無貌の王と禁忌教典   作:矢野優斗

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リィエルの扱いに難儀している今日この頃。ヒロイン増やすとか器用な真似ができるほど文才のない自分にとっては難しい話です。やっぱりこのままイバラギン枠……?



黄泉路からの帰還

 物言わぬ骸と化した外道を冷ややかに見下ろし、顔無しは研究室内を見渡す。部屋の隅にはルミアと彼女を守るようにリィエルがいる。それ以外の人影は見当たらない。どうやらエレノアは隙を見て逃走したらしい。

 

「いや、見逃されたのはオレの方ですかねぇ……」

 

 皮肉げに口元を歪めて顔無しが呟くのと、物凄い勢いで入り口からグレンが飛び込んできたのは同時だった。一瞬遅れてアルベルトも研究室内に踏み込む。

 

 グレンはルミアを見つけると一目散に駆け寄り、側にいたリィエルに気づいて歩みを止める。殺そうとした側と殺されかけた側の邂逅。非常に気不味い空気が漂うも、ルミアがさり気なくリィエルの背を押したことで禍根なく終わりそうだった。

 

 涙ながらにリィエルが頭を下げ、そんなリィエルの後頭部に手刀を落としつつも仕方ないと笑うグレンの姿を見届け、丸く収まりそうだと顔無しは吐息を洩らす。直後、ぐらりと視界が歪んだ。

 

「ぐっ……まいったね……もうちょい、いけると思ったんだが……」

 

 紙巻が千切れるほどに歯を食いしばり、ふらふらと覚束ない足取りで部屋の中央へと歩みを進める。血に塗れたイチイの大樹に辿り着くと力なく凭れかかった。

 

 イチイの大樹に背中を預け、ずるずると座り込む。心はエレノアを追跡して追い打ちを掛けたい思いであったが、肉体の方が限界を迎えた。分かっていたことではあるが血を流しすぎたのだ。

 

 徐々に意識が遠退いていく。視界がぼんやりと霞み、どうしようもなく瞼が重い。

 

 完全に視界が閉ざされ、真っ暗闇に覆われた世界。意識が完全に途切れる直前、聞き慣れた少女の声が耳に届く。

 

「──ロクスレイ君っ……!」

 

 ──あぁ、やっぱバレてたのか……。

 

 いったい何時、どの段階で気づかれたのかは知れない。けれど無貌の王の癖に身バレしていたなんて、ロビンフッドとして情けないにもほどがある。まったく、どこが仕事は一人前なのか……。

 

 だが最期の瞬間を誰かに看取ってもらえるのは、悪党には勿体無いくらいに上等な末路だ。

 

 顔無し──ロクスレイはその幸福を噛み締めながら短い一生に幕を閉じた。

 

 

 ▼

 

 

「──顔無しさん!?」

 

 グレンとリィエルの和解も無事に終わり、これにて万事解決と相成ろうとしたその時、ルミアの悲鳴にも似た声が研究室内に響いた。

 

 血相を変えたルミアが部屋の中央、イチイの大樹へと駆け寄る。室内にいた者達の視線が否応なくルミアへと集まり、彼女が目指す先に向けられて一様に驚愕の声が上がった。

 

 大樹の根元、力なく座り込む人影が一つ。深緑の外套を纏った男、顔無しだ。

 

「顔無しさん! 返事をしてください! 顔無しさん!?」

 

 駆け寄ったルミアが必死に呼び掛けるも反応はない。

 

「冷たい……それに、こんなに血が流れて……っ」

 

 投げ出された手に触れてその冷たさに驚き、出血している脇腹を確認して瞠目する。こんな重傷で戦っていたなんて到底信じられない、早急に適切な治癒が必要な負傷だ。

 

「──っ! 《天使の施しあれ》──ッ!」

 

 脇腹に手を翳し、ルーン語で呪文を唱える。ルミアの手のひらから淡い光が溢れ出し、傷口に優しく降り注いだ。

 

