ソードアート・オンライン-君と共に在るために- 作:ちぇりぶろ(休載中)
とりあえず話数を重ねていけたらと思います
ではどうぞ!
2022年12月02日 13:25 第1層 迷宮区内
タクヤ「はぁぁぁっ!!」
ザシュッ グモォォォッ パァァァン
ユウキ「これでここら辺のモンスターはあらかた片付いたね!」
キリト「あぁ…いい頃合だし、少し休憩してから街に戻ろうか?」
タクヤ「フゥ…そうだな」
オレは一息入れて先日手に入れた武器…アニールブレードを鞘に納めた。
オレ達がはじまりの街を出て1ヶ月が過ぎようとしていた。
その間にオレ達のレベルはトップランカーと言われるだけアップした。
タクヤ Lv.15
ユウキ Lv.12
キリト Lv.13
オレ達は近くの安全エリアで休憩がてら、ストレージの整理をしていた。
タクヤ「そういや
キリト「あぁ、トールバーナで行われるはずだ。それまでに迷宮区を出ないとな…」
そう…今日、トールバーナで第1層攻略会議が開かれる事になっている。
会議を開くって事は第1層を守護しているボスの部屋をどこかのパーティが見つけたんだろう。
ユウキ「第1層のフロアボスってどんなのなの?キリト」
キリト「名前はイルファング·ザ·コボルドロード…主な武器は骨斧で副武装に湾刀《タルワール》だ。取り巻きの番兵《センチネル》が3体いる。番兵は無限にリポップするからレイドを組んで戦うしかない。」
タクヤ「はぁ〜やる事がこんがらがってきた!」
キリト「でも、これはあくまでβテストの情報だからあまり鵜呑みにするのも良くないけどな」
デスゲームとなったソードアートオンライン(SAO)の中で何より重要視される物…それが情報だ。
キリトの話からすればβテストでも第8層までしか攻略出来なかったらしい。
なのでそこまではキリト達βテスターの情報を元に対策をたて、攻略に挑まなければならない。
そして、これがただのゲームなら初見で情報を得て、コンティニューして再度挑めるが、このSAOではそれができない。
ゲームオーバー=現実の死という苛酷な条件のもと、誰1人死なせず偵察を行い、誰1人死なせずボスを倒さなければならないのだ。
タクヤ「この世界に閉じ込められてもう1ヶ月か…」
ユウキ「…うん」
キリト「やっと第1層のボス部屋を見つけて明日にはボス攻略か…
このペースで攻略してたら約9年って所か…」
ユウキ「でも徐々にペースアップしてそれより前にクリアできるよ!!」
タクヤ「あぁ…だから今は目の前の壁を叩き壊すしかねぇな!」
ユウキ「そうそう!さすがタクヤ!!良いこというねぇ!!」
タクヤ「当たり前だアホ。こんな最下層でうじうじしてられっか…」
ぴしっ
ユウキ「いてっ」
オレはユウキのデコにデコピンしてから、立ち上がり体を伸ばす。
ユウキ「何すんのさぁ!タクヤのアンポンタン!!」
タクヤ「そんな口はオレに勝ち越してから言うんだなバーカ」
ユウキ「ムキィィィ!!今日という今日は絶対にボクが勝つんだから!!」
そう…はじまりの街から出た次の日からオレ達は3人で模擬戦を行ってきた。もちろん決闘《デュエル》の初撃決着モードでだ。
全損決着モードはその名の通りHPが全損するまで終わらないため、今のSAOでは絶対にやってはいけないのだ。
