主人公『木村 攻斗(きむら こうと)』の頭にカブトムシが突き刺さる少し前のお話。
今回は主人公とは別の人物を主役にあてた物語。
個性がゼロに等しい男子高校生『鈴村 進(すずむら しん)』。作者でさえ、うろ覚えなモブの中のモブだ。うん。本当にモブだ。ていうか自分が書いた小説を読み直さないと名前すら浮かんでないキャラクターって一体?...ま、まあ気を取り直して。今回はそんな彼をモブキャラというカテゴリーから救済するお話。では。
...おかしい。どうもおかしい。この小説内での俺、『鈴村 進(すずむら しん)』の扱いが酷すぎる。初登場時は『邪道 心(じゃどう こころ)』には敵わないにしても『瞬(しゅん)』とは同等の立場だった筈だ。それなのにいつの間にか瞬はいくつかの個性を獲得し今じゃほぼレギュラーだ。何故だ?この差はどこで生まれたんだ?何か作者には考えがあるのか?
(すみません。何も考えていませんでした。ただの気紛れです。by作者)
まあ、いい。今回は俺が主役ということでこの機会に俺もキャラを確立させ次回からレギュラーとしてこの小説に参加しよう。まずは俺のキャラクターとしての個性を考えなくては...。俺の特徴を抜き出してみよう。
・童貞
やばい、泣きそう。俺のキャラクターとしての個性は童貞だけだった。童貞キャラ?いやいや、んなのは死んでもごめんだ。何よりこの小説内ではそんなことは個性でもなんでもない。だってみんなデフォのように持ってるもの。他は?他に俺に個性はないのか?...本当に俺ってモブなんだなぁと実感した。いや、別に今の段階で個性がないんだったらこれから作ればいい、そうだそうしよう。誰にも被らないような俺だけの個性。『鈴村 進(すずむら しん)』というなの個性を!
で?どんな?パッと思い付けば苦労しないんだけど。あとこの小説の作者はそんなに急に新しい個性あるキャラクターを考えるのは無理だよ?そんなにポンポンいいキャラクターが思い付いてたらどんどん出してるし。もう取り敢えず、語尾に『ござる』って付けておくか?
うーん、そうでござるなぁ。なんか他にないかなぁ。
ん?ふと足元を見ると何かが俺のズボンに張り付いていた。なにこれ!?...カブトムシ?なんで?いや、そんなことを気にしている場合ではな、...おっ!でもこれいいじゃん!常にカブトムシを持ち歩く男子校高校生。なかなかじゃないか?いや、待てよ。まだ少し弱いか?どうしたものか?
そういえば最近、庭の木にマスターがダーツの的を取り付けてたな。ダーツの代わりに自在にカブトムシを投げて的を射る男子校高校生。...これだっ!!!
思いたった俺は庭に行き、ダーツの的に目掛けてカブトムシを放った。
つづく