 白魔【ライフ・アップ】。被術者本人の自己治癒能力を増幅させて傷を癒す法医呪文(ヒーラー・スペル)

 

 学生ながらも白魔術──特に法医呪文(ヒーラー・スペル)を得意とするルミアの白魔の技量は高い。しかし顔無しの傷口は塞がるどころか出血が止まる気配すらなかった。

 

「そんな……どうして……!?」

 

「ルミア……」

 

 暗い面持ちをしたグレンがルミアの肩に手を置く。

 

「白魔【ライフ・アップ】が効かないのは対象者に傷を癒すだけの生命力が残されてないってことだ。顔無しは、もう……」

 

「うそ……そんなこと……」

 

 縋るような目を向けるも、返ってきたのは重々しい否定の無言だった。

 

「いや……嫌だよ。こんなお別れなんて……」

 

 手遅れだと言われてもルミアは構わず魔術を行使し続けた。だってまだ息がある。心臓だって動いているのだ。だから、まだ間に合う──

 一心不乱に魔術を掛け続けるルミアの姿勢を、グレンは痛ましげに見ていることしかできない。

 

 怪我の度合いで言えばグレンの方が酷かった。しかしアルベルトの迅速な応急処置とシスティーナの協力のもと行われた白魔儀【リヴァイヴァー】のおかげで一命を取り留めたのだ。

 

 対して顔無しは怪我の度合いこそまだマシであるが、負傷してからの無理が祟って手の施しようがない域にまで至っていた。【リヴァイヴァー】を施そうにも間に合わない。そもそもここには魔力源足り得る人間がいない。もうどうしようもなかった。

 

 顔無しの呼吸が浅くなっていく。ルミアの治療も虚しく、遂には息が止まってしまう。

 

「待って、待ってよ……」

 

 今にも泣き崩れそうになるのを堪え、性懲りもなくルミアは治癒を続ける。脇腹を貫いたリィエルは顔色を蒼白にして立ち尽くし、掛ける言葉を失っていた。

 

 誰にも手の施しようがないまま、やがて心臓の鼓動までもが無慈悲に止まる。治癒をしていたルミアにはそれが手に取るように分かってしまった。

 

「あ──」

 

 唯一残されていた希望が目の前で途切れてしまった。

 

「ああ──」

 

 か細い嗚咽が洩れ出る。もはや溢れ出す感情を堰き止めることはできなかった。

 

 ボロボロと涙を零してもう動かない顔無しに縋り付き、応えが返ってこないと分かっていながら()()()()

 

「──ロクスレイ君っ……!」

 

 不意に顔無しが纏う深緑の外套が淡く光る。蝋燭の火が散るような燐光を放ち、ややあってから力が霧散するように微風が吹く。その風に煽られ、貌を隠していたフードがぱさりと落ちた。

 

 露わになる顔無しの貌。フードの下から現れた教え子の少年にグレンは目を見開く。

 

「お、おい……嘘だろ、何でお前がここにいるんだよ……っ!」

 

 顔無しの正体を知らなかったグレンは、目の前で取り零してしまった命が自身の抱えるクラスの生徒だと知り、守るべき生徒を失ってしまった絶望に目の前が真っ暗になりそうだった。踏み止まれたのはロクスレイに縋り付くルミアと、隣で自責の念に潰れそうなリィエルの存在があったからだ。

 

「あ、ああ……わたしが、わたしが奪って……わたしのせいで……!」

 

「リィエル! 落ち着け、リィエル!?」

 

 ガタガタと震えながら崩れ落ちるリィエルの身体を支え、グレンはどうするべきか思案して、どうしようもないという残酷な現実に歯嚙みした。

 

 それでもと僅かな望みをかけて頼れる相棒を見上げるも、アルベルトは見当外れの方向を見ており目が合わない。それ以上に、今のアルベルトは何かを警戒するようにその目を鷹の如く鋭く細めていた。

 

「どうしたんだよ、アルベルト……?」

 

「……そこにいるのは誰だ。出てこい」

 