キリト「ケンカもそこまでだぞ。そろそろ行こう…」
ユウキ「だってタクヤがぁ〜…」
ユウキは頬を膨らましながらオレを見るが、そんな事気にしてたら埒があかないので聞いてないふりをして出口を目指した。
キィィィィン
キリト「!!2人とも待て!!」
タクヤ&ユウキ「「?」」
ハァァァァァっ キィィィィン グモォォォッ
キリト「奥で戦闘を行ってるプレイヤーがいるな…」
タクヤ「別にそんなの珍しくないんじゃ…ちょっと見てくる!」
オレは角から顔半分を出して覗き込む。
タクヤ「!?」
「はぁぁぁぁあぁぁっ」
キュイィィィィン パァァァン
そこでオレが見たのはローブを被った女性プレイヤーがたった1人でコボルドというモンスターを何体も相手にしている姿だった。
タクヤ(「アイツ…!!何考えてんだ!!あんな調子で戦ってたらいつか死んじまうぞ…!!」)
キリト「どうした?」
タクヤ「キリト、ユウキ…奥でプレイヤーが1人で何体ものモンスターと戦闘してる。」
キリト「なんだって!…すぐに助太刀しよう!!いくぞっ!!!」
ダッ
キリトは先陣をきってモンスターの大軍に突撃をかけた。
すぐさまオレとユウキもキリトの後に続く。
side???_
ただひたすら剣を振るっていた。何度も何度も何度も…
目の前の敵を屠るだけに神経を注いで…剣を振るった。
(「迷宮区に潜って何日が過ぎたんだろう…
肉体的な疲労はしないけど、精神がどんどん疲弊していく…
時折、意識も遠のく…それがここで何を意味するか…」)
グモォォォォオォォォッ
倒しても倒してもモンスターは次々にリポップを繰り返す。どれほどの数を倒したろう…そんな事がどうでもよくなるくらい倒した。
だが、それもこれまで…
私の周りをモンスターが囲み、逃げ場を無くしている。
(「ここで死ぬのかな…?でも…それでもいい…。
私は最後まで戦い続けた…。最後の一瞬まで私は私のままで戦い続けて…ここで消える…もう…私は…」)
私はそっと目を閉じようとした。もう何もかも終わった世界にサヨナラを告げながら…そっと…
ザァァンッ グモォォォッ パァァァン
「!?」
「はぁぁぁぁあぁぁっ」
ザシュッ グモォォォォオォォォッ パァァァン
「やあぁぁぁぁぁっ」
ザァァンッ グモォォォッ パァァァン
私は閉じかけた瞼を開き、目の前の光景に驚いた。
たった3人で20はくだらない数のモンスターを次々倒していく。
最後には全てのモンスターが消え、ポリゴンの残骸しか残されていなかった。
「アンタ…そんな戦い方してたら、いつか死ぬぞ…」
2022年12月02日 14:05 第1層 迷宮区内
sideタクヤ_
オレ達は1人で戦っていた細剣《フェンサー》の女性プレイヤーをコボルドの群れから無事救出する事が出来た。
キリト「アンタ…そんな戦い方してたら、いつか死ぬぞ…」
キリトが倒れていたプレイヤーにそう言って手を差し伸べた。
パシィン
キリトの手は女性プレイヤーから払いのけられた。
その顔はまるでなんで邪魔した…と言わんばかりのものだった。
「なんで…!!なんで死なせてくれないのよ!!
私は戦った…私はこの世界で戦い続けて…そして…!!
なのになんでよ!!どうせみんな死ぬのよ!!
それが遅いか早いかの違いじゃない!!
