むシノこ 作:しば
うちはサスケを見つけるために、その兄であるうちはイタチを捜索する。またはそのほかの暁のメンバーの身柄を拘束し、拷問班に引き渡せば他の情報も引き出せることだろう。だがとりあえず暁のメンバーとしてうちはイタチを追う。
そんなカカシ班の目的に適した班として選ばれたのが、我らが8班紅班であった。
カカシ班と便宜上呼んでいるが、その構成員はナルト、サクラ、サイ、そして隊長にヤマト。こちらも紅班としているが、紅先生はおらずかわりにカカシが隊長としてついている。
第一に探すのはうちはサスケ。
そう聞いて俺はとりあえず安心した。
サスケを探すのであったら、本当に何も考えずに探すことが出来る。
これがうちはイタチになると少し困る。
油女シノとしてはイタチの行方などもちろん知らないが、ギンとしてはうちはイタチの居場所など蟲を付けているので一瞬で探し出せる。茶番になりかねなかった。ボロは出さんが。
パトロール隊としてカカシ先生の出した忍犬が一人二匹ずつついた。これで頑張って探すが、はたして探し出せるだろうか。
すると向こうの方で大きな音を立てて爆発の光のようなものが見えた。
向かえば、どうやらここでサスケと他の者たちとの戦闘があったらしい。残っていた匂いからキバがその鼻を利かせてサスケを追いかけることになった。
途中、臭いの分散が確認されたためにナルトが多重影分身を使ってサスケを追う。一人だけど人海戦術である。そのうちの一体がサスケと遭遇したが、結果道中で暁のメンバーと出くわす羽目になった。
暁の衣装に、顔につけたグルグルの仮面でその顔はわからない。
ナルトが先制攻撃を仕掛けたが、なんと攻撃が素通りしてしまった。厄介が過ぎる。
早くここを切り抜けてサスケを追わねばならぬ。大体、サスケが向かった方向と蟲によって探知されたイタチの居場所が一致していることから、サスケとイタチの間で何ならかの事が起こっている可能性が高い。早く行かねば、片方、もしくは両方が死んでしまってもおかしくはない。
こいつをどうにかしなくては。
全員でフォーメーションを変えながらいろいろな攻撃を試みるが、本当に攻撃があたらない。
しかもこいつに時間を取られていたらイタチにつけていた蟲から普段と違う反応が返ってきた。――死亡、もしくは蟲を外されたか。
今までずっと蟲を黙って付けていたイタチが今このタイミングで蟲を外したとは考えにくい。……となると、サスケと戦って死亡したか?
いや、考えてる暇はない。
「こうなると厄介だな。シノ」
「わかっている」
とりあえず俺がここにいる目の前のやつをどうにかしなくては。
「うわぁきもいなぁ!」
きもいと言われたら俺は傷つくぞ。まあ敵に訴えることではないか。
蟲達を飛ばし奴の体を覆うようにして捕らえる。チャクラを吸い取とって動けなくすれば……いや、これは? どういうことだ。
奴が忽然と消えた。
蟲達が突然消えたエサを追いかけることもできず宙に漂う。時空間忍術か……?
ヒナタと赤丸が再び奴を探し出すが、そのとなりに半分人間みたいな奴が出てくる。ナルトによってトゲトゲアロエ野郎と命名された。
「サスケが勝ってイタチが死んだよ」
周りの皆が息を呑む。俺は蟲のおかげで察していたが、それでも少し驚いた。まあ顔はいつも通り表情を動かさなかったが。
しかもなんと仮面のやつは写輪眼を持っていた。
……一体どうなっているのだ。これは里に帰ってからダンゾウ様に報告することが多すぎる。