ソードアート・オンライン-君と共に在るために-   作:ちぇりぶろ(休載中)

26 / 88
という事で26話目です。
早いものでもうすぐこれを書き始めて2ヵ月が経とうとしています。
これからもよろしくお願いします。


では、どうぞ!


【26】世界樹

 2025年01月21日 ALO内11時30分 中立域 蝶の谷

 

 タクヤとルクスはサクヤ率いる風妖精族(シルフ)の精鋭部隊と共に会談が行われる蝶の谷に到着した。

 既に猫妖精族(ケットシー)の領主達も到着していたみたいで、2人の領主が互いに握手を交わす。

 

 サクヤ「久しぶりだなルー…」

 

 アリシャ「にゃははー!本当だねー。前の領主会議の時以来だよー」

 

 ルーと呼ばれた猫妖精族(ケットシー)の領主は何とも目のやりように困る派手な軽装で猫混じりの声を出す。

 猫妖精族(ケットシー)は他の種族に存在しない"飼い慣らし(テイミング)”と呼ばれるスキルを有しており、この蝶の谷までは猫妖精族(ケットシー)が飼っている竜騎士(ドラグーン)で来ていた。

 

 タクヤ「すげー…あんなデカイモンスターを使い魔にしてんのか…。

 シリカのピナの100倍くらいあんじゃねぇのか?」

 

 アリシャ「ん?そっちの闇妖精族(インプ)の彼はサクヤちゃんの傭兵かな?」

 

 サクヤ「いや、彼は今日偶然出会ったタクヤ君だ。

 ルクスと一緒に行動していたから私が護衛を頼んだんだよ」

 

 すると、足音を立てずそっとタクヤの背後に回り込む。

 

 アリシャ「へぇ…。サクヤちゃんが護衛をまかせるって事は相当腕が立つんだろーねー…君…」

 

 タクヤ「うわっ!!?いきなり、後ろに立つなよ!!!」

 

 アリシャ「にゃはは!ごめんごめん。私はアリシャ・ルーだよ。

 ご存知の通り猫妖精族(ケットシー)の領主をしてるんだー。

 よろしくねー」

 

 タクヤ「あ、あぁ。オレはタクヤ。えーと、種族は闇妖精族(インプ)だ…よろしく!」

 

 タクヤはアリシャと握手を交わし、本題の同盟についての会談が行われた。

 

 サクヤ「こちらが出す条件は"グランド・クエスト”攻略後、報酬の3割と高位種族光妖精族(アルフ)の転生、猫妖精族(ケットシー)の戦に風妖精族(シルフ)を援軍に向かわせる事がこちらが出す条件だ」

 

 アリシャ「うん。それでいいよー。

 猫妖精族(うちら)は転生しなくても竜騎士(ドラグーン)がいれば、無限飛べちゃうからさー」

 

 サクヤ「同盟…成立だな…」

 

 アリシャ「まぁ、言ってもこれは形だけの儀式みたいなものだからねー。そんなに時間はかからないよ…。

 それよりさ!まだ時間はある訳だからせっかくだし、みんなでパァーとしない?」

 

 何とも緊張感のない会談であったが、互いに利益が生まれる事は証明された事なので肩の荷が降りるというものだ。

 

 サクヤ「相変わらず、祭り事が好きだな。お前は…」

 

 アリシャ「にゃははは!

 ゲームなんだし固っ苦しいのはやっぱりダメだよー!

 もっと盛り上がっていかないとー!」

 

 アリシャはストレージから酒や食材を山のように取り出し、全員に酒が行き届いたのを確認して乾杯の音頭をとる。

 

 アリシャ「猫妖精族(ケットシー)風妖精族(シルフ)の同盟を締結を祝して…かんぱーい!!」

 

「「「かんぱーい!!!!」」」

 

 それからというもの、両種族が入り混じって酒を酌み交わす。

 この光景を見ているとタクヤはSAOでの生活を思い出していた。

 ことある事にパーティーを開いては仲間達が酒を酌み交わしている姿を…。

 今は、みんな現実世界に戻り、元の生活を取り戻しているだろう。

 

 タクヤ「…懐かしいなぁ」

 

 タクヤは輪から外れて1人で酒を飲んでいた。

 すると、そこにルクスが慌てた様子でタクヤの所へやって来た。

 

 ルクス「た、タクヤ!!大変だ!!」

 

 タクヤ「どうしたんだよ?そんなに慌てて…」

 

 ルクス「と、とにかくこれを見てくれ…!!」

 

 ルクスがタクヤに見せたのはALOの攻略掲示板だった。

 そこにはクエストの詳細や、レアアイテムの入手方法までこと細かく書かれており、"グランド・クエスト”の情報などもあった。

 

 タクヤ「へぇ…。ALOの世界ってかなり凝ってるんだなぁ…」

 