だったら最後ぐらい満足させて死なせてよ!!」
タクヤ「…」
ユウキ「…」
今まで溜め込んでいた物を全て吐き出した風に彼女は声を荒らげ、叫んだ。この世界に自分の生きた証を残すように…。
キリト「…ふぅ…君がここで死んだらあっちの世界に悲しむ奴がいるんじゃないのか?アンタはそんな人達の事を考えた事があるか?」
「!!」
そうだ…彼女にも現実の世界で待っていてくれる人がいるはずだ。
そんな人達の為にもオレ達は必ずこのゲームをクリアしなくてはいけない。
「……」
ユウキ「とりあえず…さ。ここから出ようよ。また、モンスターに襲われちゃうし…さっ!行こっ!お姉さん!」
ユウキは女性プレイヤーの手を取り、オレ達は迷宮区を後にした。
2022年12月02日 14:50 迷宮区付近安全エリア
オレ達はとりあえず迷宮区を脱出し、安全エリアへと移動した。
女性プレイヤーはポーションでHPは回復したが、精神はだいぶ疲弊しているようだ。おそらく何日も薄暗い危険な迷宮区に潜っていたに違いない。
ユウキ「…どう?少しは良くなった?お姉さん」
「えぇ…おかげさまで…」
タクヤ「とりあえずこれで一安心だな」
「…あなた達…強いのね。あの大群をたった3人でたおしちゃうなんて…」
キリト「いや、オレ達でもなんとかって感じだよ。倒せたのはモンスターの行動パターンとか知ってたからだ」
「そう…なんだ…」
シーン…
ユウキ「そ、そうだ!お姉さん!名前はなんていうの?」
沈黙に耐えられなくなったユウキが女性プレイヤーに名前を聞いた。
アスナ「私は…アスナ…」
ユウキ「アスナさんかぁ!ボクはユウキ!よろしくね」
タクヤ「オレはタクヤ…よろしく」
キリト「キリトだ。よろしく…」
アスナ「ユウキちゃんにタクヤ君にキリト君…ね。よろしく…」
ユウキ「ボクの事はユウキって呼んで!」
アスナ「じゃあ、私の事はアスナでいいわ」
ゴォーン ゴォーン ゴォーン ゴォーン
オレ達が自己紹介が終わると近くから鐘の音が聴こえてきた。
タクヤ「もう15時か…そろそろ行くか?」
キリト「そうだな」
アスナ「?どこに行くの?」
キリト「第2層…誰よりも早くね。今からトールバーナって街で第1層攻略会議が開かれる事になってるんだ」
アスナ「攻略…会議…」
ユウキ「アスナはもう少し休んでから街に戻るといいよ…って2人とも待ってよ〜!!」
ユウキもオレ達の後を追いかけてくる。アスナはまだ安静にしていた方が生存確率もあがるだろう。
すると…
アスナ「ちょっと待ってよ!!」
タクヤ&ユウキ&キリト「「「?」」」
アスナ「私もその…攻略会議に行くわ…!」
2022年12月02日 15:10 第1層 トールバーナ
キリト「じゃあ、劇場に16時に待ち合わせって事で…」
タクヤ「了解」
ユウキ「オッケー」
アスナ「わかったわ…」
オレ達はトールバーナに到着すると二手に別れて消耗品の補充や装備の新調などをする為、会議が開かれる場で落ち合う約束をした。
タクヤ&キリト組
タクヤ「ポーションとか結晶とか色々準備しなくちゃな」
キリト「あぁ…」
タクヤ「どうしたんだよ?神妙な顔して…」
キリト「いや…あのアスナって娘は何を考えているんだ?見た限りレベルはオレ達と大差ないと思うけど戦闘はてんで素人だったぞ」
確かに、迷宮区で見た限りでは無駄が多く、ソードスキルに頼りがちに見えた。
だが、初期スキルである細剣ソードスキル"リニアー”は既に熟練度MAXと言っても過言ではない程の速さだった。
タクヤ「まぁ、いざとなったらオレとキリト…最悪ユウキの3人でフォローすればいけると思うんだが…」
キリト「確かに、フォローに入れればそれに越した事はないが、オレ達がやるのはボス戦だ。どんな状況になるかオレにも分からない…」
タクヤ「んー…なら、会議が終わった後で特訓なりすればいい。どうせ、ボス戦は明日だろ?なら今日中に叩き込めるだろ」
キリト「まぁタクヤが良いならそれでもいいよ。実際オレ達の中じゃタクヤが一番強いんだし」
タクヤ「それもこれもキリトが色々教えてくれたからだ。
