もう、いいから構うなよ!   作:サガアキ

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第1話『来客からの衝撃』

家が火事になり記憶を失った俺、『木村 攻人(きむら こうと)』の元に刑事さんがやってきた。

 

「すみませんでした」

何も覚えていないがとりあえず謝っておくことにした。

「木村君?何かしたの?」

「いや、反射的に...すみません」

「僕は昨日の出来事を詳しく教えてほしくてきたんだけど」

刑事さんは手帳にメモをとる形で聞いてきた。

「すみません、昨日の出来事どころか自分が誰かということさえわかりません」

「記憶喪失ですか?」と小太りの医者に聞く刑事さん。

「一時的なものだとは思いますが」と医者。

「そうですか...」と考え込む刑事さん。

「あの、僕の家の火事の火元は何ですか?」刑事さんに訪ねる。

「それが火元がわからないのです。放火の可能性が高いです。なので木村君に何か見に覚えがないかと聞こうと思ったのですが」と刑事さん。

放火?やだ、恐い。

「すみません、意識が戻ったばかりなのでこれくらいで...」と看護師さん。やばい、超優しい。

「そうですね。あ、木村君これ僕の連絡先、何か思い出したことがあったら連絡を下さい。こちらからも何かわかったらお伝えします。」

と名刺を俺に渡し、部屋から一礼をして刑事さんは出ていった。

 

「僕はどれくらい、入院すればいいんですか?」医者に聞く。

「あと2、3日もすれば退院できますよ」と医者。

 

よかった。あまり長く病院にいるのは嫌だからな。

ただ、家はもう、ない。俺はどこに帰ればいいんだろうか?

 

ー2日後

ベッドの上でボーッとしていると、俺に来客が現れた。

その来客は20代前半くらいの髪が短い綺麗な女性だった。

「大変だったね。攻人」と綺麗な女性。

やばい、目を見れない。記憶がないからわからんが多分俺は童貞だ。

「はい」下を向きながら答える俺。

「あれ?攻人、わたしのこと覚えてない?」あなたのことどころか自分のことも覚えていません。

「すみません、僕は記憶喪失なので。失礼ですがお姉さんはどなたですか?」正直に。

「記憶喪失!?」とても驚いているようだ。

「はい」下を向き(略

「そっか、そういうこと....。わたしはあなたの従姉の『加藤 涙美(かとう るみ)』今大学3年生よ」

従姉か、よし!身内なら目を見て話せる。

「叔父さんと叔母さんのこともあったし、本当に大変だね攻人」俺の父親と母親のことか。

「あの僕の父と母になにがあったんですか?」

「あー!もう!敬語やめてくれる?気持ち悪いからタメ口で話してよ!」と、涙美さん

「いや、でも...」流石に記憶がないから初対面みたいな感じだしなぁ。

「タメ口で話さないなら教えない」 なんかギャルゲみたいだな。

仕方ない。「わかったよ。教えてよ」

「よろしい。じゃあ、教えてあげる。でも後悔しない?思い出さないほうがいいこともあるよ?」ああ、そうとうキツイことだな。もしかしたら父と母はもう...

「大丈夫、教えてよ」といい顔で答える俺。覚悟は出来ている。

「叔父さん、つまり攻人のお父さんは援助交際で逮捕されて、叔母さんは失踪した」

 

「...あ、ああ」耳を疑った。

 

つづく

 


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