 ルクス「違うよ!そこじゃなくて…ここ!!」

 

 ルクスが画面をスクロールさせ、見せたのは1枚の添付画像だった。

 おそらく世界樹なのだろうか、巨大な枝に吊るされた鳥籠が映っている。

 

 タクヤ「これがなん…だって…」

 

 タクヤはその画像を食い見る。

 画質は悪いが、鳥籠の中にいる女性プレイヤーにタクヤとルクスは心当たりがある。

 

 タクヤ「これは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アスナ…なのか?」

 

 ルクス「やっぱり…タクヤもそう思うかい?」

 

 タクヤ「いや、ありえねぇ…。みんなは無事にSAOから解放されてるハズだ。…ただの空似じゃ…」

 

 ルクス「…それが、タクヤがSAOをクリアした後もまだ300人以上のプレイヤーが現実世界に戻ってきていないんだ…」

 

 タクヤ「なっ!!?」

 

 まだそんな大人数のプレイヤーが脱出していない事にタクヤは耳を疑った。

 最後の時、茅場晶彦は確かに全プレイヤーのログアウトが完了したと言っていた。

 茅場晶彦が嘘をついている可能性だって捨てきれないが、タクヤにはこれが茅場晶彦の仕業ではない事を直感している。

 

 タクヤ(「アイツは犯罪者だが、ゲームの中では常にフェアプレイを心掛けていた。そんな奴が、約束を違える訳ねぇ…!!」)

 

 茅場晶彦…つまりはタクヤの兄だが、昔から嘘がつけない性分だった。

 何事にも動じず、自分の未来だけをまっすぐ見ていた。

 

 ルクス「これがもし、本当にアスナさんなら…」

 

 タクヤ「あぁ。最終目的は変わんねぇが、まずはアスナを救い出す!!

 オレが帰るのはそれからだ…!!」

 

 タクヤは一刻も早く世界樹へ向かうべく、サクヤとアリシャに事情を説明した。

 

 サクヤ「そうか…。もう行ってしまうのか。大丈夫…火妖精族(サラマンダー)も来ないようだし、君は先に行ってくれ」

 

 アリシャ「えー!私はもっと話したかったのにー!!

 じゃあ、今度は猫妖精族(ケットシー)の傭兵やらない?

 3食おやつ付きで昼寝も出来るよー!!」

 

 タクヤ「機会があったらな!

 じゃあ、オレは行くけど…もし、万が一オレの事を知っているプレイヤーを見かけたらアルンにいるって伝えてもらっていいか?」

 

 サクヤ「あぁ。かまわないよ…」

 

 タクヤ「ありがとう!またな!」

 

 タクヤとルクスは2人に別れの挨拶を交わして、世界樹のあるアルンまで全速力で飛んでいった。

 

 ルクス「ねぇ、タクヤ…。サクヤさんに何であんな事を?」

 

 タクヤ「…多分だけど、掲示板に書き込まれる程の情報ならゲーマーなら誰でも知ってるハズだ。

 だから、おそらく…()()()もこの記事を見てこの世界に来るハズだ」

 

 ルクス「アイツって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タクヤ「…黒の剣士さ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 sideユウキ_

 

 

 2025年01月21日 ALO内14時40分 中立域 蝶の谷付近

 

 ユウキ「やっと外だァ!!」

 

 キリト「あと時間はどれくらいあるんだ?」

 

 リーファ「後、40分って感じかな…。だとしてもギリギリだね…」

 

 ボク達は長い回廊を全速力で走り、やっと出口が見え始めた。

 

 ストレア「この先にタクヤがいるんだね…!!」

 

 カヤト「そのハズです!!」

 

 すると、目の前にモンスターが現れたが、スピードを緩める事など論外であり、ボク達は一撃必殺でモンスターを屠った。

 

 リーファ「デタラメだなー…」

 

 キリト「よし!!外に着いたぞ!!蝶の谷はどっちだ!!」

 

 リーファ「こっちだよ!!ここからは私が案内するからついてきて!!」

 

 外に出て日光を浴びた翅は粒子を煌めかせながら、ボク達は崖をジャンプした。翅を広げ、真っ直ぐに蝶の谷を目指す。

 

 ユイ「パパ!!南方にプレイヤー反応を確認しました!!数は32人!!

