僕とポケモンのサバイバル生活 作:なきぼくろ
目を開けるとそこにはあの最弱のポケモン、コイキングがいた。一応僕も某ゲームをプレイしたことはある。それでも王の迫力に驚いた。
例え鯉の王様であってもせいぜい60cm前後だと思っていたのだ。しかし実際は、ほとんど1mと変わらない大きさであって、そしてそれが目の前で動いた。彼が驚くのも無理はない。
驚いている間にもコイキングは泳ぎ続けている。少しずつ視野が広がって行く景色は元の世界ではとても信じられなかった。
水中でメノクラゲは漂い、チョンチーやラブカスの群れが泳いでいて、浅い海底にはサニーゴが仲良く歩いていた。
しかもそれらはさも当然であるかのようにそこに存在していた。
彼はしばしの間息をするのも忘れてその幻想的な景色を眺めていた。まぁすぐに苦しくなって水面から顔を出したが。
砂浜に上がり考えようするけどやっぱり考えてもよく分からないことばかり。
衣服を着たあと近くで置いていたバックを見た。そういえばモンスターボールの中にポケモンがいるのか確認していなかった。やっぱりまだ頭が混乱してるんだなぁ。
試しにボール投げてみた。しかし、ただボールが砂浜に転がるだけで何にも反応が無かった。
ポケモンが出てこなかったことにぼくは少し安心する。ボールが入っていたバックはボロボロだった。つまり、ボールの中身も長い間放置されてきたことになるのだ。どんな生き物でも長い間押し込められていたら気が狂う。
ゆっくりとだけどこの世界で生きることに受け入れることが出来てきた。
次にやることは何かなぁ?これからのことを考えるとやっぱり住む場所が大切だと思った。家って本当に大事な場所なんだなぁ。今まで全然気付かなかった。だから、住めるような場所を探すことにした。
思っていたよりも簡単に洞窟を見つけられた。広さは大体小さな公園ぐらい。
「良かった。何とか住む場所は困らなくてよさそう。もし、誰かの住処だったら危なかったけど特に無さそうだなぁ。」ふうっーと一息吐き座る。少し安心するとお腹から唸り声が。気付いたら二日間ぐらい飲まず食わずの状態だった。
「お腹減ったなぁ」ぼそりと呟く。普段なら即席カップ麺でも食べるのに...。
そういえば、この世界の食べ物って基本的にきのみだよね。この近くに森があったなぁ。
森があるってことは多分僕が食べれるきのみもなってるよね。これは立地に恵まれ過ぎてる。 やっと、何かを口に入れれると思うと足取りが軽くなりすぐに森の中に入れた。
「きのみあったぁ!!」嬉しさの余り大きな声がでた。頭上にはオレンのみやオボンのみなどがぶら下がっていた。すぐに木に登り食べ頃なピンク色のみをもぎ取り、口に運ぶ。
「あまくて、柔らかい。いくらでもいけそう。」なにか食べるのが久しぶりだということを含めてもそれは甘美だった。他の柔らかいきのみを頬張る。更に遠くのきのみを取ろうと手を伸ばそうとしたそのとき、左側から大きな鳴き声が聞こえてきた。僕にはそれが助けを求める声に聞こえた。
「なんかあったのかな?急いで助けないと。」声の聞こえる方へ急いで向かう。
右側を見るとそこには傷だらけのフシギダネとコラッタが四匹いた。
コラッタ三匹が吹き飛ばし、フシギダネが後ろに振り向き走り出した。僕には気付いてないみたいだった。コラッタに襲われているをやっと理解し、どうにかしないとと慌てる。するとコラッタに追撃されたのだろうか、急に勢いが強くなりフシギダネは浮いている。僕とフシギダネは打者と打ち出された球のような位置だった。条件反射で身の前を通り過ぎようとするフシギダネを抱え込み、僕が前に転がる。
あんなに傷ついた状態で木にぶつかったら死んでしまう。なんて酷いことするんだ。心でコラッタ達に憤る。
どうやら僕が前に転がったから勢いは殺せたみたいだった。コラッタ達は突然の事に理解出来てなかったみたいだ。
「危なかった。死んでないよね」抱え込んたフシギダネを見つめると恐る恐るという感じで目が開いた。
「良かったぁ」ため息混じりの声がでてしまう。やっと、コラッタ達も何が起きたのか分かった様だった。こちらに少しずつ詰め寄り今にも襲いかかろうとした時、少し離れた所からピィと高い声が聞こえる。そちらを向くとピチューを先頭にナゲツケサル、オーロットなどのポケモンがコラッタを睨みつけていた。