 通路の陰にあたる位置、そこに何者かの気配を感じ取ったアルベルトが警戒も露わに声を張る。左手は既に構えられており、いつでも魔術が発動できるようになっていた。

 

 張り詰めた空気の中、陰から人影が姿を現わす。その出で立ちにグレンは思わず声を上げた。

 

「か、顔無し……!?」

 

「え……?」

 

 ロクスレイに縋り付いていたルミアと床に膝をついていたリィエルが反射的に顔を上げてその人影を見やる。グレンが口にした通り、現れた人影の格好はロクスレイと同じ深緑の外套。顔無しと言ってしまうのも仕方ないだろう。

 

 しかし顔無しと違う点はある。たとえばフードから覗く顔立ち。顔無しと違って性別は勿論のこと、口元を覆う白髭や僅かに見える白髪から老人であることが判別できる。老人が羽織る外套には認識阻害の類の魔術が施されていないのだろう。

 

 その場にいる者達から幽霊を見るかのような目を向けられながら、外套の老人はアルベルトに左手を突きつけられていることも構わず歩みを進める。その進行方向には息絶えたロクスレイと呆然と硬直するルミアがいた。

 

「待て、それ以上近づくな。フードを取って顔を晒せ」

 

「…………」

 

「近づくな、と言ったはずだ」

 

 語気を強めてアルベルトが再度警告した。しかし老人は取り合わず、真っ直ぐ歩み続ける。

 

 警告を無視する老人にアルベルトが無力化用の魔術を行使しようとするが、それをグレンが抑えた。

 

「待てって、アルベルト。もう少し話をしようぜ?」

 

 アルベルトは不服げに片眉を上げてグレンを一瞥し、呆れたように嘆息を洩らして左手を下ろす。代わりにグレンが老人に話しかけた。

 

「なあ、爺さん。あんたはロクスレイの関係者なのか?」

 

「……ロクスレイはわしの息子だ」

 

「……そうか」

 

 ロクスレイの親に当たる人物。それだけでグレンは掛ける言葉を失ってしまう。息子さんをむざむざ死なせてしまったことを謝ったところで、この老人は取り合わないような気がしたからだ。

 

 沈痛な面持ちで俯くグレンの傍らを通り過ぎ、老人は涙を流す金髪の少女の前に立つ。フードから微かに覗く双眸に見下ろされても、ルミアは何も反応できなかった。

 

「君はロクスレイをどう思っている?」

 

「え……?」

 

 唐突に投げかけられた問いにルミアは困惑する。ただでさえ一杯一杯なのに、今そんなことを訊かれたら今度こそ心が千々に切れかねない。

 

 それでも、穏やかな光を湛える老人の瞳に見つめられて、ルミアは胸に詰まる想いを一つ一つ吐露していく。

 

「ロクスレイ君は……私に生きる希望を教えてくれた人です。世界に絶望していた私を助けてくれて……味方がいることを教えてくれました」

 

 出会いは三年前、外道魔術師に攫われた時。母親に捨てられ世界に絶望していたルミアの窮地を仕事とはいえ助け、自覚なく希望を与えてくれた。

 

 そんな彼が護衛としてルミアの側に現れたのはつい最近。天の智慧研究会の誘拐からルミアを救い、魔術競技祭では親娘の絆修復にも尽力してくれた。

 

「困った時、苦しい時、不安な時……ロクスレイ君はさりげなく手を差し伸べてくれた……自分は関係ないみたいな顔をして、飄々としていて……」

 

 いつもいつも人の輪の端から見守ってくれていた。陽だまりに触れるか触れないかの瀬戸際、日向から誰かが落ちてこないように日陰から支えてくれていたのだ。本人はきっと全力で否定するだろうが、それもまた彼らしいと言える。

 

 ああ、そんな彼のことが──

 

「──好きだった……お慕い申し上げていました……大切な人になっていたんです……!」

 

 心の底に秘めていた想い。いつか伝えようとして、伝えられぬまま想い人はこの世を去ってしまった。それが堪らなく辛くて、胸が張り裂けそうだった。

 