 おそらくこれが火妖精族(サラマンダー)の精鋭部隊だと予想します!!」

 

 ユウキ「さっきの倍もいるのかー…」

 

 カヤト「もし、戦闘になったらこちらの圧倒的不利ですね」

 

 リーファ「ごめんね…。みんなを巻き込んじゃって…」

 

 キリト「気にするな…。困った時はお互い様だ」

 

 かつて、タクヤの口癖だった一言をキリトがリーファに言った。

 ボク達の仲間の仲間が危険にさらされているんだ。

 一刻も早く行かないと間に合わない。

 

 ユウキ「よーし…!!じゃあ、飛ばすよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 sideout_

 

 サクヤ「…タクヤ君を向かわせたのが裏目に出たな」

 

 今、サクヤ達の上空には火妖精族(サラマンダー)の精鋭部隊がリーダーの合図を今か今かと待っている。

 火妖精族(サラマンダー)9種族の中でも武闘派集団で構成されている種族だ。

 こっちは2人の領主が率いる精鋭部隊がいると言っても、数の暴力には敵わない。

 瞬間、1人の男の右腕が上がり、合図を告げた。

 それと一斉に火妖精族(サラマンダー)がサクヤたちに向かって突撃をかけた。

 

 サクヤ(「…ここまでか」)

 

 サクヤが諦めようとした瞬間、北方から物凄いスピードで蝶の谷を目指しているプレイヤーが複数人いた。

 あまりのスピードに着陸する前に大きな土煙となって火妖精族(サラマンダー)の攻撃を防いでみせた。

 

 リーファ「サクヤ!!」

 

 サクヤ「リーファ!!?なんでお前ががここにいるんだ?」

 

 リーファ「レコンに火妖精族(サラマンダー)が大部隊を送り込んだって聞いたから…!!」

 

 サクヤ「それに彼らは…」

 

 土煙を起こした張本人はサクヤ達に目を向ける事なく、火妖精族(サラマンダー)部隊に鋭い眼光を向けていた。

 

 キリト「双方剣を引けっ!!!!」

 

「「「!!!!」」」

 

 蝶の谷の周囲に聞こえるかの如くキリトは大声を上げた。

 

 ユウキ「何とか間に合ったみたいだね!」

 

 カヤト「翅もギリギリだったですしね」

 

 ストレア「みんな速い〜」

 

 少し遅れてユウキ達も合流した。

 すると、1人の火妖精族(サラマンダー)が部隊を退き前に出てきた。

 

「何者だ?」

 

 キリト「オレはキリト。

 影妖精族(スプリガン)水妖精族(ウンディーネ)同盟の大使だ」

 

「…護衛もつけず、大した装備もないお前が大使だと?」

 

 キリト「ここには風妖精族(シルフ)猫妖精族(ケットシー)との貿易交渉に来ただけだからな。

 だが、この場を襲うからには4種族との全面戦争をする事になるぞ…!!」

 

 キリトの発言はサクヤやアリシャも驚いているが、彼と共に来たユウキ達もそんな事は知らない。

 

「にわかに信じ難いな…。

 よかろう。俺の攻撃に30秒耐えてみせたら貴様を大使と認めてやる」

 

 キリト「随分気前がいいなぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまんのぉ!!遅刻してしまいましたがなぁ!!!!」

 

 ユウキ「今度は何!?」

 

 火妖精族(サラマンダー)部隊の後方からやって来たのは同じく火妖精族(サラマンダー)のプレイヤーだった。

 悪びれしていない様子を見せながら前へと出る。

 

「すんません。ユージーンさん!ちょっくら寝坊しちまったぜ!!」

 

 ユージーン「…貴様はいつになれば俺の言う事を聞くようになるんだ?」

 

「だから、謝ってるじゃないかぁ!!ワシぁこういう事は苦手でのぉ…」

 

 ユージーン「フン…まぁいい。お前は下がっていろ」

 

 ユージーンは背中から自分の背丈と同等の長さの両手剣を抜き出し、キリトの前に立ち塞がった。

 

「おっ!ユージーンさん勝負すんだかぁ?

 俺も体動かしたいわぁ〜!…そこのお前っ!!」

 

 カヤト「え?僕…ですか?」

 

「そうじゃお前じゃ!!ワシと1戦やらんか?

 どうせ、皆はここを攻め落とす気じゃろ?

 だったら今の内に体動かさんと調子でぇへんからのぉ!!」

 

 名指しで呼ばれたカヤトはリーファに視線を向けるが、リーファもお願いするように視線を交わす。

 最も、キリトが勝負する事になったおかげで、ユウキ達に戦う以外の選択権はない。

 カヤトも時代錯誤なプレイヤーの前まで翅を羽ばたかせた。

 

 ホーク「ワシはホークっつうもんや!