オレがここにいるのもキリトのおかげと言ってもおかしくない」
キリト「タクヤ…」
タクヤ「…こういうの苦手なんだよな。小っ恥ずかしくなってくる…まぁ、これからも頼むって事だ、うん!それより早く道具屋行くぞ!ぐずぐずすんな!」
オレは足早に道具屋に直行した。
キリト「ったく…それにしても、あの娘…どこかで…」
sideユウキ_
ボクはタクヤとキリトと別れてアスナと一緒に攻略会議が行われるまでの間、防具屋に寄る事にした。
それはというと、アスナの装備がまだ初期装備のままだった為だ。明日にはボス戦が始まる。
その為、今の装備では心許ないので新調する事にした。
ついでに、ボクの装備も新調しようかな。
ユウキ「アスナは今まで1人でここまで来たの?」
アスナ「えぇ…周りに頼れる人もいなかったし…」
ユウキ「でも、ここまで来るの大変だったんじゃない?」
ここまでの道のりは決して楽などではない。ボク1人だったら絶対に無理だった。タクヤとキリトがいたからボクもここまで来れたんだから。
アスナ「確かに、ここまで遠かったけど、この
ユウキ「攻略本?」
アスナがストレージから取り出したのは1冊の冊子だった。見た限りじゃ、プレイヤーが個人的に作っているものかなとボクは思った。
「へぇ~オレっちの攻略本がそこまで役に立ったカ…」
ユウキ&アスナ「「!!?」」
不意にボク達の背後から女の人の声が飛んできた。
「いやー…そこまで信頼されちゃうとオレっちも作ったかいがあったってもんだナぁ」
ユウキ「だ…誰!?」
アスナ「あっ!この前の情報屋さん!?」
アルゴ「そう言えばまだ名乗ってなかったナ。オレっちは“鼠のアルゴ”…情報屋ダ。以後お見知りおきを…。」
アルゴと名乗ったプレイヤーはフードで顔を半分程隠しており、頬の鼠のようなヒゲのペイントを入れたどこかミステリアスな女性だった。
アスナ「もう!驚かさないでくださいよ!」
アルゴ「ニャハッハッ!いいじゃないカ、アーちゃん。これでもオレっち、アーちゃんの事が心配で追っかけて来たんだゼ。後、ついでに依頼もあったんだけどナ…」
ボクの第一印象は一言…神出鬼没…。
アルゴ「そっちの娘は…初めましてカナ?よろしくナ!えーと…」
ユウキ「あっ…ボクはユウキって言います!よろしくお願いします」
アルゴ「ユウキ…ユーちゃんカ!何か欲しい情報とかあったらオレっちに言ってくれ。サービスするからナ!」
ユウキ「あ…ありがとう…ございます」
なんかこの人苦手だなー…とか思ってるとアルゴは別の用があるとかで人混みの中に紛れ込んで行った。
ユウキ「なんか…嵐のような人だったね…」
アスナ「うん…でも、あの人の情報の質は本物だわ…。この攻略本もあの人から頂いたものだし…」
言われてみれば、冊子の巻末に鼠のアルゴと記載されている。
あの人、おちゃらけてる風でもしかしたらすごい人なのかも…
ユウキ「!…早く防具屋行かないと時間なくなっちゃうよ、アスナ!」
アスナ「えっ!?待ってユウキ!!」
2022年12月02日 15:55 第1層トールバーナ 劇場
sideタクヤ_
タクヤ「おっ、来たか」
オレとキリトは補充も済んで早めに集合場所に到着していた。
それからしばらくして、ユウキとアスナも到着した。
オレ達4人は固まって最後列の石段に腰掛け、会議が開かれるのを静かに待っていた。
ユウキ「会議って聞いただけでなんかドキドキするね…」
タクヤ「いや、全然…」
ユウキ「…タクヤって結構ひねくれてるよね!そんなんじゃモテないよ〜」
タクヤ「大きなお世話だ、ガキ。お前ももうちょっとでっかくなんねぇとな…いろんな意味で」
ユウキはピンと来てないようだったが、徐々に顔が赤くなっていき、最終的にはリンゴみたいになっていた。
ユウキ「ど、ど、ど、どういう意味だよ〜!!!タクヤのバカバカバカバカバカバカバカバカァァァ!!!!」
ユウキが俺に右肩をポカポカ殴ってくるが、全然痛くも痒くもない。
ユウキはからかいがいがあるから飽きねぇんだよな。
キリト「お前ら、ふざけてないで静かにしろ。もう始まるぞ…」
