ONEPIECE 空の王者が海を征す   作:魔女っ子アルト姫

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空の王者、宴と風呂を楽しむ

クロコダイルの討伐から三日が経過した。内乱の影響でゴタゴタしていた国内も落ち着きを見せ始め戦いで傷つき壊れた街並みの修理が始まりつつあった。あれだけの戦いがあったのに既に人々の顔色は明るくなっていた、それらを受け入れながら前に進もうとそれぞれの人々は助け合いながら国を立て直すために歩き始めようとしていた。それらを宮殿から見つめていたレウスはチョッパーの診察の元、一部の包帯を取って貰っていた。

 

「凄い回復力だなレウス、もう傷が治って来てるぞ!」

「これも竜の力の恩恵かな?実は火球一発撃つ度に焼けるんだよな喉」

「そうなのか!?」

 

既に身体に受けた傷が治癒し塞がってきている回復力にチョッパーが驚愕する中レウスはこうなっても可笑しくはないなと言う。リオレウスという竜は体内で炎の塊を作り出し発射する事が出来るがあまりの熱量の為に発射の際に自らの喉をも焼き払ってしまうほど。だが自身が備える驚異的な再生能力により、焼けた喉は瞬く間に回復する事が出来る。その回復力は全身に深く負った傷も早急に治癒する事が出来るほどに優れている。

 

「じゃあ毎回毎回喉が焼けてるのか!?こえええ!!?でも凄いなその回復力!これなら後三日もあれば完治するぞ」

「此処までスムーズに回復出来たのもチョッパーの治療が良かったからさ」

「ば、馬鹿野郎褒められても嬉しくなんかねえぞこの野郎が♪」

「よっ名医チョッパー先生!」

 

夕日が差し込み始めている部屋で遊びが半分混じりつつもチョッパーの腕前を褒めるレウスとそれを聞いて照れまくっているチョッパーはかなり和やかな雰囲気を作り出している。これで後目覚めていないのはルフィだけという事になった。クロコダイルとの死闘、その際に受けた毒は中和されているらしいがダメージの原因にはなっているだろう。それを癒す為にルフィはかなり深く眠っている。

 

「まあその内起きるだろ、でもまあレウス良くなって良かったぜ。正直あんだけの事やったから俺はここでレウスが一時撤退するとかもありえるのかと思ったぜ」

 

買い物から帰って来たウソップは思わず元気になっている仲間を見て呟いた。砲弾を空へと持って行きそのまま巻き込まれたのだから暫くはアラバスタでの休養が必要になるのではないかと少なからず思っていた、本当に重傷ならそれが一番だが仲間が離脱するのは寂しいものがある。

 

「どうやら大丈夫そうだがな。だけどなウソップ、お前全身の骨とかボロボロだったのになんでもう包帯取れてるんだよ。俺よりお前の方が化け物じゃねえのか、本当にお前生身の人間かよ」

「この俺に不可能は無い!」

「んじゃ今度一人で海軍の船に放り込んで」

「はい無理です!」

 

即席のコントのようなやり取りに笑いが起きた時だった、鼻提燈を作って眠っていたルフィが目を覚まし身体を起こし伸ばしながら大声で良く寝たなぁ~!!と気持ち良さそうな声を上げる。

 

「帽子、俺の帽子は!?あっ腹減ったな~朝飯!帽子は!?朝飯帽子は!?」

「ったく起きた傍から糞煩くて騒がしいなてめぇは、それに今は夕方だ。帽子なら隣だぞ」

「ルフィさん良かった元気になって!熱とかもあって心配してたんですよ」

「そうなのか?んじゃ看病ありがとな!」

 

起きて早々に騒がしくしている船長だがルフィだと思うと不思議と納得してしまうのが彼の魅力でもあるのかもしれない。そんな中にトレーニングから帰って来たゾロに挨拶するが久しぶりと言ってしまった自分に違和感を覚えた、何故久しぶりなのかと思わず首を傾げてしまった。

 

