ONEPIECE 空の王者が海を征す   作:魔女っ子アルト姫

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空の王者、戦う

アラバスタ 首都アルバーナにて起こっている国王軍と反乱軍の戦いの最中、そのどちらの人々の命を救おうと奮闘している者達がいた。この国を落としいれようとした元凶クロコダイルによって仕組まれた直径5キロを吹き飛ばす砲撃の発射時間が迫っている。

 

「アアアアアッ!!!」

「お返しだぜクソ野郎!」

 

その反乱の戦いの中、竜の力をその身体に宿している二人の男が激しい戦いを繰り広げていた。荒々しい鍵爪をその手に生やしながら地面を疾走しつつ眼前の赤い鎧の男を追い続ける竜、背後から凄まじい勢いで迫って来るそれを回避する為に壁を蹴って建物の屋上へと上がるが竜は壁へと腕と足をめり込ませながら無理矢理身体を持ち上げながら壁を移動し屋上へと到達すると腕の力だけで飛び上がるとそのまま相手を喰らおうとする勢いのまま襲い掛かるが男はそれに向かって飛び竜の頭の横を抜けながら左肘をその頭へと落とした。

 

「流石ティガレックス、恐ろしい突進力だな」

「ぬぅぅぅっ……がぁぁぁぁっ!!!」

「うおっ!?」

 

頭部を擦りながらも振り返ったティガが再び飛びかかる、大急ぎで建物から飛び降りる。腕を大きく振り下ろしたティガは建物を一瞬にして亀裂を走らせ次の瞬間には崩壊させた。その気になれば石作りの建物程度容易く破壊する凄まじい力に喉を鳴らしてしまう。赤い男、レウスは瓦礫の中から飛び出してきたティガに対して再び向かいなおした。瞬間、瓦礫が圧倒的な衝撃波と爆音によって吹き飛ばされた。

 

―――グアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!

「ぐぅ!!うぉぉお!!?」

 

襲い掛かる爆音と衝撃波によって飛ばされた瓦礫を蹴りで砕き回避していると元凶の姿が見えた、瓦礫があった位置ではティガが天を見ながら大声を発していた。同じ竜とはいえ自分には決して出来ぬ芸当、ティガレックスと言う竜だからこそ出来る事に舌を撒く。

 

「轟砲!!」

 

自らの身体の動きを封じていた瓦礫の始末を完了すると自分が倒すべき相手の姿を視認した、視界に入った時思考よりも早く身体が次の行動への準備を行っていた。考えると言う事よりも相手を狩るという「本能」が理解している。この身体を使って、知能を使って相手をどうやって身体の全てを使って倒せるのかを。大口を開けレウスの方向へと向くと再び咆哮を放った。それは前方へと特化した咆哮。衝撃波を伴いながら向かっていく爆音は周囲の建物を粉砕しながらどんどん迫って行く。

 

「ぐぅぅ!!」

 

腕を交差させるような防御姿勢を取る、そして身体を貫いていく衝撃波に耐える。少しでも足の力を緩めれば吹き飛ばされそうなほどの破壊力。地面へと突き刺さるような力で立っていると言うのにそれでも吹き飛ばされそうになってしまう程、左腕の竜頭の温度を一気に上げ衝撃波を切り払うかのように振り払うと真正面からティガが突進してくる。

 

「轟衝!!」

「焔ァ!!」

 

高温と化した竜頭をそのまま突進してくるティガへとぶつけるように殴り付ける、ディーロの時と違ってティガレックスの頭部には硬い甲殻はなく効果的に利くと思っての攻撃、事実高熱故に奴の頭は焦げ始めている、なのに気になど止めていないかのようにそのまま突進をし続け押し込めるように進み続ける。足に更に力を込めてスピードを緩めようとしても全く速度は落ちない。

 

「のやろうぉ、火射蛇!」

 

竜頭の口を開きそこから炎を放射し頭から焼いて行く、暴君ですら利いた攻撃。一溜まりも無いだろうと思ったが

 

「轟食!!」

「何、がああああ!!!」

 

炎さえもものともせずに前進し続け、後ろ足で地面を蹴りレウスを軽く打ちあげながら建物の壁へと叩き付けた。建物を貫通しながらレウスを前足で押さえつけそのまま力を掛けて押し潰しに掛かった、それを必死に竜頭で押し返すが徐々に押し返され地面に身体が埋まり始めて行く。

 

「ぐぅぅぅっっ……!!」

「轟鍛!!」

 

腕を退けると両足で同時にレウスを渾身の力で叩き潰すかのように、その一撃は周囲の地面ごと砕くかのように罅割れが広がっていく。

 

「がああああっっ!!」

 

物理的な衝撃と地面に押し込まれていく身体、ディーロとの戦いで負ったダメージも相まって骨がミシミシと音を立てながら罅が入っていく。追い討ちをと言わんばかりに鉤爪でラッシュが開始される、全身を絶え間なく襲い続けるティガレックスの攻撃に痛みと苦痛が全身を貫いて行く。このままでは間違い無く殺される……あれだけ大口を叩いておいてあっさり負けるのか……?ビビを、助けに来たのに……?

