ONEPIECE 空の王者が海を征す   作:魔女っ子アルト姫

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空の王者、黄金探しを開始する

途中風などが変わった影響で到着時間が変動してしまい夕暮れに到着した島。禁断の聖地とスカイピアの人々に認識され敬われている土地、神が住む土地アッパーヤード。空にある島であるにも関らず島雲ではなく正真正銘の土によって形作られている島。完全に青海にあるものと同じ島にレウスの仮説は本当に正しいという確証が持て始めた。加えて

 

「おいこれってひし形のおっさんの家じゃねえか!?」

「こりゃ…自分で言っておいて何だが、仮説が此処まで当たっていると怖いぐらいだな」

 

今朝まで青海で見ていた物と同じ物、クリケットが住んでいた家の半身と言える部分を見つける事が出来た。それは酷く蔦に覆われ、長い時の流れによって自然に飲み込まれていた。だがこの発見によりこのアッパーヤードが本当にジャヤであるという確証を得られた上に島の正確な座標を導き出す事が出来、三度地図を合わせ、正確な地図を見出せた。正しく髑髏のような島の右目、そこに黄金はある……!!

 

「よしそれじゃあ皆、もう日が暮れちゃうから今日はこのままキャンプにしましょう。黄金探しは明日の早朝からスタートよ!!」

『おおっ!!』

 

ナミの指示を受けて上陸してのキャンプを開始する麦わらの一味、船の上では襲撃された際に船を壊されるかもしれないと言う懸念の上。兎も角皆はキャンプをしながら明日、黄金捜索チームと船で待機しつつ皆が戻って来次第出航する準備を整えておく2チームに別れる事となった。

 

「俺は冒険に行くぞ!来ちゃいけねえ所なんて冒険の臭いがプンプンするじゃねえか!!」

「敵地なんだろここは、なら行かねぇ手はねえだろ」

 

まず真っ先に立候補したのは船長と、一番付き合いの長いゾロ。元々血気盛んな二人が行きたがるのは予想済みであり特に皆は止める事はなくそれを認める。

 

「私も行くわ、この島は是非とも調べて見たいもの」

「俺も行くぞ!冒険して、一人前の海賊になるんだ!」

 

次に考古学者としてこの島にある黄金郷が気になるロビン、歴史的に貴重な物などがあるかもしれないと言う思いからチームに入る事とする。そして意外な事にチョッパーも黄金捜索チームに志願、言い方が悪いがお世辞にも勇敢ともいえず臆病な彼からしたら珍しいと言えてしまう。チョッパーもそれを気にしているのだろうか、それを乗り越えて立派な海賊になる為に名乗りでたようだ。

 

「私も行きたいです」

「ビビ貴方も?きっと島の奥はかなり危険よ……?」

「良いんです。私だって皆の仲間なんですし、私はもう海賊です!」

 

そう笑ってナミの忠告を聞き入れつつも捜索チームに加わったビビ。この空島は新しく仲間になったビビとしての初めてとなる記念すべき冒険、皆と同じ海賊と言う立場になったのだから少しでも皆と同じ冒険がしたいと語っている。その表情は何処か活き活きとしており輝いている。そんな笑顔を見たナミは肩を竦めつつ了解しながら、レウスも捜索チームに行ってと言う。

 

「いいのかい、ナミちゃん」

「ええ、チームの中でフォロー出来そうなのってロビンしかいないじゃない?ロビン一人じゃ大変そうだし、ブレーキ役お願いね」

「ああそう言う事ね。解った良いだろう」

 

加えてもしもの事態の保険として、ビビが空の騎士からプレゼントされたホイッスルを持つ事となった。この中では彼女が持つのが最適であるとレウスも納得した。こうして黄金捜索チームはルフィ、ゾロ、ロビン、チョッパー、ビビ、レウスに決定。ナミ、ウソップ、サンジが船での待機チームとなった。その後は敵地だと言うのにキャンプファイアーが開始されてしまい、ビビは慌てながらも最終的にはもう止めるのを諦め楽しんでいた。

 

 

そして翌日……遂に麦わら一味による黄金探索がスタートした。数百年前にこの空へと飛ばされた島であるジャヤ。青海のジャヤとは比べ物にならない森、この空の環境によって巨大化されたと思われる木々の中を進んで行く探索チーム。目指すはノーランドの最後の言葉にあった髑髏の右目。

 

