でのホームルーム的な物も終わって、気は早いけど部活は何にするか。それはもう…。
「吹奏楽部だよね?匠?」
「そうそう!吹奏楽部だ……え?」
今、誰かに話しかけられたよな?女子の声だったぞ?それも俺の名前を…しかも下の名前で。入学当初で早速異性を下の名前で呼ぶような上級な女子がいるのか?いやいや、えらく聞いたことがある声で親近感さえ湧く声だった。もうもはや驚くことなかれ、振り替えれば…。
「お前、ここで何やってんだ?」
「ごめん匠、来ちゃった!てへ☆」
「てへ☆…じゃねぇんだよ。いや来ちゃった!でも無いけどさ!」
このなぜか同じ高校の、それも同じクラスの女子は俺の幼馴染み。あれ?クラス名簿確かに見たよな?全っ然気が付かなかった!まぁ確かに見たような名前があるもんだな~とは思ったけどさ!
紹介が遅れた。俺の幼馴染みの女子で俺と同じ吹奏楽部でユーフォニアムを担当の、名前は水樹夕夏(みずき ゆか)。なんか最近……可愛くなったと思う(赤面)。
「まぁまぁ、お堅いことは置いといてさ~」
「流すな流すな…。何でお前が銀河に?俺しか受けてないと思ってたんだけど…」
「気付いて無かった?私もスパイの才能あるんじゃない!?」
「それに、夕夏は他へ推薦があっただろ?」
そう。この夕夏は悔しいことに成績が良くて順位はいつも10位内に入る。そこで有名な進学校に推薦があったはずなのだが…。部活優先か?でも、この銀河って確かに吹奏楽部は上手だって噂があるけど、コンクールに出場していないから考えにくい…。
「うぅ…見事なスルーだね~たくちゃん」
「たくちゃん言うな」
「相変わらず堅いなぁ匠はさ~。高校生にもなって、それはどうかと思いまする!」
「余計なお世話だよ残念美人」
「あら…美人だなんてぇん!」
「『残念』って付いてるだろうが『残念』って」
「えぇ?じゃあ美人って嘘?」
「とは言ってないだろ?」
「だから匠好き♪」
「だぁ~!離れろ!」
何なんだこの件は…。まぁ幼馴染み故のじゃれ合いってのかな?相変わらずな腐れ縁的な親友的な幼馴染みでございます。そいつぁ結構毛だらけ猫灰だらけってね!
「まぁ、何でここにいるかってのは、音楽がしたかったからかな」
「ほぅ」
音楽がしたかった?進学校にも吹奏楽部くらいあるだろうと思うんだけど。
「進学校に進んで勉強優先で音楽なんて、絶対に楽しくないと思ったの。だからね、それを蹴って、自由の幅が大きいこの学校でなら、音楽ができる!ってね。そうすると何と言うことでしょう!」
「俺がいたって事か。なるほどな」
俺と入学動機が違うとしても、こうしてまた夕夏と音楽ができると言うこと。イチからのスタートにはならなかったとしても、悪くは無いんじゃないか?
あれ?これって俺吹奏楽部に入部するのは半強制ってこと?まぁ良いか。
「ところで夕夏、この学校はコンクールに出場しないそうだが、それで良かったのか?」
「え?何言ってるの?今年から出場が決まったそうよ?」
「ぇ?嘘?マジ?」
え?コンクールに出場?聞いてないんだけど…
「私が嘘なんてついたことあるかしら?」
「めちゃくちゃありますが何か?」
「うぅ…。でも今回は本当なんだから、信じてよ」
「まぁ今回は目が本気だから信じてやるが、そうか~コンクールにまた出れるんだな」
コンクールとは、年に1度、全国の吹奏楽部の甲子園。吹奏楽部なら知らぬものはいない、俺らの青春って奴だ。
全国の吹奏楽部って言ってもいきなり全国ではなくて地区ごとに出場校を決めていくスタイルである。県大会から地方大会、地方大会から全国大会へと繋がっており、各地方からは数校しか出られないと言うアツい青春が繰り広げられる。
コンクールには部門があり、A部門、B部門、小編成部門の3つがあり、銀河はA部門へ出場する。
A部門は基本的な部門で、各年のコンクールで発表される課題曲5曲の内1つと自由曲で評価される。また、これで参加する学校が多い。
B部門では基本的にやることは同じだが、違うのは課題曲がないこと。つまり、自由曲だけで勝負する部門だ。それはどういう事か。つまり、自由曲1つに絞って評価するため、見る目聞く耳が一段と厳しくなる。
最後に小編成部門は文字のままである。
出場校にはある規制があり、1校につき出場できる人数は55人まで。当然強豪にもなれば部員は100人を超える所もある。こう言うところでは顧問がオーディションを行い、55人にまで絞って参加するのだ。年功序列で下が切り落とされる学校もあるし、それは場所それぞれである。
「長い説明お疲れ様たくっち!」
「メタい話するな!あとたくっち止めい!」
「ぇ~可愛いのに~」
「普通に下の名前で良いだろう?」
とまぁ、こんな二人がやっていきます。正直言うと、このまま二人を放っておくと前に進まないので無理矢理進めますね~。
そして、部活動紹介も終了し、全部活はこぞって勧誘に徹する様になった。新入生は既に決めている者も居れば迷っている者、ハナから帰宅部まっしぐらの者、様々だ。
当然俺はもう決まっている。夕夏からも半強制だったが、吹奏楽部へと入部するつもりだ。
「石原くん、部活どうすんの?」
「呼び捨てで良いよ」
仲が良くなった男子、小林揮人(こばやし たくと)が声をかけてきた。この小林って奴、名前は揮に人でタクトなんて指揮者を意味するかのような感じなのに中学は帰宅部で高校はどうしようか迷っているらしい。もったいない気もするぞ。
「とりあえず、俺は吹奏楽部って決めてるんだ。小林くんもどう?せっかくタクト(指揮者)なんだからさ」
「俺も呼び捨てで良いよ。そうだな…帰宅部は退屈だし、音楽は面白そうだし、行ってみようかな」
「よし!決まりね!」
「うわっ!夕夏!」
全く…何でいつもコイツは神出鬼没なんだ?昔っからそうだもんなぁ~。
「お前、部活行ったんじゃなかったのか?」
「やっぱり一人って気まずいじゃない?そちらは?」
「仲良くなった友達だ」
「小林揮人です。よろしく」
「タクト?指揮者なの!?」
まぁ…やっぱそうなるよなぁ…。
「残念ながら彼は未経験の素人でございます」
「残念とは失礼だな」
「えぇ~でも名前勿体無いわ!あなたも吹奏楽部行きましょう!」
そう言って、こちらには有無を言わさず音楽室へ引っ張る夕夏。仲間が居てかなり嬉しいんだろうな…。
「なぁ石原。この女子と知り合いなの?」
「恥ずかしながら、幼馴染みです…」
「聞こえてるわよ?何で恥ずかしがるのよ」
「いえ!滅相もございません!あなたの幼馴染みであることはとても誇らしく光栄であります!」
「よろしい♪苦しゅうない。わらわにジュースを恵むのじゃ~」
「調子に乗んな!」
「うぅん!いけずぅ~」
「幼馴染みって大変なんだな…」
続く
ここまで読んで頂きまして、誠に誠にありがとうございます!
このまず題名が意味不明な小説を読んで頂き、光栄でございます。
前書きでは色々適当に…。後書きでは何か適当に…。と言うスタイルで行こうと思います。
これから何卒、『ほろ苦♪ドルチェ~甘い音楽に苦い青春って憧れるよね!』をよろしくお願いします!