キリトがオレ達を制していると中央の舞台に1人の男性プレイヤーが上がっていた。
ディアベル「みんな!!今日はオレの呼びかけに応えてくれてありがとう!!オレはディアベル!!職業は気持ち的に騎士《ナイト》やってます!!!」
「SAOにそんな職業ないだろ〜」
青髪の男性プレイヤー ディアベルは爽やかな笑顔と演説で場を和ませ、完全にこの場の空気を掴んだ。
タクヤ「はぁ〜爽やかだな〜…」
ディアベル「今日集まってもらったのは他でもない!先日、オレのパーティが迷宮区でボス部屋を発見した!!」
「「おぉぉ…」」
ディアベル「そこで明日!!ここにいる全員でボス戦をやろうと思う!!この最前線にいるプレイヤーは言わばトップランカーだ!!ボス部屋を見つけるまで1ヶ月かかったが…オレ達ははじまりの街にいるプレイヤーの為に必ずこのゲームをクリアしなくちゃならない!!!その足がかりにまず第1層を攻略して第2層への扉を開こう!!!!」
「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉおぉっ!!!!」」」
ディアベルの演説に心打たれたのか劇場内の全プレイヤーが拳を振り上げ声を荒らげた。
キリト「…あぁいう奴がこの集団をまとめていくんだろうなぁ」
「ちょぉ待ってんかッ!!!!」
タクヤ「んだよ…盛り上がってる時に水指す奴は…」
割って入った本人は軽快なステップで舞台の上に降り立った。
ツンツンのヘアースタイルにディアベルとは対極のチンピラみたいな男がオレ達を睨んでくる。
キバオウ「わいはキバオウっちゅうもんや…こん中にわい等に詫び入れないけん奴らがいるやろぉがぁっ!!」
ディアベル「キバオウさん…あなたが言う人達とは、つまり…」
キバオウ「…そうや。こん中にも居るはずやで…!β上がりのクソテスター共がぁぁっ!!!!」
キリト「!!!」
キバオウは怒号を浴びせ、オレ達に敵意をむき出しにしてくる。せっかくディアベルのおかげで1つになりかけていたのに…
キバオウ「アイツらはこのデスゲームが始まってスグにいなくなりよった!!ワイらビギナーを置いていきよったんや!!ジブンらだけ良い狩場やボロいクエスト独り占めしくさって2000人以上のプレイヤーを見殺しにしたんやっ!!!!詫び入れるのが当然やっちゅうねん!!!!」
キリト「……」
タクヤ「あのクソ野郎…」
ディアベル「…それで、彼らにどうしろと言うんだい?」
キバオウ「そらぁ罰としてアイテムなりコルなり全部落としていかん事には命を預けれんし、預かれん!!それが条件やっ!!!」
ユウキ「なんなのさ、それ…!要は自分達が強くなりたいだけじゃん!
…キリト!!あんなの気にする必要ないからね!!」
キリト「…あ、あぁ…」
あたまきた
ユウキ「え?」
ザッ ザッ ザッ
キバオウ「ん?なんやわれ…」
オレは今この場でこいつをぶん殴りたい。
だが、そんな事をしてもキリトや他のβテスターの立場が無くなるだけだ。
だが…こうでもしねぇと腸が煮えくり返って仕方ねぇ…。
タクヤ「おい…そこのチビウニ頭…」
キバオウ「う…ウニやてっ!!!?」
タクヤ「オレと決闘《デュエル》しろよ…」
キリト&ユウキ&アスナ「「「!!!?」」」
キバオウ「はぁ?おのれと決闘《デュエル》してワイに何の得があんねん?」
タクヤ「お前が勝ったらオレの持ってるアイテムと金は全部テメェにくれてやる…。ちなみに言うと、このアニールブレードは+6まで強化済みだ。しばらくは楽できると思うぜ」
キリト「!!…タクヤ…!!!」
キバオウはオレの賭けたものの価値をすぐに判断したようだ。
口元が微かに動いている。
キバオウ「…ほぅ。そんで?ワイが負けたらどうしろっちゅうねん?」
タクヤ「そうだな…テメェが負けたら…
今いる全βテスターに土下座でもしてもらおうか…」
「「「!!!?」」」
ユウキ「タクヤ…!」
キバオウ「そうか…おのれ、βテスターの仲間やなぁっ!!!」
タクヤ「だったらなんだよ。テメェはβテスターが今までどれだけ辛い思いをしてきたか分かってねぇんだ!!