 ほら!はよぉ武器かまえんかい!!」

 

 カヤトはホークの言われた通り背中の両手長柄をかまえる。

 すると、ホークも武器をかまえるかと思いきや、素手でファイティングポーズをとった。

 

 カヤト「…あなたは武器はかまえないんですか?」

 

 ホーク「いいんじゃ気にすんな!ワシは元々このスタイルなんじゃ!」

 

 カヤト「…」

 

 ユウキ「大丈夫かな…カヤト…」

 

 ユウキの心配を他所にカヤトはなんと自分の武器をあろう事かユウキ達のいる場所に投げやった。

 ユウキは慌てて武器を回収するが、カヤトが何を考えているのか見当もつかない。

 

 ストレア「カヤト〜!!何で武器捨てちゃったの〜?」

 

 カヤト「…相手が素手である以上僕もそれに乗っ取らなくちゃいけない。…それが武の道を歩む僕の生き方です!!」

 

 ホーク「ほぉ…。なら、これで条件は同じじゃのう…!!」

 

 互いにファイティングポーズをとり、相手の出方を窺う。

 キリトとユージーンも剣をかまえ、勝負の時を静かに待っている。

 周囲には異様な緊張感が漂い、この場の誰もがその瞬間を固唾を飲んで待っている。

 太陽は次第に分厚い雲に覆われ、雲の切れ間から一筋の光が指していた。

 ユージーンの刀身に太陽の光が反射して、一瞬キリトの視界を狭めた。

 瞬間、それを狙ったかのようにユージーンはキリトに斬りかかった。

 キリトも隙を突かれたとはいえ、防御できない距離ではない。

 丁寧に剣で防ごうとするが、ユージーンの両手剣はキリトの片手剣をすり抜けた。

 

 キリト「!!」

 

 瞬間、キリトは直撃を食らい、岩山へと吹き飛ばされた。

 それがカヤトとホークの勝負の合図となり、互いの拳が交差する。

 拳は2人の顔面を捉え、それを機に目にも留まらぬ拳の連打にユウキ達は目を奪われていた。

 それを容易に覆す爆音と共に、キリトがユージーンに斬りかかった。

 

 キリト「何だよ…!!さっきのはっ!!」

 

 キリトの1振りでユージーンは後退させられるが、不敵な笑みを浮かべたままユージーンも応戦する。

 

 サクヤ「まずいな…。あの両手剣は"魔剣グラム”だ」

 

 リーファ「魔剣…?」

 

 サクヤ「だとすれば、あの男がユージーン将軍なんだろう…。

 今、ALOで最強と謳われているプレイヤーだ!」

 

 リーファ「ALO…最強…!!」

 

 アリシャ「あっちもすごい有名人だよ…!!

 武器を持ってない所を見ると、ユージーン将軍の右腕の"剛拳”のホークだね…!!」

 

 カヤトとホークの戦いは最初は均衡を保っていたが、徐々にホークの回転が上がってきている。

 今ではカヤトが防戦一方になる程に押されていた。

 

 ホーク「オラオラァッ!!どうしたんじゃぁ?

 もっと血ィ滾らせんかいっ!!!!」

 

 カヤト「くっ…!!?」

 

 ユウキ「どうしよう…!!カヤトはまだALOを始めて間もないのに…!!」

 

 ホークは明らかに戦闘慣れしているのに対し、カヤトはまだALOを始めてまだ2日しか経っていない。

 道中のモンスター相手には臨機応変に対応していたが、それはあくまで決まった動きしかしない相手に対してだ。

 今、カヤトが戦っているのは、理性と経験、そして力を兼ね備えた1人のプレイヤーである。

 VRMMOゲームにとって経験の差はそのまま力の差となって自身に襲いかかる。

 

 ホーク「オラァっ!!」

 

 カヤト「がっ!!」

 

 キリト「カヤト!!」

 

 ユージーン「他人の心配をしている場合かぁっ!!!!」

 

 またしても、キリトの剣をすり抜けて斬撃を浴びせる。

 

 ストレア「あ〜!!またすり抜けたよ〜!!卑怯だぞ〜!!」

 

 アリシャ「あれは"エセリアルシフト”って言って、剣や盾で受けようとしても非実体化してすり抜けるエクストラ効果があるんだよー!!」

 

 リーファ「そんな!!?…キリト君!!!」

 

 キリトとカヤトのHPも軒並み削られていくのに対し、ユージーンとホークはまだ数ドットも減っていない。

 このままでは確実に2人は負けてしまうだろう。

 

 キリト「効くなぁ…。おい!もう30秒経ってんじゃないのかよ!!」

 

 ユージーン「悪いな…。貴様を斬るまでに変更だ…!!」

 

 キリト「ヤロー…絶対に泣かせてやる!!」

 

 キリトは魔剣グラムの効果を知って尚、ユージーンに正面から斬り合いに持ち込む。

 

 カヤト「強いですね…やっぱり…」

 

 ホーク「なぁに…お主もなかなか見所があるわい!