 ズキズキと痛む胸の奥を抑えて嗚咽を零すルミア。そんな少女に老人は目元の皺を緩めて微笑んだ。

 

「まったく、こんなにも健気に想ってくれるお嬢さんを残して逝くなど、度し難い馬鹿者だ……」

 

 老人はしゃがみ込むと泣き腫らすルミアと目線を合わせる。

 

「もし、君がよければ愚息を連れ戻す手伝いをしてくれまいか?」

 

「連れ、もどす……?」

 

「そうとも。黄泉路へ旅立った馬鹿息子の首根っこを引っ掴み、引き摺り戻す。君の力があれば可能だ」

 

「ほんとうに……できるのですか?」

 

「勿論だとも」

 

 力強く頷いて老人は懐から短剣を取り出し、両手首を浅く斬り裂いて血を流す。黒魔【ブラッド・キャタライズ】──己の血液を魔術的に処理し、簡易的な魔術触媒を生成する魔術──を唱え、大樹を中心に据えるようになった五芒星法陣を凄まじい勢いで改変していく。

 

「ルミア=ティンジェル。わしに異能を行使してくれ」

 

「……っ! はいっ!」

 

 老人の要請に従ってルミアが自らの意思で異能を発動する。

 

 ルミアの身体が眩く発光し、異能の効果で老人の魔力が一時的に増幅される。肉体の内から溢れ出す圧倒的な熱に衝き動かされ、老人の動きが更に早くなった。

 

 ルミアと老人が奮闘している。そんな彼らの姿に居ても立っても居られなくなり、グレンも身を乗り出す。

 

「おい、爺さん! 法陣の改変方針を端的に教えろ! 時間がないんだろ!?」

 

 がり、と右手首を噛み千切り、グレンもまた黒魔【ブラッド・キャタライズ】を唱えて法陣の書き換えに加勢する。老人がどのような術式をもってロクスレイを蘇らせるのか、恐らく禁忌に近い手口であるのは間違いないだろう。

 

 それでも、こんなところで教え子の命をみすみす失ってしまうくらいなら、賭けてやる……!

 

 何が何でも教え子の命を救ってやると意気込むグレンの横顔をしばし眺め、何を思ったのかアルベルトもナイフで手首を切ると同様に法陣へと向かった。

 

「アルベルト、お前……」

 

「犠牲者を出さずに済むならば、それに越したことはない。それに、この男には問い質すべきことが山ほどある」

 

 淡々と答え、アルベルトは指示を寄越せとばかりに老人をみやる。

 

 グレンとアルベルトの加勢に老人は微かに驚きつつも、手を止めることなく説明を始める。グレンの指摘通り時間がないのは事実なのだ。人体を構成する要素のうちアストラル体とエーテル体がそれぞれ集合無意識と摂理の輪へと還ってしまう前に完成させなければ、今度こそ望みが絶たれてしまう。そのために、二人の加勢の有無は大きかった。

 

「これから執り行うのは『Project:Revive Life』の術式を一部流用し、【リヴァイヴァー】の術式と組み合わせた魔術儀式……名を付けるならば、白魔儀改【リザレクション】とでも呼ぶべきか」

 

「マジかよ……あんた、この短い時間で呪文を改変……いや、作り上げたのか!?」

 

 術式を改変すること自体は難しいものの、できないことではない。現にシスティーナが即興で呪文を改変し、黒魔改【ストーム・ウォール】という魔術を編み出している。

 

 だがただでさえ複雑な白魔儀【リヴァイヴァー】とかつて帝国が匙を投げたほどに難解な『Project:Revive Life』の術式を改変し、剰え組み合わせるなど尋常の業ではない。

 

 唖然とするグレン、表情にこそ出さないがアルベルトも老人の技量に舌を巻いていた。そんな二人の視線を浴びながら、老人は少しばかり皮肉げに髭に覆われた口元を歪める。

 

「馬鹿息子が無茶をしている間ずっと、資料室で術式の仔細を漁っていたからこそできたことだ。褒められるようなものでもない」

 