全責任をβテスターになすりつけやがって!!
今まで死んでいった奴らの事もだ!!
だから、オレはお前に絶対ェにβテスターの前で土下座させてやる!!!」
オレは言いたい事は全部言った。オレは仲間がそんな事言われてるのに指をくわえて何も出来ねぇような奴にはなりたかねぇ。
「まったく…その通りだな」
タクヤ&キバオウ「「!!?」」
すると、石段をゆっくり降りてくる大男がオレとキバオウの前にやってきた。
肌が少し黒く、日本人ではないだろうと言う事だけは理解出来た。
エギル「オレはエギル。キバオウさん、あんたはビギナーを救わなかったβテスター達にそれなりの謝罪をしろ、と…そう言うんだな?」
キバオウ「お、おう!そうや!!」
エギルは一息つくとストレージから1冊の冊子を取り出した。
アスナ「あっ…あれは…!」
エギル「キバオウさん、この攻略本《ガイドブック》を知ってるな?」
キバオウ「当たり前や、道具屋で無料配布してたからのぉ!それがなんやっちゅうねん!!」
エギル「これを作って配っているのはβテスターだ」
キバオウ「!!?」
キバオウの表情から察するにおそらく初めて聞いたのだろう。
キバオウは途端に歯ぎしりをする。
アスナ(「じゃあ、私がアルゴさんからもらったあれも…と言うことは…アルゴさんも…」)
エギル「いいか?情報はあった!だが、死んでいった彼らは他のゲームと同じものさしでこのゲームを測ってしまい、結果、こういう状況になっている。オレはその事を今日の会議で議論されると思ったんだがな…」
キバオウ「ぐっ…!」
ディアベル「キバオウさん。確かに、あなたの言ってる事は間違いじゃないのかもしれない…。でも今は、仲間同士で争っている場合じゃないんだ。βテスターの力もビギナーの力も1つにしてオレ達は進まなきゃいけないんだ」
キバオウ「…わーったわ、今回は見逃しとったる…」
タクヤ「あぁん!!テメェ逃げんの…!!」
ガシッ
エギル「お前もここは引け。ディアベルの言う通り今は争っている場合じゃないだろ?」
タクヤ「…くそっ!!」
ディアベルはその後、上手くまとめ、レイドの編成、作戦や対策などを報告し今日の会議は解散になった。この後、主要レイド組はフィールドに出て連携や作戦を実践形式で練習するそうだ。
まぁそんな事はオレ達
2022年12月02日 18:10 第1層 トールバーナ付近フィールド
オレ達はパーティ戦闘初心者のアスナの特訓を兼ねてフィールドに出ている。
タクヤ「…なんか納得いかねぇ…」
キリト「いつまでそうやって膨れてるつもりだよ?」
キリトがずっと膨れっ面のオレに聞いてきた。
キリト「相手が番兵《センチネル》だって油断できないぞ」
オレ達は取り巻きである番兵《センチネル》をボスに近づかせないようにする役目をおっている。理由はレイドを組むには人数が足りなく、仕方ないのでフォロー役として入るとの事だ。
ユウキ「いいじゃん!取り巻き退治だって大事な仕事だよ!タクヤ!」
タクヤ「いや、そっちは別にいいんだけどよ…
オレが納得してねぇってのはあのチビウニ頭の事だよ」
アスナ「あの色々文句を言ってた人ね…」
アスナがモンスターを倒し終えるとオレ達の所へ戻ってきた。
ユウキ「あー!!あのキバオウって人でしょ!!まったく!!嫌な感じだったよね!!」
キリト「…」
タクヤ「あぁぁぁっ!!なんか思い出したらすっげぇムカついてきた!!」
キリト「…みんな、すまない…」
アスナ「…どうしてあなたが謝るの?」
キリト「…オレがβテスターだから…それにあいつの言ってた事もあながち間違いじゃないのかも知れない…オレは…アイツを…置いてきちまったし…」