 だが、ワシに勝つにはまだまだじゃ…!!」

 

 カヤト「だからって簡単に負けてやる訳にもいかないんですよ!!」

 

 カヤトも回転を上げ、ホークに挑む。

 だが、ホークはカヤトの拳を難なく躱していく。

 

 ホーク「どうしたんじゃ?もっと撃ってこんか?」

 

 カヤト「っ!!」

 

 ユウキ「カヤト!!」

 

 カヤト「…分かりましたよ」

 

 ホーク「ん?」

 

 瞬間、ホークの顔面をカヤトの拳が捉えた。

 後退したホークは今、何が起きたか頭の中で処理する。

 

 ホーク(「顔面に左…いや、右のストレートを食らったんか!?」)

 

 さらに畳み掛けるようにカヤトは一気に間合いをとり、先程までとは比較にならない程の連打を繰り出す。

 形勢は逆転してホークの顔が歪んだ。

 

 ユージーン「ホーク!!」

 

 キリト「お前も余所見すんなよっ!!」

 

 鈍い音を響かせながらキリトがユージーンを徐々に押してきている。

 流石のユージーンも顔に余裕など消えており、本気でキリトを仕留めにかかってきた。

 キリトも魔剣グラムのエクストラ効果を攻略しない限り、勝ち目はないに等しいだろう。

 キリトは1度ユージーンから距離をとり態勢を立て直す。

 

 ユージーン「逃がすかぁっ!!」

 

 ユージーンも全速力でキリトを追いかける。

 すると、キリトは詠唱を唱え始め、周囲に煙幕を張った。

 

 ユージーン「ちっ!小賢しい真似を…!!」

 

 もちろんカヤトとホーク、ユウキ達にも煙幕が襲ってきた。

 

 ホーク「くそっ!目くらましかっ!?」

 

 カヤト「…!!」

 

 ユウキ「うわっ!真っ暗じゃん!!」

 

 リーファ「な、何も見えない…!!」

 

 キリト「…ちょっと借りるぜ…」

 

 リーファの近くでキリトの声が聞こえ、リーファは辺りを探すが煙幕のせいでそれが出来ない。

 ふと、腰に手をやると先程まであった剣がいつの間にか消えていた。

 

 ユージーン「時間稼ぎのつもりかァっ!!」

 

 ユージーンは剣で無理矢理周囲の煙幕を薙ぎ払う。

 だが、どこを探してもキリトの姿はどこにもなかった。

 

 サクヤ「…どこだ?」

 

「まさかあいつ…逃げたんじゃ…!!」

 

 リーファ「そんな事ないっ!!」

 

 リーファの怒声でアリシャの護衛もたじろぐ。

 

 カヤト「…さぁ、こっちも続きをやりましょうか?」

 

 ホーク「お主の動き…格闘技でもやっとるんやろ?」

 

 カヤト「空手とか柔道とか…格闘技はほぼ全般こなしてますよ」

 

 ホーク「…ふ、ふぁはっはっはっは!!久しぶりじゃ!!

 あの時以来じゃ!!こんなにワクワクする闘いはぁっ!!!!」

 

 ホークも全力でカヤトに拳を向けた。

 だが、カヤトはそれをいなす事により、全く力を出さないでホークを投げ捨てた。

 ホークは空中でバランスを崩し、蝶の谷に激突した。

 

 ホーク「まだまだぁっ!!!」

 

 ユウキ「…あの人の動き!!」

 

 ストレア「いた!!キリトはあそこだよ!!」

 

 リーファ「!!」

 

 ストレアの指差す方には太陽があり、それを背にキリトがユージーンの頭上を下降していた。

 太陽の光のせいで正確な位置が掴めないユージーンだが、キリトに接近して、魔剣グラムを振り下ろす。

 キリトはまたしても剣で防ごうとするが、エセリアルシフトの効果が発動し、剣をすり抜けた。

 キリトのHPも残り僅かな為、これを食らえば勝負がつくと言っても過言ではない。

 だが、その思惑は大いに覆される事になる。

 なんと、すり抜けたハズの魔剣グラムはキリトを斬り裂く前に大きく後退させられた。

 

 ユージーン「なっ!!?」

 

 キリトは両手には自分の剣とリーファの使っていた剣の2本が強く握られていた。

 

 ユウキ「二刀流…!!」

 

 かつて、キリトがSAO時代にキリトのみに現れたユニークスキル"二刀流”が目の前にあった。

 ALOではソードスキルは存在しないが、キリトはSAOで培った経験を元に二刀流をトレースして使っているのだ。

 

 サクヤ「すごい…!!」

 

 キリトの目にも留まらぬ剣捌きでユージーンのHPはみるみる減少していく。

 ユージーンも負けじと爆炎魔法を繰り出して、キリトを引き剥がそうとするが、それも水の泡と化した。

 

 ユージーン「落ちろぉっ!!!!」

 

 半ば強引に振り下ろされた剣を避けることなど、今のキリトには容易い事だ。

 最後の一撃とでも言わんばかりに2本の剣でユージーンを貫く。

 体に剣が刺さっている為、自動的にHPは減少していく。

 悪あがきをするも、キリトの渾身の斬撃でユージーンは体を真っ二つにされ、炎を纏いながら蝶の谷へと落ちていったのだった。

 