「にしても本当にこの森ってあの森と同じなのか?」

「登りてぇな!」

「恐らくこの空の環境によって巨大になった、と思うべきね。青海の環境とは全く違うだろうし」

「凄い。なんか、ドキドキしちゃう……!これが冒険!」

「おおおっ…。なんか俺もわくわくドキドキして来た!」

 

一行はジャヤと同じ森であろう筈の巨大樹林の間を行きながら、地図通りの右目へと向かっていく。初の本格的な冒険にビビは嬉しそうに軽くスキップしてしまっている。チョッパーも同じなのか、ドキドキしつつもこれを気に立派に海賊になろうと言う思いの元、足取りを軽く進めて行く。そんな彼らを一番後ろから見つめつつも何処か保護者的な雰囲気を出しているレウスは周囲を警戒していた。

 

「神の住む土地、アッパーヤードか……。何時、何処に敵が出て来ても可笑しくは無い……」

 

何時でも竜化出来るような心構えを持ちつつも足を前に進めて行くと突然木々の間から何かが動くような音が聞こえてくる。思わず身構えながらもゆっくりと周囲警戒をして見ると木の間を何か巨大な何かが蠢いているを見てしまった。

 

「皆気を付けろ!なんかいるぞ!?」

「何だ敵か?なら俺にやらせろレウス」

 

注意を促す言葉は直ぐに皆に伝わり一旦足を止めるが、特に血気盛んなゾロは刀に手をかけながら自分にやらせろと言う。ビビはそんな事言ってる場合じゃないでしょ、と言いながら周囲に目を配りつつレウスの傍に寄った。皆が周囲を警戒していたとき、それは姿を現した。

 

「ジュララララァァァッッ……!!」

 

余りにも巨大すぎる身体、周囲の木々よりも太い身体を持っていた。最早神話に登場する怪物レベルの大きさと存在感にビビとチョッパーは思わず顎を外しそうな勢いで呆然としていた。身体にはニシキヘビのような模様と鱗が重なっておりこれも空島の環境が育んだ結果だと言うのだろうか。

 

「面白れぇ、斬ってやろうじゃねえか大蛇!」

「ちょっと挑発しないでくださいよ!?」

 

悲鳴のような声に反応したのか大蛇はゆっくりと身体を動かしつつこちらに狙い定め始めた、そして身体を伸縮させると、その反動を利用してバネのように伸び、一気に襲いかかってきた。一同はジャンプし回避するが、大蛇はそのまま大口を開け木へと激突した、が木からは異様な煙が上がり始めた。大蛇が木から離れると噛まれた部分はドロドロに溶け酷く抉れていた。

 

「ど、毒!?」

「なんつう毒だよ、即死物じゃねえのか……!!」

「毒液に触れるな!!即死だぞ!!!」

「全員、逃げろぉぉぉぉっ!!!?」

 

回避した全員はまだ此方を睨み付けてくる大蛇から逃れる為にバラバラに回避しあさっての方向へと逃げ始める。パニックを起こしているチョッパーや完全に大蛇を煽っているルフィ、持ち前の方向音痴を発揮してどこぞへ迷い込んでいるゾロなどそれぞれがとんでもない方向へと向かっていた。

 

「ビビちゃん確り掴まれ!!」

「はっはい!!」

「だああもうこっちくんじゃねえぇぇぇっ!!!」

 

飛べると言う特性を発揮しつつビビを抱えたまま木々の上を移動して行くレウスだが、逆に悪目立ちしてしまっているのか、大蛇はレウスとビビに狙いを付けて追い掛け回していく。それを振り切る為にスピードを上げて一気に移動していくレウスは確りと胸にビビを抱きつつも、大蛇の追撃を躱しながら根っこの中へと姿を隠す。余りの速度に流石に大蛇も見失い、そのまま近くに見えたルフィを追うように移動をしていく。

 

「……どっかに行ったか」

「はぁ……いきなり凄い事になりましたね」

「だな…」

 

根の間から這い出す二人は元のコースへと戻り皆と合流しようとした時、明らかな敵意を感じた。身構え頭上を見上げると、巨大な鳥の背に乗った男がこちらを鋭く見下ろしていた。

 

「貴様らか、青海人と言うのは。よくぞ来てくれたな、俺のテリトリーへ……!!」

「行動起こしていきなりこれかよ……。行くぞビビちゃん!」

「ええ、レウスさん!」


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