白く吹き乱れる一面の銀世界
大粒の雪が容赦なく地面へ叩きつけられる。
決してやむことのない、その吹雪は圧倒的な冷たさを感じさせた。
しかしカルデアの窓から眺めるマシュ・キリエライトにその寒さはない
「マスターが心配か?」
不意に背後から声を掛けられる
振り向くとそこには全身青い装いの男が腕を組みながら壁に寄りかかっていた。組まれた腕に持っているのは突けば必ず心臓を貫く呪いの朱槍ゲイボルグ。
「クーフーリンさん」
クーフーリンはマシュの顔を見ずにそのまま話し始めた
「マスターなら大丈夫だろう。根拠があるってわけじゃねぇが、あー見えて肝の座っている男さ。伊達に世界を救ってるわけじゃねぇんだ。そんなん嬢ちゃんが1番わかっていることだろうよ?」
クーフーリンの問いかけにマシュは答える
「......確かに先輩は今まで人理修復の為、数々の時代を旅してきました、それは決して容易な事ではなく、とても過酷なものでした。先輩は一人でもきっと大丈夫だと思います」
マシュにとって藤丸立香という人物はマスターとサーヴァントの関係として守らなきゃならない存在というものでは無くなっていた
藤丸立香を守りたい
藤丸立香を失いたくない
藤丸立香と居たい
主従関係なんてない、そうしたいと思うマシュ自身の願いがそこにあった
「でも....私は先輩の側で先輩を守りたいんです!」
クーフーリンは何か安心したかのようにふっと笑いながら言う
「肝が座ってるのはマスターだけじゃねぇな、どうやら心配してんのは俺の方だったようだ」
マシュのこの思いは今後決して揺らぐ事はない
それは恐らく藤丸立香も同じなのだろう
どれだけ離れていても、この二人の絆は離れる事なく硬く結ばれていた。
クーフーリンはマシュに背を向けるとその場を去ろうとした
「邪魔したな、俺は部屋に戻るぜ」
「クーフーリンさん!その、ありがとうございました。励ましてくださり...」
クーフーリンは背中を向けたまま小さく片手を上げ歩いて行った
クーフーリンさんはきっとマスターだけではなく、私をも心配してくださってくれていたのですね
マシュは静かに微笑んだ
自分の中で張り詰めていた緊張が少しほぐれていた
しばらくすると突然館内放送が流れ始める
『緊急ミーティングを行います。以下の人は直ちに管制室へ来てください』
マシュの足は動いている
わかっていた
自分が行かなくてはと
焦るようなその早い足取りは既に管制室へ向かっていた
『マシュ・キリエライト』
投稿かなり期間空いてすみません
最近忙しくあまり書けていませんでした
また少しずつ書いていこうと思うのでよろしくお願いします