 カヤト「そろそろこっちも終わらせましょうか…」

 

 ホーク「臨むところじゃ!!」

 

 ホークも渾身の一撃を繰り出す。翅を消滅させ、落下スピードも加わった拳に炎を纏わせた。

 カヤトも翅を最大限羽ばたかせ、真正面から拳を繰り出した。

 

 ホーク「うぉぉぉぉりゃぁぁぁっ!!!!」

 

 カヤト「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 互いの拳は最初同様重なるが、カヤトは瞬間に避け、ホークの顔面を貫いた。

 そこでホークのHPは消滅し、小さな炎となってユージーン同様蝶の谷に落ちていった。

 

 カヤト「ハァ…ハァ…」

 

 キリト「ナイスファイトだ…カヤト」

 

 カヤト「…ギリギリでしたけどね」

 

 それを皮切りに、蝶の谷は激しい声援に包まれながら両者の健闘を讃えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年01月21日 ALO内16時20分 蝶の谷

 

 太陽も沈み始め、空は緋色に包まれながら蝶の谷でサクヤがユージーンとホークに蘇生魔法を施していた。

 小さな炎は瞬く間に人の形となり、ユージーンとホークを全快にさせた。

 

 ユージーン「…」

 

 ホーク「いやぁ負けた負けた!!こんなに熱い勝負は久しぶりじゃのぉ!!」

 

 キリト「これで信じてくれたかな?」

 

 ユージーン「…」

 

 ユージーンの目にはまだ疑いの色が見て取れる。

 すると、火妖精族(サラマンダー)部隊から1人の槍使いが現れた。

 

 リーファ(「あの人は…!!」)

 

 それはリーファが初めてキリトと会った古森で対峙した火妖精族(サラマンダー)のプレイヤーだった。

 あの時は撤退してくれたが、今この場でキリトの嘘を見破れるのはこのプレイヤーを置いて他にいない。

 

「ジンさん…ちょっといいかな?」

 

 ユージーン「カゲムネか…」

 

 リーファ(「不味い…!!」)

 

 カゲムネ「オレが昨日撤退させられたのは今いるそこの2人のせいなんだけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 確かに連れに水妖精族(ウンディーネ)がいたよ」

 

 キリト&リーファ「「!!」」

 

 嘘を見破られると思いきや、このカゲムネはあろう事か2人を庇ったのだ。

 周囲に気づかれないようにカゲムネがリーファにアイコンタクトを取る。

 ユージーンは少し考えたが、口角が次第に緩み始めた。

 

 ユージーン「…そういう事にしておこう。

 だが、次はこうはいかんぞ…!!」

 

 ユージーンはキリトに対して握手を求めてきた。

 キリトもユージーンの気持ちを汲んで握手に応じた。

 

 キリト「あぁ。次も負けないからな」

 

 ホーク「お主とももう1度戦うぞ!!覚悟しちょれよ!!」

 

 カヤト「御手柔らかにお願いします…!!」

 

 カヤトとホークも握手を交わしてこの場はこれで丸く収まった。

 

 ホーク「まさか、()()()()()()で負けるとは思わんかったのぉ…」

 

 カヤト「前にも誰かと素手で戦われたんですか?」

 

 ホーク「おうよ!

 …今はもう無くなってしもうたけどあれは楽しかった。

 この世界に来ればまたアイツとも会えると思っとったんじゃが、いくら探していやせん…。

 ()()()()()持ち同士気があったんじゃがのぉ…」

 

 瞬間、ユウキの顔色は一気に変わり、ホークに詰め寄った。

 

 ユウキ「ちょ、ちょっと待って!!

 今…闘拳スキルって…君もSAOにいたの!!?」

 

 ホーク「な、なんじゃ!?

 ワシは確かにSAOにいたが…もしかして、お主、タクヤの知り合いか!!?」

 

 ユウキ「タクヤを知ってるの!!?」

 

 サクヤ「ん?君達もタクヤ君の事を知っているのか?」

 

 ユウキ&ストレア&キリト&カヤト「「えっ!!?」」

 

 SAOにいたと言うホークが知っているのはまだ分かる。

 だが、ALOにいるサクヤが知っているのはおかしい。

 知っているとすれば、タクヤがこの世界にいる証明になるからだ。

 

 ユウキ「さ、サクヤさん!!タクヤを知ってるの!!?