「まっ三日も寝てたんだしな、そうなるな」

「三日も寝てたのか俺!?十五食も食い損ねてるじゃねえか!?」

「なんで一日辺り五食なのよ!?」

「ルフィだからな……」

「失礼するよ~!船長さんが起きたって?もう直ぐ夕食だから待っててくれないかい?」

 

ルフィが今まで眠っていたために食べ損なってしまった食事の事でショックを受けている中、扉を開けてウィスキーピークで別れこの国の反乱を止める為の証人となったイガラムにそっくりすぎる女性が後ろに大量のフルーツを乗せたカーゴを引き連れて入ってきた。

 

「イ、イガラムさん!?な、何故!?」

「レウスさん違うのよ。彼女はテラコッタさん、イガラムの奥さんでこの宮殿の給仕長なのよ」

「ビビ様と夫が世話になったね、腕によりを掛けてご馳走を作らせて貰うつもりだよ」

「……似た者夫婦にも程があるだろこれ」

「同感だ……」

 

イガラムの女装に付いて知っているゾロは思わずそう思ってしまった、顔もさる事ながら髪型や体格まで似通っている。ここまで似た夫婦だと最早言葉すら失う。

 

「夕食までの繋ぎとして果物でも摘んでてくれるかい?」

「ええでもこんな沢山……」

「解った」

 

手を伸ばそうとした果物の山、それが瞬時にして消えた。その犯人は勿論ルフィである、瞬間的にフルーツを口へと運び咀嚼し飲み込んだ。まるでマジックショーのようにフルーツの山は消えうせてしまった。

 

「「「手品かよ!!!??」」」

「おばちゃん、俺は三日分食うぞ!!」

「良い食いっぷりだねぇ望む所だよ!!給仕一筋三十年、若者達の胃袋なんかに負けないから存分にお食べよ!!これは腕が鳴るねぇ!!!」

 

テラコッタはルフィの一瞬してフルーツを平らげる食いっぷりを見ても全く引かなかった。寧ろあれだけのフルーツを食べて尚三日分も食べるからと宣言する彼に闘志が燃え上がってしまった、料理人としてあそこまで綺麗に食べてくれるのは嬉しい物であると同時にあの胃袋を満たしてやりたいと心から思えたのだろう。

 

「うんめえうめえ!!!」

「いや本当に美味しい!食べなきゃ損だわこれ!」

「おい酒頼むぜ!!」

「これもうんめえぞレウス!!」

「おおっ本当だな」

「おいチョッパー慌てんなって」

「最高だなこりゃ!!」

 

宮殿の大食堂にて始まった麦わらの一味へのお礼の意味を兼ねた大会食。王族の宮殿とあって周囲には兵士達が鎮座し見守りその中で静かに、気品ある食事が行われる筈だが海賊にそんな物は無い。豪快に、荒々しく、粗暴に食事をしていく風景に周囲の兵士達は思わず呆気に取られてしまっている。次々と平らげられていく食事に補給を行われるようにテラコッタ給仕長を筆頭にした給仕チームが作った料理がどんどん運ばれては完食されていく様は圧巻である。

 

「早く食えなくなるぞってああっ!?」

「おいルフィ今俺の皿から取ったろぉ!?」

「飛ばすなアホォ!!」

「お~い水を頼む喉を詰まらせた奴がいる!!」

 

ギャアギャアと騒がしく笑い声と抗議の声が飛び交う麦わらの一味としては最早当たり前となりつつある食卓は異質な物であった。共に旅をし既に慣れ当然のように受け入れられているビビは笑っている、次第に宴会芸なども始まり更に騒がしくなっていくと周囲の兵士達も大声で笑い雰囲気に飲まれていた。気付けば王やイガラム、チャカにペルまで爆笑する宴へとなっていた。

 

「レウスさん、楽しいですよねこうやってわいわい食べるのって!」

「全くだ!!」

 

こうしてアルバーナ宮殿始まって以来の大宴会は騒がしくも楽しく開催されたのであった。

 

 