 そこから老人は二人に法陣の書き換え方針を口頭で教えつつ、大急ぎで儀式の準備を進めた。

 

 グレンとアルベルトもルミアの異能による後押しを受け、法陣の改変自体はあっという間に終わる。その間、リィエルは老人の指示で不要な小型モノリスの撤去と移動に従事した。

 

 数分と掛からず法陣の書き換えは終わり、老人は大型制御モノリスに向かう。鬼気迫る勢いでモノリスを操作し、術式の起動シークエンスへと移る。

 

「これで最後だ。お嬢さん、あの法陣内で異能を行使してほしい。少しばかり苦痛が走るかもしれぬが、耐えてくれ」

 

「はい、分かりました」

 

 五芒星法陣と繋がるやや小さな魔法陣の中央に立ち、ルミアは静かに胸の前で手を組み合わせた。正面には大樹の根元に座り込んで眠るロクスレイの姿がある。

 

「お願い、ロクスレイ君……戻ってきてっ」

 

 溢れ出す想いを胸にルミアは今日何度目かも分からない異能力の解放をした。

 

 

 ▼

 

 

 改変された五芒星法陣がルミアの異能力を核に起動する。

 

 それは『Project:Revive Life』とはまた違う、黄泉路へと足を踏み込んだ者を連れ戻す魔術儀式。白魔儀改【リザレクション】と命名された、たった一人の少年を蘇らせるための魔術だ。

 

 眩い金色の光が法陣から立ち昇る。光はまるで風に踊る花弁のように舞い上がり、イチイの大樹を彩った。

 

 薄暗い研究室内とは思えない幻想的な光景にグレンとリィエル、アルベルトでさえ言葉が出なかった。それほどまでにこの光景は神秘的で、比喩抜きで黄泉路やら冥界への扉が開いているのかと錯覚してしまいそうなのだ。

 

 大いなる魔力の波動にイチイの大樹が揺れ動く。ゆらりゆらりと舞い落ちる木の葉と舞い上がる光の花びらの中で眠るロクスレイは、一向に目覚める気配がない。

 

 失敗してしまったのか、間に合わなかったのか。そんな絶望が頭を擡げかけ、しかしルミアは気丈に真っ直ぐロクスレイの姿を見守る。全身には異能の過剰行使による痛みが走っているけれど、その程度なんてことはない。喚くこともなく、一心不乱にロクスレイの帰還を祈り続けた。

 

 不意に一際強く魔力の波動が波打つ。光の花びらが物凄い勢いで吹き荒れ、ざわざわと梢の音が鳴り響く。ルミアは思わず目を閉じ、魔法陣から押し出されないように踏ん張った。

 

 数秒ほどが経って今度は耳が痛いほどの静寂。恐る恐る瞼を開いたルミアの視界に映ったのは、光を失った五芒星法陣と変わらず聳え立つ大樹、そしてやはり目を覚まさないロクスレイの姿だった。

 

「ロクスレイ君……」

 

 外野で見守っていた誰もが諦めかけた、その時だった。

 

 微かにロクスレイの瞼が震え、無造作に投げ出された手が動いた。

 

 ゆっくりと重い瞼が開かれる。永劫の眠りから辛うじて目を覚ましたロクスレイは、今一つ意識がはっきりしていないのか茫洋とした様子で周囲を見回す。

 

 そんなロクスレイにルミアは無言で歩み寄る。歩みはすぐに駆け足に変わり、未だ状況を理解していないロクスレイに体当たり気味に抱きついた。

 

 突然抱きつかれたロクスレイは目を白黒させるも、人目も憚らず大泣きするルミアと離れた位置に立つグレン達を見ておおよその成り行きを把握し、困ったように微苦笑を零しながら震えるルミアの背に手を添えて宥めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっと先代がチート染みた感じになってしまいましたが、まあ伊達に歳を取ってないということで納得頂きたい。肉体の衰えがくるまで生き延びたことを思えば、まあいけるのではないかな。

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