 今はどこにいるの!!?教えて!!!!」

 

 サクヤ「わ、わかったから少し落ち着いてくれ…」

 

 ユウキは我に帰りサクヤから離れる。

 

 アリシャ「そっかー。タクヤ君が言ってた子達って君達だったんだねー」

 

 サクヤ「あぁそうだ。タクヤ君からの伝言だ。

 "今アルンにいる。”だそうだ。

 何かの画像を見ていてその後、血相をかいてルクスと一緒にアルンへ向かったよ」

 

 キリト「ルクスって…討伐作戦の会議中にタクヤからの伝言を持ってきてくれた娘だ!!それに、何の画像を見てたんだ?」

 

 アリシャ「多分これじゃないかなー?」

 

 アリシャは攻略サイトのページを開き、ユウキ達にある画像を見せた。

 

 ユウキ「これって…エギルから見せてもらった写真だ!!」

 

 ストレア「じゃあ、タクヤとそのルクスって娘はこれを見てアルンに向かったって事?」

 

 キリト「あぁ。それで間違いない…」

 

 もうタクヤとの距離はすぐそこだ。ユウキは翅を羽ばたかせ空を飛んだ。

 

 カヤト「ユウキさん!!」

 

 ユウキ「もうじっとしてられない…!!

 タクヤが…タクヤがもうすぐそこにいるんだもん!!」

 

 ホーク「何っ!!?タクヤがいるんか!!?だったら、ワシもついてくぞ!!!」

 

 リーファ「ちょっと待ってよ!!あ、サクヤ。

 1つ頼みがあって…今度の同盟って世界樹攻略の為なんだよね?」

 

 サクヤ「あぁ。究極的にはな…」

 

 リーファ「頼みっていうのが、私達もその攻略に参加させてほしいの!!

 それも出来るだけ早く!!」

 

 キリト「リーファ…」

 

 リーファはサクヤとアリシャに直談判した。

 それはキリトの願いでもあり、今やリーファの願いでもあるからだ。

 

 アリシャ「でも、色々準備をしなくちゃいけないし1日2日じゃとてもじゃないけど用意出来ないんだよー」

 

 キリト「…オレ達もまず、アルンに行く事が目的だから。

 あ、準備する時にこれを役立ててくれ…。

 オレにはもう必要ないから」

 

 キリトはストレージから大きな袋を取り出し、アリシャに差し出した。

 アリシャが中身を見ると、手を震わせながらサクヤに見せた。

 袋の中には10万ユルド銀貨が山のように入っていたのだ。

 

 サクヤ「い、いいのか?1等地にちょっとした城が建つぞ?」

 

 キリト「あぁ。だからそれを元手に準備を進めて欲しいんだ…」

 

 アリシャ「これだけあればかなり目標金額に達成するよ!!」

 

 カヤト「じゃあ、僕達は行きます!!みなさん元気で!!」

 

 そう言い残し、ユウキ達は新たにホークを加えて世界樹の見える央都アルンへと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初タクヤ_

 

 

 2025年01月21日 ALO内16時30分 央都アルン 世界樹前

 

 タクヤ「ここが…」

 

 ルクス「あぁ。この世界の中心…世界樹の根元さ…」

 

 タクヤ「ここにアスナがいるかもしれないのか…」

 

 オレ達はとうとう世界樹のある央都アルンまでやってきた。

 この世界に迷い込んで2ヵ月。

 ここでならオレが現実世界に帰れる手掛かりがあると踏んでルクスと一緒に旅をしてきた訳だが、帰る前にまだオレにはやり残している事があった。

 

 タクヤ「1回挑戦してみるか…。中がどうなってるのか見てみたいし…」

 

 ルクス「そうだね。

 宿屋もチェックインしてるから、死に戻りしてもアルンからだし」

 

 タクヤ「…待てよ。オレってその時どうなるんだ?」

 

 確かに、SAOではゲームオーバー=死だったが、ALOではオレはそのルールを引き継いでいるのか疑問に思った。

 

 ルクス「確かに、死に戻りが出来るかどうか分からないからやめておくかい?」

 

 タクヤ「まぁ、無理と判断してすぐに逃げれば問題ねぇだろ!」

 

 ルクス「相変わらず無茶ばっかりするんだね…」

 

 タクヤ「それがオレの唯一の取得だからな!

 それに…これはオレなりのけじめだ。

 助けてやるって言っておきながら全員を助けられてねぇからな…。

 あ、大丈夫だぞ?別にオレ1人で抱え込むつもりはねぇから」

 

 ルクス「…あんまり信用出来ないけどそういう事にしておいてあげるよ」

 

 半ば呆れた顔でルクスはオレに言ったが、内心オレはまだ1人で抱え込もうとしているらしい。

 今も、ルクスにはここに残っていて欲しいと思っている。

 だが、オレも1人の人間だ。1人で出来る事なんてたかが知れている。

 それをオレはあの世界で大事な人に教えて貰ったんだ。

 

 タクヤ「さて、じゃあ!行ってみるか!」

 

 ルクス「あぁ!」

 