会食という名の宴会が終了すると皆風呂に入るためにコブラ案内の元浴場へと通されたがそこはとても広くゴージャスな大浴場であった。黄金のライオンが湯を注ぎ湯船は湯で満たされていた。その大きさと豪華さに皆のテンションは上がっていく。ルフィとウソップは先に入ろうと競うが途中石鹸を踏ん付けてそこら中を滑りまわってから湯船へと入って行った。

 

「会食は実に楽しかったよ、時期が時期だけに清楚に済ますつもりだったが君達に掛かればなんでも宴に変わってしまうようだな」

「ははっ海賊にマナーは必要ありませんからね。面食らったんじゃないですか?」

「確かにな。だがそれ以上に愉快だった、あれ程騒がしくも楽しい食事も初めてだったかもしれん」

 

コブラと話をしつつ身体を洗い湯船へと身体を沈めると悪魔の実の能力者ゆえか身体から力が抜けてしまう、湯船で溺れるというのは笑い話にもならないので壁に寄り掛かるようにしながら気持ちが良い湯船を楽しむ事にした。隣に身体を沈めるゾロも気持ち良さそうに声を出す。

 

「んで女湯はどっちだ?」

「あほか言える訳無かろうビビ様も居るのだぞ!!?」

「ケチケチすんなって!!男なら解るだろ?」

 

まるで修学旅行に来ている学生のような事を言い出すサンジとそれを決して言わないイガラム、まあイガラムにとってビビは守るべき対象であり仕える王家の姫であるのだから当然ともいえるが。

 

「おいレウスお前だって見てえだろ!」

「見たいって何を…?」

「決まってるだろ、ナミさんとビビちゃんの、むふふふな姿だよ」

 

ニヤけた顔で答えるサンジは純粋に風呂を楽しんでいるレウスにそう言う、一瞬何を言っているのか理解出来なかったが次の瞬間理解してしまったのか一瞬で顔を真っ赤にしクラクラしながら鼻から出てしまった鼻血を必死に止めようと鼻を押さえる。

 

「お前だってみてぇだろ……?広がるパラダイスを。普段服に隠れている抜群のスタイルが成す宝石みたいな光景を……!!!」

「―――ッ!!!」

 

力説するサンジに気押されされながらも必死に鼻を押さえながらブンブンと首を横に振る。見たくない訳ではないが改善されつつあるが未だに女性に対する免疫が薄い彼にとってそれは刺激が強すぎる領域、興奮を抑えながら意識を保ちある事でハッキリと否定の意思を持つ。

 

「やめとく……ナミちゃんなら金取りそうだから……」

「確かにあの女ならやりかねねえな……だけど流石に国王のおっさんが認める訳が」

「あの壁の向こうだ!!」

「国王この野郎ォォォォォオオ!!!」

「「おいおい……」」

 

思わずゾロとレウスは突っ込みを入れてしまった。ナミもいるがそれ以上に自分の娘まで居るのに覗きを推奨する国王に呆れさえ出てきてしまった。結局そのまま二人を除いて壁を越えて覗きをするが……

 

「一人10万ベリーよ。幸せパンチ♡」

『ぐはぁっ!!』

「ナミさん!?」

 

ナミの声と共に覗いた男性人は一斉に鼻血を拭き落ちてきた、どうやらナミが自分から裸を見せたようだ。しっかりと金を取ると宣言をした上で……それを見たレウスは心から覗かなくて良かったと安堵してしまう、するとコブラが鼻血を垂らしながら礼を述べた。思わず全員からエロ親父と言われてしまうとそっちではない!と怒りながら国をだよっと訂正しその場で座りこみ頭を下げた。

 

「おいおいアンタ、良いのか国王がそんな事して」

「コ、コブラ様いけませんこれは大事件ですぞ!?王が人に頭を下げるなど……!!」

「イガラムよ、権威とは衣の上から着るものだ。だが此処は風呂場、裸の王など居るものか」

 

一国の王がそんな事をしてはいけないというイガラムをコブラはそう制止する。だがコブラは頭を下げ続ける、王と言う権威は衣を纏った姿でこそ発揮される物。今のコブラは裸、即ち王では無いと言う。

 

「私は一人の父として、此処に住む民として心から礼を言いたい。どうもありがとう、本当に有難う!」


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