むシノこ   作:しば

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薬師

 普段通りの任務。

 いつも通り探し物の任務を請け負い、アカデミーの近くを通りかかり、スズメ先生に声をかけられ、俺とヒナタが静かすぎるものだからくノ一クラスでもなかったキバと赤丸が代わりに対応し、任務終了の報告をしに行ったところでたまたま紅先生と合流した。

 今日は簡単な仕事だからと紅先生ナシで行動していたので、これは完璧な偶然である。

 しかし何を思ったか、任務後だというのに修行を付けてもらうことになった。

 少し修行を付けてもらったところで、空の上でピロロロと忍鳥が飛んでいる。……招集だ。もちろん俺の呼び出しではない。紅先生だ。

 紅先生が行ってしまったので、解散しようとしたが先に甘味処に行っているように言われた。また合流するらしい。

「なんだろうな?」

「クーン」

「……中忍試験に関することじゃないか?」

「え、そうかな? どうしてわかるの?」

「なぜなら、里にたくさんの他里の忍が来てるからだ」

 それと、この前ダンゾウ様に呼び出されて色々と工作をしたからだ。中忍試験の運営を安全に行えるようにと口では言っていたが、あれはどう考えても建前だった。陰から色々とやったが……。そもそも他里の額当てをつけた忍に蟲を任意でつけているのがおかしい。相手がよそに潜入した木の葉のスパイならわかるのだが、あれはどうなんだ? ……まあ、どうせ俺の知ったことではないのだが。

 

「一週間後!?」

 キバにつられて赤丸がワンワン、と吠える。

「そうよ。で、私は推薦しただけだから、受けるならこの志願所にサインして、明日の午後4時までにアカデミーにね」

 紅先生が呑気に志願所を渡してくるが、横で驚いたヒナタが白玉をつまらしたので背中をたたいてやる。

 中忍か……まあ推薦されたからには受けるが。

「俺は受けるぜ!」

「わたしはどうしよう……」

「……ゆっくり考えてもいい。それに受けてる途中で棄権するのもありだ」

「……うん」

 

 翌日、試験会場に入ると待ち受けていたのは同期だった。不慣れなところであれば知り合い同士固まるものだ。そこに話しかけてくる奴がいた。

 ……ナルトやサクラたちと話しているが、俺は面倒ごとに巻き込まれたくないので少し距離を取った。

 カブトなどと名乗っているが木の葉の額当てを付けているが、少なくとも真っ白奴ではない。

 蟲がついている。

 会場内には俺が蟲を付けたやつが複数いるが、その中でもこいつは中忍試験前に新しく蟲をつけたやつだ。ダンゾウ様の関係者でわざわざ木の葉のルーキーに話しかけてくることなど、後輩の面倒を見るのが大好きなのか、それとも何か狙いがあるのかの二択に等しいだろう。

 そこに音隠れの忍が近寄り、カブトが攻撃される。

 ……こいつらもこの前蟲をつけたやつらだった。

 ……きな臭い。いきなり攻撃してきたのも意味が分からない。怪しい。怪しすぎる。

「静かにしろ!」

 少し警戒するべきだ、とヒナタとキバに注意喚起しようとしたところで声がかけられた。煙玉で注意をひいて入ってきたのは試験管の森乃イビキと名乗る人と部下らしきたちだ。……おそらく暗部の拷問部隊か?

 どうやらやっと第一試験が始まるようだ。


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