 オレは世界樹の根元の巨大な門を番人の石像に開けてもらい、ルクスと一緒に中に入る。

 中は縦に広がるドーム状の形態をしており、壁一面にはおそらくここの守護者(ガーディアン)であろうモンスターで埋め尽くされていた。

 天井がまるで見えず、本当にこの先に空中都市などと言われているものがあるのかと疑いたくなる光景だ。

 でも、やるしかないのだ。この先にアスナが…仲間が待っているのだから。

 ユウキならきっとそうするに違いない。

 

 タクヤ「進んでみるか…」

 

 ルクスも緊張している為、無言でオレの指示に頷く。

 20m程飛んだ所で壁から守護者(ガーディアン)が出現する。

 無尽蔵に出現する守護者(ガーディアン)により、たちまち行方を塞がれてしまった。

 

 タクヤ「…上等だ!!」

 

 オレは一気にスピードを上げ、守護者(ガーディアン)に突撃した。

 拳を1発顔面に食らわせると守護者(ガーディアン)はポリゴンへと変わって消滅した。

 どうやら、1体1体は大した強さではなかった。

 これなら意外にも初見でクリア出来るのではないかと我ながら楽観的になっていた。

 だが、倒しても倒しても守護者(ガーディアン)は無尽蔵に湧いてきていくら攻撃の手を出しても数が全く減らず、むしろ、数はどんどん増えてきている。

 しかも、最初は剣を装備しているだけのものだったが、弓や両手剣とあらゆる武器を装備した守護者(ガーディアン)がオレとルクスに襲いかかってきた。

 

 ルクス「数が多すぎる!!タクヤ!!一旦態勢を立て直そう!!」

 

 タクヤ「…」

 

 ルクス「タクヤ!!」

 

 ルクスの言う通り、オレ達は出口へと向かって逃げるが守護者(ガーディアン)達がそれを許さない。

 

 タクヤ(「せめて、ルクスだけでも…!!」)

 

 オレはルクスの前に出て守護者(ガーディアン)を次々屠っていく。

 対抗されるがそれほど苦戦を強いられている訳ではなかったが数の暴力を受けて、精神に疲れが見えた。

 

 ルクス「タクヤ!!早く!!」

 

 タクヤ「ルクスは先にいけ!!

 オレがここでコイツらを食い止めておくから!!今のうちに早く!!」

 

 ルクス「でも、それじゃあタクヤが…!!」

 

 タクヤ「心配すんなって!!死んだりしねぇよ…!!」

 

 ルクス「っ!!」

 

 ルクスは意を決心して出口へと向かっていった。

 守護者(ガーディアン)がそれを妨害しようとするが、オレがそれを許さない。

 

 タクヤ「さぁ!こっから先は行かせねぇぞ!!全員ぶっ潰してやる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから30分が経過したが数は一向に減らず、オレもそろそろ限界が近づいていた。

 

 タクヤ「ハァ…ハァ…オレもそろそろ…退散しねぇと…」

 

 すると、急に意識がおぼつかなくなった。

 その隙を守護者(ガーディアン)達に突かれ、HPがみるみるレッドゾーンに差し掛かってしまった。

 

 タクヤ「やべっ…!!」

 

 流石にこれ以上の戦闘は不可能だった。

 最後の力を振り絞って出口に急降下する。

 あと少しで、出口にたどり着ける。あと数mでここから抜け出せる。

 そう思った瞬間、オレの銅に深々の両手剣が突き刺された。

 それを最後にオレのHPは残り1となった。

 

 タクヤ「…っ!!?」

 

 オレの意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2025年01月21日 ALO内18時10分 央都アルン 宿屋

 

 ルクス「タクヤ!!目を覚まして!!タクヤ!!」

 

 タクヤ「…ん…あれ…ルクス…?」

 

 オレが目覚めたのはチェックインした宿屋だった。

 どうやらルクスがオレを助け出してくれたらしい。

 オレが起きるや否やルクスはオレに抱きついてきた。

 

 ルクス「よかった…!!タクヤが無事で…!!」

 

 タクヤ「…悪いな。…心配かけちまって」

 

 ルクス「ううん…」

 

 ルクスの頭を撫でながらオレはルクスに謝った。

 今日はこの辺で解散する事にして、ルクスは現実世界へと帰ろうとしていた。

 

 ルクス「じゃあ、また明日…。

 明日は13時に来るからそれまでゆっくりしていてくれ…」

 

 タクヤ「あぁ。ルクスもちゃんと疲れをとっておけよ」

 

 ルクスと別れたオレは急に睡魔に襲われ、ベッドに寝転がり深い眠りへと就いた。

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?
久しぶりにホークを出してみましたが皆様は憶えてらっしゃるでしょうか?
まぁ、1話しか出番がなかったからもしかしたら忘れてるかも知れませんがこれから準レギュラーとして出す事を検討中なのでよろしくお願いします。


では、また次回!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。