1ヶ月前…オレ達はその時一緒に行動していた奴を置いてはじまりの街を出た。キリトはその事を今でも振り切れていない。
タクヤ「それは違うだろ!!あの時は仕方なかったんだ!!お前のせいじゃねぇよ!!」
ユウキ「そうだよ!!クラインさんだってわかってくれてたよ?」
キリト「でも…オレは…あの時、キバオウに言われている時…タクヤに怒ってもらう資格があるのか?」
アスナ「……」
キリトは一緒に行動している時から責任感が強く、なんでも自分で抱え込む癖があった。
タクヤ「…いらねぇよ…」
キリト「!!」
タクヤ「そんなものに資格なんかいらねぇんだ…ただ仲間が…友達が目の前で傷つこうとしてるならそれを助けるのが友達ってもんだ。キリトやユウキ、アスナ、もちろんクラインだってオレの大事な仲間だ!」
ユウキ「タクヤ…」
アスナ「…」
キリト「タクヤ…お前…」
タクヤ「だからよ、いつだって頼れよ。お前は1人じゃない。オレ達がついてる…。その代わりオレが困ってたらお前が助けてくれよな?」
キリト「あぁ…当たり前だ!!」
ようやくキリトが元に戻ったのでオレ達は宿に戻る事にした。
宿について2部屋借りて明日に備えて早めに休む事にした。
男部屋
タクヤ「あぁぁ〜…今日1日疲れたァ〜」
キリト「タクヤ…親父臭いぞ…」
コン ココン ココン コン
キリト「!…このノックの仕方は…」
キリトがドア開くとそこにはフードを深頭したプレイヤーがいた。
アルゴ「よっ!キー坊…おっ!そちらさんハ?」
キリト「アルゴか。あぁ…あいつはタクヤ。今パーティを組んでるんだ。タクヤ、こいつは"鼠”のアルゴ。情報屋だ」
アルゴ「おぉ!君が
タクヤ「あのって何だ?」
そう言うとアルゴはオレに1枚のビラを見せてきた。
そのビラには今日の攻略会議のオレとキバオウの口論が載せられていた。
【激突!!タクヤVSキバオウ -βテスターは俺が守る!!-】
タクヤ「な、なんだ…これは…」
アルゴ「いや〜、今日の攻略会議でドンパチキメるとは恐れ入ったヨ!
よっ!大将!」
キリト「これでアイツがまた絡んでこなければいいけどな…」
タクヤ「…もう知らん」
sideユウキ_
女子部屋
ユウキ「はぁぁぁ…生き返るね〜」
ボク達はこの宿屋だけに付いてるお風呂を堪能している最中。
アスナにもその事言ったら目を輝かせてたっけ。
アスナ「ユウキ…親父臭いよ」
ユウキ「だってぇ…それしか言葉でないよぉ〜」
アスナ「確かにそうだね〜…ゲームの中でお風呂ってちょっと変な感じするけど」
ユウキ「ふにゃぁぁ…それにしてもタクヤってすごいよね〜」
アスナ「え?何が?」
ユウキ「だってさぁ…大勢の前であんなに堂々と仲間の為に、自分を懸けられるってすごいよ…憧れるなぁ…」
アスナ「…ユウキはタクヤ君が好きなんだね」
ユウキ「え!?そ、そんなんじゃないよ!!ただすごいな〜って思っただけで!!あ〜もうっ!!そういうアスナだって今日の特訓でキリトとベッタリだったじゃないか〜!!アスナこそ怪しいな〜…」
アスナ「べ、別にあの人の事なんかこれっぽっちも思ってないんだからね!
!ただ、教え方が上手いなぁ〜って思ったぐらいでそれ以上の事とかないから!!」
ボク達は風呂場だがこの後も全裸で言い合いをながら夜を過ごした。
2022年12月03日 09:30 宿屋前
タクヤ「…じゃあ、さくっとボスを倒しに行くか!!」
キリト&ユウキ&アスナ「「「おぉっ!!」」」
ボク達はこれから第1層フロアボスを倒しに行く。
どうだったでしょうか?
次の話はボスを倒したところまでなので
もしかしたら短いかもしれません
ではまた次回!