 

「……冗談じゃ、ねえええええ!!!!」

 

竜頭から火球が放たれる、それは頭部を捉えながらそのまま相手を大きく吹き飛ばした。ボロボロになっている身体を必死に起こし立ち上がる、そしてレウスは腰に付けていたホルダーから小瓶を取り出すとそれが無事であった事に安堵する。

 

「良かった……割れてなかった」

 

その小瓶の中にはチョッパーに頼んで作って貰った切り札があった、自分専用に作って貰った"ランブルボール"。悪魔の実の変形の波長を狂わせる薬、これを使った時自分にどのような変化が起こるのかは解らない。

 

―――本当に奥の手にしてくれよ、それを使ったらどうなるか俺も解らないんだ。

 

チョッパーの言葉が脳裏を過る、僅かな時間でこれを作ってくれた名医の言葉。初めての使用がこんな大事な場面になるとは思っても見なかった。

 

「有難うチョッパー、お前のお蔭で最後の賭けに打ってでれる……。さあ、こいつが導くのは……いや、導くんじゃないな俺がそうするんだ。さあ行くぞ。ランブル!!」

 

真っ赤な丸薬、それが導くものなど知った事ではないが自分が勝つ事を望むならそれへと行くだけ。そう思いながら小瓶の中のそれを外へとはじき出し咥え、力を込めて噛み砕き飲み込んだ。何処かほんのり感じる甘みを感じつつも体内へと入っていく薬を認識しながら飲み込んだ途端身体中に異様な事が起きている事を理解した。

 

「ぅぅぅぅ……!!!」

 

身体が、熱くなっていく。前進が炎で燃えているかのような感覚に意識が消え入りそうになりながらもビビの力になりたいと言う気持ちで支えながら必死に意識を持つ。燃えるような感覚は肉体にも影響を及ぼしていく、急激な変化に身体が反応して行くのに無意識に身体を完全竜化させていく。

 

「お前も、竜になったか……!」

 

体勢を立て直し戻って来たティガレックスはその姿を見ながら笑うが直ぐにその異常さに気付いた。レウスの竜形態、リオレウスの姿は既に見ているがそれとは明らかに違っている。見た時よりも一回りほど巨躯になり翼もそれに見合う大きさになっている。だが一番目を引くのは甲殻が燃え滾っている事、自らの身体を焼いているその状態にティガは戸惑った。一体何がこいつにあったのかと。

 

―――………グオオオオオオオオオッッッ!!!!!

 

燃え盛っているレウスは天へと叫びを上げるとそのままティガに向かって火球を放った。戸惑っていたティガはそれを避けきれずに喰らうがその火球は身を焼き甲殻を焦がすほどの超高温。至近距離での炎でも身動きしなかったティガは苦しみもがくがそこへレウスが飛びかかるように襲い掛かった。

 

―――ガアアアアアア!!!

「なんだ、こいつぅああああ!!!!??」

 

その身体に食い込む両足、身体へと刺さる爪でしっかりと掴むとそのままティガの巨体を持ち上げ投げ飛ばした、その勢いのまま地面に叩き付けられながら転がっていくがその途中身体を壊すかのような激痛に気付いた。毒だ、先程掴まれた際に毒を注入されていたのだがそれでも僅かな時間だったのに身体を蝕む痛みは半端な物ではない。

 

「ァァぁァアあああぁぁァっッッ!!!!!」

 

身体が内部から溶けるかのよう熱い感覚を味わう、だがそこへ更なる追い討ちは降り注ぐ。連続して火球が降り注いで来る、それに恐怖したティガは必死に身を動かした。毒が身体に回るというがそんな事も考えずに身体を動かし火球から逃れようと必死だった。周囲に被弾していく燃え上がっていく火球、掠って身体を燃やしていくがそれでも直撃よりは良いと逃げる。だが毒が全身を蝕んで行き遂に身体の動きが鈍くなった時、空から王者が襲来し身体を足で抑えこみながら毒を打ちこみ、首へと牙を突き立てた。

 

「―――!!!!」

 

言葉にならない悲鳴を上げながらティガは倒れこみながら地面を抉っていく。建物を薙ぎ倒しながら広場の時計塔近くへと到達しながらティガは漸く止まり全身に毒が回り動かなくなった。そしてまだ一撃を加えようとした時頭を誰かに殴られた。その瞬間、今まで闘争本能に突き動かされてきた身体に自分の意識が通い始め正気に戻る。目の前には傷だらけで怪我もしているナミ達がいた。

 

「……はっナミちゃん!?皆も、俺は……」

「それはこっちの台詞よ!いきなり化け物が来たと思ったらレウスなんだもん!しかもなんか身体燃えてるし何が起きてるのよ!?」

「レウス、ランブルボール使ったのか!?」

「あ、ああ。それしかなかったからな」

「って話してる場合じゃねえ!レウスなら時限砲弾何とか出来るんじゃねえのか!?」

 

一体何を言っているのかレウスには理解出来なかったがナミは手早く

 

「発射止めたけどそれは時限式で爆発するの何とかして!!それはあの時計塔にあるからはやくぅ!!」

 

と説明をした。理解しきれなかったがそれでも何とかすれば良いと理解しすぐさま飛び立った、今の自分ならなんとか砲弾を持っていく事も出来るだろう。上昇していくとペルと同時にそこへと到達した、そこではビビが砲台の砲身部分に何度も何度も拳をぶつけクロコダイルへの恨みの言葉を言い続けていた。

 

「クロコダイルゥ!!此処までやったのにぃ、何処まで人を馬鹿にすれば……!!」

「ビビちゃん、君の行動は無駄なんかじゃないよ。顔を上げなよ」

「!?れ、レウスさんにペル!?」

「ペルさん。彼女を頼むよ」

「護衛隊副官として当然の義務だ」

 

レウスはその足で砲弾を掴むとそのまま一気に上昇していく、広場を吹き飛ばすほどの爆発をする砲弾。かなり高くまでいかないと下の広場まで被害が及んでしまう。必死に羽ばたきアルバーナの上空まで飛び恐らくもう大丈夫だろうという地点まで来た、だがもう時間はないだろう全力で砲弾を上へと投げるそして撤退しようとした時身体が一気に動かなくなると同時に全身から力が抜けて行こうとした時、砲弾が眩い光を放った。


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