住人達との顔合わせを済ませ、少し歓談をする。マスターが皆に珈琲を容れてくれた。マスターは珈琲に関してウザイくらい説明をしてきたが、よくわからんかったから聞き流した。ただ意外にも珈琲に関してはマスターは凄く真剣だった。曲がりなりにも喫茶店のマスターなんだなと思った。
それぞれの前に出される一杯の珈琲。俺と涙美はブラックで、瞬(眼鏡)と進(眼鏡なし)は砂糖とミルクも貰っていた。...で、もう一人の人物、邪堂 心(じゃどう こころ)は青汁を啜っていた。いや、珈琲飲みなよ。
青汁を飲み干して心がマスターに一言。
「うまい。マスターの青汁は最高だ」おう、声が野太い。
それに対してマスターは
「いや、それ市販の青汁」
「・・・」黙る心。
...ヤバイ、気になる。気になってしかたがない隣に座っている邪道 心(じゃどう こころ)が気になってしかたがない。まず名前が凄い、見た目は完全に中学生女子。だが、声が野太い。更には妙に風格がある。他の二人とは明らかに格が違う。というより、瞬(眼鏡)と進(眼鏡なし)はキャラが薄すぎてヤバイ。眼鏡があるかないかぐらいしか見分けが付かない。恐らくこの小説から自然消滅していくだろう。南無。
先ほどマスターに摘まみ出されたイケメン、涼太。何か叫びながらドアを叩いているが、まあ、こいつもどうでもいい。
で、だ。邪道 心(じゃどう こころ)は一体どっちなんだろうか?見た目は女の子。それもかなり可愛い部類に入るだろう。ただ声が野太い。ここにいる誰よりも声が野太い。マスターよりも野太い。
もう男なんじゃないか?
本当にどっちだろう?本人に聞いてみるか?いや、なんて?
(君、かわいいよね。で、性別どっち?)...だめだ、失礼すぎる。
よし、涙美に聞いてみるか。涙美に小声で聞いてみる。
「心ちゃんてすごくかわいいけど、女の子だよね?」ど直球。疑問を浮かべる涙美。
閃いたように涙美が、心を呼び出す。...おい、ちょっっと待て。
「攻斗が心ちゃんのことかわいいって!で、性別どっち?だって!」
おい、4行前の文読み返してみろ。俺同じこと言ってるから。
ていうか失礼過ぎるだろ!俺が言ったみたいになってるし。まあ、思ってはいたけどさ。
震えだす。邪道 心(じゃどう こころ)。...これは百パーセントこちらが悪いな。傷つけてしまった。謝ろう。
「あ、あの心ちゃん?ごめんね。悪気はないんだよ?ただあまりにも...」俺が言い終わる前に走り出す心。...一人の女性?を傷つけてしまった。
マスター&瞬&進「「「まずいっ!!!」」」うん。ハモるな。
マスターが心を指差して叫ぶ。
「速く!心ちゃんを追いかけて!攻斗君!」言われなくてもわかってる。心を追う俺。
遠くでマスターがまだ叫んでいる。
「早くしないと攻斗くんは...っ!」
ん?攻斗くんは?
「一生、童貞っ!!!」
ふぁっ???
マスターが続ける「...の果てに死ぬっ!!!」
・・・
え?俺、一生童貞で死ぬの?
つづく